2012年02月10日
昨年秋、パナマでのラストW杯を制し、一躍注目の的となったオランダ。その劇的な勝利によって、オランダ国内では一気に野球への注目度が上昇。今年は協会創設100周年ということもあり、まさに歴史的なシーズンとなります。その2012年度シーズンのレギュレーションと日程が、オランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)から発表されました。
今季の開幕戦は、3月29日にDOORネプチューンズ‐L&Dアムステルダム・パイレーツという組み合わせで行われます。このカードは3連戦で、4月1日まで行われますが、一昨年と昨年の王者同士の対戦、またともに今年のヨーロッパカップに出場する、国内を代表する強豪同士とあって、目が離せないカードとなっています。レギュラーシーズンは7月8日まで行われ、その後ハーレムベースボールウィークを挟んで、7月26日からプレーオフが開幕(上位4チームによる二次リーグ方式で、これは昨シーズンと変わりありません)。また、7回戦制で行われるオランダシリーズは、8月16日~26日までの日程で開催。
もちろん、これだけ日程が早く消化されるのは、9月に地元開催するヨーロッパ選手権が控えているためです。この日程の前倒し以外の変化としては、大きく分けて2つが挙げられます。1つは、ナイターの開始時刻が変更されたこと。昨年までは、ナイターゲームは7時45分から行われていましたが、今年は7時30分からと15分早められます。これは、前述のとおり野球への関心が高まっており、子供同伴で球場にやってくる親も増える可能性がある、ということとも、おそらく関係があるんじゃないでしょうか(もちろん、あくまでも推測の域を出ませんが)。
2つ目の変化は、昨季リーグ最下位のADOが、新たに「ADOレイカーズ」とクラブ名を変更したこと。詳細は不明ですが、どうやら他クラブとの合併があったことに伴い、名称変更に踏み切った模様です。今オフは、結局失敗に終わったものの、オランダ代表エースのロブ・コルデマンス(パイレーツ)の獲得に動くなど、精力的な動きを見せていたADOですが、どうやら彼らが見せる「変化」は、まだ終わっていなかったようですね。なお、フーフトクラッセの参加チームの顔ぶれに、昨季から変わりはありませんが、おさらいの意味も込めて、以下に改めて載せておこうと思います。
2012年度フーフトクラッセ参加チーム
・L&Dアムステルダム・パイレーツ
・DOORネプチューンズ
・ヴァッセン・パイオニアーズ
・コレンドン・キンヘイム
・Mr.Cocker HCAW
・スパルタ・フェイエノールト
・UVV
・ADOレイカーズ
冒頭にも述べたとおり、今季は文字通り区切りの年を迎えるオランダ球界。イタリアに次いで、ヨーロッパで事実上2番目の国内リーグとして、グラウンドでのプレーレベルの高さは言うまでもなく、今年はスタンドでの熱気に関しても、これまでとはひとまず違う姿を見せてもらいたいですね。もちろん、どこがタイトルを制するのかにも注目。一昨年には、ネプチューンズが勝率9割超えという圧勝を見せたこともありますが、今年はディフェンディングチャンピオンのパイレーツも含めて、最後まで優勝の行方が分からないような、熱いシーズンになってくれればと思います。
ソース:http://www.mister-baseball.com/neptunus-amsterdam-open-2012-hoofdklasse-season/
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2012年02月09日
(1)グロッセート新球団にギリシャ人2人が加入?
今季から、前任のグロッセート・オリオールズに代わって、イタリア・IBLに参入するベースボール・グロッセート。その新球団に、ギリシャ人選手2人が加入する可能性が出てきました。
地元のIn Liberia Uscita紙が報じたところによると、新入団するとみられているのは、ともにギリシャ代表のパナジオティス・シカラス(32)と、セオドール・ボーダニオティス(26)の両投手。元マイナーリーガーであるシカラスは、かつてディ・エンジェリス・ゴード・ナイツ(現ノースイースト・ナイツ)と、テレマーケット・リミニ・パイレーツの2クラブでプレーした経験を持ち、イタリア球界ではそれなりに名の知られた存在です。今オフは、昨季ファイナリストのダネッシ・ネットゥーノと入団交渉に臨んだものの、残念ながら破談に終わったよう。
一方のボーダニオティスは、昨年のW杯パナマ大会において、シカラスとともにギリシャ代表のユニフォームに袖を通しています。こちらは、アメリカのサクラメント州立大と、カリフォルニア州立大の2チームでプレーした経験を持っているとか。W杯を巡っては、政府が運営するオッズサイトにおいて、MLBの公式戦も新たに採用された影響で、野球に対する注目度も上がっているというギリシャ(http://ameblo.jp/systemr1851/entry-11034071805.html)。その国の代表として、両投手が最高峰イタリアでどれだけやれるか、注目しましょう。
ソース:http://www.mister-baseball.com/pair-greek-players-grosseto-baseball/
(2)スウェーデン代表捕手が実弟とチームメイトに
スウェーデン代表の扇の要、ビョーン・ヨハネセン捕手(37)が、ドイツ・ブンデスリーガ南地区に所属する、マインツ・アスレチックスに期間限定で加入することになりました。アスレチックスには、実弟のピーター外野手も所属しており、兄弟同時出場の可能性も期待されます。
ビョーンが今回加入する理由は、アスレチックスの正捕手が現在大学に通っており、5月中旬まで公式戦に出場ができないため。ビョーンは同選手の復帰まで、16試合でマスクを任された後、祖国のストックホルムBSKに復帰する予定です。一昨年には、クラブと代表の両方でバッテリーを組む、ヨアキム・クレッソン投手も同様の期間限定移籍を経験しています。一方、昨シーズンはフルシーズンチームに在籍したピーターは、今季も期間限定ではなく、シーズン終了までドイツに残る見込みです。
37歳と年は食っているものの、昨季もエリートセリエンで打率.364、出塁率.491、長打率.531、19得点、30打点と大暴れし、チームのタイトル獲得に大いに貢献したビョーン。今季は、よりレベルの高い舞台での挑戦が待っていますが、あくまでも期限付きとは言え、新天地でどこまでプレーできるか、大いに楽しみです。
ソース:http://www.mister-baseball.com/bjoern-johannessen-joins-brother-mainz-athletics/
(3)イギリス・ナショナルリーグは4月1日に開幕
イギリス野球連盟(BBF)は、今シーズンにおける国内トップリーグ・ナショナルリーグのレギュレーションと、シーズン日程を発表しました。
2012年シーズンを戦うのは、昨季王者のサウザン・ナショナルズ以下、ロンドン・メッツ、クロイドン・パイレーツ、エセックス・アローズ、ハーツ・ファルコンズ、ブラックネル・ブレイザーズ、レイクンヒース・ダイヤモンドバックス、サウザンプトン・ムスタングスの10チーム。昨季はナショナルリーグに所属していた、ミルデンホール・ブルドッグスとリッチモンド・フレームスは、残念ながらトップリーグからは削減されることになりました。
一方今季からは、新たにナショナルリーグ参戦クラブと、イギリスジュニア代表とが対戦する交流戦(全8試合)も設けられました。ポストシーズンへの進出条件は、現時点ではまだ明らかになっていませんが、プレーオフを8月18~19日に、ファイナルである「ナショナル・ベースボール・チャンピオンシップ」が、8月25~27日の3連休に実施されるという日程は発表になっています。シーズン日程の完全版については、こちらの記事を参照してください。http://www.britishbaseball.org/news_article/show/132421?referrer_id=271910
ソース:http://www.mister-baseball.com/british-national-baseball-league-begins-sunday-1-april/
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2012年02月07日
この記事はシリーズものです。まだ前篇をお読みになっていない方は、こちらの記事からどうぞ。http://ameblo.jp/systemr1851/entry-11157780638.html
―:2012年のドイツは、ヨーロッパ選手権(以下ユーロ)とWBC予選という、2つのメジャーな国際大会を迎えることになります。おそらく、この両者は連続して開催されることになるかと思われますが、ドイツはこの大会に、どのように挑む予定ですか?また、勝利を収めるうえでの鍵はなんでしょうか?
