田端到のヤクルト・スワローズ&五輪研究所

平野美宇の初優勝を生んだ、ライバルの誕生日プレゼント

このエントリーをはてなブックマークに追加

 卓球のポーランドオープン(4月20-24日)で平野美宇が歓喜の優勝を飾った。決勝ではカタールオープンで負けたばかりのユー・モンユー(シンガポール)をストレートで下し、ワールドツアーのシングルス初優勝だ。  この日は男子も水谷隼、男子ダブルスも日本ペアが優勝。中国選手不在の大会ながら、ワルシャワの地はジャパン・ピンポンデーの様相を呈した。

 小さい頃からバラエティ番組でも、とんねるずやモーニング娘と卓球をしていた平野美宇。  伊藤美誠との「みうみまペア」で、その名前を広く知られるところとなったのは、2014年ドイツオープンのダブルス優勝からだった。まだあどけない当時13歳ペアの快挙は、有名なお口あんぐりのビックリ写真とともに、世界へ配信された。

 ところが2015年になると、「みうみま」は「みう」と「みま」で別々に取り上げられる機会が増えていく。というよりも、伊藤美誠が単独でクローズアップされるケースが増えていったとしたほうが正しい。  伊藤美誠、ドイツオープンのシングルス優勝。世界選手権でシングルス、ベスト8進出。ベラルーシオープンのシングルス優勝……。世界ランクもベストテン入りを果たす。  9月に発表されたリオデジャネイロ五輪の日本代表には、福原愛、石川佳純のWエースに続く3番めの選手として、伊藤美誠の名前があった。  5歳の頃からダブルスを組み、切磋琢磨してきた同い年の仲良しライバルのあいだに、初めて生じた明確で残酷な差。リオ五輪では伊藤美誠が福原愛か石川佳純のどちらかとダブルスを組むため、みうみまのペアも一時的に解散。息の合った神ダブルスを見る機会も、当分はお預けとなった。

 いつしか開きかけた、みうみまの差。しかし結論を下すには、ふたりはまだ、うらやましいほどに若い。  このとき、平野美宇15歳。若さの特権は、未完成であることだ。未完成ゆえに、手付かずの伸びしろは大きく、何度でも自分を作り変えることができる。

 平野美宇は10月から新しいコーチを迎え、プレースタイルの改革に乗り出した。フォアハンドをもっと力強く、もっと攻撃的に。  半歩、先へ行ったライバルに追いつくために、追い抜くために。体重を乗せた強いボールを打つために、一からフォームを見直した。  その効果が最初に出たのは、2016年1月の全日本選手権だった。パワフルなフォアハンドを武器に、平野早矢香らを破って進出。準決勝では伊藤美誠を4-0のストレートで圧倒して、ライバルに「今までと別人。中国選手みたいだった」と言わしめた。  決勝では石川佳純に敗れて準優勝にとどまったものの、新しい攻撃的なプレースタイルは「覚醒」という表現がぴったりだった。

 それでも、数ヶ月でプレースタイルの改革が成功するほど、アスリートの世界は甘くない。覚醒の片鱗を見せたはずの平野美宇だったが、そこからまた結果を出せない期間が続く。  ドイツオープンは2回戦負け。第1シードのU-21(21歳以下のジュニア)も上位に進出できない。  マレーシア開催の世界選手権では、伊藤美誠が北朝鮮やドイツ相手に激闘を演じ、団体戦の中心選手として大活躍。テレビカメラはそれをスタンドから見つめる平野美宇の姿をとらえていた。  3月のクウェートオープンも2回戦負け。カタールオープンは1回戦負け。U-21も惜しいところまで行くが優勝まで届かない。そこから約1ヶ月の間をはさんで迎えたのが、今大会のポーランドオープンだった。

 ポーランドでの快進撃、初優勝の背景にある3つの理由をあげてみたい。

●1 攻撃的スタイルの完成と、足の筋肉 ●2 U-21不参加、シングルス一本でのエントリー ●3 ライバルからの誕生日プレゼント

3ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
五輪
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

平野美宇の初優勝を生んだ、ライバルの誕生日プレゼント

楽しく読ませて頂きました
今は16歳にしてすでに穴馬か対抗馬って感じでしょうか
彼女達のセンスの良さと努力している姿を見ていると先輩達を追い越して本命になる日もそう遠くない気がします
つくづくこの二人は良い関係だなと思いますね

平野美宇の初優勝を生んだ、ライバルの誕生日プレゼント

記事を読んで、驚いたのは私と同じことを感じたことがあったことです。
ITTFの実況放送を見るきっかけ。そして、足元を見て誰かを推理する。
ライブはTable1と2だけしかやらないが、画面のほんの少し足元が写る向こうのコートの行ったり来たりの脚だけ見て判断するのです。
平野美宇チャンの後姿を見たとき、腰周りから下がすっかり大人になっていたのに驚いたこと。
後ろだけ見たら、福原かと見間違えたかもしれません。
あと全日本の準優勝から、また元に戻ったような成績。そして今回の初優勝。
私は全く卓球はできませんが、見るのは好きで、特にここ数年の女子十代の活躍には胸躍る日々です。

こんな記事も読みたい

卓球ポーランドOP2016 日本勢は若手も大活躍! 石川、平野、水谷、吉村が4強! 男子ダブルス決勝は、日本人対決へ!【0 to zeroのhorizon】

バレーボール部・春季関東大学バレーボールリーグ戦対日体大【「中大スポーツ」新聞部ブログ  ~劇闘中大!中大から大学スポーツを熱くする~】

日本代表選考は一筋縄ではいかない【スポーツ えっせい】

イブラ様のお気持ちが変わったときのために・・・。こっちもとっておきオーバーエイジを!【【中小企業診断士】「読裏クラブ」のワンツー通し】

アテネ五輪 男子サッカーも死のグループだった【スポーツ えっせい】

世界選手権!【「夢へ翔け上がれ!」東北フリーブレイズ】

五輪の組み合わせ決まる【This is sports】

北島康介が遺したもの【スポーツ えっせい】

ブロガープロフィール

profile-icontabata2890

著書に『なぜスワローズは最下位から優勝できたのか』(東邦出版)など多数。
若松勉に魅せられてヤクルトファンになり、キャリア40年のスワローズ幸福党。欲しいものは、山田哲人の身体能力、館山昌平の精神力、石川雅規の持続性、川端慎吾の手首、上田剛史の図太さ、畠山和洋の歌唱力。
  • 昨日のページビュー:65
  • 累計のページビュー:285609

(03月27日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 「走者一塁時の打率4割5分」の川端慎吾をなぜ代打起用しなかったのか
  2. ピート・ローズが日本の野球をバカにする理由と,1978年の真実
  3. ダントツの併殺獲得数を牽引した大引啓次の守備スキル
  4. 2015年の優勝は新生スワローズ2年目の飛躍である
  5. セ・リーグ遊撃手のレンジファクターと大引啓次の課題
  6. セ・リーグの開幕ローテとスワローズ包囲網
  7. 平野美宇の初優勝を生んだ、ライバルの誕生日プレゼント
  8. ヤクルト優勝の裏ファクターと守備三冠
  9. 打点王・畠山和洋の真骨頂。記録に出ない勝利打点バッティング
  10. Gグラブ4度、グッチー・ロビンソン坂口智隆が再起を懸ける!

月別アーカイブ

2017
03
01
2016
08
07
06
05
04
03
02
2015
12
11
カテゴリー

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年03月27日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss