2008年08月13日
1985年以降生まれの選手で編成される、いわゆる「北京世代」の日本代表の試合を始めて見たのは、06年11月の韓国戦だった。目を引いたのは、数的有利を作ってのサイド攻撃。サイドハーフとサイドバックが追い越し追い越される良い関係を築きながら、時におとりに使って単独突破を仕掛け、時に追い越す選手をシンプルに使って、サイドから数多くのチャンスを作っていた。そのサイド攻撃の主役が水野晃樹や苔口卓也、中村北斗で、中央のターゲットが平山相太だったのを思い出すと、時の流れの大きさを感じるが……。
あの時は、このチームが「こんな」ラストを迎えるとは思わなかった。
3戦3敗、失点4、得点1。日本は北京五輪本大会で、勝ち点の1つも取る事ができなかった。
2年前、国立競技場で感じた期待感は、どこへいったのだろう。ダイナミックなサイドアタックはいつから見られなくなり、守備陣の粘り以外にさして魅力のないチームになってしまったのだろう。
北京でのチームは、2年前の国立でのチームと同様、サイド攻撃が最大の武器だった。ただしその多くは、内田や安田理大(G大阪)、長友佑都(FC東京)の個人技に依存したもの。本田圭佑(VVV)をはじめとしたサイドハーフとの絡みは物足りなくて、中央で待っている人数も十分ではなかった。
選手個々の実力差は、当然あった。ボール奪取のほとんどは数的有利を作ってからだったし、ミスも多かった。左足が武器の本田圭のクロスが、そのままラインを割っているようでは話にならないし、最後の部分でクロスの質、ドリブルでの突破力の差が勝負を分けた面はある。
ただし前述のように、それを補うだけの戦術的な工夫が十分だったかには疑問があるし、選手個々の起用法にも疑問が残る。ストライカータイプの森本貴幸(カターニャ)の1トップ起用は適切だったのか。右サイドに起用されながら左足にこだわり、しばしば判断が遅れた本田圭を、あれほど引っ張る必要があったのか……。
96年アトランタ、00年シドニーが6で、04年アテネが3だったグループステージの勝ち点が、今回は0。日本の若年層の育成については、今後真剣に考える必要があると思う。
だが今回の結果……というより、今回の戦いぶり
については、反町康治監督への疑問が消えない。
サイドアタックは、狙い通りにできましたか? 選手の見極めは、十分でしたか?
2年間の集大成が、「これ」ですか?
posted by taka |20:44 |
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2008年08月10日
U-23ナイジェリア代表の、「ここ!」と決めた時のカウンターの迫力には脱帽するしかなかった。失点シーンは、いずれも3~5人が怒涛のようにゴール前に走り込んで、数的有利を作られたもの。そのスピードと正確性は、日本の各選手にとって体感したことのないレベルだったに違いない。
残念なのは、そのカウンターのスイッチを入れたのが、いずれも日本のミス絡みだったことだ。1点目は香川真司(C大阪)の中途半端なバックパスをさらわれ、2点目は中盤で本田圭佑(VVV=オランダ)の判断が遅くなって失ったボールに対して、攻守の切り替えが遅れた。そのミスから相手選手がスピードに乗ったドリブルで突進し、周囲もそれに呼応した。
ただミス絡みの失点は、「ミスのさせ合い」というサッカーの性質からいえば、日本の選手の、チームとしての甘さの証明とも言える。
18人中、8人。約半数の、最終予選に出場していなかった選手を最終メンバーに加えたチームは、最後まで「未完成」という印象を拭えなかった。
選手個人でいえば、香川はもっとミスを減らさなければならない。本田圭は判断のスピードを上げる他、「キックのスペシャリスト」を自認するならば、信頼を置かれるキッカーにならなければならない。そして梶山陽平(FC東京)は、もっと効果的なパスを出せるはずだし、ゲームを落ち着けるだけでなく、攻撃を加速させる「スイッチ」を入れられる選手になってほしい。
残念ながら、「反町JAPAN」の戦いは、次のオランダ戦が最後になってしまった。見たいのは意地、そして日本らしさ。ラストゲームが、ベストゲームになることを期待する。
posted by taka |21:35 |
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2008年08月10日
