2008年09月15日

「似て非なるもの」を分けた決定力  ~FC東京対大宮~

 今年のJリーグをここまで見てきて、勝手に

「大宮とFC東京は似て非なるものだ」

と思っていた。
 似ているのは、「走る」という点において。どちらも非常に真面目でチームのために頑張る選手が多く、献身的で、戦術的な動きをする。キャスティングの違いから、フィニッシュの狙いや大胆なポジションチェンジの有無の部分に「非なる」部分を感じるが、現在のJで一番FC東京に近いのは、大宮アルディージャに違いないと思う。


 試合前のアップにも「走る」という両者の意識が表れていて、FC東京はパスゲーム中、 足を止める選手がほとんどいない。面白いのは大宮で、2人1組になって1人がボールを投げ、もう1人が蹴り返すよくあるアップをしているのだが、4タッチごとにダッシュしてパートナーの反対側へと回り込んでいた。大宮の試合をスタジアムで観戦するのは初めてだったので、この形式のアップをいつからしているかは分からないが、「パスをしたあと足を止めない」と意識付けをしたい樋口靖洋監督の狙いがあるのではないか。


 試合前まで、FC東京が勝ち点33、得点28、失点29。大宮は勝ち点31、得点27、失点27。数字的にもよく似ていて、決定力に課題を抱えている点でも共通している。
 この試合を分けたのも決定力、ということができるが、FC東京のカボレの動きにも触れておきたい。

 前半、FC東京はカボレへのロングボールを多用していた。カボレのオリジナルポジションは、3トップの左サイド。中にはかなりアバウトなボールもあったが、それでもレアンドロや村山祐介を振り切って起点を作れるスピードが、カボレの強みである。樋口監督も「集中して対応できている」と言いながらも、「ロングボールを蹴られておしこまれている」とハーフタイムに語っている。
 そのロングボールが、ボディーブローのように大宮を消耗させたことが、後半の逆転劇の一因だと僕は考える。

 しかし、その前に大宮が2点目を奪っていれば、FC東京はかなり苦しくなっていたに違いない。
 FC東京が同点に追いつく前に大宮が2点目を奪うチャンスは、少なくとも3回はあった。23分、レアンドロのFKのこぼれ球を狙った冨田大介はフリーだったし、48分にラフリッチとのワンツーから放ったデニス・マルケスのミドルシュートに対して、塩田仁史は尻餅を付くしかなかった。

 そのどちらかのシュートでも決まっていれば、FC東京の逆転はかなり厳しかっただろう。何しろFC東京は、5月の磐田戦以来、リーグ戦で2点以上取ったことがないチーム。34分のカボレのヘディングシュート、51分の赤嶺真吾、梶山陽平の至近距離からの連続シュートはいずれもGK江角浩司のスーパーセーブに阻まれていて、嫌なムードは漂っていた。
 しかし59分、石川直宏のCKから赤嶺が頭で決めると、72分には大竹洋平の芸術的なFKで逆転。84分に迎えた絶体絶命のピンチを塩田の身体を張ったセービングでしのぐと、88分にはカウンターから赤嶺が3点目を決めて、大宮にとどめを刺した。


 これまで攻めて込んでいても先制点が取れない、2点目が取れないで苦しんでいたFC東京が2点目を許さず、しっかり試合を決めるダメ押しゴールを決めて勝ったというのは、なんとも皮肉なことだ。
 決めたのは、前述の5月の磐田戦でも2ゴールを決めている赤嶺。その赤嶺は今季9得点目で、闘莉王(浦和)に並んで日本人最多となった。

 赤嶺は、誤解を恐れずに言えば「下手」な選手だ。日本代表のFW玉田圭司(名古屋)、田中達也(浦和)、大久保嘉人(神戸)に比べればずっと不器用で、できる仕事は限られている。
 そんな赤嶺が、器用な選手よりもずっと多くの得点を挙げているのは、ゴール前での抜群の嗅覚を持っていて、不器用な分、フィニッシュという数少ない仕事に集中しているから。駒沢大の先輩にあたる巻誠一郎(千葉)や、中山雅史(磐田)同様、ハードワークを厭わず、危険なところにも怖がらずに突っ込んでいけるハートの強さもある。