フ:2012年は、私がドイツ代表の指揮を任されてから、9年目のシーズンになる。今年は、自分が指揮を執るシーズンの中でも、最も重要であることは論を待たないが、同時にドイツの野球史上においても、最も重要なシーズンであると断言するね。今年行われる両大会は、我々にとってとても大きなチャレンジになるだろう。
まずは、ユーロについて話そう。私は、野球ドイツ代表にとっての根拠地は、やはりヨーロッパであると考えている。もし、ヨーロッパ球界のトップにいる、非常にコンペティティブなチームであれば、他の国際大会にも出場できるし、世界ランキングでもより高い位置を目指すことができる。しかし、ヨーロッパでの地位を失うことを、決して忘れてはいけないんだ。
そして、我々にとってチャレンジングなのは、どのチームも非常に大きな進歩を遂げているということだ。チェコやフランスは、ここ数年で目覚ましい進歩を遂げているし、イギリスとギリシャはそのメンバー次第で、非常に手ごわい相手になるだろう。スペインは、前回大会こそ結果は振るわなかったが、今回は彼ら本来の実力を取り戻し、非常に強い対戦相手になるはずだ。そしてこの大陸の2強に関して言えば、オランダは世界王者として、イタリアはディフェンディングチャンピオンとして、この大会に戻ってくる。そうした状況を見れば、この大会がドイツにとって、非常にチャレンジングなものであることは確かだね。ただし、過去はあくまでも過去であって、今できるのはこれからやってくる大会に、チームとして力を合わせて臨むことだけだよ。
今はこの大会に備えて、どのように準備するかを話し合っているところだ。先ほども述べた通り(注・前篇参照)、W杯で敗れてしまったのは、準備不足が原因だったからね。そして、その根本にあるのは経済的な問題だ。無論、DBV(ドイツ野球・ソフトボール連盟)のメンバーの中には、万全な準備を抜きにして戦いたい者など、誰一人としていなかったが、金銭面での問題が重いことに変わりはない。おそらくユーロの直前には、2つか3つの強化試合を戦うことができるだろう。この大会には、本当に真剣にフォーカスしているよ。我々の目標は、この大会に参加して、いい結果を残すことだからね。もちろん、優勝するのか6位になるのか、それとも最下位になるのかは、誰にもわからない。しかし少なくとも、いい野球をしなければ頂点には立てないだろう。なぜならこの大会は、かつてないほどレベルアップしているのだからね。
その後にやってくるのが、WBC予選だ。しかし、この大会はユーロとは全く異なる。何故なら、ユーロの場合は既に把握できている、大会の場所や対戦相手、開催時期が全く分からないからね。それだけに、あまりにも多くのことが手さぐりなので、WBC予選に関しては、戦略については話をしているものの、あくまでもユーロを優先して考えている。さっきも言った通り、こちらが我々の主眼を置いている大会だ。もちろん、WBC予選に対する取り組みも、重要であることには変わりない。もし予選を突破し、本大会に出場することができれば、それはドイツ球界にとってとても良いことだ。私は、この大会についての詳細が明らかになってから、そのために全力を尽くすことを約束するよ。
―:あなたにとって、最も重要な投手のコマである、ティム・ヘンケンヨハンとエノルベル・マルケス=ラミレスの両者は、ともに現在怪我をしているか、引退を視野に入れているそうですね。彼らについてどう考えますか?再びコンディションを取り戻し、現役続行することはできるでしょうか?
フ:彼らはドイツ球界にとって、素晴らしいアスリートであることには間違いない。どちらも高い能力を持ったプレーヤーであり、それだけに彼らには、彼らがドイツ野球にもたらしてくれたものに対して感謝しなければいけないね。ただ、彼らが現役を続行するか引退するかについては、ここで言うにはまだ早すぎるだろう。もしかしたら、彼らは本当に引退するかもしれない。しかし、例えそうだとしても、ドイツにはヤン・ニコラス=ストッケリンと、マックス・シュミッツという次の有望株が控えている。
いい知らせは、我々にはまだ経験豊富で、ハイレベルなプレーができるベテランたちがいるということだ。もちろん、彼らは年を取っていたり、故障明けだったりするかもしれない。しかし、彼らがこれまで培ってきた経験は、次の世代にも確実に受け継がれている。こうした状況は、5~6年前にはなかった。彼らは皆国際経験が豊富で、高いレベルでプレーできる選手たちなんだ。
ただし、必ずしも彼らに頼り切る必要性もない。というのも、今の我々にはより若い世代から、新しい選手を選ぶという選択肢があるからだ。ブンデスリーガのクラブたちが、リーグのレベル向上のために、本当にハードな努力をし、アカデミーやジュニア代表にも大きな進歩がみられている今、ドイツ球界はかつてないほどに高いレベルにある。そして、国際大会に自分で実際に参加したり、そこに参加したベテランたちから、クラブレベルで多くの物を伝えられたりして、彼ら若い世代はこれまで以上に、国際大会と近い立ち位置にいるんだ。だから、たとえ引退する選手がいたとしても、我々には明るい未来が待っていると信じているよ。もちろん、エノルベルとティムは2人とも、ドイツ球界にとってのヒーローだ。しかし如何なるクラブも、決して2人の選手だけで占められているわけではない。
―:あなたがドイツ代表とともに指揮している、ジョージア州立大についても伺いましょう。今年、ジョージアには2人のヨーロッパ人選手が入部しますね。彼らのチームでの役回りは、どんなものになるのでしょうか?例えば、シュミッツは先発とリリーフ、ロイ・セルテンレイクはスタメンとバックアップ、どちらで起用される予定ですか?
フ:まず最初に、彼らがアメリカの大学トップリーグでプレーできることに、非常にスリルを覚えているよ。将来的にMLBに入って、ツインズやジャイアンツ、あるいはヤンキースでプレーすることを夢見るヨーロッパ人選手にとって、祖国を離れてアメリカで暮らすことは、現地での生活に適応するうえで重要なことだ。それぞれの我が家を離れて、新しい食べ物を食べ、これまでに会ったことのない新しい人々に会い、恋人や両親を祖国に残して、自分と同じように才能を備えた選手たちと、毎日グラウンドやトレーニングルームと競い合う。ロイはつい先日、私に対して「あまりに忙しくて、食べ物を買いに行く時間がないよ」と言ってきた。それほど、彼のスケジュールはみっちりと埋まっているんだ。
だから彼らにとって、この体験はものすごく大きな変化だ。しかしマックスもロイも、どちらも素晴らしいタレントを持っている。そしてどちらも、すぐに即戦力としてチームの力になれるだろう。マックスは当初、リリーフで使う予定だった。それが、下級生を育成するうえでの常道だからね。ただ、あいにくうちのチームのエースが、残念ながら膝を故障してしまったので、今は先発ローテの一員に加えている。配置転換をすることは、言うまでもなくハードなことだが、マックスは才能はもちろん、ゲームに対しても非常に真摯だ。どの役回りでもこなすことができるし、ジョージアでの経験を積むことは、ドイツ人の彼にとって素晴らしい成長をもたらしてくれるだろうね。
ロイは、二遊間のどちらかを担当することになっている。今、彼は2つの枠を、他の3選手と争っているが、うち2人は彼と同じ1年生だ。だから、ここでも彼には多くの成長の機会があるだろう。彼らは両方とも、ちょうどアメリカ人選手たちがやっているように、毎日ウェイトトレーニングに励んでいるよ。無論、ヨーロッパのクラブでも、ウェイトトレーニングは当然行われているが、それらを毎日のように繰り返すのは、彼らにとっては初めての経験なんだ。文字通り、毎日野球に取り組むことは、彼らに目覚ましい成長をもたらすだろう。先ほども言った通り、彼らは非常に才能があり、チームを支える力を持った選手だが、他の選手たちも同じようにタレントを備えているので、とてもチャレンジングな日々を過ごすことになるだろう。しかし、私は彼らが目指すものが何かを知っているし、チームのレギュラー争いに勝ち残って、NCAA1部のトップ選手となってくれることを願っているよ。
ソース:http://www.mister-baseball.com/interview-german-nt-head-coach-greg-frady/
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2012年02月07日
昨年、パナマで行われたW杯でドイツ代表を率いた、グレッグ・フレディ監督。アメリカのNCAA1部の名門、ジョージア州立大でも指揮官を務める彼は、ドイツ球界のここ数年の発展に、確かな手ごたえを感じているようです。今回は、ミスターベースボールがフレディ氏に対して行ったロングインタビューを、前後編に分けてお届けします。前篇では、W杯でのドイツ代表の戦い、そこで注目された2人の若手、そして世界王者となった隣国のライバル、オランダ代表に対する彼の考えなどを取り上げたいと思います。
―:W杯では、ドイツは残念ながらいい結果には恵まれなかったものの、対戦した相手国からはプレーぶりを称賛されていましたね。実際に大会に参加して、どのような手ごたえを得られましたか?
