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ラーゲルベック氏がスウェーデンサッカー界に警鐘「組織と守備が軽視されている」

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 前スウェーデン代表監督で現在はアイスランド代表を率いるラーシュ・ラーゲルベック氏が、母国のサッカーの現状に警鐘を鳴らしている。

 先日閉幕したブラジルW杯にスウェーデン代表の姿はなかった。地区予選では優勝国ドイツに次いでグループ2位でプレーオフに回ったもののポルトガルの前に屈し、前回の南アフリカ大会に続いて2大会連続の予選敗退となった。クラブチームに目を移せば、UEFAチャンピオンズリーグ本大会に出場したのは1999-2000シーズンのヘルシンボリIFが最後で、以降は予備予選で姿を消している。この不振の要因は何なのか。第二の都市ヨーテボリの地方紙『Göteborgs-Posten』がラーゲルベック氏に話を聞いた。

 ラーゲルベック氏がスウェーデンを指揮していたのは2000年から2009年まで。そのころの代表チームはいわゆる「黄金時代」と呼べるかもしれない。先述したように南アフリカW杯への出場権は逃したものの、EURO2000からEURO2008まで5大会連続でビッグトーナメント出場への切符を獲得。うち3大会において決勝トーナメント進出を果たした。とりわけ目を引くのが、トミー・ソーデルベリ氏と「二頭体制」を組んでいた2000年から2004年までの予選における戦いぶりだ。その成績は26戦20勝で敗戦は1度だけ。得失点に目を移せば、得点数49で失点数は何とわずか7。日韓W杯ではアルゼンチン、イングランド、ナイジェリアが同居した「死のグループ」を1位通過した原動力となったその守備力と組織力の高さを世界に知らしめた時期だった。ラーゲルベック氏は当時のことを以下のように振り返っている。

「攻撃と守備のバランスがうまく取れていた。退屈なサッカーだったという声もあるが、そもそも『退屈なサッカー』とは何なのか私にはわからない。当時のチームの得点数と失点数を見ればそんなことはないのは一目瞭然なのだが、なぜ退屈だと言われていたのか理解に苦しむ。そういうことが語られるときは、データよりも感情に左右される傾向にある」

 ラーゲルベック氏は南アフリカW杯地区予選終了後に退任し、代表監督のバトンは現在のエリック・ハムレーン監督に引き継がれた。就任当初から攻撃的なパスサッカーを標ぼうしてきた同監督だが、一方で失ってしまった要素もある。ラーゲルベック氏によれば「組織」と「守備」だ。

「代表チームが2大会連続で出場権を逃した時期は多くの人がバルセロナとスペイン代表に注目していた。彼らのプレーが素晴らしいのは言うまでもない。だがバルセロナとスペイン代表にはそれを可能にする選手たちが揃っている。技術に長けた選手がいなければ彼らのようにプレーするのは無理だ。われわれはスウェーデンのサッカー界で何が議論されているのかを熟考すべきではないか。何を優先し、何が重要なのかということをね」

「現実的に物事を捉え、選手の資質を踏まえた上で優先事項を決めるべきだと思う。自分たちのやり方で強豪チームに勝つというのは非現実的だ。トップレベルにおいては選手のクオリティに合ったプレーをしなければならない」

 この、いわゆる「バルセロナ・シンドローム」は代表チームのみならず国内のクラブチームにおいても見られる現象のようだ。

「クラブチームではテクニックとパスプレーが重要視され過ぎている。もちろんそういった要素に力を入れるべきだ。だがその一方で組織と守備が忘れ去られてしまっている。組織と守備が軽視されているのはパスプレーの虜になっているからだ。世論はパスサッカーを好み、メディアまでもがそれに追随してしまっている」

 先のブラジルW杯はドイツの優勝をもって幕を閉じた。ラーゲルベック氏は同大会をどのように捉えているのか。そしてスウェーデンが学べる点は何なのか。

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東京都葛飾区生まれ、埼玉県草加市出身。 94年の米国W杯でスウェーデン代表を観て、スウェーデンという国に関心を持ち始める。 大学卒業後は就職するも、憧れのスウェーデンで生活してみたいという思いを捨てきれずに退職。2006年8月、中堅都市ヨンショーピンの国民高等学校に留学してスウェーデン語を学ぶ。 帰国後は企業でネットワーク運用・保守に携わる傍ら、スカンジナビア諸国のサッカー情報を日々チェックしている。『ワールドサッカーダイジェスト』『スポーツナビ』『サッカー批評』『フットボールサミット』で執筆経験あり。
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