2008年04月11日

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

指宿合宿を終えた日本代表は、その初戦を南米の一国チリと試合をすることになる。チリは90年代に良い選手がおり、当時はそれなりの強さを誇っていたが、最近は低迷している。このチームの復活の為、白羽の矢を立てられたのが、アルゼンチンの名将、ビエルサ。
名将が率いて来日したチリは、24歳以下の選手ばかりと言ういわゆる「オリンピックチーム」だ。チリの狙いが2010(も狙えたら狙うのだろうが)ではなく2014の予選突破であることは疑いようの余地が無く、チリ協会の「世代交代」を含めたビエルサへの大きな期待が窺い知れる。

その彼らが経験を積む場として、オシムが率いる日本代表と言うのがあったのだろうが、残念ながらオシムとの対戦は実現しなかった。(※ビエルサがオシム時代の選手を「良く知っていた」のが印象に残っている。大分、先から準備してきたのだろう。)

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岡田監督は、3つの攻撃的なキーワードと共に、ダイヤモンドサッカーは合宿で試した4-1-2-1-2で戦う。

【攻撃を紐解く】

FWが点を取るという意識は歴代の代表の中で最も高いと感じる。
中盤で奪ったボールは、素早く縦に運ばれ、2トップの個人技で何とかしてシュートを撃つと言う戦い方をしている為だ。

ただ、初戦で早くもこの戦い方に問題点が噴出してしまう。
全員がハイレベルな代表戦において、マンマークとスイーパーを外してFWが「前を向きシュートを撃つ」と言うのは容易なことではないのだ。しかも相手は南米の一国であり、伝統的に3バックを使ってくるチーム。日本の2トップは完全に押さえられてしまい、得点が生まれないことはすぐに理解できた。

局面を打開する方法として「セットプレイ」「後方の選手の攻撃参加」を使いたい。
FWが上手くファールを貰って、FKから得点を狙う、こちらはある程度出来る気がしたが、CKは問題だ。元々戦い方が前線のサイドのエリアでボールを回すのに向いていない為、CK得ることが出来ない。高原、巻、中澤、阿部、山岸。空中戦で力を見せる彼らの長所を活かせないと感じた。

「後方の選手の攻撃参加」においては更なる失望を受けることになる。
縦に急ぐボールのスピードに、選手の足の速さが付いていかないのだ。道中でタメたり、楔となって時間を稼ぐことをしないのだから、密集してボールを奪ったばかりの中盤が攻撃のビルドアップに関わるなんてことは言うまでも無く無理である。

唯一可能性があったのが、SBの攻撃参加だろう。
「なるべく高い位置を取り、攻撃にだけ集中する」という限定が入るが、そういう意味では初代表の内田は何度も前線に入り、良い関わり方を見せてくれていた。


【守備を紐解く】

3バック&2トップの相手に、2トップ&4バックで当る時点で個人的には大問題なのだが…それは効果的に1stプレスが掛からないと言う事と、CBとFWが1vs1になりやすいと言うことである。

前代表であったら選手が考え、良い当り方に変更する(※過去に書いた【A】【B】【C】【D】のフォメね。)ことが出来たのだが、3つのキーワード「接近(密集してボールを奪う)」「展開(細かく速い縦パスでFWに繋げる)」「連続(理解できていないが、シュートに至るまでの動きを繰り返すことだろうか)」と、ダイヤモンドサッカーという縛りが彼らの動きを大きく制限してしまった。

1DHは、中盤でボールを奪う為に相手のパスコースを片方のサイドに寄せる、ミドルシュートを撃たれないようにバイタルエリアに蓋をする、SBが攻撃に参加する際にそのエリアを埋める、カウンター時のディレイ等をすることになるのだが、普通に考えてこの仕事を一人でこなすのは無理がある。

役割の幾つかを他の選手がカバーすることが必要だが、阿部は相手FWと1vs1であり、駒野や内田がフォローに回ると攻撃が完全に沈黙してしまう。振り子にしたところで、(※CBが上がったSBのスペースを埋める)その度に相手FWvs駒野or内田となるので分が悪い。結果として山岸や憲剛がより守備を意識してスペースを埋めるという縛りを受けることになる。要するに彼らの役割はOHでもSHでもなく、DHかCHのソレになる。