フ:W杯では、ドイツは非常にいい戦いをしたと思う。もちろん、勝利という結果は得られなかったし、それについて言い訳するつもりはないが、一方でチームが今どのレベルにいるのか、そしていかに成長してきたかという点にも、きちんと目を向けるべきだ。おそらく5年前のチームであれば、今回我々が残した結果の半分程度しか、実現することはできなかっただろう。しかし、今回は1試合を除いて、非常にレベルが高く、コンペティティブなゲームを続けることができた。現地への遠征でトラブルがあり、ほとんど練習ができないままに、大会に臨む羽目になってしまったのは、少々残念だけどね。
私だけでなく、選手たちも今回、ドイツ代表の一員としていいプレーができたことには、プライドを感じているはずだ。無論、勝てなかったのは誰にとっても、決して喜ばしいことではない。首脳陣にとっても、選手たちにとってもね。しかし、我々は誇りを持って大会を戦うことができたし、周囲から多くのリスペクトを受けることができた。大会が終わった後でさえ、組織全体をさらに成長させることもできたんだ。
―:大会に訪れていたスカウトたちは、打撃と守備の両面において、特にドナルド・ルッツとマックス・ケプラー=ロシツキーの両者に、強い関心を寄せていました。数年前と比べて、彼らはどれくらい進歩していると思いますか?また、この先さらにビッグになるうえで、課題になるものとはなんでしょう?
フ:彼らが、非常に素晴らしいタレントであると見抜くのはたやすいだろう。なぜなら、どちらも特別な才能を有しているからね。ドナルドが持っている特別な才能とは、既にMLBのレベルに達している、その長打力だ。どのMLB球団も、中軸で本塁打を量産できるパワーを持つ、大柄な左の長距離砲を欲しがっている。彼がレッズの40人ロースターに加わったのも、それが有力な理由だろう。初めて、ドイツ人プレーヤーがそのレベルに到達したことは、非常に素晴らしいことだし、我々も誇りに感じているよ。我々はドナルドの大ファンだし、彼がさらに成長を遂げ、素晴らしいキャリアを過ごすことを願っている。
彼の課題について言うならば、素晴らしいパワーを持っている一方で、三振が非常に多いことだ。もっと多くの試合に出て、打席での経験を積み、その数を減らしていかなければならないだろう。また、守備力の向上も大きな課題だ。彼は現状、打者としてはスペシャルだが、守備は二の次になっている。これからは、打撃と守備のプライオリティをイコールにし、どちらでも素晴らしい選手にならなければいけないね(管理人注:この点については、本人も目標だと語っていましたね)。もしナ・リーグでプレーし続けるのであれば、おそらく一塁が主戦場になるだろうから、その意味でも守備力の向上は必要だ。現時点でも、彼は素晴らしいアスリートだが、さらに成長する必要がある。
マックスはとても若く、そして既に5ツール(ミート力、パワー、走力、肩力、守備力)を持っている。それらを全て兼ね備えている選手は、決して多いわけではないが、彼にはあるんだ。特に私が驚かされたのは‐これが一番、私の感情を表すのに、正確な言葉だと思うが‐彼のパワーに関してだ。私は、彼がパワー以外の4つのツールを、既に備えていることは疑わなかったが、実際には5つ目のツールも持っていたわけだね。普通彼くらいの年であれば、長打力は一番最後についてくるものだから、本当に驚かされたよ。もし、その長打力を磨くことができれば、彼はきっと大リーグまで上り詰めるだろうし、オールスター級の選手にもなれるだろう。このセリフを口にすることは、私にとって本当に興奮すべきことなんだ。何故なら、めったにそんなこと言うもんじゃないからね(笑)。
彼はいともたやすく試合をプレーして見せる、見ていて本当に楽しい選手だが、一方でまだ非常に若く、すべての面で成長していく必要がある。特に、彼が一番成長が必要なのは、長期間にわたって集中力を保ち続けるという、メンタルの部分だろう。もちろん、最初は彼もしっかりと試合に集中するんだが、時間が経つとだんだん受け身になってくるというか、何かが起こることを期待するような精神状態になってしまう。この先年齢を重ねていけば、彼は現在のようにただ座って、周りをきょろきょろと見回している選手ではなく、試合の中でリーダーシップを発揮する選手になれると思う。しかし、間違いなく言えることは、彼は最高にエキサイティングな選手であり、ドイツ史上最高の野球選手になる可能性を秘めている。ドナルドと同様、大リーグに上り詰めるだけの才能を持っている彼のことも、我々は心から応援しているんだ。
―:W杯では、オランダが王者になったことが大きな話題になりましたが、実際に彼らの試合はご覧になりましたか?また、彼らが優勝したことは、ヨーロッパ野球にとってどんな意味があると考えていますか?
フ:残念ながら、オランダとドイツの試合会場はお互いに離れていたので、実際に生で試合を見るチャンスはなかった。ただ、テレビでは彼らの試合を見ていたよ。彼らがこうした成功を収めることができたのは、もちろん素晴らしい選手たちが揃っているからだ。しかしそれと同様に重要なのは、彼らが素晴らしい協会と指導、タレントの発掘能力を兼ね備え、徹底的に基礎練習を積み重ねて、1つのチームとして戦うという態度を完徹できていることだ。ヨーロッパ球界において、それができることは凄まじいアドバンテージだよ。残念ながら、ドイツはまだそこまでのレベルには達していないので、そうした要素を持っている彼らが羨ましいね。
ヨーロッパ野球にとってどうだったか、と言えば、まず私はオランダの大ファンなんだ。私は彼らの指導者も、協会の在り方も好きだし、代表選手たちの多くも知っている。W杯や五輪予選、あるいはワールドポートトーナメントのような、その他の国際大会で一緒に出場する時、私は彼らのことを、常に最大のライバルだと感じているよ。今は彼らのことを、ヨーロッパにおける盟友のように感じているし、彼らが成功を収めることを常に祈っている。もちろん、実際に対戦する時は別の話だがね(笑)。
しかし、私はオランダに対して、最大限のリスペクトを払っている。何故なら、彼らは常にハードワークを怠らず、野球を素晴らしいスポーツにしようと全力を尽くしているからね。そして、彼らがW杯を制覇したと聞いた時は、本当に嬉しかった。大会が終わった後、私はロバート・エーンホーン(TD)やブライアン・ファーレイ(監督)、スティーブ・ジャンセン(投手コーチ)に対して、祝福のメールを送った。ただ、それは単に彼らが勝利したということに対してだけじゃない。この10年間、チームとして成功を収めるために、彼らは大変な努力を積み重ねてきたし、それがこうして結果として具現化されたことは、本当に素晴らしいことなんだ。
―:せっかくなので、(今回のインタビューの会場にもなっている)DBVアカデミーについても話しましょう。ここにきて、配属されている多くの指導者や、展開されているプログラムをご覧になって、どのように感じましたか?