 そんな赤嶺のいちファンとしては、もし彼が日本代表監督に評価されないのだとすれば悲しいものがある。一方、FC東京のいちファンとしては、コンディションを崩すかもしれない代表には呼んでほしくないわけで……。複雑である。

posted by taka |14:48 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年08月24日

Jリーグ第22節 観戦レポート(1)(2)

     (1)FC東京1-2東京V
Match Report
 FC東京は28分、FWカボレのスーパーゴールが決まって先制。しかしその後はカボレとFW赤嶺真吾の動きが重なる場面が目立ち、ボールを支配しながら2点目が奪えない。するとMFレアンドロを投入した東京Vの反撃に遭い、FW大黒将志が同点ゴール。後半ロスタイムにはDF那須大亮にヘディングシュートを決められ、今季3勝していた東京ダービーで逆転負けを喫した。
Pick Up Player=大黒将志(東京V)
 FC東京の一瞬の隙を突いてDFラインの裏を突き、飛び出したGKを見てチョコンと浮かした技ありシュートで同点ゴール。Jリーグ復帰後初ゴールは、オフ・ザ・ボールの巧みな動きとシュートの豊富なアイディアという、自身の持ち味を存分に発揮したものだった。


     (2)G大阪1-1神戸
Match Report
 FW山崎雅人のゴールで先制したG大阪だったが、後半、MF遠藤保仁のまさかのPK失敗などもあって、追加点は奪えず。神戸はボッティが精彩を欠いてゲームを作れなかったが、DF小林久晃を前線に上げてパワープレーに出るとFW大久保嘉人が自由をつかみ始める。それがゴールに結実したのが、後半のラストワンプレー。GK松代直樹がはじいたこぼれ球を、ループシュートで落ち着いて決めた。
Pick Up Player=加地亮(G大阪) 解説の原博実さんも絶賛していたが、フィジカルコンディションはかなり良い状態にある模様。右サイドを上下動する馬力と守備の巧みさ、ポジショニングの良さが目を引いた。代表引退さえしていなければ、内田篤人(鹿島)が負傷中の今、岡田武史監督も日本代表に加えたかったのでは?

posted by taka |22:52 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年08月17日

日本的  ~FC東京対浦和~

<2008J1リーグ第21節/FC東京0-1浦和>

「ペースが握れた時間帯でシュートまで持ち込めていない」(GK塩田仁史)
「単純にクロスに入れても簡単に跳ね返されるだけ。もっと工夫も必要だと思う」(MF浅利悟)
「最後の質を出していかないといけない。ゴール前はもう何人かボールに絡む動きが必要」(MF羽生直剛)
     ※以上、コメントはすべて「J's GOAL」より


 こうしてFC東京の各選手のコメントを並べてみると、まるで日本代表戦後の選手コメントを見ているようだ、と思う。実際、試合を見ていて感じたフラストレーションは、先日まで北京五輪でU-23代表を見ていて感じたものに非常によく似ていた。
 パスはよくつながっている。ただし、それもゴール前、残り30mに差し掛かるまで。問題はそこからで、城福浩監督の言うところの「アタッキングサード」を崩し切ることができない。
 ラストパスが微妙に合わなかったり、クロスに対して中の人数が足りなかったり。残念なことに、FC東京の選手がゴール前に侵入できない理由も、日本代表のそれにそっくりだった。結果、ボールは支配できていて、シュート数もほぼ互角ながら、決定機の数では浦和を下回ることに。浦和は相馬崇人の決勝ゴールのほか、高原直泰のシュートが2回、田中達也のシュートが1回、ポストを叩いていて、もっと点が入っていてもおかしくないゲームだった。

 ただしこのゲーム展開は、必ずしもFC東京の問題点を明らかにしたのみではないと思う。
 僕が浦和戦を見て、対戦相手を「日本代表的」と表現したのはこれが初めてではない。今年4月、大宮と浦和の試合についても、僕は大宮のことを
「パスはきれいにつながっていくのだが、最後の30mを崩しきれないその様は、良い意味でも悪い意味でも、非常に日本的だった」
と評している。