2名のCHは、SHとしてサイドを有効活用するという戦い方、OHとしてより前で攻撃に絡むという戦い方もある。ただ今述べたように、ボールを奪うという役割と、空いたスペースを埋めるという役割に重点を置かなければいけないのでそれらは出来ない。この役割が後方からの攻撃参加(数的優位を作り上げる)というこれまでの代表の良さを完全に消してしまう。

勿論、初出場の選手の経験値や個がまだまだな部分、選手のコンディションが良くないという問題もあったが、それとは無関係に深い問題があったということだ。大久保が良い動きを見せるなど期待を持たせる点もあったけど、ここまで問題点を出したことに大きな怒りを感じてしまっていた。

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【噴出した主な問題点】
・3バック相手だとFW2名だけでは得点まで持っていけない。
・後方の選手が攻撃参加する時間が無く、ビルドアップに欠ける。
・1DHの負担が大きすぎる。
・2CHは奪うことにおいて効果的な選手が必要になる。
【その他の問題点】
・WG系やSH系の選手の居場所が無い。(俊輔とか松井とかね)
・妙に怪我人が多い。

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次の試合以降、岡田監督は問題点の修正に着手する。

まず、ボスニア戦。
FWにボールを回す方法を増やす。
ボールを奪ったらまず縦にFWに送るという方法に加えて、ボールを奪ったら逆サイドのSBにサイドチェンジをするという方法が足される。
ただ、これはイマイチな策であった。確かに攻撃のバリエーションが増え、CKを得る機会も増えたが、SBが中途半端な位置で待機しなければならなくなる。駒野はともかく内田の能力のことを考えれば、中途半端なポジションでボールを受けたくない。結果としてカウンターでサイドの裏を取られることが顕著になってしまう。

後方からの攻撃参加という問題点は、1つの答えを出す。
山瀬という1ピースが結果を出し、解消に向かう希望を見せた為だ。確かにパスを散らし遅攻を組み立てる遠藤よりも、セカンドアタッカーとして攻撃力を見せる山瀬の方が、しているサッカーに適している。OHの位置ならば、ボールが縦に早く入っても十分に対応できるということだろう。オシムのサッカーとは大きく離れてしまったが、岡田監督のサッカーの姿が構築されていっているのが分かる。


タイ戦は、W杯予選の初戦でありまず、勝利が求められる。
新たな戦術をテストをしたり、問題点の修正としては費やせないので、どうこうは書けない。

岡田監督のダイヤモンドは、DH啓太、CH遠藤、憲剛、ST山瀬へと変化をする。
遠藤のFKで火花を切るが、全体的に動きが繋がらない。WBのようなポジションで待機する内田は裏を取られまくり、啓太は1DHに多忙を極め、高原達FW陣は依然として押さえ込まれ、山瀬はガス欠で殆どの局面で精彩を欠く。大久保の得点に繋がるプレーは流石だったけどね。

試合は遠藤の機転(※憲剛とポジションを入れ替わることで、右サイドを安定させ、左サイドの駒野からの攻めに変更した。)で4-1と大勝した。攻撃の問題点は確実に減っている。だが、守備の問題点は増えてしまっているとも感じた。また、選手交代にも問題点が見受けられた。交代した理由が「奔り疲れ」によるものが殆どなのだ。(※内田の緩和と巻の怪我以外はすべて疲労によるものだろう。)カードはなるべく相手の裏を取る為に使いたいものだ。

其之参に続く。

posted by syuwdow |15:02 | 2010A代表 | コメント(9) |
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この記事に対するコメント一覧
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【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

攻撃に関しては全くと

言って良い程、解消は

されてませんね。

まずダイヤモンド型は、日本人の身体能力的には全く適していない事が浮き彫りになったのは収穫だったと思います。

その一つとして1ボランチですね。

海外の選手に比べ身体能力の劣るのは周知の事だと思います。

あの布陣でまさに完成型といえるのはインテルですね。

1ボランチの位置であそこには基本的にはヴィエラが入りますが

彼はパスの供給源とも守備のフィルターとも言えるまさしくアンカーとしての役割がほぼ完璧に行える選手です。

しかし鈴木啓太が日本代表ではこの位置に入っている事により守備に比重が掛かりますよね。

鈴木啓太選手のタイプははイタリアで言う典型的なインコントリスタとなります。

では鈴木選手はその場合要らないか?と言えばそうではありません。

実際、練習試合で大学生相手に鈴木選手を抜きで試合をしてみたら、守備が引き締まらない。

というのが事実です。

今野選手の場合は身体能力や技術という点では上を行くと思います。

しかし、中盤から最終ラインのコーチングや危機察知能力という点では

鈴木選手の方が上の為、スタメンで定着しています。

posted by う〜ん | 2008-04-12 09:48

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

↑の続き。

日本人には何でも万能にこなす選手が多い中で、彼のような選手はあまり良いように見えないみたいですね。

一芸に秀でた専門家というのが各ポジションに必要で変に万能だと

中途半端な状況を作り出す場面が出てくる時があります。

では誰が一番よいか?

となると残念ながら、今現在、日本にはそれに適した選手はいません。

しかし2ボランチならばレジスタタイプ(攻撃的)とインコントリスタタイプ(守備的)の選手を置けば攻守の意識がハッキリします。

そして1列前に遠藤や、俊輔のようにサイドでも組み立ての起点になれる選手、もう片方に松井や山岸のような縦への突破を得意とする選手を配置する事により

選手一人一人へハッキリとした役割がある事で、誰が持てば裏を狙う動きをするのか?中央に張り楔のパスを繋ぐ動きをするのか?

という前線の選手にも分かりやすいメッセージにもなります。

これは前線だけでなくチーム全体の役割が明確になるという事でもあります。

世界のスタンダードを完全に乗り遅れている日本にはダイヤモンド型の布陣は難易度が高過ぎですね。

まずはオーソドックスな4-4-2での布陣が丁度良いと思います。

posted by う〜ん2 | 2008-04-12 10:15

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

う〜んさん、コメントありがとうございます。

仰ること、その通りだと同意します。

なんとか良い点を見つけようとしているんですが、なかなか見つからないのが現状です。

啓太、阿部(今野)、闘莉王(中澤)の三角形。
遠藤、憲剛、啓太の三角形。
この2つは、前代表時に面白いモノを見せてくれました。この両方に入っているのが啓太ですね。これからも核となっていくべきものだと思うんですが、1DHでは活きていないのが明白ですね。

インテリスタの知人が昔「スクラッチ(寄せ集め)だから良面白いんだよ」と語ってました。バラバラだけどバラバラが機能しだしたら大きく跳ね上がると。ビエラもですが、カンビアッソ、サネッティ、マイコン、キヴ、スタンコビッチ、イブラ、クルス、スアソ、クレスポ…。彼らはただの寄せ集めでは無く、今、お互いを活かしてまたフォローできていてるから強い。コルドバの故障が気がかりですが、スクデットに相応しいチームだと感じますね。

posted by 管理人です | 2008-04-12 11:03

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

管理人さんの仰る通りだと思います。

インテルのマンチーニ監督いわくシーズン最初は4-3-1-2でしたが、一時的に4-4-2にシステムを替えた時期があったけど、選手のフィジカルコンディションが十分じゃなかったらしく
4-3-1-2のように中盤の2ラインが間延びしやすくコンパクトな布陣を保てないから中盤をフラットにした4-4-2にし、陣形をコンパクトに保つ事により守備も攻撃も安定する。と言っていましたが

ダイヤモンド型は顕著に選手のコンディションによる影響が出る程難しいシステムだという事ですね。

今の日本人にはこのシステムに完璧に適応する選手がいないはずです。

バーレーン戦のように3バックにすれば守備的になる。両サイドが攻撃時に中盤の選手が一人少なくなるリスクもある。

最近の日本代表は岡田監督が就任し、戦術も変わった事により、選手達には代表から外されるかもしれないという危機感が

逆に噛み合わないプレーを生み出しているのも確かだし一人でなんとかしようとして空回りしてしまう

そのような部分を岡田監督自身も選手達に出させない、そう思わせないような指導も必要だと感じます。

posted by う〜ん | 2008-04-12 13:24

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

チリについてはいろいろ間違いがあります。
今回のチリが若い世代になったのは欧州リーグと他のリーグとリベルタの予選があったからです。
決して14年を目指してやっているわけではありません。