フ:DBVアカデミーに参加することは、どれほど多くの人々が、野球に関わろうと考えていて、かつどれほど成長を遂げているのかを知るうえで、私にとって非常に重要なことだ。ここに参加している人々は、単に野球をプレーしにくるだけじゃない。指導者として、またクラブのマネージャーとして、成長したいと考えている人たちも大勢いるんだ。ここには審判講習会も、スコアラー向けのクリニックもある。冬の間、ここドイツでは野球に関するあらゆる事象が、成長を続けているんだ。ここに来るゲストスピーカーたちは、世界レベルにある素晴らしい人々ばかりだし、ドイツの選手や指導者たちとも、素晴らしい知識を共有できるだろう。野球について話すためにドイツに来るのは、私にとって常にいい経験だ。その中でも、DBVアカデミーの一員でいられることは、とても誇りに思っているし、楽しんでいるよ。
ソース:http://www.mister-baseball.com/interview-german-nt-head-coach-greg-frady/
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2012年02月06日
国際野球連盟(IBAF)は、8月10日から19日まで、カナダ・エドモントンで開催される、第5回女子野球W杯の出場チームを発表しました。
今回出場するのは、現王者の日本と開催国カナダに加え、オーストラリア、アメリカ、ベネズエラ、台湾、オランダ、キューバの全8チーム。大会では全8チームによる総当たり戦が行われた後、上位4チームが決勝トーナメントに、下位4チームが順位決定戦に回ります。このため、試合数は1チームにつき9試合、大会全体では36試合となる予定です。
今回、このブログで特に注目したいチームが2つあります。その1つは、もちろんディフェンディングチャンピオンである我らが日本代表。実は日本代表は、過去4回行われた全ての大会でファイナリストになっており、うち前回(ベネズエラ大会)と前々回(日本・松山大会)で連覇を達成しています。前回大会ではアマ選手のみで臨んだにもかかわらず、決勝ではオーストラリアを13‐3と大差で撃破。「女子野球の世界に日本あり」を、球界関係者に強く印象付けました。
さらに今回は、プロ野球選手という超強力助っ人が、ロースターに加わることになります。前回大会では興業上の理由から、日本代表への選手の派遣を見送った日本女子プロ野球機構(GPBL)が、小西美加(兵庫→大阪)をはじめとするトップ選手の派遣を了承。今回は文字通り、日本女子球界最高のメンバーで挑むことになりそうです。男子と違って、プロアマ同士の不毛な摩擦が存在しないことから、お互いの交流にも積極的な女子だけに、単なる表面上の戦力以上に、強いチームが見られることになるでしょう。
もう1つは、ヨーロッパから唯一今大会に参戦する、オランダ代表。強豪ドミニカやキューバを倒すなど、その実力の高さが世に知られるようになった男子に対して、女子は昨年正式に誕生したばかりの、まだ若く歴史も浅いチーム。昨年には、代表選考のためのトライアウトも開催され、男子に負けじと本格的に動き始めています。まだ実績は皆無に等しいだけに、今大会では厳しい戦いになることが予想されますが、最初からずっと強いチームなど存在しないのが世の理。将来、ヨーロッパ野球が男女ともに隆盛を極める時代が来たとして、その時に「今の発展の礎になった」と語られるような戦いを、彼女たちができればいいですね。
もちろん、この2チーム以外も注目に値するチームばかり。第1回、第2回と連覇を果たしながら、その後日本に2度王座を明け渡しているアメリカ、開催国カナダも非常に強いチームで、決して油断できる相手ではありません。果たして、今大会も日本が女王の座を守るのか?それとも、他の国が奪い返すのか?そしてオランダの戦いぶりは?「もう1つのW杯」の戦いの行方が、今から楽しみで仕方ありません。
ソース一覧
http://www.ibaf.org/en/news/2012/02/04/8-teams-for-v-womens-baseball-world-cup-announced/695b7fe5-58dc-4e57-9b12-abf2ffc3c5f6
http://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryinsertinput.do
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2012年02月06日
【管理人注】
この記事は、管理人自身の頭の中にあるものをそのまま文章にした、完全な創作です。急になんだか書きたくなったので、文章を書く練習も兼ねて、SLUGGERあたりで執筆している、スポーツライターになったつもりでやってみました。実在の人物や団体などとは、一切関係ありません。あらかじめご了承ください。以下のような設定や世界観を前提に、読んでいただければ幸いです。
・舞台は2041年のWBC直前
・大会形式や出場国などについては、こちらの記事を参照(http://ameblo.jp/systemr1851/entry-10837757482.html )
(本文ここから)
今となっては信じがたいことかもしれないが、かつてヨーロッパの雄・オランダにも、WBC二次ラウンド進出が「奇跡」と称された時代があった。彼らがその名を、球史に本格的に刻むきっかけとなった、2009年のWBC。ドミニカ共和国を2試合続けて破り、プエルトリコ(2試合)・ベネズエラ・アメリカといった、強豪国ともほぼ互角に渡り合って見せたオランダの足跡は、ラウンド開催地の名を取って「サンファンの奇跡」と呼ばれた。
プエルトリコとの第1戦。2回に1点を先制し、再三のピンチをしのぎながらも、最後の最後で力尽きた彼らの健闘ぶりを、この試合の解説者は「戦力的には劣るなりに、何とか一泡吹かせてやろうという姿勢には感動した」と称賛した。当時のオランダの戦いは、優勝候補筆頭と言われた国を、2度もうっちゃって見せたことで、世界中の多くの野球ファンに強い印象を与えたが、彼らが本当に素晴らしかったのは、こうした強豪相手にも一歩も引かないという姿勢だったのかもしれない。
あれから32年。当時からは、WBCの姿は大会形式も、勢力図も大きく変化した。2009年時点では、名もなき雑草軍団にすぎなかったオランダも、今やアジアや米大陸の強豪国と、互角に肩を並べるまでに成長した。しかし、当時彼らが胸に秘めていた、強豪国に対する向こうっ気や挑戦心は、現在のアンダードッグたちにも受け継がれている。しかも、おそらくは当時よりも遥かに強く。
今回のWBCには、アルゼンチン・エジプト・イランの3か国が、それぞれ初出場を決めた。三者とも、これまでそれぞれの大陸において、他の強豪国(アルゼンチンはベネズエラやブラジル、エジプトはナイジェリア、イランはパキスタンやフィリピンなど)に本大会出場を阻まれ続けてきた国だ。そのせいか、それぞれのチームを率いる指揮官たちからは、初めて世界の舞台を踏むとは思えないほど、自らにアンダードッグのレッテル張りをする者たちに、一泡吹かせてやろうという強い言葉が溢れ続けている。
「冷静に見れば、戦力的に我々が厳しい状況にあることは分かっている」そう、イラン代表監督のホセイン・ハシェミアンは語る。「しかしだからと言って、我々がWBC出場を決めるまでの間、手をこまねいていたわけでは決してないし、戦力差を言い訳の材料にするつもりもない。我々は世界と戦うために、常に新しい人材を発掘し、プレー環境を整備し、一流の選手たちを育て上げてきたんだ。それは、同じ初出場のアルゼンチンやエジプトとて同じことだろう」