U-23アルゼンチン代表との試合のあと、僕はこのブログに「貴重なレッスン」というタイトルの記事を書いた。世界のトップチームとの対戦を経験することで、選手たちも学ぶことが多かったのではないかと思ったからだ。
経験、という意味でいえば、米国戦も北京五輪の初戦にして、選手にとって学ぶことの多い示唆に富んだゲームになったと思う。
勝負を分けたのは、「あと一歩」の差だった。ストレートな意味でも、比喩的な意味でも。
ストレートな意味では、前半、内田篤人(鹿島)のクロスに対しての、森重真人(大分)。後半、李忠成(柏)が投入された直後に、長友佑都(FC東京)が左サイドからクロスを送ったが、中央の3人が触れずに右に流れていった場面。日本はビッグチャンスに、文字通り「あと一歩」が出なかった。
比喩的には失点シーン。水本裕貴(京都)がもう少し大きくはね返せていれば、辛うじてシュートに触れた西川周作(大分)が弾き出せていれば。あるいは、防げていたかもしれない失点だった。もちろん彼らを責められるプレーではないし、素人の勝手な要求であることは百も承知。しかし勝手ついでに書けば、こうした小さくて大きい「あと一歩」を詰めていかなければ、世界で勝つことは難しいように思われた。米国戦で片や勝ち点3、片や勝ち点0と明暗が分かれたのは、「あと一歩」が出たか、出なかったの小さな差が、90分で積み重なった結果だったからだ。
ただ、「経験」を持ち帰ることが今大会の目的ではないはずだ。
しかし僕は、米国戦に「経験」以外の収穫を見い出すことができなかった。一部の選手を除けば自信を付けたわけでもないだろうし、チームとして「日本らしいサッカー」を見せられたわけでもないからだ。
もう、「良い経験になった」という使い古された言葉でしか語れないようなゲームは、見たくない。今大会、レッスンはもう、いらない。
見たいのは日本らしいサッカーであり、日本の勝利。その両立は難しいが、要するに形や結果はどうであれ、手応えや自信を持ち帰ってきてほしい。
もう、悔しさと経験だけを持ち帰ってくる代表チームを見るのは、たくさんだ。まずは今夜のナイジェリア戦。一人でも多くの選手が、自分の実力に、日本のサッカーに手応えを感じられるような試合になることを望む。
posted by taka |09:47 |
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2008年08月07日
1986年生まれ。僕は北京世代だ。
小学校入学からほどなくしてJリーグが開幕し、リメイクされた「キャプテン翼」のアニメを見て育ち、小学校6年のときに眠い目をこすりながらフランスワールドカップを観た。日韓ワールドカップの頃は高校に入学したばかりで、微熱で学校を休んでブラジル対イングランドを観た(注・仮病ではない)。
きっと本田圭佑(VVV=オランダ)も、長友佑都(FC東京)もそうだと思う。僕は自分と同世代の、恐らく同じ思い出を共有しているであろう若者が、五輪という大舞台で戦うことを本当に誇りに思うし、尊敬するし、同時に羨ましくも思う。
かつて僕は、高さと当たりの強さだけが自慢の、本当に下手くそなDFだった。休み時間もボールを蹴っているぐらいにサッカーは好きだったのだが、スピードはなく、足元の技術も皆無だった。
そんな僕の前に立ちはだかったのは、小学校の顧問が決めた「リフティング10回以上」という紅白戦参加の条件だった。4,5回でもう続かない僕は、いつも「もう入っていいぞー」と言われるまで入れなかった。
後に1974年ワールドカップ決勝で、オランダの天才ヨハン・クライフをマンマークで抑えた西ドイツの名DFベルディ・フォクツもリフティングはまるでダメだったことを知るのだが、そこで僕は挫折し、身長の高さをバスケットボールで活かしていこうと決めた。
果たして、何人の「北京世代」のサッカー少年が、挫折を味わったのだろう。
僕の友人で、プロになった者は一人もいない。小学校5年の時に、今で言うロナウジーニョみたいに、ボールをフワっと僕の頭上に浮かせて抜いていったアイツも。中学2年の時に、弾丸シュートでブロックに入った後輩の腕を骨折させた彼も。ヨハン・クライフが大好きで、左サイドバックなのに14番をつけていた奴も。何人かは県のトレセンに選ばれていて、僕なんかから見たら素晴らしい才能の持ち主で、底抜けにサッカーが好きな奴ばかりだったのだが、それでもプロにはなれなかった。
