2008年08月09日

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

1戦目の激闘を終えて、2戦目のキックオフが近付いてきている。

寝て起きるを繰り返すと共に、1つの思いが強くなっているのを感じる。

アトランタ以降のU-23日本代表の五輪の試合の中で、実はこの試合はかなり素晴らしいランクの試合だったのではないかと言う思いである。


・川口のファインセーブで「奇跡」を起こしたマイアミ、ブラジル戦。
・「ゴールデンエイジ」と「トルシエ」言う高い個を持って、ベスト8に上り詰めたキャンベラ~アデレードまでの道。
・個人の底力は見せたが、「融合」と「ゲームプラン」に失敗したギリシャの旅。

上記の中で特にシドニーのサッカーは凄い。

だが先日の試合とそこに至るまでの経緯は、七難八苦を伴いながらも、シドニーに負けず劣らずのクオリティを見せていたのではないかと感じる。

敗れた理由はほんの少し。
歯車(コンディション)がずれてしまったのと「運」だけだと感じるのである。

それでありながら、多くの人がやれ誰が戦犯だ、やれ誰を選出しなかったからだ、やれ守備的過ぎる、やれ決定力不足、やれ采配が遅いと、元代表コメンテーターまで安易な言葉で騒ぎ立て非難する。

アメリカ戦。現有戦力の中で、U-23の多くの選手達の代表として、監督も含め、恥じるレベルの試合をしていたとは、俺は思わない。


因子を探ってみよう。

コンディションというのは先発の選択のことである。
日本のFWは4枚居るが、この中で戦力といえるのは「森本」と「岡崎」だけである。「李」と「豊田」は期待度は高いが故障明けでスタメンのレベルに間に合ってなかっただろう?岡崎はそのキャラも相まってスーパーサブである。

CFのスタメンは「森本」しか居なかったのである。

CFとしては連携不足の感は否めない。俊敏さが武器のストライカータイプであり、現状、引き出しに限りがある。「本田圭や香川がFWを追い越す動きをしなければならなかった」と語る人がいる。この猛暑の試合で、泥のようなピッチで、不慣れな森本のポストを受けに長距離を走るべきだと言っているに等しい。「有り得ない」。大体、選手の質もサッカーの布陣も裏に飛び出すやり方にもポスト役にも適していないだろう?

また、DHの選択も苦難に満ちていた。
これまでの完成度を見る限り、「本田拓」と「細貝」のコンビが1stチョイスである。しかし「細貝」もまた故障明けである。(というかまだ完治してないのでは?)。

本田拓の相方として使えるカードは「谷口」「梶山」「森重」という面子。谷口はOH先発が濃厚(李は故障明け)であり、森重はCBの先発候補であり、またSBの貴重なサブ候補でもある。ここも「梶山」という選択肢しかなかったと思われる。「梶山」は恐らくコンディション不良を起こしていたのではないか?(J見てる限り、あそこまで走れないはずが無いし^^;)それでも故障中の細貝よりかは良かったのだろう。

恐らくそういう問題があって、あのスタメンになったのだと思われる。

つまりやれる限界のスタメンで臨んでいたと言う事だ。「最初から李をOHにして、谷口をDHに」とか言う論評もまた「有り得なかった」と見るべきではないだろうか?


【戦術】

・ハイレベルな守備を可能にする「運動量豊富な本田拓、1vs1に強い水本、カバーリングに優れた森重」という三角形。
・強力な右サイドアタックを可能にする「攻撃力の内田、フィジカルの本田圭、カバーの本田拓」という三角形と「広範囲で守れる長友」という縦への長方形。
・左サイド一辺倒なアメリカの攻め。
・アメリカの前線、中盤のフィジカルの強さ。運動量の多さ。
・アメリカの右CBのフィジカルの弱さ
・アメリカの右SBのボールウォッチャー度(身体能力は高いが^^;)

これらのコトを活かそうとすれば、自然と左に寄せて右に展開する「内田をフリーにし活かすサッカー」になる。基本は相手の位置を見、パーリングをしながらながら、内田のフリーに呼応してゴール前に飛び込むサッカーになる。