アルゼンチン代表監督のアーマンド・ベニテスも「我々にも我々なりに、自分たちの国を背負って戦っている、という自負やプライドがある」と同調する。「アルゼンチンにおける野球は、これまでずっとフットボールに押され、決してビッグなスポーツではなかった。そんな中でも、プライドと情熱を持ってこの競技に取り組んできた人々がいたからこそ、我々は今WBCという大舞台に立てるんだ。だからこそ、彼らのためにも無様な戦いをするわけにはいかない。全ての試合で、あくまでも勝つために全力を尽くすよ」
初出場組だけではない。こうした意欲を燃やしているのは、大会では常連ながらもなかなか上位進出ができていない、南アフリカやニュージーランドといった国々も同じだ。ベスト8進出チームに対して与えられる、次回シード権の獲得経験がない彼らもまた、自らの与えられた低評価を覆すために、躍起になっている。「そういう意味では、今回初出場する3か国も含めて、我々のような国にはどこか、仲間のような意識もある」と語るのは、ニュージーランド代表指揮官のジェイソン・ヌクヌク。「もちろん、実際に我々と対戦する時には容赦しないけどね(笑)」
32年前のオランダが、強豪国相手に互角以上に戦えたのは、チーム防御率3.18という高い投手力と、それを支える守備力の賜物だった(いずれも打撃で高く評価されていた国々相手に、この成績を残したことには価値がある)。現在、下剋上を狙っている国々の指揮官も、ジャイアントキリングを起こすうえでの秘訣を問われると、判を押したように守備の重要性を口にする。投手層の厚い国際大会では、相手に打ち勝つことはあまり望めない、ということまで含めて。
「エジプトが目指してきたのは、守備からリズムを作るスタイルの野球だ」と、エジプト代表を率いるモハメド・オサマは言う。「相手打線をテンポよく打たせて取って、相手の攻撃をしっかりと凌ぎ、相手チームに生まれた僅かな隙を突いて1点でも上回り、小刻みな投手リレーで逃げ切る。このスタイルは、既に32年前のオランダが具現化済みだが、現在でも通用する戦い方だ。事実、我々はオールスターウィーク中の国際親善試合で、スペインやスウェーデン、ナイジェリアなどの格上相手に、この戦法で互角に戦えているからね。無論、チーム全体にきっちりとしたディシプリン(規律)が求められるが、我々の選手たちの間では意識も共有されているし、しっかり戦うことができると思う」
もちろん、彼らの目指す戦い方が、実際に通用するのか否かに関しては、蓋を開けてみなければ分からない。しかし逆に言えば、彼らがあっさり粉砕されることなく、その思惑通りの「大仕事」をやってのける可能性だって、決して0ではないのだ。野球はすべて、確率に支配されているスポーツ。投手陣の頑張り、打者との相性、天候…。それらのダイスの転がり方次第では、例え紙の上での「弱者」であろうと、いくらでも「奇跡」は起こせる。そしてそれこそが、このスポーツの最大の魅力の1つなのだろう。
「このスポーツでは、強い者には強い者としての戦い方がある。しかし、弱い者にも弱い者なりの戦い方というものがあるんだ」と、ベニテスは不敵に笑う。「表面上の戦力で足りない部分は、頭脳と緻密な戦略で補う。これまで、アルゼンチンはそういう試合を何度も経験してきた。だから我々にとっては、より強いチームと当たった時こそが、本当の勝負なんだ。もちろん、世界中の一流国が集まる舞台だから、勝ち進むのは決して簡単じゃないけどね。全ての国に、等しく優勝のチャンスがあるということを、この手で証明したいんだよ」
(ここまで本文)
いかがでしたでしょうか。今回は、実力が「下」とされるチームによる番狂わせに、焦点を当ててみました。現段階でも、強豪と中堅、あるいは弱小との差は、決して小さなものではありません。今年の秋には、ご存知のようにWBC予選が世界各地で実施されますが、特に初めてこの舞台に足を踏み入れる国々は、まだまだ力不足だとみる向きが多いことも、容易に予想できます。
しかし、記事中でも触れたとおり、野球はどんなチームにも、やり方次第で勝つ可能性が残されているスポーツ。オランダがドミニカの足をすくったように(もちろん、当時からオランダは、ヨーロッパの中では圧倒的な力を持ってはいましたが)、持たざる者が持つ者を倒す可能性は、いくらでもあるわけです。スポーツにおいて、番狂わせ(ジャイアントキリング)は1つの大きな夢でありロマン。今後、オランダに続く「奇跡」を見せてくれる国は、一体どこになるんでしょうか?
posted by SYSTEM-R |17:52 |
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2012年02月03日
オランダ代表を語るうえで、絶対に欠かせない存在といえるのが、カリブ海のベネズエラ沖に浮かぶ同国の海外領土・キュラソー。MLBで本塁打と打点の二冠に輝き、ゴールドグラブも常連という伝説の名外野手、アンドリュー・ジョーンズ(ヤンキース)を筆頭に、ケンリー・ヤンセン(ドジャース)、ユレンデル・デキャスター(メキシカンリーグ)、ランドール・サイモン(タイガースなど)らを輩出し、オランダ野球にとっては必要不可欠な拠点です。日本の野球ファンには、昨季の本塁打王であるウラディミール・バレンティン(ヤクルト)や、その同郷の先輩であるヘンスリー・ミューレンス(元ヤクルト)の出身地としておなじみでしょう。
そのキュラソーにおいて、このたび本国のオランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)と、キュラソー野球連盟(FEBEKO)の共催による、コーチングクリニックが開催されることになりました。このイベントは、2月29日と3月1日の2日間にわたって開催される予定で、オランダ代表からはブライアン・ファーレイ監督、スティーブ・ジャンセン投手コーチ、ロバート・エーンホーンTD(テクニカルディレクター)が派遣されます。また、キュラソー側の講師には、ミシェル・キンバーン氏とロバート・コフィー氏の2人が選ばれました。
今回のクリニックは、両日とも夕方から夜にかけて行われます。初日は15時から17時まで、9歳から12歳までの選手とその指導者を対象とした、ユースクリニックが行われた後、17時半から開会式を開始。その後、まずファーレイ監督が先陣を切って壇上に立ち、「オランダ球界における長期的な選手育成」についての講演を行います。続いて、エーンホーンTDによる打撃指導が、18時半から1時間にわたって行われた後、30分の休憩をはさんで、キンバーン氏による選球眼についての講義、ジャンセン投手コーチによる投手の能力に関する講義が相次いで行われます。
一方2日目も、15時からの2時間はユースクリニックを実施。ただし、こちらは15歳から18歳までの選手と、その指導者が対象になっています。この日も、一番最初に壇上に立つのはファーレイ監督。18時から45分にわたって、「如何に成功できるチームを作り上げるか」について語ります。続いて、ジャンセン投手コーチが「ロングティーからブルペンへ」というテーマで、投手の練習プログラムの組み方について語ります。休憩後には、コフィー氏が「現在の選手たちと、効果的にコミュニケーションをとる方法」をテーマに、20時から45分間。エーンホーンTDが内野守備の指導法について、もう45分間スピーチをした後、さらに休憩をもう1度挟んで、最後は参加者全員によるパネルディスカッションを経て、全プログラムが終了します。
現在でこそ、マリエクソン・グレゴリウス(レッズ)やバス・デヨング(L&Dアムステルダム・パイレーツ)、ニック・ストイフバーゲンといった、オランダ本国出身(ただし、グレゴリウスは父親がキュラソー生まれで、カリブの血をひいていますが)の選手たちも台頭してきているとはいえ、依然としてキュラソーやアルバといった、海外領土の出身者たちが、オランダにとって必要不可欠な存在であることは事実。そして、両者が同じチームの一員として、世界と戦っていくためには、本国と海外領土との間で、指導に関する知識が共有されていなければなりません。