 そのときの大宮と今回のFC東京を比べると、パスワークがきれいだったのは大宮のほうで、スコアを見ても明らかなように、より浦和を追い詰めたのも大宮のほう。だが、浦和についての
「守備の粘りでここ数シーズンを勝ってきたチームだけに、クロスにしてもドリブル突破にしても、対応に『ペナルティエリアの中でだけは絶対にやらせない』という意地のようなものが見えた」
という印象は、今回も変わらない。

 この日、FC東京が「日本代表的」だったのは、相手が浦和だったから、というのも大きく関係していると思う。たとえ相手にボールを支配されても、終盤パワープレーに出られても、浦和は動じない。たとえ石川直宏や今野泰幸が飛び出してきてもスピードのある坪井慶介がカバーし、闘莉王がつぶすだけだし、パワープレーも単純なロングボールなら闘莉王が跳ね返すだけだ。
 この2人がDFラインに復帰するまでは、現在は守備的MFの阿部勇樹がDFでプレーすることも多かったが、いずれにしてもゴール前の守備は強固。彼らが対応する場面が多いということはつまり、前線からのプレスが機能しているわけではない、ということでもあるのだが、ゴール前で仕事をさせないあたりはさすが闘莉王、という他ない。

 さて、その闘莉王と対面すると、なんとも物足りなかったのが平山相太。185cmの闘莉王を身長では5cm上回っているはずが、ゴールキックの競り合いも、終盤のパワープレーも、空中戦では完敗だった。
 また、トップ下気味にプレーして復調してきた平山だが、下がってプレーして長友佑都やカボレにはたいても、スピード不足で、クロスを上げるタイミングでゴール前に間に合わない。確かに、1トップでプレーしていた頃より運動量も貢献度も上がってはいるのだが、「ゴール前での怖さ」は減ってしまっているような気がした。果たして、「怪物」といわれた頃の平山は、どこへ。彼は今のままでは、上手いけど怖くない、きわめて「日本的」なプレーヤーに収まってしまいそうだ。

posted by taka |00:59 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年07月26日

梶山陽平を見てほしい!   ~カジヤマニアからの推薦状~

 梶山陽平(FC東京)ほど、評価の分かれる選手も珍しい。

 監督、選手の中に、彼の才能に惚れ込む者は珍しくない。FC東京で彼を指導した原博実元監督などは、第1次政権(~05年)では「日本のジダン」、あるいは「日本のバレロン」になれる逸材といって期待をかけ、第2次政権(07年)では「日本のランパード」とやはり絶賛していた。U-23代表内でも、「陽平は上手い」と周囲から一目置かれていると聞く。

 だが「スポーツナビブログ」や、某巨大匿名掲示板を見ていると、彼の評価は決して高くない。
 身近な例を挙げれば、以前このブログに、「(梶山も含め、中盤の選手の)個々のパフォーマンスは決して悪くなかった」と書いたところ、
「梶山はあれで, 決して悪くない, んですか?
 TVでは、捜してもなかなか見つからないんですが・・・」(原文ママ)
とのコメントを戴いたことがあった。また、遠藤保仁(G大阪)のオーバーエージでの五輪代表選出が有力視されると、「梶山が外されるのでは」との意見を何度となく目にした。


 選手、監督から高く評価される梶山が、なぜファンから評価されないのか。


 その原因は、梶山という選手への「誤解」であると僕は考える。五輪代表、FC東京の両方のチームで10番を背負い、かつてジダンと重ねられた梶山だが、彼は決して「10番」タイプの選手ではないのだ。
 僕がそのことに気づいたのは、昨年の9月だった。FC東京ウォッチャーを自称し始めて3年目のことだから、梶山の良さとはわかりにくいものなのかもしれない。

 国立競技場で見た、ヴィッセル神戸戦。それまで「走らない選手」とばかり思っていた梶山の運動量に目を奪われた。あるいは、守備的MFでコンビを組む今野泰幸より走っているのではないか。そう思えるほどに、梶山は攻守に走り回っていた。
 以来、梶山には目を奪われっぱなしだ。180cmと、従来の日本の中盤の選手より大柄な梶山の好調のバロメーターは、身体の使い方。好調時の梶山は、自ら身体をぶつけて五分五分のボールを我が物とし、スルスルと、というむしろ、「ヌルヌルと」、と形容したくなる独特のドリブルで中盤を駆け上がっていく。

 イメージに反して、意外と走り、意外と競り合いにもタフな梶山だが、意外とゴールが少ない。このあたりが、ファン層からの支持が上がらない理由なのだろう。今年からFC東京での背番号が23番から「10」に変わり、「背番号と同じ数のゴール」を今季の目標に掲げていた梶山だが、今季ここまでリーグ戦でのゴール数は1。アシストもそれほど多くなく、得点に絡む働き、という意味では正直、物足りない。
 さらに残念なのは、代表に入ると、その前段階での輝きさえ失われてしまうことだ。プレッシャーの速さの違いなのか、リーチの長さが外人相手だとそれほど武器にならないからなのか、代表戦では組み立て段階でのセンスがきらりと光るパスも、前述した「ヌルヌル」感たっぷりのドリブルも、なかなか見ることができない。

 それは僕のような「カジヤマニア」には、凄く歯がゆいことだ。U-23代表でのプレーを見ていると、代表戦しか見ない人、あるいは、TVでしか彼を見たことがない人に批判されるのは、仕方のないことだと思ってしまう。
 本来であれば、スタジアムに足を運んで、「生梶山」を見ていただきたい。それが叶わないなら、せめて北京五輪で、梶山に少しでも注目していただきたい。
 10番をつけたり、「日本のジダン」なんて言われたりしていたが、梶山はシュートも少なければ、シュートに直接つながるパスもそれほど多くない。そういう意味では全然ジダンではないのだが、攻守によく走り、競り合いに勝利してボールをサイドに散らし、ヌルヌルとドリブルで駆け上がる。日本人では他に似たタイプが見つからない、非常に稀有な選手なのだ。



 ここからは余談だが、ピッチ外で彼に注目してほしいのは、あのさいとうたかを先生が描いたような眉毛……ではなく、ドリブル同様、独特のリズムを刻むインタビュー。なんというか、もう放送事故寸前だ。そういえば、今季唯一のゴールを決めた時に披露したゆりかごダンスも、やっぱりなんか変だった。
 そんなところも含めて、梶山は本当に面白い選手だ。このブログを読んだ人が、一人でも「カジヤマニア」になってくれれば、筆者としてはこれ以上幸いなことはない。

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posted by taka |02:13 | Jリーグ | コメント(7) | トラックバック(0)
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2008年06月29日

今野泰幸の「熱」 ~FC東京対千葉~

多分、井原正己さんのコラムだったと思うのだが、DFにとって、敢えて「いかない」場面が存在するという話を読んだことがある。

例えば、大量点差がついた後半終了間際。たとえ1点が入っても大勢に影響がないケースでは、累積警告出場停止や退場のリスクを負ってまで失点を防ぐ必要がない。そのため4-0、5-0の終了間際に相手が突破して、GKと一対一になりそうになっても、敢えて見送るケースはありうるという。


千葉戦で、今野泰幸が退場した。
前半の7分。発端は、相手のロングボール。雨のピッチに弾んだボールの目測を佐原秀樹が誤り、レイナウドが抜け出した。
そのレイナウドに、唯一付いていったのが今野だった。レイナウドに体を入れられがらも喰らい付いていったのだが、最後はもつれ合うような格好になり、背後から倒してしまった。これが決定機の阻止と判断され、今野は退場。GK塩田仁史が止めたが、千葉にはPKが与えられた。


これを見送っていても良かったのではないか、と思う。
競り合っていたレイナウドは、失礼ながら、決してシュートの上手い選手ではない。塩田もしっかり構えていた。コースを制限しながら併走していれば、塩田がシュートを止めていた可能性は低くない。また、レッドカードをもらえば、残りの80分以上の時間を今野抜き、10人で戦うことになる上に、次戦も出場停止になる。
FC東京にとって重要な選手であるからこそ、そのマイナスと、1失点の重さを天秤にかけ、あるいは強引にいく必要はなかったのではないか、と思ったのだ。


