田端到の東京五輪&ヤクルト・スワローズ研究所

平野美宇のそっくりさんが集められたわけじゃない

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 卓球の世界選手権が近づいてきた。天然ハリケーン平野がアジア選手権で世界を驚かせた激震を引き継ぎ、報道も過熱気味だ。  なかでも気になるのは、「中国が打倒・平野美宇のため、ものまね選手を4人も用意して対策を講じている」という、ニュースの報じられ方である。  日本のSNSの反応を見ると「中国はそこまでやるのか!」とか「そっくりさん選手を4人も作ったんだって!」と、このニュースがそのまま受け取られている。中国の卓球事情を上から語れるほど詳しくはないが、なんか違うぞと口をはさみたくなる。

 平野美宇の「コピー選手」として中国のリストに載っていた4人は、孫穎莎、王曼昱、陳幸同、劉銘。そうそうたる顔ぶれである。  たとえば王曼昱(ワン・マンユ)は現在18歳。次世代の中国のエース候補で、今回の世界卓球でも代表に加わるのではないかと目されていた有名選手だ。  昨年の超級(中国のスーパーリーグ)では、リオ五輪の金メダリスト丁寧に2連勝。劉詩文にも勝利。平野美宇にはストレート勝ち。今年2月のカタールオープンでは石川佳純にストレート勝ち。  これだけで、とんでもない実力の持ち主とわかる。平野美宇が超級で印象的だった出来事を聞かれて「王曼昱の強さにワオ!ってなった」と答えたくらい、強い。

「ものまね選手」や「そっくりさん」という言い方だと、その辺の2軍か3軍の選手を招集して、プレースタイルや道具を模倣させる“練習ロボット”のような印象を与えかねないが、王曼昱はそんなレベルとは違う。  今後、長年に渡って日本卓球界の前に立ちはだかるであろう、スーパースター候補。いや、すでにジュニアの国際大会では、みうみまの前に何度も立ちはだかり、力の差を見せてきた。

 しかも、プレースタイルが平野美宇に似ているかといえば、まったく似ていない。王曼昱は身長176センチの大型選手。卓球台から離れて打つことも多い中陣ドライブ型だ。右利きで、サーブがちょっと似ているかなという程度の共通点しか思いつかない。  ならば、なぜそんな選手が、平野美宇のコピー選手にリストアップされているのか。

 今回の中国代表の練習パートナーを務めているのは、ほとんどが一流どころ。代表に惜しくも届かなかったクラスのプレーヤーが集められている。その選手たちが「仮想・平野美宇」「仮想・石川佳純」「仮想フォン・ティエンウェイ」というふうに、リスト分けされているに過ぎない。  王曼昱にいたっては、海外の有力選手の誰にも似てないから、サーブが似ている平野美宇のリストに混ぜておこうか程度の話にしか思えないのである。だいたい、そんなに簡単にものまね選手が作れるなら、ミラクルひかるがアジア選手権を勝ち、波田陽区が銅メダリストになれてしまうだろう。

 もうひとり、コピー選手リストにある孫穎莎(スン・インシャ)。この名前も覚えておきたい。  現在16歳。みうみまひなと同じ2000年生まれで、誕生日は3人より遅い。こちらも次世代の中国エース候補のひとり。昨年のアジアジュニアでは平野美宇がストレート負けを喫しており、小柄ながらチキータの威力は男子選手並みだ。

 6月に東京で開催されるジャパン・オープン荻村杯には、ワン・マンユも、スン・インシャもエントリーしている。いよいよ中国の新世代が、本格的にワールドツアーへ参戦を始める。  平野美宇対策のために作られた「練習用のものまね選手」だろうなんて、勘違いしないほうがいい。



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若松勉に魅せられて以来、40年以上のキャリアを持つヤクルト・スワローズ幸福党。著書に『なぜスワローズは最下位から優勝できたのか』など多数。
ヤクルトの話題を中心に、卓球、体操、陸上などを扱う。最近は卓球に偏り気味で、天才・伊藤美誠、秀才・平野美宇、大器・早田ひなの黄金世代の追っかけ。
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