その意味で、今回のクリニックはオランダにとって、ヨーロッパでの覇権維持はもちろん、世界の強豪として戦っていくためにも、非常に重要な試みとなります。元々、毎年代表チーム同士で親善試合を戦うなど、つながりの深い両者ではありますが、このクリニックはその絆を、さらに深めるものにもなるでしょう。奇しくも昨日、イタリアでのコーチングコンベンションが成功に終わった、ということをお伝えしたばかり。今回のオランダ=キュラソー連合でのイベントも、ぜひとも意義あるものにしてもらいたいですね。
ソース:http://www.mister-baseball.com/knbsb-holds-coach-clinic-curacao/
posted by SYSTEM-R |11:23 |
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2012年02月02日
【管理人注】
この記事は、管理人自身の頭の中にあるものをそのまま文章にした、完全な創作です。急になんだか書きたくなったので、文章を書く練習も兼ねて、SLUGGERあたりで執筆している、スポーツライターになったつもりでやってみました。実在の人物や団体などとは、一切関係ありません。あらかじめご了承ください。以下のような設定や世界観を前提に、読んでいただければ幸いです。
・舞台は2045年のアフリカ大陸
・長らく開催されてこなかった「アフリカ選手権」が復活している
・有力なアフリカ人選手が、日米欧にどんどん進出し始めている
・カナダにMLBのような大規模リーグが生まれている
(本文ここから)
ピーター・フォーチュン(58)はこの2週間の間、これまでには予想だにしなかったような日々を過ごしているという。アフリカ選手権の会場となっている、地元南アフリカ・ケープタウンの、「グレートアフリカン・ボールパーク」で彼と会った時、彼の眼は赤く充血していた。しかし、「この大会の間中、まともに眠れていないんだ」と語る彼の声は、信じられないほど明るい。無理もない。大会統括責任者である彼にとって、この大会はあまりに、刺激と興奮に満ち溢れたものなのだから。
「もう何年も、この大会のオーガナイザーを任されてきたが、こんな光景は生まれて初めて見た。まさか、自分の目が黒いうちに、こういう場所に自分が居られるようになるとは、全くもって信じられないよ。このような大会の開催を指揮できたことは、自分にとって心から誇れることだ。確実に流れは変わってきている。そう実感するよ」(フォーチュン)
そう、興奮した口調で語る彼の周りには、20人をゆうに超える各国の報道関係者が、ずらりと勢揃いしていた。目の前では、総勢2万人収容のスタジアムが、観客たちでぎっしりと埋めつくされている。白人も黒人もアジア人もいっしょくたになったその光景は、さながら古い時代のヨーロッパのモザイク絵のようだ。「あそこを見てごらん」とフォーチュンが指差したその先には、バックネット裏に陣取る数多くのスカウトの姿も見える。皆、これからまさに始まる試合-地元南アフリカと、北アフリカの雄であるエジプトとの決勝-を、一目見ようと集まってきたのだ。
かつてアフリカは、その無残な姿を指して「暗黒大陸」と呼ばれた。ちょうど1世紀前に終わった戦争で、アフリカ人たちは皆、欧米列強の支配から解放されたかに見えた。しかしそれは、結果的にはさらなる悲劇の始まりに過ぎなかったのだ。是非はともあれ、各国にある一定の秩序をもたらしていた、旧宗主国による支配という「タガ」が外れたことは、結局住民同士の殺戮と、更なる貧困を生み出したに過ぎない。多くのアフリカ諸国は、政治にも経済にも大けがを負い、自国民を幸せにするだけの力を、失うだけに終わってしまったのだ。
しかし今、その暗い時代は彼方に消え去った。93億人が暮らす現在の地球上で、30年前と比較して最も人口の伸びが著しいアフリカ。大量の労働力を、安く調達できることに目を付けた先進国が、競うようにして生産拠点を設けるようになリ、ヒト・モノ・カネの動きが、かつてとは比べられないくらい活発になった。かつて、原油の採掘と売買によって繁栄していた、古き良き時代の夢に溺れ始めている中東から、今や経済の軸足はほぼ完全に南へと移った。暗黒大陸に、ついに日が昇ったのだ。
そしてその大きな変革は、この大陸の野球界にもドラスティックな変化をもたらした。30年前、自身も-残念ながら、代表歴こそなかったものの-南アフリカリーグで現役選手だったフォーチュンは、当時のアフリカにおける野球の在り方を、次のように回想している。
「当時、アフリカで野球といえば、かろうじて南アフリカの名前が挙がる程度だった。その頃、経済的に最も裕福だったのが我が国だったからね。そもそも、大陸全体でまともなスタジアムが数えるほどしかない時代だ。競馬で例えるなら、レースの遥か先頭を南アフリカが行き、10馬身離れてナイジェリアが、さらに10馬身ほど離れた後に、ジンバブエやガーナがかろうじてついて行っている、という感じだった。もちろん、国の間での実力差が大きすぎるから、活発な競争なんてあるわけがない。でも、大陸で先頭を行く南アフリカでさえ、世界大会では断トツの最弱クラスだったんだ」
しかし、現在のアフリカ球界に、そんな時代の面影はほとんどない。アフリカ諸国が、世界の強豪国(例えば、ヨーロッパや中南米の国々)に対して、アンダードッグの立場であることは変わらないが、その差は小さくなっている。2041年のWBC1次ラウンド(東京)で、南アフリカが強豪ドミニカ相手に、3-1で競り勝つという大番狂わせを演じてみせたのも、その1つの象徴的な出来事といえるだろう。
経済的に裕福になり、野球をプレーする環境が整ってきたことで、個々の選手の力も大きく伸びてきた。その中には、日米欧の野球先進国から、レギュラー候補生として目をつけられる者たちも数多くいる。ナイジェリアのエース右腕であるロイド・マルティンス(バンクーバー・ジャイアンツ/カナダ)は、今季国内リーグで13勝5敗、防御率3.58をマークした。ケニアリーグで打率.334、32本塁打、94打点をマークし、初代三冠王に輝いたケビン・ローランド(ナイロビ・ワイルドナイツ)は、両親の祖国であるイギリスのロンドン・メッツから、レギュラー候補筆頭としてオファーを受けた。そのメッツの主砲として、打率.326、28本塁打、117打点をマークしたジェイソン・ルイス・エスピノサ(南アフリカ)は、「ブラックダイヤモンド」との異名までつけられ、若き5ツールプレーヤーとして、現在日米欧の50以上もの球団による、凄まじい争奪戦のさなかにいる。
そして、最も特筆すべきことは、そうしたハイレベルな個の出現と合わせて、大陸内での活発な勢力争いが生まれていることだ。今回のアフリカ選手権には、本大会の3か月前に行われた予選も含めると、かつて野球連盟が存在していた国の数の2倍近くにあたる、32か国が参加。本大会ベスト8以降の全試合では、5点以上の差がついた試合は皆無で、しかもゲームの中身も非常に濃いものだった。
「今大会では、ロースコアの接戦が非常に目立っているが、それらは単に野手陣が低調だったから、というわけでは決してない。むしろ、どの国もディフェンス面が非常にハイレベルで、素晴らしかったことが原因だ。今では、どのチームにも140km台半ばの速球を投げる投手が複数いるし、守備陣ともきちんと連携が取れているケースがほとんど。(16チームが参加した)1次リーグならともかく、ベスト8以降はつまらないエラーもない。どのチームも、決して日米欧の強豪に引けを取らないし、しっかり戦えていると感じたよ」(フォーチュン)
決勝戦の試合も、そんな今大会を象徴するような接戦となった。1-1で迎えた8回裏、試合の均衡を破ったのは、イタリア下部リーグでプレーするエジプトのエース、ムハンマド・マリク(コドーニョ)の151㎞速球を、右翼席中段に叩き込んだエスピノサの一発だった。結局2-1で辛くも勝利し、優勝の美酒に酔う選手や観客の姿を見ながら、フォーチュンは目を細めてつぶやいた。