ただ、そこまで考えながら、同時に、あそこで見送るのも今野らしくない、とも思った。
そもそも、チームで唯一、レイナウドの飛び出しをケアしていたこと自体が、彼の危機管理能力の証明。あそこまで付いていって、カードの影響を考えて見送るのも今野らしくない。 そうした冷静な計算よりも、とにかく目の前のピンチを防ごうと喰らい付いた責任感が、今野らしい。

posted by taka |23:40 | Jリーグ | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年04月29日

FC東京、大分戦総括

【収穫】
 この大分戦では、カボレがファウルで止められ、ピッチに横たわるシーンが目立った。
 シュートシーンは少なかったが、ドリブルでゴールに迫るシーンが多いのは、積極性と身体のキレを増している証拠。71分に赤嶺真吾のスルーパスから抜け出して、GKと一対一で放ったシュートは西川周作のファインセーブに阻まれたが、連携も日に日に良くなっている。

 ただし、ことゴールに関しては、赤嶺の方が「おいしいところ」を持っていっている印象。ゴール前のスペースに飛び込む赤嶺の得点感覚が光るが、カボレの方はドリブルするスペースを赤嶺のフリーランに消されてしまう場面もあった。
 赤嶺と、互いに生かし生かされる関係を築ければ、ファウルなしに止めるのは困難なそのスピードが、相手にとってより恐ろしいものになるはずだ。


【課題】
 連戦が続く日程を考慮してか、中盤の守備を引き締めているベテランの浅利悟がこの日はベンチスタート。代わって起用されたのは金沢浄で、城福浩監督が高く評価する「ゲームの流れを読む眼」を発揮し、ボールを落ち着け、機を見てサイドチェンジを放って変化を付けた。
 しかし中盤は、プレッシングにしても、パスワークにしても連動性を欠き、ゲームの主導権を握れなかった。金沢、今野泰幸、梶山陽平、個々のパフォーマンスは決して悪くなかったが、ユニットとして少々、3人の役割が整理されていなかった印象。今野、金沢はDFラインに吸収されることも少なくなかった。

 浅利は6月に34歳になる。献身的な守備が持ち味である彼が入ると中盤の役割がはっきりし、今野の機動力も生きてくるが、ベテランの浅利にシーズンを通してのフル回転を望むことは難しい。今後も金沢を起用するケースは出てくるだろうし、現在は負傷で離脱している羽生直剛、エメルソンらが復帰してくれば、中盤の編成そのものが変わり得る。
 中心選手以外はメンバーを固定しないと明言している城福監督だが、メンバーを入れ替えても、スムーズな連携を維持できるか。それが今後の鍵になりそうだ。
 少々の混乱があっても結果を出したという意味では、この大分戦の勝ち点3は今後の一つの指針になるかもしれない。

posted by taka911 |21:10 | Jリーグ | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年04月20日

命からがら ~浦和対大宮~

攻めに攻めた大宮から、命からがら、浦和が何とか勝ち点1を守り抜いたというゲームだった。


この試合最大の見せ場は、前半の40分過ぎだった。中盤でボールを受けた高原直泰が、ドリブルでゴールへと突進。キックフェイントで一人をかわして、強烈なミドルシュートを放った。
このシーンが、この日の浦和を象徴していた。大宮は一人一人が献身的に走り、非常に組織的に整備されたプレッシングで、浦和の連携を分断。対する浦和は3トップにボールが収まらず、闘莉王、細貝萌の2ボランチも効果的に攻撃に絡めなくて、高原や永井雄一郎が個人技で仕掛けるしかなかった。

田中達也、梅崎司の同時投入も、状況の打開にはつながらなかった。2人の交代以降で最大のチャンスは、左からのクロスに合わせた永井のヘッドが、ポストを叩いた場面。この場面を見て、浦和にとって最も得点の可能性がありそうなのは闘莉王の頭を目がけたシンプルパワープレーではないかとも思ったが、この日の闘莉王は控え目で、試合は0-0で終わった。

