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イブラヒモビッチのジェンダー発言はサッカー協会の不手際に起因か

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 スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチが、同国の夕刊紙『Expressen』のインタビューにて「男子サッカーと女子サッカーは比較できない」と発言したことが大きな波紋を呼んでいる。

 スウェーデンサッカー協会は先月、同国のサッカーアワードにて、9月に男子代表歴代最多キャップを更新したMFアンデシュ・スベンソンの功績をたたえる意味でボルボ製の自家用車を贈呈。だがその一方で、スベンソン以上のキャップ数を持つ女子代表MFテレーセ・ショーグランには何も贈らなかったことに対して「不平等だ」「女性差別だ」と多方面から非難の声があがっていた。

 このことを受けて、イブラヒモビッチは「欧州の舞台に出ると俺はメッシやクリスティアーノ・ロナウドと比較される。だけどスウェーデンに戻ってくるとひとりの女子選手(ロッタ・シェリン。女子代表チームのエース)と比べられるんだ。女子選手の成し遂げたことに対してとても敬意を払っている。彼女たちは素晴らしい結果を残してきた。だけど男子サッカーと女子サッカーを比較することはできない。笑えない話だ。彼女たちは金銭面で何をもたらしたかによって評価されるべきだ。彼女たちの個人的偉業には車ではなく俺のサイン入り自転車をやるよ。それで十分だろ」とコメントしたと言われている。

 イブラヒモビッチの発言が活字になると、パリSGに所属するストライカーはすぐさま俎上に載ることになった。
 女子代表のピーア・スンドハーゲ監督は「チームの主将がああいうことを言ったのはスウェーデンサッカーにとって残念で悲しいことだ。(イブラヒモビッチの発言は)男子選手には基本的価値観が欠けているということを示している」とコメント。5歳のころから代表チームでプレーすることを夢見てきた女子代表MFカロリーネ・セーゲルはインスタグラムにおいて「女子サッカーに敬意を払ってほしい。だけどそれよりも、自分が何を言ったのかをよく考えてください。なぜなら、かつての私と同じ夢を抱いている5歳の女の子がいるから」と記し、同じく代表DFニッラ・フィッシェルは自身のツイッターアカウントで「これまで読んだなかでも最も馬鹿げた発言」とバッサリ切り捨てた。

 一方でズラタンの発言に理解を示す人物もいる。アンデシュ・スベンソンだ。W杯地区予選後に代表引退を表明したベテランMFは今月10日の時点で夕刊紙『Aftonbladet』において「理想の世界では、同じ興味や同等の報酬というのは存在し得るだろう。だけど男子代表が多額の収入をもたらす一方で女子代表は足を引っ張っている。女子代表や若年層の代表チームが遠征に行くことができるのは男子代表が獲得した資金のおかげなんだ」とコメント。先に記したイブラヒモビッチの「女子選手は金銭面で何をもたらしたかによって評価されるべき」という考えと一致している。

 また、スウェーデンのサッカーサイト『Fotbollskanalen』が実施している読者アンケート「ズラタンに同意するか?」では「はい」の回答数が何と全体の90%を占めており、米『Bleacher Report』のアンケート「イブラヒモビッチに同意するか?」でも85%が「はい」と回答している。

イブラヒモビッチは「自転車」発言を否定

 渦中の人物となってしまったイブラヒモビッチは、『Expressen』で報じられているインタビュー内容の一部に誤りがあるとして、自身の公式スマートフォン用アプリ『Zlatan Unplugged』で以下のように反論している。

「はっきりさせておきたい。(男子サッカーと女子サッカーを比較できないという)俺の批判はメディアに向けられたものであるということを。俺は女子サッカーには十分な敬意を表している。彼女たちは素晴らしい成績を残してきた。女子代表チームを非難したことなんてない」と記し、「アンデシュ(スベンソン)はメディアにおいて不当な扱いを受けてしまったと思う。俺の(インタビューでの)発言はそのことに起因しているんだ」と元チームメートの功績が自家用車を贈るか贈らないかで台無しになってしまったことを憂いている。