「今はまだ、アフリカ野球は先進国と比べれば、挑戦者の立場にいるにすぎない。それは我々自身が一番自覚していることだ。しかし、我々は今、かつてないほどの進歩を遂げていると思うし、これからもまだ成長の余地は残されている。今戦っている彼らの下の世代にも、ポテンシャルを秘めた若者たちが大勢いるからね。南アリーグのシーズンが始まる直前の11月には、今大会で活躍した選手たちでアフリカ選抜を組んで、日本に遠征に行く予定だ。日本は「日出国(Rising sun)」の国だというが、アフリカにも太陽は上ってきているよ(笑)。彼らは紛れもなく、世界最高のチームの1つだが、どこまで我々が勝負できるか、それが非常に楽しみなんだ」
かつてと比べて、大きくその姿を変えつつあるアフリカ球界。彼らが、アジア・米大陸・ヨーロッパに次ぐ、国際球界の第4極として躍り出てくる日は、そう遠くないのかもしれない。
(ここまで本文)
いかがでしたでしょうか?今回は、アフリカ野球ネタでやってみました。まさか、2日連続でこの手の記事を書くことになるとは。正直、今日はそこまでやるつもりじゃなかったんですが、「続けてくれ」と言ってくださる方がいるなら、そりゃブロガーとしてはやるしかないですよね(アメブロ版の方で、そうしたリクエストをしてくださった方がいました)。
現在のアフリカは、残念ながら文字通りの「野球不毛の地」。その深刻さはヨーロッパ以上で、現時点での姿を知る今の時代の常識では、この記事の内容程の盛り上がりは、まるで予想できないものかもしれません。しかし、この大陸の野球のレベルが上がることは、国際球界全体にとっても、競争のレベルをもう1段階引き上げることであるのは間違いないはず。この記事の舞台は、今から33年後という設定ですが、その頃にはこの記事で書いた内容の数%でも、実現していたら嬉しいですね。
posted by SYSTEM-R |23:04 |
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2012年02月02日
第26回イタリアン・ベースボール&ソフトボール・コーチングコンベンションが、同国最大の湖であるガルダ湖畔の、ゴルフリゾートにおいて開催されました。コミッショナーのジョルジオ・モレッティ氏が「26年の歴史の中で、最高の大会の1つになった」と語った今イベントには、ベルギーから委任されたメンバーも含め、436人もの指導者が参加しました。
1986年に初めて行われたこのコンベンションですが、その歴史の中で初めて、今回実現したものがありました。それは、イタリア球界出身の大リーガーが参加したこと。もちろん、その大リーガーとはアレックス・リッディ(マリナーズ)のことで、参加者から数えきれないほど、記念撮影とサインをせがまれた他、イタリア代表のマルコ・マジェッリ監督のスピーチにも列席しました。
マジェッリ監督は、2003年に彼をイタリア代表デビューさせた指揮官。氏はリッディについて「もちろん、アレックスには成功するための、大きなポテンシャルが秘められていた。しかし、私が彼に魅せられたのは、その才能が第一ではない。私にとっての彼の魅力は、今まさにそうであるように、選手としてビッグになりたいという強い気持ち、そして最低1万時間はフィールドで練習を重ねたいという、彼の意欲だった」と語っています。
今回のコンベンションでは、マジェッリ氏を含めた20名が、壇上に上がってスピーチを行いましたが、その中には5人のアメリカ人も含まれていました。ジム・ヒッキーとデレック・シェルトンは、ともにタンパベイ・レイズの一軍で、それぞれ投手陣と打撃の指導を任されている現役コーチ。また同球団からは、元大リーガーで現在はメンタルコーチの任についている、グレッグ・リドック氏も参加しました。また、ソフトボールオランダ代表監督のクレイグ・モンテビダス氏も、同じくソフトボールイタリア代表のマリーナ・セントローネ監督とともに、スピーチの大役を務めています。
このコンベンションにおいては、1つの嬉しいサプライズもありました。それは、ヒッキーとシェルトンの両コーチの上司である、レイズのジョー・マッドン監督が、休暇のため訪れていたベニスから、夫人とともにディナーに参加したこと。実はマッドン監督も、現在全米に1500万人存在する、イタリア系アメリカ人の1人なんです。現在こそ、アメリカナイズされた姓(Maddon)を名乗っていますが、元々の姓は「マドーニ(Maddoni)」。彼の祖父母は、アブルーゾ地区からアメリカへと渡った移民で、マッドン監督はその子孫に当たります。
「自分がイタリアの血筋を引いていることに対して、誇りを持っている。だからイタリアを訪れることは、自分にとってとても喜ばしいことなんだ」と語るマッドン監督は、今季もMLB最大の激戦区とされる、ア・リーグ東地区において、ヤンキースとレッドソックスの超2強に挑むことになります。今年レイズが目指す目標などについて、他の参加者からいくつか質問を受けたマッドン氏は、レイズの今季について、次のように語ったそうです。
「タンパベイ・レイズは、今季も覇権のために戦い続ける。鍵となるプレーヤーは、残念ながらオフのFA市場で、何人か手放すことになってしまったが、だからといってこの方針を変えるつもりはないよ。なぜなら、我々が最も大切にしているのは、個人の能力に頼るのではない、チームとしての戦いだからね」
ビッグなゲストの参加などもあり、大いに盛り上がった今年のコンベンション。ここで参加者同士で共有された知が、今後それぞれのチームにおいて、レベルアップのために大いに活用されるといいですね。これまでWBCに参加してきた、イタリア系アメリカ人のマイナーリーガーの多くは、既に30代半ばとベテランの域に差し掛かっており、これからはイタリア本国からも、新しい若い才能が台頭することが望まれます。来年の第3回大会に臨むうえで、今回の会合がいい影響をもたらすことになればいいですよね。
ソース:http://www.mister-baseball.com/436-coaches-joe-maddon-attend-italian-coach-convention/
posted by SYSTEM-R |11:26 |
ヨーロッパ野球 |
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2012年02月01日
【管理人注】
この記事は、管理人自身の頭の中にあるものをそのまま文章にした、完全な創作です。急になんだか書きたくなったので、文章を書く練習も兼ねて、SLUGGERあたりで執筆している、スポーツライターになったつもりでやってみました。実在の人物や団体などとは、一切関係ありません。あらかじめご了承ください。以下のような設定や世界観を前提に、読んでいただければ幸いです。
・主人公はドイツ代表の4番・セカンドを任される、アラブ系ドイツ人のスラッガー(29歳で右投右打、レーゲンスブルグ・レギオネーレに所属)。8シーズン連続で3割30本100打点以上、うち40本塁打を3度達成
・舞台は2045年のヨーロッパと中東
・ヨーロッパにはオランダ・イタリア・サンマリノ・ドイツ・スペイン・チェコ・イギリス・フランス・スウェーデンの9か国32球団、中東にはイラン、イラク、サウジアラビア、UAE、レバノンの5か国16球団からなる、連合プロ野球リーグが誕生している
・多くの国に代表チームが設けられ、各国の国民から支持されている
(本文ここから)
野球というスポーツを取り巻く環境は、この2~30年で180度変わった。「野球がグローバルなスポーツである」ということを信じなかったり、そう信じる人々を嘲ったりする者たちは、今やこの地球上では、ほんの小さな立場を占めるにすぎない、化石のような存在にすらなってしまっている。彼らにとっての野球の国際化とは、かつてこの星の支配者だった恐竜たちを、伝説の1ページに葬り去ってしまった、隕石の衝突のようなものなのかもしれない。