眼が合った瞬間、僕の動き出しにぴたりと合わせてスルーパスが出てきた、あの時の感触が忘れられない。それは中学2年の秋、オフサイドも曖昧な体育の授業でのことなのだが、正しく「アイコンタクト」のみで心が通じた瞬間だったし、タイミングと言い強さと言い、感動的なほどに完璧なパスだった。その瞬間、僕はこういう人間が上に行くのだろうと、バスケットを選んだことが正解だったと確信した。
しかし上には上がいて、彼が就職を決め、僕が大学入試センター試験に必死になっている頃、星陵高校の本田圭は全国高校サッカー選手権を戦っていて、国立大の後期入試を受けている頃には名古屋グランパスで開幕先発デビューを飾っていた。大学1年の冬には、天皇杯準決勝で西澤明訓(当時C大阪)を一対一で抑える、やはり同い年のDF青山直晃(清水)に感動した。その青山直の、予選での活躍ぶりにはファンの一人として喜んでいたのだが、しかしその青山直も、最終メンバー18人に生き残ることはできなかった。
小学校、中学校時代から、ピッチに立てるのは11人だけだし、ピッチに立っても戦いはある。その戦いを制し、才能を見出されたものだけがプロになれるし、そのプロの中でも、選ばれた18人はほんの一握りの「トップ・オブ・トップ」だけだ。落とされた選手を否定されているようで、当初は賛同できなかった反町康治監督の「心で選んだ」発言だが、選ばれた18人は恐らく、幾度もの挫折を乗り越えてきた、本当に強い精神力の持ち主だと思う。
もちろん才能もあっただろう。ただ才能だけなら、他にもっと優れた選手は、いた。事実、本田圭はガンバのJr.ユースからユースチームに上がれず、長友は愛媛のJr.ユースのテストを落とされている。
それでも彼らは、辛い時期を乗り越え、這い上がってきた。彼らの誰もが人一倍たくましく、あらゆる面で自分に厳しいことは想像に難くない。初戦の日の朝に、ここで改めて、選ばれた18人に敬意を表したい。
さあ、いよいよ本番だ。彼らに望むのは、堂々とした態度で最後まで戦い抜くこと。ブーイングがあろうと、内外からの重圧があろうと胸を張って戦ってほしいし、チャレンジしてのミスは良いが、ミスを恐れてのミスは見たくない。
米国、ナイジェリア、オランダは、いずれも強敵。グループステージを勝ち抜くのは、簡単なミッションではないだろう。だが選ばれた彼らには、反町監督が常々言っている「情熱と誇り」を胸に、精一杯戦ってほしい。
posted by taka |06:46 |
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2008年07月31日
土砂降りの雨に打たれて、服は下着までびしょ濡れになり、カバンの中の「サッカーマガジン」はぐしゃぐしゃで読めなくなった。それは相当なストレスであったが、それでもアルゼンチンとの一戦は、最後まで見届ける意義のある試合であったと僕は思う。
感動したのはアルゼンチンの確かな技術だ。難しいことは何もしていなくて、ファーストタッチでしっかりボールをコントロールして、インサイドで近くの味方につなぐ、という基本的な動作を繰り返しているだけなのだが、そのレベルが非常に高い。ボールは芝生をきれいに転がって、寸分の狂いもなく味方の足元に収まった。
また、キープ力の違いもショッキングだった。日本のプレスは非常に組織立っていて、何度か2対1の状況を作ることに成功したのだが、ボールを奪うことができない。ファウルで止めるのがやっとで、懸命に走ってのプレスも無力化された。このあたりはスタンドよりもテレビ観戦の方がわかりやすかったと思うが、「球際に弱い」というよりは、そもそも球“際”まで近寄らせてもらえなかった印象。つまり間の取り方が非常に上手くて、下手に近寄るとスッと交わされてしまいそうな雰囲気があった。
対南米のパスやボールキープの技術の違いは、A代表レベルになっても苦しむもの。実際、ジーコ時代に中田英寿や稲本潤一といった競り合いに強い人材を中盤にそろえていても、対南米では分が悪かった。北京五輪のグループステージに南米のチームはないが、この段階で超一流の技術と直面したことは、彼らの将来にとって間違いなくプラスになると思う。リケルメ、マスケラーノ、アグエロといった超一流との「84分」(豪雨、落雷のため打ち切り)は、なかなか体験できない貴重なレッスンだったに違いない。
ただ、アルゼンチンにも疑問を1つ述べると、ショートパスが余りにも多すぎること。それが古典的なゲームメーカーであり、年齢的にも絶対的な存在であるリケルメを中心に「チーム・リケルメ」になった影響なのか、「ちびっこドリブラー」を前線にそろえたチーム編成のせいなのかはわからないが、丁寧にパスをつないだ攻撃のほとんどはリケルメを経由しており、ややメリハリに欠けた。無論、前線の選手の突破力やボランチの展開力、リケルメの天才的なパスによって攻撃に変化をつけることはできるのだが、サイドをえぐってのクロスや中盤を省略した高速カウンターは、ほとんど見られなれなかった。
