2008年09月15日
「似て非なるもの」を分けた決定力 ~FC東京対大宮~
今年のJリーグをここまで見てきて、勝手に 「大宮とFC東京は似て非なるものだ」 と思っていた。 似ているのは、「走る」という点において。どちらも非常に真面目でチームのために頑張る選手が多く、献身的で、戦術的な動きをする。キャスティングの違いから、フィニッシュの狙いや大胆なポジションチェンジの有無の部分に「非なる」部分を感じるが、現在のJで一番FC東京に近いのは、大宮アルディージャに違いないと思う。 試合前のアップにも「走る」という両者の意識が表れていて、FC東京はパスゲーム中、 足を止める選手がほとんどいない。面白いのは大宮で、2人1組になって1人がボールを投げ、もう1人が蹴り返すよくあるアップをしているのだが、4タッチごとにダッシュしてパートナーの反対側へと回り込んでいた。大宮の試合をスタジアムで観戦するのは初めてだったので、この形式のアップをいつからしているかは分からないが、「パスをしたあと足を止めない」と意識付けをしたい樋口靖洋監督の狙いがあるのではないか。 試合前まで、FC東京が勝ち点33、得点28、失点29。大宮は勝ち点31、得点27、失点27。数字的にもよく似ていて、決定力に課題を抱えている点でも共通している。 この試合を分けたのも決定力、ということができるが、FC東京のカボレの動きにも触れておきたい。 前半、FC東京はカボレへのロングボールを多用していた。カボレのオリジナルポジションは、3トップの左サイド。中にはかなりアバウトなボールもあったが、それでもレアンドロや村山祐介を振り切って起点を作れるスピードが、カボレの強みである。樋口監督も「集中して対応できている」と言いながらも、「ロングボールを蹴られておしこまれている」とハーフタイムに語っている。 そのロングボールが、ボディーブローのように大宮を消耗させたことが、後半の逆転劇の一因だと僕は考える。 しかし、その前に大宮が2点目を奪っていれば、FC東京はかなり苦しくなっていたに違いない。 FC東京が同点に追いつく前に大宮が2点目を奪うチャンスは、少なくとも3回はあった。23分、レアンドロのFKのこぼれ球を狙った冨田大介はフリーだったし、48分にラフリッチとのワンツーから放ったデニス・マルケスのミドルシュートに対して、塩田仁史は尻餅を付くしかなかった。 そのどちらかのシュートでも決まっていれば、FC東京の逆転はかなり厳しかっただろう。何しろFC東京は、5月の磐田戦以来、リーグ戦で2点以上取ったことがないチーム。34分のカボレのヘディングシュート、51分の赤嶺真吾、梶山陽平の至近距離からの連続シュートはいずれもGK江角浩司のスーパーセーブに阻まれていて、嫌なムードは漂っていた。 しかし59分、石川直宏のCKから赤嶺が頭で決めると、72分には大竹洋平の芸術的なFKで逆転。84分に迎えた絶体絶命のピンチを塩田の身体を張ったセービングでしのぐと、88分にはカウンターから赤嶺が3点目を決めて、大宮にとどめを刺した。 これまで攻めて込んでいても先制点が取れない、2点目が取れないで苦しんでいたFC東京が2点目を許さず、しっかり試合を決めるダメ押しゴールを決めて勝ったというのは、なんとも皮肉なことだ。 決めたのは、前述の5月の磐田戦でも2ゴールを決めている赤嶺。その赤嶺は今季9得点目で、闘莉王(浦和)に並んで日本人最多となった。 赤嶺は、誤解を恐れずに言えば「下手」な選手だ。日本代表のFW玉田圭司(名古屋)、田中達也(浦和)、大久保嘉人(神戸)に比べればずっと不器用で、できる仕事は限られている。 そんな赤嶺が、器用な選手よりもずっと多くの得点を挙げているのは、ゴール前での抜群の嗅覚を持っていて、不器用な分、フィニッシュという数少ない仕事に集中しているから。駒沢大の先輩にあたる巻誠一郎(千葉)や、中山雅史(磐田)同様、ハードワークを厭わず、危険なところにも怖がらずに突っ込んでいけるハートの強さもある。 そんな赤嶺のいちファンとしては、もし彼が日本代表監督に評価されないのだとすれば悲しいものがある。一方、FC東京のいちファンとしては、コンディションを崩すかもしれない代表には呼んでほしくないわけで……。複雑である。
posted by taka |14:48 |
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