今のこの時代、野球をナショナリズムを抜きにして語ることは、もはや不可能に近い。かつて、北米の1リーグのファイナルによって決定されているにすぎなかった、「野球世界一」の称号は、4年に1度争われるWBCの勝者にのみ、名乗ることが許されるようになった。人々は地元のプロ野球チームはもちろん、それぞれの国のトップ選手が顔を揃える代表チームにも-ちょうど、遥か昔から変わらず、サッカーがそうあり続けているように-世界と戦う姿を自分と重ね合わせながら、大きな声援を送る。そこには、自らの国や民族に対する誇りやプライドが、体現されていると言っても決して過言ではない。
しかし、ナショナリズムはひとたび方向性を間違えると、えてして暴走するものだ。悲しいかな、世界的に評価され受け入れられていく過程で、野球界はかつて直面することがほとんどなかった、民族問題とも向き合わなければならなくなった。そして、その根深い問題を考えるうえで、ミヒャエル・マリク・シュミットの人となりについて語ることは、ある意味で最も適切な方法なのかもしれない。
ミヒャエルは2016年7月7日に、ともにサウジアラビアからの移民である両親のもとに、地元レーゲンスブルグで生まれた。もっとも、彼自身は生みの親の顔を知らない。母親は自らの命と引き換えに、ミヒャエルをこの世に送り出し、仕事を途中で切り上げて病院に向かっていた父親も、その途中で交通事故に巻き込まれて命を落としたからだ。そのため、彼は生まれて数日後に、子供のいなかったアドルフとアンジェリーナのシュミット夫妻-現在の彼の両親-に引き取られることになる。しかし、彼らのもとで育ったミヒャエルが体験したのは、自らの名と顔立ちとの齟齬からくる、周囲からの偏見や差別だった。
「自分を育ててくれた両親のことは、今でも本当に愛しているよ。ただ、子供の頃は周りから苛められるのが嫌で、自分の名前を名乗ることに抵抗があったのも事実だ。この顔のせいで、随分と嫌な目にあったからね。俺をいじめていた連中にしてみれば、ミヒャエル・シュミットなんていう、典型的なゲルマン系の名前を、アラブ人の顔をした奴が名乗っていたことが、生理的に受け入れられなかったんだろう。正直、アラブ系の名前を付けてもらった方が、まだマシだとすら思ったね」(ミヒャエル)
ミヒャエルが野球と出会ったのも、そんないわれのない偏見に苦しんでいた、幼少の頃だった。彼を罵倒していた者たちが、攻撃の際に使っていた「Die Arab(アラブ人)」という蔑称は、現在でこそその実力を畏れる者たちによる、彼自身の代名詞に昇華されたものの、ミヒャエル自身は今でも、当時抱えていた気持ちを持ち続けているという。
「今では、昔ほど見た目のことで、陰口を叩かれるようなことはなくなったが、『例えドイツ人であっても、ゲルマン人ではない』というコンプレックスは、今でも心の中に持ち続けているよ。俺が今やっている野球だって、その感情から解放されるために続けているようなものさ。俺がホームランを打ったり、守備でファインプレーを見せたりすれば、観客たちは皆スタンディングオベーションで、俺のプレーを称えてくれる。その時だけは、そうした劣等感とは無縁でいられるんだ。でも、アラブ系ドイツ人として生まれた以上、この感情は一生背負っていかなきゃいけないと思っている。だからこそ、簡単に現役をやめるわけにはいかないんだよ」(ミヒャエル)
もちろん、今でも「ゲルマン教」の熱狂的な信者たちは、彼がドイツ代表のユニフォームに袖を通すことに、依然として眉をひそめている。しかし少なくとも、ミヒャエルのことを悪く言うような人間は、彼の周りにはもはや1人もいない。イタリアが生んだ世界最高の遊撃手の1人で、まだU-18代表にいた頃から親友かつライバルとして、ミヒャエルと接してきたルカ・ヴァレンティノ(ロサンゼルス・ドジャース)は、「自分にとって決して欠かせない存在」と言う同い年の彼のことを、次のような言葉で評している。
「誰だって同じことを言うと思うけど、ミヒャエルは紛れもなくナイスガイだね。長い間、化け物みたいな成績を残してきたし、醸し出しているオーラや威圧感は半端じゃないけど(笑)。常に真面目で、実直で、野球に対しても非常に真摯だ。8年連続で3割30本100打点以上を記録して、今じゃ年に2000万ドル稼ぐような大打者になっているというのに、彼はいつだって手を抜いたりしない。誰よりも早く球場にやってきて、誰よりも遅く球場を後にするというじゃないか。若手にとっては、まさにお手本になる存在だと思うよ。確かにゲルマンの血は引いていないけど、それはドイツという国じゃ別に珍しくもないだろ?」
ミヒャエルの両親の祖国であるサウジアラビアにも、彼の信奉者たちは大勢いる。2044年のオールスターウィーク中、ドイツ代表はサウジアラビア・リヤドへの遠征を行い、サウジアラビア代表との国際親善試合を戦った。ドイツが9-1と大勝を収めたこの試合、その勝利の原動力となったのは、5打数3安打3打点の活躍を見せたミヒャエルだった。興味深かったのは、敵チームの選手であるにもかかわらず、サウジアラビアのファンからも、彼に対して大きな声援が送られたということだ。
「マリク(中東の野球ファンは、ミヒャエルのことをこう呼ぶ)のことを、敵だと思っているサウジアラビア人などいないよ」と、サウジアラビア野球連盟(SABF)会長のモハメド・アル・ハリティは笑う。「確かに、彼はドイツで生まれ育ったドイツ人だが、血は我々と同じアラブ人のものだ。今は中東にもプロリーグができて、選手のレベルも相当上がっているが、それでも日本やアメリカ、ヨーロッパとはまだ開きがある。彼の活躍は、我々アラブ人も野球の世界で成功できる、ということを教えてくれているようなものなんだ。だから中東の野球ファンにとって、彼は英雄なんだよ」
ドイツとサウジアラビアという、2つの国を生まれながらにして背負うミヒャエルにとって、ナショナリズムは切っても切り離せない宿命といえる。残念ながら、彼の出自に後ろ指を指すような声は、限りなく小さくなることはあっても、完全に掻き消えることはないのかもしれない。しかし一方で、ドイツとサウジアラビアのいずれにも、それよりもはるかに多くのファンが存在していることも、また忘れてはいけない。その意味で、彼がこの「野球国際化時代」の体現者の1人であるということに、異論をはさめる者はいないだろう。
ところで、ミヒャエルが将来的に、サウジアラビア代表に鞍替えしてプレーする、という可能性はあるのだろうか。WBCの規定に沿えば、両親ともサウジアラビア人の彼には、その資格があるのだが。「さぁ、どうだろうな(笑)。残念ながら、今の俺自身はアラビア語が話せないからね。それに、今はドイツ代表で必要とされている立場でもあるし。ただ、自分の両親の祖国で、代表選手としてプレーできる経験は、何物にも代えがたいものだと思う。いつか、そういうチャンスが来れば面白いと思うね」(ミヒャエル)
(ここまで本文)
いかがでしたでしょうか。いかにも雑誌のコラムとかでありそうな口調を真似してみたんですが、うまくそれっぽく書けてますかね。もちろん、現在の野球界ではこんなことは起こりえないのですが、将来的に盛んになってきたら、このミヒャエルみたいな選手も出てくるのかなぁという気はします。もともと、イスラム系移民がドイツに多いのは事実ですしね。
ただ、これは以前の記事のコメント欄でも書いたことですが、自分の血は自分で選ぶことも、変えることもできません。結局は、変えられないものは変えられないと受け入れて、今あるそいつ自身のままで頑張るしかないんですよね。たとえどんなルーツを持っている選手であれ、頂点を掴むために真剣に頑張っているアスリートたちのことを、これからも応援していきたいと思います。
posted by SYSTEM-R |22:48 |
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