一対一でボールを奪えない日本が相手だったから良かったが、独力でボールを狩れる選手を擁する相手に、攻撃のバリエーションの乏しさが吉と出るか、凶と出るか。金メダル獲得には、時には組み立てをスキップし、リケルメを飛ばす多様性が必要だと感じた。キーマンはリケルメとアグエロの間、1.5列目でプレーすることになりそうなリオネル・メッシか。
posted by taka |23:41 |
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2008年03月29日
アジア予選のしぶとく1点を守る戦いから一転、アンゴラ戦のU-23代表は攻撃的で面白いサッカーをしていたと思う。
その先発メンバーのうち、約半分はアジア予選で出場機会に恵まれなかった選手。しかし逆転でのメンバー入りを狙う彼らには、良いアピールの機会になったのではないか。
今回は好プレーを見せた長友佑都(FC東京)、香川真司(C大阪)を中心に、熱い争いが繰り広げられる「ホットゾーン」のポジション争いを占う。
(1)右サイドバック 内田篤人vs長友佑都
岡田武史監督にその攻撃センスを高く評価され、A代表に定着している内田。その内田がワールドカップ予選バーレーン戦に招集され、不在だった間に長友が実力をアピールした。
4月から明治大学で4年生になる長友だが、昨年、代表でJリーガーとの差を痛感し、チームメートの反対を振り切ってFC東京に入団した。五輪に懸ける想いは強く、この試合では驚異的な運動量で右サイドを何度も往復し、持ち前の運動量を見せた。
プロでの経験や攻撃時のアイディアでは内田に一日の長があるが、ダイナミックに上下動を繰り返す運動能力では長友が優る。反町康治監督にも改善点に挙げられたクロスの質を高めれば、内田との争いを制することは十分可能だろう。
ただしメンバー入りを考えれば、FC東京でプレーしている左サイドの方がチャンスはありそう。A代表の安田理大(G大阪)は反町監督に重宝されておらず、レギュラーだった本田圭佑(VVV)はオランダ移籍後はサイドではなく中盤の中央でプレーしているからだ。
18人しか登録できない五輪において、両サイドをこなせる人材は貴重な存在。前回アテネ大会で、重症から復帰したばかりの駒野友一(現磐田)がメンバー入りしたのは記憶に新しい。
FC東京でのプレーを見ると右サイドの方が慣れていそうだが、Jリーグで磨きをかけ、左サイドでも質の高いプレーを見せれば、長友のメンバー入りはぐっと近づくはずだ。
(2)攻撃的MF 香川真司vs梅崎司
負傷で本大会出場が難しい家長昭博(大分)は、予選終盤こそ出番が少なかったが、先発でも途中出場でもOK、中央で良しサイドで良しで、非常に多くの役割を担える貴重な存在だった。
その空席を狙うのが、香川と梅崎。柏木陽介(広島)も負傷で不在のこの日は、梅崎が先発し、香川が途中から投入されて、それぞれ攻撃的MFとしてプレーした。
予選でもプレーしていた梅崎に対し、香川は今年始めの米国遠征で初招集されたばかり。しかしこの日アピールに成功したのは香川の方か。後半途中から投入されると、ゴールに向かう鋭いプレーで攻撃を活性化した。
今後鍵になるのは代表での活躍に加え、クラブでのレベルアップ。香川はC大阪(J2)でも中心選手の一人だが、梅崎はポンテ復帰(4~5月?)後は厳しいか。梅崎はポンテ不在の今後1ヵ月、代表合宿でアピールしたい。
(3)センターフォワード 豊田陽平vs平山相太vs森島康仁
平山、森島と予選の主力選手がことごとく選外になる中、先発出場で1得点と結果を残した豊田。山形でもレギュラーに定着しているだけに、J2で継続して結果を残していけばその座は揺るぎないものになりそうだ。一つ気になったプレーを挙げれば、ロングボールに抜け出しながら相手の深いスライディングに阻まれ、シュートを打てなかった27分のプレー。J2ならシュートを打てていた場面だったのだろうが、国際試合ではあれでは「遅い」ということなのだろう。今後3ヶ月、意識を高く持ってプレーしてほしい。
一方平山、森島はクラブで控えとなっている。安定して出場時間を得るのは難しそうだが、少ない出場機会で結果を残せば、まだチャンスはあるはずだ。