西川:指示。競り合いやすいマッチへのパス。
森重:カバー。
水本:vsマクブライト。
本田拓:vsアドゥー。
梶山:(不本意ながら)SBと中央のカバー。
長友:左サイド広範囲にわたる守備。
本田圭:身体を張って、内田のサポート。
内田:積極的な上がりにより威嚇。フリーになってのチャンスメイク。
香川:攻撃のオプション。内田に呼応しての飛び出し。威嚇。
谷口:vsブラッドリー&内田に呼応しての飛び出し。
森本:シュート、時にはCBを引き付ける囮。1stDFとしてのプレス。

これらが出来ていたか?殆ど出来てたよね。

・マクブライトとアドゥーにまともなプレーをさせず、
・互いの鉾(得意サイド)のぶつけ合いでイニシアティブを取り、
・ゴール前では守備の苦手な選手との競り合いに勝ち続ける。


【選手交代】

ひとつ前のブログで書いているけど別段悪いとは思わない。
ハーフタイムで李を入れるべきだったとか、失点直後で入れるべきだとか、もっと早く3名を使うべきだとか、言う論もあったけど、あのタイミングでのギアチェンジがベストだったと思う。ギアチェンジ後の決定機とシュート数を見れば明らかだろう。


過去に例のないセットプレイのパターンも含めて、U-23の初戦は、驚きを与えるに十分な質のサッカーを伴っていたと思う。恐らくこのカテゴリーにおいて、彼らはどの国が相手でも同じサッカーで戦える。そう思う。アメリカ戦はたまたまゴールにボールが収まらなかっただけである。もしこの後、ナイジェリアやオランダと戦って敗れたとしても、七難八苦を乗り越えて「戦える形を持てた」彼らのサッカーは日本の歴史を前進させたといえるに違いない。

先に書いたような騒ぎ立てて非難したり戦犯探しをしたりする必要は全く無いのである。

2戦目、3戦目。前よりコンディションの良い選手も居るだろう。初戦の失態の返上に挑む選手も居るだろう。逆襲の闘志に燃える彼らをしっかり応援しようではないか。

踏み潰された芽だが幹はしっかりと生きている。バネにして他の芽よりも進化する可能性も無いわけではない。そしてそれは「奇跡」によるものではなく、「理」のある可能性なのだ。

オーバー。

posted by syuwdow |08:59 | 北京U-23 | コメント(8) |
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この記事に対するコメント一覧
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【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

私は予選で1分け2敗とみてます。1分けはアメリカだったのですが、3敗の可能性も大です。細貝のコンディションはそんなに悪くないはずですよ。本当に悪ければアメリカ戦の前日までに予備選手と交代できたわけですから。ネットでの戦犯探しなど批判が多いのはしかたないことです。勝負事は結果ですから。

posted by biba | 2008-08-09 15:34

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

FWに関して実質森本しかいなかったといならば、なぜこの4人を選んだのかという人事戦略の時点ですでに失敗していたことにならないですかね?故障明け二人とスーパーサブで不安なら直前で調子の良かったコオロキという選択肢もあったはずじゃないかなと…。他人が選んだのだのならともかく、人事権は監督が持っているので、結局スタメンで使えるFWがいなかったというのは、監督の責任以外の何者でもないと思うのですが…。そうすると、結局人事戦略の失敗が試合での戦術の選択肢を狭めたことになるのではないのですかね…。OAにしても、第一候補が駄目なら第二第三候補を用意しておくのが普通なのに、結局コンディションが不十分な本命候補にこだわりすぎるというのもどうなんだろうと思いますけど…。危機管理ができていなかったからこういうことになったといわれても仕方がないと個人的に思います。もし、気持ちが切れれば、三敗どころか、勝ち点ゼロ、得点ゼロ、完封ゼロのトリプルゼロで終わってもおかしくはないと個人的には思います。戦略で失敗すれば戦術でひっくり返すのはよほどの才覚と運と気持ちが必要だと思うのですが、今回はどうなることか…。

posted by ええ | 2008-08-09 19:03

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

俺は小野、稲本、本山、高原、中田浩等がいたワールドユース準優勝のチームが一番強かったと思う。後のシドニー五輪組と比較しても。今のチームもひょっとするとU-20のチームのほうが強かったのでは?って思っちゃう。