大宮にとっては、終始試合をコントロールしていただけに勝ち点3がほしい試合だったが、決定的なチャンスはほとんど作れなかった。パスはきれいにつながっていくのだが、最後の30mを崩しきれないその様は、良い意味でも悪い意味でも、非常に日本的だった。

ただし逆に見れば、浦和の守備陣がよく踏ん張った、というべきか。守備の粘りでここ数シーズンを勝ってきたチームだけに、クロスにしてもドリブル突破にしても、対応に「ペナルティエリアの中でだけは絶対にやらせない」という意地のようなものが見えた。

内容では負けていようと、こうして「粘り強さ」で勝ち点を拾うあたりが、浦和の嫌らしいところであり、強さであると感じている。ポンテが復帰し、エンゲルス監督のやり方が浸透するであろう中盤戦以降に、浦和が優勝争いに絡んでいるようであれば、それは苦しい今の時期にも、粘り強く勝ち点を積み重ねた結果に違いない。

posted by taka |19:46 | Jリーグ | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年04月20日

変化をつける18歳  ~FC東京対川崎F~

 またしても、大竹洋平が流れを変えた。
 登場は、2-2で迎えた63分。その直後にドリブルからループシュートを決めると、70分には走りこむ今野泰幸に見事なタイミングでスルーパスを通した。30分足らずの出場ながら、1得点1アシストの活躍。4-2での勝利の主役となった。

 今季FC東京U-18から昇格したばかりの18歳だが、「外れ」だった試合を見た記憶がない。先発出場した札幌戦では後半運動量が落ちたり、守備面での激しさが足りなかったりと課題を残したが、その札幌戦でもセットプレーから何度かチャンスを作っている。 
 18歳の大竹が、若い選手にありがちな不安定さとは無縁のままに、高い技術とアイディアでチャンスを作り、途中出場でも決定的な仕事をして流れを変えているのは、本当に素晴らしいことだと思う。


 さて、なぜ大竹が、これほどまでに鮮烈な活躍を続けているのか。
 技術が素晴らしい。アイディアが豊富で、面白い。それはもちろんある。ただ、それだけでなく、FC東京が、大竹のような選手を必要としていたことも大きい、と私は思う。
 今野、羽生直剛に代表されるように、FC東京には真面目でよく走る選手が多い。大ブレイク中の長友佑都、ゴールを量産している赤嶺真吾もそうだ。

 ただし、アイディアがあって、ゲームに変化を付けられるゲームメーカータイプの選手は少ない。日本代表の今野、羽生はそういう選手ではないし、負傷離脱中の石川直宏やエメルソンにしても、スピードやドリブルが武器の選手だ。
 その中にあって、大竹は異彩を放っている。真面目な選手たちがよく走り、ボールを動かしている中で、大竹はその技術でリズムを変え、周囲を使うこともできる貴重な存在だ。


 開幕前、オシム監督の下で「ボールと人が動くサッカー」に慣れていた羽生が、城福サッカーの申し子と言われた。しかし同時に、動くボールにアクセントを付けて、動く人を使える大竹のような選手も、城福サッカーには不可欠な存在だったのだ。しかも大竹は、単なる配球役に止まらず、自らも足を止めることなくパス&ゴーを繰り返すことができる。
 大竹にとっても、真面目に走り続ける先輩がパスコースを作ってくれることは大きい。多くの選択肢の中から、自由にアイディアを発揮することができる。

 チーム戦術にフィットしていて、同じタイプの選手がいない。FC東京と幸福関係を築いている大竹の活躍は、決して偶然ではない。今後もスーパーサブとして、18歳は流れを変える働きをしてくれるはずだ。

posted by taka |00:41 | Jリーグ | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年04月15日

痛快な逆転劇 ~東京V対FC東京~

 前半半ば、FC東京にちょっとした違和感を覚えた。

 攻撃が、やけに縦に早いのだ。
 城福浩新監督がパスサッカーを植え付けようとしている今季、ボールを奪ってからシュートまでの時間が、昨季の15秒弱から30秒以上まで倍増しているとのデータがある。しかし前半の攻撃は、昨季を思わせるシンプルなものだった。

 その狙いは、東京Vが消耗する後半に勝負を仕掛けることにあった。
 唯一誤算があったとすれば、フッキに先制点を許した事かと思ったが、羽生直剛によると
「1-0は覚悟はしていた」
というから頼もしい。
 後半、守備的MFの浅利悟に代えてゲームを作れる大竹洋平を投入し、攻撃モードにシフト。プレスが緩くなった中盤で大竹がリズムを作り、カボレのドリブルが猛威を振るう。

 主導権を握ったFC東京は、大竹からカボレ、赤嶺真吾とつなぐ美しい展開から、羽生がミドルシュート決めて同点に追い付く。連動しながらパスをつなぎ、スペースを上手く活用した今季のFC東京らしいゴールだった。
 こうなると勢いは完全にFC東京で、スタジアム全体が逆転を後押しする雰囲気に。後半終了間際、左からの梶山陽平のクロスを今野泰幸が折り返し、そこに飛び込んだ長友佑都がオウンゴールを誘って逆転に成功した。


 FC東京からすれば、これ以上なく痛快な逆転劇。特筆すべきは長友で、フッキとマッチアップしながら、何度もサイドを駆け上がって攻撃参加。疲れているはずの終了間際にもゴール前に顔を出して、決勝点に絡んだ。

 一方の東京Vを見ると、復帰間もないフッキの攻撃力を生かしているのに驚いた。今季2戦目のフッキだがすでに攻撃の中心で、相手にとっては最大の脅威。得点シーンの他にも、ポストに当たるシュートがあり、ディエゴへのトリッキーなラストパスがあった。
 ただし強引にゴールに迫るドリブルもキレが落ちれば「持ちすぎ」に変わり、常にシュートを狙う姿勢も決まらなければ「わがまま」と受け取られる。今後は周囲を使うプレーも求められるのではないか。現状では、フッキの好不調がそのままチームの攻撃力を左右しかねない。

 まあ「戦術フッキ」がJ1でどれだけやれるのか、それはそれで興味深くはあるが。

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2008年04月05日

走るチームの宿命? ~FC東京対札幌~

 カボレのコンディションが上がってきた。相手の当たりにも全くバランスを崩さずに、左足のシュートで決勝点を奪っただけではない。前を向いてドリブルで持ち上がったり、相手の頭上にボールを浮かせてゴールに迫ったりと、積極性とアイディアを増している。まだ周囲と噛み合っていない印象は残るが、縦パスをワンタッチで今野泰幸にはたいて自らのシュートにつなげた場面などを見ると、連携は日に日に改善されている印象。この日のFC東京で、最も危険な選手の一人だったのは間違いない。

 最も危険な選手のもう一人は大竹洋平だ。セットプレーの正確さやボールを持った時のアイディアは、すでにFC東京の中ではトップクラス。加えてこの札幌戦では、ドリブルで自らゴールに迫る勇敢さを見せてくれた。

 この2人を中心に、前半は何度も札幌ゴールを脅かしたFC東京。しかし後半は、攻めあぐねた。
 危険な2人、カボレと大竹が交代した影響は大きい。カボレに代わって1トップに入った赤嶺真吾には、カボレほどはボールが収まらず。大竹の代わりには、本来はサイドバックの長友佑都を2列目で使わなければならない苦しい台所事情があった。

 しかし停滞の最大の要因は、チーム全体のペースダウンだ。城福浩監督は連動しながらボールをつなぐパスサッカーを志向しているが、選手にはかなりの運動量が要求されている。前後半ほぼノンストップの羽生直剛、今野はさすがだが、各選手の消耗は避けられない。

 新加入のブルーノ・クアドロス、佐原秀樹が初めて組んだセンターバックの安定で、今季リーグ戦初めての無失点で勝利を飾ったFC東京。しかしここまでの失点9のうち、8点は後半に集中している。オシム・ジャパンの初期にも見られた後半のペースダウンは、走るチームの宿命とでも言うべきものだが、今後どう克服していくのか。キーマンにはキープ力と展開力で試合に緩急を付けられる10番、梶山陽平を挙げたい。

posted by taka |16:02 | Jリーグ | コメント(2) | トラックバック(0)
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