posted by taka |23:10 |
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2007年11月23日
気がつけば立ち上がり、拍手を送っていた。試合結果は、0-0の引き分け。しかしピッチ上には、明確な「勝者」が存在していた。
U-22日本代表が、北京五輪の出場権を獲得した。
引き分けでも北京五輪出場が決まる状況で迎えたサウジアラビア戦。4-0で快勝したベトナム戦のメンバーを敢えて変更し、青山敏弘(広島)と細貝萌(浦和)が守備的MFに並ぶ陣容を見れば、反町康治監督が「引き分けもやむなし」と考えていることは容易に想像できた。
序盤はサウジアラビアの身体能力に振り回され、ピンチの連続だった。6分にはゴールライン上で、青山敏が相手のシュートをブロックする危ない場面もあった。一方で細貝がフリーで放ったシュートがGKワリードのスーパーセーブに阻まれるシーンもあって、日本も最初から引き分けを狙っていたわけではない。
しかし後半ロスタイムに突入する前から水野晃樹(千葉)と柏木陽介(広島)がコーナーフラッグ付近で時間稼ぎに入り、その後は全員が自陣に戻って専守防衛に徹するなど、最後は執念で過去5試合でつかんだアドバンテージを守り抜いた。
これほど批判され続けたU-22代表も珍しかったのではないかと思う。
2次予選のうちから、勝っても「内容がない」「気持ちが入っていない」と叩かれ、川淵三郎キャプテンからは「ピチピチ感がない」と切り捨てられた。U-22代表監督の解任論が叫ばれたのは、少なくとも僕が記憶する範囲では初めてのことだ。
しかしサウジ戦では、見違えるほどの強い気持ちで守り抜いた。
その象徴が、マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選ばれた柏木だろう。前半から運動量の多さは目を引いていたが、後半になっても衰えず、何度か決定的なチャンスを演出した。消耗は想像に難くない後半終了間際にも右に左に走り回ってプレッシャーをかけ、相手のサイドをつぶした。この試合の文句なしのMOMであり、今後細かいミスを減らし、シュートへの意識を高めれば、もっと良い選手になれると思う。
ただ今予選のMVPには、水本裕貴(千葉)を推したい。青山直晃(清水)と共に全6試合にフル出場し、ゴール前に堅陣を築いたキャプテン。7得点2失点という数字が示す通り守備力でつかんだ出場権であり、2得点の青山直ほどの派手さがあったわけではないが、豊かなスピードとブレのない判断力で相手を押さえ込み、青山直以上の安定感を誇った。サウジ戦後には鼻骨骨折など度重なる負傷と途中から任されたキャプテンとしての重圧を告白しているが、彼がそれらの困難に打ち勝ってくれたからこそ、日本は北京五輪出場を祝うことができた。タイプは違うが、闘莉王(浦和)、中澤佑二(横浜FM)に続く存在としてA代表にも推したい選手だ。
強い気持ちで守り抜いて、日本は北京五輪へ行く。彼らは強い意思でアドバンテージを守り抜き、自分たちのプライドを守り抜いた。激しい戦いの中で、成長も見られた。一人でも多くの選手が、この成長を将来へとつなげてくれればと願う。
posted by taka911 |09:31 |
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2007年11月17日
もっと点が取れた、とは思う。だが両チームの力量や、これまでの戦い振りを考えれば、4-0はこれ以上ない結果ではないか。
U-22代表の、ベトナム戦のことだ。
「もっと点が取れた」というのも、後半に日本は、少なくとも2度の決定機を逃した。73分、梅崎司(大分)のシュートの跳ね返りに詰めた岡崎信司(清水)はもたついてシュートを打てず、88分にこの日2度目のPKを蹴った本田圭佑(名古屋)のキックはGKに阻まれた。
ベトナムに攻め込まれ、追加点のチャンスを逃した後半は、後味の悪さを残す。だが3点を奪った前半はリズムよく攻撃を仕掛け、これまで4試合で3得点、セットプレーでしか点を取れなかったチームとは思えない戦いだった。
良いリズムを生んでいたのは、左サイドの本田圭だ。以前はゲームから消えてしまうことも少なくなかったが、この日は左サイドだけでなく中央、右と自由に動いてパスをさばいた。24分に李忠成(柏)の2点目をアシストしたクロスの精度はさすが。またもゲームから消えてしまった後半にチーム全体のリズムが悪くなったことが、逆に彼の存在の大きさを証明していた。
その本田圭のアシストも含め、2点を決めた李忠成のプレーもまた、チームに良いリズムをもたらしていた。9月の2連戦ではほとんど出番がなかった李だが、Jリーグではこのチームで唯一、二桁得点を挙げている選手。その好調を買われてか、先のカタール戦からFWの一番手に浮上してきたが、1トップで先発したそのカタール戦ではマークが集中し、なかなかシュートに持ち込めなかった。
そのカタール戦でも体を張ってボールをキープし、最低限の役割はこなしていた李だが、本来はスピードを生かしての1.5列目からの飛び出しを得意とする選手。柏でもフランサの後方から飛び出す動きでゴールを量産している。
この日のパートナーの岡崎が、フランサ並みのポストプレーをしたわけではない(それができるなら、今すぐにでもA代表に入れると思う)。だが相手のマークと献身的な仕事を岡崎と分け合った李は、カタール戦よりずっと自由に動き、数多くのチャンスに絡んだ。
2得点はいずれも左からのクロスに勢いよく飛び込んだもので、49分には水野晃樹(千葉)の決定機も演出したほか、身体を張ったボールキープで貢献もした。彼もまた、攻撃の良いリズムを作った選手だ。
勝利か引き分け以上で北京五輪出場が決まる、21日のサウジ戦。サウジ戦でも良いリズムからの、良いゴールが見たい。
posted by taka911 |00:54 |
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2007年10月10日
平山相太(FC東京)がわからない。
これまで何度、彼のプレーに失望させられたことか。以前、解説者の金田喜稔さんがTV中継の中で
「18歳の時が一番良かったと思っている」
と言ったことがあったが、全く同感だ。18歳でワールドユースに出て(03年)2得点し、高校選手権で次々と得点記録を塗り替えたときには「すごいストライカーが出てきたものだ」と驚いたが、その後の彼はどうだったか。
ヘラクレスでチーム得点王(8点)になった時こそスケールの大きさを感じたが、それ以外は失望の連続。経験値、実績からいえばU-22代表を引っ張って然るべき存在なのだが、守備での貢献度の低さと好不調の波の激しさがネックになり、森島康仁(C大阪)にポジションを奪われている。
しかしJリーグでの最近のゴールシーンを見ていると、能力の高さを感じずにはいられない。
今季初ゴールは磐田戦でのPKによるものだったが、横浜FC戦での5人抜きゴールは見事。先日の横浜FM戦では、那須大亮を頭1つ分上回る驚異の打点からヘディングシュートを決めた。
控えに甘んじているのは、FC東京でも同様。守備にこぼれ球にがむしゃらに走り回り、ゴール前で独特の得点感覚を見せる赤嶺真吾が進境著しいが、平山はその赤嶺、ルーカスに次ぐ第3FWと位置付けられている。
ただし、その赤嶺より300分近く出場時間は少ないが、ゴール数では赤嶺の4点に対し平山が5点と上をいっている。先述の5人抜きゴールには横浜FCの守備の拙さを揶揄する声もあるが、85分に投入されての出来事であり、短い時間でしっかりと結果を残しているのだ。
思えば五輪2次予選でも、5試合5得点と結果は残していた。決定機を多く逃して批判も多かったが、得点能力の高さは示している。
果たして平山の真価は、得点力の高いストライカーなのか。あるいは運動量が少なく、守備では貢献できない、ポストプレーで起点になれない、ボールを呼び込む動きも不足している「もっさり」した平山が、本当の平山なのか。
いずれにしろ、現代サッカーの変化は実感する。
かつてサッカーには、
「ストライカーは89分寝ていても、点を取りさえすれば良い」
という言葉があった。だが点を取っても平山は酷評され、点を取れなくても森島、赤嶺はハードワークを評価される。
よりフィジカルで戦術的なものになりつつある現代サッカーの中で、平山は生き残れるのか。もちろん、点を取れない試合では本当に「90分寝ている」平山には、改善すべき課題が数多くある。ただ寝ている試合とは別人のごとき動きで、意外なほど得点も重ねている。監督にとって計算できない、使いづらい選手には違いないし、よくわからない選手ではあるが、潜在能力は間違いなく高いと思う。
それが“もの”になるかは別にして。
posted by taka911 |00:30 |
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