2008年05月21日

にわとりも卵も先

 6月10日まで、かなり長く感じる。
 特に先週末の出来事があったからこそ、そう感じる。

 日本大―中央大対抗戦の場で、上野広治日本代表監督のカコミ取材があった。そのとき、現場の方にとっては大切なこと(おそらく伝わっているとは思うが)もあったので、あらためて、そのコメントを確認したい。コーチ、選手のみなさんが見ていたらよく覚えておいてください。

 水着の件。水泳連盟がサプライヤー契約関係にある3社に対して依頼した水着の改良品提出の締切が5月30日。その改良品を選手が試着することになるのだろうが、上野監督は「試着後に、選手からなんらかしらの要望があれば、常務理事会にあげる」とのこと。水泳連盟は6月10日に開催予定の常務理事会後に水着の件に関する見解をあらためて出すというから、選手の意見は非常に大切なものになってくる。

 そしてこうも付け加えている。
「水着の件についてはコーチの意見は関係ないあくまで選手からの意見があったときのみ、理事会に意見をあげます。もちろんそれがたとえ1人であったとしても、です」

 選手は言いにくいのでは? の質問には、「なんでも言える雰囲気を作ってきているから、問題はないです」とのこと。「もちろん、大切なことなので、説明はしっかりします」。

 こんなこと言うのも失礼かもしれないが、個人的な意見を言わせてもらえば、上野監督には、試着後の感想を、上野監督御自身から選手に聞いていただきたい。もしくは記名でアンケートをとっていただきたい。

 オリンピック代表選手31名のうち23名が初出場の選手だし、雰囲気を作っているつもりでも、互いにあまり知らない選手(特に今回が初の日本代表の選手)であれば、遠慮してしまう部分もある。それが余計にストレスになってしまっては、それこそ不安が増幅してトレーニングに集中できなくなってしまうと思うからだ。

 相手の立場に立って物事を考えるのは難しいことではあるけれど一番大切だし、上野監督御自身、学校の教員であれば、普段生徒と接することには長けている方だと思うので、代表選手に対しても、一歩踏み込んでいただければと思う。
 かなり失礼な意見かもしれないが、事態が事態だけに、ぜひ、お願いしたい。そしてその意見をストレートに理事会で伝え、戦う選手が一番良い精神状態で本番に臨めるような環境にしていただきたい。

 先週末には日本選手権では別の水着を着用していた日本代表選手がレーザーレーサーを身につけ、好感触を得ている。
 森田智己、伊藤華英、中村礼子。3人とも従来身に着けていた水着メーカーの了解を得たうえで試着を行なったのは、オリンピックで戦うためのひとつの準備。万全の状態で臨み、自分の力を発揮し、栄冠を勝ち取りたいからこそ、必要に迫られたうえでの選択なのだ。

 北島康介は、従来の水着で早慶戦にオープン参加したが、記者会見では「(水着問題は)正直、うっとい(うっとおしい)。別の形で水泳が注目されたかったな、と思います」と、辟易した様子だった。
 金メダリスト候補がこれだけ、感じているのだから、水泳連盟としては選手の意見を尊重した見解を出すべきである。

“水着云々の前にトレーニングに集中しろ。水泳で大切なのは身体を鍛え、自分の力をつけること”という本質論は、もちろん大切だし、尊重するし、それはどの時代も変わりはない。

 ただし、いまは2008年5月21日、北京五輪まであと100日を切った状況であり、「水着云々の前に」では済まないからこそ、今の状況になっていることを忘れてはならない。
議論を摩り替えることはやめてほしい。

 「にわとり(トレーニング)が先か、卵(水着)が先か」ではなく、「にわとりも、卵も先」なのだ。

 牧野 豊
 



 

posted by swimming-m |21:05 | コメント(0) | トラックバック(0)
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