その中でも国内の若手の中の中心選手さえいませんでした。
主力級がいない完全に二軍メンバーだったでしょう。
それにチリが若い世代になった経緯は複数の主力選手がコッパで問題を起こしているために出場停止になっています。
これが影響したためにいまは完全に若い世代です。

これからの予選でビエルサがどういうメンバーを選ぶのかで今後がかわっていくでしょう。

posted by アルメニア | 2008-04-12 16:55

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

岡田サッカーって何?そんなものあるのですか?
紐解いたところで、なんにも入ってないのでは?

posted by おしむ | 2008-04-12 18:55

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

こんばんは、コメントありがとうございます。

アルメニアさんへ。

なるほど、勉強不足でした。ビエルサの言葉の意味が判った気がします。アンダーチームどころかそのまた2軍だったんですか…。結構ショックですね。
2007のコパで問題があって、2008の1月はアンダーチームの2軍で来日、現在はそのチームがベースになって2010を目指しているってことで良いのですかね?自分はてっきり世代交代の最初に日本と、だと思ってました。

おしむさんへ。

その可能性もありますね^^;まぁ、したためる事で違う価値は生まれますから書けるだけ書いていこうと思います。

posted by 蹴導 | 2008-04-12 19:52

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

もっと詳しくいうと、ビエルサは日本戦のためにチリの国内組のメンバーで合宿をしています。
ビエルサは戦術家であり、戦略化なのでオシムの日本をしっかり分析して入念な準備をしていたと考えられます。
(相手は岡田監督でしたけど…。ビエルサもがっかりです)

その合宿のメンバーでビジャヌエバという最も欠かせない選手がいたんですが、その選手が合宿後リベルタの日程変更のために急遽欠場が決まりました。
(クラブ側からの代表召集を見送ってくれという話がきた。もちろんビエルサは怒りましたけどね)

そういう状況の中で日本戦を望むことになっています。
メンバー的には国内の主力抜きの二軍でした。

チリ代表はもともと欧州に期待の若手選手が散らばっていますし、国内よりもブラジルやアルゼンチン、メキシコに優秀な選手がいます。
今回はチリのクラブのみで国内一の選手を欠いている布陣で日本にきたということです。

>現在はそのチームがベースになって2010を目指しているってことで良いのですかね?

残念ですが、日本にきたメンバーでスタメンとして試合に出れるのは一人か二人程度ですね。
(召集されるのはあのメンバーから5人以下でしょうね)
チリ国内の至宝であるビジャヌエバでさえスタメンを保障される地位ではないですからね。

現在南米はW杯の予選中ですが、予選になると大きくメンバーが変わり、ほとんどがチリ以外のクラブの選手になります。
今回の試合はその中でも戦えるような新戦力を探すためものだと思います。

しかし、ビエルサは優秀な監督なんである程度のメンバーでも日本にとっては良い機会になったのではないかなと思います。
ジーコのときはビエルサ率いるアルゼンチンの二軍にボコボコにされていますし。

南米で親善試合をするのなら、アルゼンチンかチリが良いでしょうね。
チリはビエルサが監督ですし、アルゼンチンは二軍がきても一生懸命戦ってくれるので日本にとっては良い親善試合になると思います。

でもビエルサはもうこないかもしれませんね。
ジーコ時代を含めると日本とは結構親善試合をしていますからね。
ビエルサは日本をどう思っているんでしょうね…。






posted by アルメニア | 2008-04-13 17:14

【代表論】岡田サッカーを紐解く・其之弐

フォーメーションの事がよく出てくるけど、基本はオシムの時には、終わりのほうは4-4-2じゃなかった?
ただ、違うのは選手が自分で考えて相手に合わせて
フォーメーションを変えていたはずです
その為にポリバレントが必要だとしていたと思うんですけど
今はそこのポジションの秀でた選手で固めるからポジションチェンジなんか難しいんじゃないかな?
オシムの教えが生きていればいいんだけど無理かな?

posted by mazdanari | 2008-04-16 12:16

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