posted by 79年組 | 2008-08-09 21:59

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

こんばんは、
今回の負けについて、
書かれてる内容にはおおむね同意ですが、
敗れた理由が歯車(コンディション)と運というのは、
やはり違うかなと感じます。
サッカーは実力差をひっくり返して番狂わせの起こりにくいスポーツだと私は思っており、
負けたのを運のようなものだと言ってしまっては、
何もならないというか、
漠然としすぎなのではないかと、
やはり明確な差と采配の拙さを私は感じました。
詳しく書くとまたまた猛烈に長くなるので、
よろしければ私のブログに長々と書いた文章があるので、
ぜひ一度読んでいただいて管理人様のご意見を聞きたいです。
言っておきますが私は管理人様の慧眼には尊敬を感じており、決して批判的な立場ではありません。
http://weed-latin.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_2815.html

posted by weed | 2008-08-09 23:12

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

各選手が与えられた仕事をこなした上で負けたのであれば、
その結果は「運」ではなく「実力」と考えるべきなのでは?
 
セットプレー工夫し、素人目にも決定的なチャンスを生み出した。
その場面でも得点を決められなかったのに
「たまたまゴールにボールが収まらなかっただけである」という点も、
運の一言で片付けられてるようで違和感を覚えます。
 

非難したり戦犯探しをしたりする必要は無いという意見はその通りだと思いますが、
負けた試合後に「内容では勝っていた」「運がなかった」
と問題点をぼかしたりせず、
一部の選手には厳しい意見が出る時もあるだろうけど、
きっちりと問題点は洗い出した方が次に繋がると思います。
いかがでしょう?

posted by 通りすがり | 2008-08-10 11:11

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

おはようございます。(Jリーグ~仕事~今で寝てませんが…このままvsナイジェリアに突入予定です^^;)

コメントありがとうございます。


bibaさんへ。

そうですね、今回の五輪はニュージーランド以外は3戦全勝も3戦全敗もあると思っています。本戦はまた別ですが、予選突破に関してはそれぐらい差が無いと感じてます。

細貝は、60%ぐらい(前試合からの梶山は70%ぐらい)だったのではないかと推測してます。ここでスタメンで使うと残りの試合で使えなくなるという判断だったんだと思います。


ええさんへ。

李の故障は選出後ですからね。今の代表で李は外せないでしょう。興梠と岡崎は最後の最後まで迷ったカードだと思います。ただ比べるのは森本とではなかったとも思います。

仰るとおり、戦略には私も大いに不満があります。ただ「人事権」も「OA」も反町監督でなくとも、多くの経験者なら「早めに多めに準備しておく」ことを理解していると思います。

恐らく「それをさせない」別の要素があったのですよ。例えば、A代表監督が変わったから、W杯の方が大事だから、U-23熟成とOA合流よりもA代表の枠を作ることを「協会として」優先させるとかね。U-23なれどA代表を優先された選手も居ますから、そういう部分もあったと思います。

U-23の監督は中間管理職です。A代表が安定するまでは、当時のドンやスカウティングに携わって幹部になった人々やメディアの威光に大きく剃ること(勝手に動くこと)は出来なかったと思います。


79年組さんへ

シドニーのチームは、ナイジェリアワールドユースがそのままベースですからね。それにアツと森岡と正剛を足した。育ててきた清雲氏とトルシエの功績を素直に褒めたいですね。

U-20ですか…うーん、難しいですね。どちらもワールドユースベスト16ですしね。今のU-23とU-20の2年後だったら可能性はあるかもですね。ただ、現時点でU-20でJ1でスタメンを得て活躍できるレベルなのは、内田と安田、梅崎ぐらいではないでしょうか。

今の代表は「世界基準」。大きく2つ。
「十分な運動量と不変の型を持っている。」
「2枚のフラットライン+2(要するに2枚のサイドアタック)に対抗できる。」
過去のU-23の中で唯一これが出来ていると感じてるので、高評価してます。

posted by 蹴導です | 2008-08-10 12:35

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

weedさんへ。

ブログ読みましたよ。お気に入りに入れさせていただきます。HemRockさんと同じ山形で良いのでしょうか?

