2008年08月16日
完璧に近かった澤穂希 ~女子代表、対中国~
ノルウェー戦の後半、中国戦と1試合半、なでしこJAPANの素晴らしい戦いを見て、「どうして男子にこれができないか?」と思う。前線からの組織だったプレスに、常に2つ以上のパスコースを確保するボールホルダーへの周到なフォロー。豊富な運動量をベースにしたこのスタイルは、果たして男子にも応用できないものか。 そんなことを考えながら、同時に、「U-23の男子代表と、年齢制限のない女子代表との安易な比較には、意味がない」とも思う。ナイジェリア戦で連敗を喫した後、内田篤人(鹿島)が 「満男さん(小笠原=鹿島)のような中心選手がいなかった」 と嘆いたというが、女子代表には、澤穂希がいる。中心選手不在のU-23代表と違って、なでしこJAPANには澤という確固たる中心選手がいて、彼女が成熟した大人のプレーヤーとして、チーム全体を引き締めている。 男子にも成熟した大人のプレーヤーが必要ならば、オーバーエージを使えば良かった。それは確かにそうなのだが、遠藤保仁(G大阪)と大久保嘉人(神戸)を加えていれば、と嘆く事も、彼らを加えても決して「戦う大人の集団」にはならなかったと仮定することも今回の目的ではないので、オーバーエージについてこれ以上書くのはやめておく。 むしろ今回、記しておきたいのは、澤への感動であり、尊敬の念だ。 中国戦の澤のプレーは文句のつけようのない、完璧に近いものだった。 身長差をジャンプのタイミングとポジション取りの巧みさで制し、コーナーキックに頭で合わせて先制ゴールを決めたのは言わずもがな。2、3人に囲まれながらスルスルとかわしてスルーパスを狙ったり、味方が苦しい時にボールを預かって悠々と展開したり。かと思えば、一対一の間合いの妙で高いボール奪取力を発揮したり、鋭い出足と読みの良さでパスカットをしたり。感心したのは後半終了間際のプレーで、味方のパスミスになりそうなところで必死に足を伸ばしてボールを取り戻したプレーが1回、敵陣深くの相手の縦パスをカットしたプレーが1回あった。苦しい時間帯、厳しい日程の中での試合で、2点のリードがあってすでに試合の大勢は決まっていた。その時間帯にも澤は足を止めず、気持ちを切らさずに相手のわずかな反撃の芽を摘みとった。パスカット自体の見事さもさることながら、その精神力が素晴らしい。 イメージとしては、フィニッシャー、プレーメーカー、中盤の潰し屋(汚れ役)の3役を、一人でこなしている感じ。さらに周囲に指示を送り、チームを鼓舞するリーダーでもあるのだから、本当に頭の下がる思いだ。 僕は男子を含めても、ここ10年の日本サッカーで、澤ほど完璧に近いプレーヤーを知らない。その澤をアタッカーからボランチにコンバートし、攻守に連動性のある組織的なチームに仕上げた佐々木監督の手腕も素晴らしいが、快進撃の中心に澤穂希がいることを、改めて強調しておきたい。
posted by taka |11:03 |
日本代表 |
コメント(6) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
(表示は許可制となっています)
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/taka911/tb_ping/120
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
完璧に近かった澤穂希 ~女子代表、対中国~
同感です。本当に澤選手はすごかったですね。一人だけ、次元の違うサッカーをしている感じでした。例えがよいかわかりませんが、全盛ののラモスるいを彷彿させました(古いか)。そして、2点目が入った後の永里選手と抱き合ってい澤選手を見て涙がでそうでした。
サッカーは練習に裏打ちされて、苦しい試合に勝っていくことが最もレベルが上がる時だと思います。次にアメリカ戦に期待します。
それと、NHKの解説の山本昌邦さんの実況が的確で、ほどよく感情が含まれていて心地いいです。理論派だし、男前だし、(男子に入ると少し、あふれ出す感情に物足りなさを覚えることもあるけれど)、次のなでしこの監督をしてくれないかなー。(話が早いですが)せっかく、ここまで盛り上がっているのだから、是非、次は山本監督で!
posted by turutaku | 2008-08-16 15:41
完璧に近かった澤穂希 ~女子代表、対中国~
このサッカーを維持するには今の監督がベストだと思います。攻守においての組織は素晴らしく、このチームを作った監督は素晴らしいです。どことなくアーセナルのようです。山本さんの目指すサッカーとはカウンター主体で合わないと思います。
posted by popo | 2008-08-16 16:30
コメントありがとうございます!
・turutakuさん
ラモスさんですか。せっかくコメントいただいたのに、イメージを共有できなくて申し訳ありません。
女子代表は、正しくいま、成長期にあると思います。メキメキと経験&自信をつけている最中ですよね。
山本さんは僕も大好きです。素晴らしい「解説者」の一人なので、もし山本さんが現場復帰するとなると少し寂しくなりますが、彼の国際経験を現場で活かさない手はないですよね。これは今回の反町監督にも言えることですが、経験を活かす場が彼らに提供されなければ、五輪代表監督をやった意味がないのではないでしょうか。
posted by taka | 2008-08-16 16:36
完璧に近かった澤穂希 ~女子代表、対中国~
澤、いいですよね。
ナカタはボランチで使われ始めてからおかしくなったけど、澤はいまのポジションのがいいですね。(守備もよくする)王様って感じがします。
あと永里もよかったですね。僕の中ではニステルローイ級です。(大野はビジャみたいだし、レアルの偉い人はこの試合みたらますますビジャ獲得したくなるでしょう。冗談ですが、そのぐらいこの2トップは良いと思います。)
次も応援します!!
posted by diado | 2008-08-16 21:25
コメントありがとうございます!
>diadoさん
僕は司令塔からボランチに下がった澤を見て中田英を連想していました。中田が「おかしくなった」とまでは僕は思いませんが、決定的な仕事は減りましたね(前のポジションならできた、かはわかりませんが)。ジーコ監督はそれが不満で、バラックのビデオを見ながら嘆いてたんだとか。澤選手はポジションが下がっても、ゴールに絡むプレーが減っていないのが素晴らしいと思います。
永里選手と大野選手の2トップは、守備でもすごく効いてますね。彼女たち2人の献身的なプレスなしに、この快進撃は語れないと思います。
posted by taka | 2008-08-17 00:54
完璧に近かった澤穂希 ~女子代表、対中国~
こんばんは。
J開幕時からの浦和サポです。
浦和のレディースってなんでいつも2位でベレーザの後塵を拝しているんだろう?って思ってたんですけど
澤選手を観て納得しました…
こりゃ勝てねーわけだ…と。
ちょっと次元が違いますね。
それだけに澤がいなくなったあとの世代交代が心配です。
プラティニやジダンが抜けたフランスのようになってしまう気がします。
posted by TAZ | 2008-08-17 03:25