 同選手はまた、パリSGの冬季キャンプ地であるカタールで30日に開かれた記者会見において、「サイン入り自転車」は単なるジョークだと弁明している。

「(サッカーにおける男女比較は)スウェーデンではとてもデリケートなテーマだ。俺は、男子サッカーと女子サッカーを比較するなんて不可能だと言っただけなんだ。(『Expressen』の)インタビューを受けたのは俺がある賞を獲得したから。(発言に関しては)俺のミスだった。自転車のことは俺とインタビュアーだけのジョークだったんだ。だけど活字になってしまったのは良くなかった。来年は賞を受賞してもインタビューには応じないよ」

今回の論争のもとは協会の不手際か

『Fotbollskanalen』のオロフ・ロンド氏によると、イブラヒモビッチの今回の発言は、先述したようにスベンソンには自家用車を贈呈した一方でショーグランに何も贈らなかったことに対して批判を浴びている協会を擁護するためだったのではないか、とのこと。同氏は以下のように話している。

「協会のミカエル・サントフトとラッセ・リヒトはショーグランの件で大きな批判を浴びた。そしてリヒトは協会のなかではズラタンともっとも親しい間柄にある人物だ。ズラタンは協会をかばおうとしたのではないか」

「協会は大きな過ちを犯した。男女平等に関して確固たるビジョンを持つスウェーデン最大の団体が、代表最多キャップを持つ選手に報いる場合は男女間で差をつけることなどできない」

 スウェーデンの女子サッカーサイト『damfotboll.com』のアルバ・ニルソン氏もルンド氏の考えに概ね同意しており、「協会がショーグランを無視しなければ(何かしらの賞を与えていれば)今回のズラタンの発言は存在しなかっただろう」とコメントしている。



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イブラヒモビッチのジェンダー発言はサッカー協会の不手際に起因か

イブラらしいですね。でも私もイブラと全く同じ考えです。男子サッカーと女子サッカーの違いって競技そのものの違いといってもいいのかもしれませんよ。サッカーとインドアサッカー、フットサル、ビーチサッカー位の違いと言えるかもしれません。
 何より私は男性ですが、女性とは平等とは全く思ってません。男性と女性にそれぞれ特性が有りそれゆえに完全な平等は望むべきではないでしょう。でも女性への敬意と尊重を忘れることはしません。
 女性が社会進出してきたのが20世紀半ばの頃ですが、それによって女性でも男性と対等の立場や責任を負うことができるというものだったと思います。でもそれは女性であるがゆえに優遇されることを放棄することでもあるのではないでしょうか。
 日本では逆の方向にバランスが悪くなってる気がします。痴漢問題、プライバシー問題、セクハラ問題、ストーカー問題などにおいて、女性は男性より有利な立場で闘える傾向が多いです。法や条例などは女性有利な内容がしばしば見受けられると思います。そのあたりジャーナリストやマスコミの影響を社会がモロに受けて女性が必要以上に神経質になったり、被害者妄想を肥大化させたりした結果と言っていいのだと思います。男性は怖くて仕事などで女性に近づくこともできなくなったのではないでしょうか。夜道に50mくらい男性と同じ道を歩いた女性がその男性をストーカーだと思い込んでしまうこともあるんですよ。ゲルントの件もそうだったのですが、女性特有といってもいいその必要以上の神経質と、それに呼応する女性の権利保護団体のような人たちってそのコントロールをしっかり理解して貰いたいですね。あまりに主体的になりすぎては本当に困ります。我々男性だってかつてのように男尊女卑を掲げてる古い時代の人間ばかりではなく女性そのものへの敬意や配慮、何より素敵な女性と一緒に仕事ができたりすることには少なからず喜びもあるわけですから。

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東京都葛飾区生まれ、埼玉県草加市出身。 94年の米国W杯でスウェーデン代表を観て、スウェーデンという国に関心を持ち始める。 大学卒業後は就職するも、憧れのスウェーデンで生活してみたいという思いを捨てきれずに退職。2006年8月、中堅都市ヨンショーピンの国民高等学校に留学してスウェーデン語を学ぶ。 帰国後は企業でネットワーク運用・保守に携わる傍ら、スカンジナビア諸国のサッカー情報を日々チェックしている。『ワールドサッカーダイジェスト』『スポーツナビ』『サッカー批評』『フットボールサミット』で執筆経験あり。
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