なるほど~、4-1-4-1のOH4枚への疑問と交代は岡崎からですか。

【無得点と修正点。】
珍しく意見が違うかな^^;自分は、サッカーほど番狂わせが起こるスポーツは無いと思ってます。相手がミスをしないと点が入らないというのと、ミスが多分にある(丸いボールを身体の一番遠いところで扱う)スポーツだからです。その中で少しでもミスの要素(ピッチ内外を含めて)を減らしたところとミスを得点に結びつける力が高いところが勝「率」が高くなるんだと感じています。

ミスを得点に結びつける力はサッカーの多くの得点シーンを見れば分かるように、勿論実力と、高確率の運が絡みます。パスを出す選手からはすべてが見えても、受ける側が見えないことも多々あると感じます。U-23はペナルティエリア内で何度もピンポイントのシュートチャンスを得ました。(勿論、自身でトラップしてフリーであればその方がいいのですが、それはコンディションが完璧な時のトッププレイヤーだけでしょう。)自分はその時点で後は運が大きいと思っています。アメリカ戦では運を掴めませんでしたが、繰り返していけば掴める可能性は高いと思います。

【失点と修正点。】
本田拓は1と言うより「vsアドゥー専任」のマンマーカーだったと思います。で、失点シーンも完璧に付いてましたから非は無いと思います。水本も早く低いクロスでしたから、はじき出すのが精一杯だったと思います。

日本の選手は、味方が取った後、他の選手が必ず走る連動性があります。ただ、悪ピッチ(特に前半の日本サイド)故に、トラップとセカンドボールの処理の「距離感」に戸惑い、時間がかかり奪われるシーンが目立ちました。連動が無駄走りになってしまった為、動きに戸惑いがあり、バイタルエリアで問題が起きました。それと左サイドでの幾つかのミスが折り重なって失点に結びついたと思っています。守備の修正点はそこだと感じています。

【選手交代】
うーん、後半19分。遅かったとは思いませんし、李もそう問題があったとは思いませんが、岡崎は誰と変えるべきだったんでしょうか?


通りすがりさんへ。

weedさんへの返信の中に、「運」に対するある程度の考えが書いてありますのでそちらを読まれてみてください。また、素人目のチャンス(QBKと言いたくなるヤツですが)相手が視界に入ると意外と難しいのですよ^^;自分は合わせに行く決定機でシュートを外しても失望はしませんね。

posted by 蹴導です。 | 2008-08-10 14:12

【U-23】踏み潰された芽だが幹はある。

お越しいただき有難うございます。
全く話変わりますが、私のブログの管理画面で、
鹿児島のプロバイダー経由で来られてる方がいるのを発見し、
おそらく蹴導さんが来られたのだなと判りました。
そのアクセスが偶然にもブログ開設1万件目にあたります。
お・おー!!記念品でも出すべきか?と思っておりました。(笑)
ちなみに私は大阪です。

さて、私が見て運動量の低下が見えたのは後半15分からです。
中盤で、最初から動きの悪かったのが梶山だったので、そこは岡崎を梶山と交代で入れ、
谷口をDHに下げるべきだったと私は思っています。

あと、
>サッカーは実力差をひっくり返して番狂わせの起こりにくいスポーツと思っているのは、
海外では弱小チームが実際数十年ぶりにリーグ戦でビッグクラブに勝った等の出来事もよくある事で、
勝つまで数十年や100試合単位もよく見られます。
ワールドカップでもユーロでも優勝するのは一握りのチームに限られていますし、
毎年のチャンピオンズリーグでも強い顔ぶれは殆ど変わらないかと、
Jリーグのように本当の意味でのビッグクラブが存在しないところでは、番狂わせこそ多いものの、
海外の多くのリーグや大会ではビッグクラブや強国に勝つのは本当に難しいミッションと思われ、
そもそもサッカーとはお互いに相手に先取点を与えない事を優先して進めるゲームで、
先に奪われれば、少々リスクを犯してでも点を取りにいきますが、
その時強いチームは、強力なキバを持ち、
バランスを崩して攻めれば、強引にでも点が取れる、
最悪でもゲームはドローで終わらせる力があります。
パワーゲームに入って点が取れないのは、
あるいはシュートチャンスすらたくさん作れないのは、
それだけ力が足りないという意味だと捉えております。

野球ならピッチャー1人がたまたま良いだけで勝ちに近いですが、
サッカーは11人でやるからこそ、1人の調子良さより、
11人の平均力が物をいうスポーツではないかと私はおもうのですが…。

posted by weed | 2008-08-10 14:44

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