2010年01月03日

【2010AJ】Answer(3)田上和佳(慶應義塾大)

人は時に明確な答えを求めてしまう。肯定なのか否定なのか、どちらなのかと。
「では、悔いは“ない”ですか?」
このシーズン、大学バスケットの3大タイトルであるトーナメントこそ制したものの、続くリーグ・インカレはあと1歩の準優勝。さらに彼らがその3大会と同じくらい大事にしている慶早定期戦も敗れている慶應義塾大の主将、田上和佳にとって、それはかなり意地悪な質問だった。

しかし彼は背筋を伸ばし、ふっと息を吐いてその問いに答えた。
「はい、悔いはありません」
その表情は、先ほど流したばかりの涙の残る、すがすがしい笑顔だった。
人の心を最も揺さぶるのは、涙よりも、笑顔よりも、泣き笑いなのかもしれない。

summership-148918.jpg
本音を言えば、悔いがないはずはない。たとえ先述の試合を全て勝っていたとしても、キャプテンとして、1プレイヤーとして、1人の人間としてはどうかと訊かれれば、やはりないとは言えないだろう。 だからこそ、彼は“ない”という答えを選んだ。 「僕らがやり残したことは、後輩が受け継いでくれるのが慶應だと思うので…あとは、後輩達に任せます」 オールジャパン3回戦、JBL・三菱電機との試合は、田上の学生最後の、そして現役最後の公式戦となった。そこで彼が見せたのは、この1年彼ら4年生が何をやろうとし、そして何をやり残したか、だった。 「チーム力をあげるにはチームが“楽しむ”こと、コーチに叱られたときはキャプテンの“明るい姿勢”が大事なんじゃないかと気付いた頃には、大会はほとんど終わってしまっていました。でもなんとか最後に後輩達にそれを示せたらな、自分のベストを出すことに集中する姿勢でもって示せたらなと思ってこの大会に臨みました。実際、試合中には姿勢がどうとかは考えず、できることを一生懸命、がむしゃらにできた。それを、どう感じてくれるかだと思います」 4Qに見せた鮮やかなバスケットカウント、それが彼のいわゆる“第1線”の公式戦で残した最後の記録である。その瞬間のベンチやスタンドのもり上がりからすると―彼の姿勢は伝わっている、と信じたい。 田上に後悔は“ない”が、周りの人に申し訳ないという思いはあるという。ただ、得たものは本当に数え切れないほどあり、その経験を次のステージにつなげることで、恩返しとするつもりだ。 試合後の最後の集合で、田上は言った。ベンチ入りした12人のメンバーのうち、10人を占める後輩たちに。 「苦労をかけてしまって申し訳ない。皆は今後の慶應の核になるメンバー。僕の大好きなチームを、よろしくお願いします」


posted by summership |23:00 | コラム | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2010年01月01日

【2010AJ】Answer(2)福田将吾(鹿屋体育大)

今シーズンの鹿屋体育大という存在は、男子大学バスケに何を残したか―?

この問いに答えなくして、この代の大学バスケットをしめくくってはいけない気がする。
強化指定となり推薦入部者が加わってからちょうど4年目、インカレ出場16回目にして初勝利を挙げた次の年に、彼らはチーム史上初めてトップレベルの証明であるインカレベスト8に名を連ねた。

その一方で、空気の一変する準々決勝では全くと言っていいほど力を発揮できずに敗れ、シーズンインから優勝という目標を掲げて臨んだオールジャパンも1回戦敗退という結果に終わった。

オールジャパン1回戦・タツタ電線との試合に敗れた後、福田将吾コーチは泣いた。
「…かけていたので。全てをかけてここまで来たつもりだったんですが、何もやれずに終わってしまった。本当に自分はまだ何もしていない、何も成し遂げていないです」

summership-148919.jpg
彼が鹿屋体育大の大学院生としてチームに関わったこの2年間で、西日本選手権ベスト4、オールジャパンベスト16、インカレ7位とチームの最高成績を次々塗り替えた。それは彼とチームの取り組みの成果ではあったが、求めていた答えでは――なかった。 「スタッフもメンバーもしっかりやってくれましたし、やるべきことをやってきたと思っています。でも、求める結果を出せなかったということは、それにふさわしいことをやってこれていなかったということで、悔しいです。僕はインカレもただ7位としか思っていません。優勝もしていないし、優勝に手すら届いていなかった」 さらに、チームは未知のステップに足を踏み入れることが出来たが、今度はそこで今までにはなかった壁にぶつかった。それは“受けに回ってしまう”ことだ。 「オールジャパンは、1回戦の相手・タツタ電線さんのビデオを見て研究してきて、選手の特徴やフォーメーションまで万全に準備していたんですが、出だしが全てでした。もう受けに回っていました。ここで勝てば慶應大だ、その次はJBLの三菱だと先を見すぎてしまったのかもしれません。受けに回った時点、トライすることをやめた時点で、時間は過ぎていきますが、そこから何も得られません。勝つ、負ける以前の問題だと僕は感じます」 追い上げ及ばず、彼らのシーズンと、福田コーチのこの場所での挑戦は終わった。 2年でインカレトップ8までチームを引き上げることができること。チームの哲学を浸透させ、意志あるチームに生まれ変わることが出来ること。 関東絶対優位の中で、ビッグマンのいない九州のチームでもできること、24歳のコーチにもできること。 それは彼ら自身が、観る者の思い込みを覆して明らかにし、大学バスケ界に残してくれた真理である。 一方、彼らの望みであった、インカレのトップ8からのゲーム、JBLチームとのゲームで本当の勝負をするには、乗り越えなければならないことがまだまだたくさんあること。 これも、彼らが身を持って示してくれた真理であり、“新生”鹿屋体育大の第2章に引き継がれる問いとなる。 福田コーチは学生生活を終え、新たなチャレンジをするつもりだ。 「悔しくてもこの結果は受け止めるしかないですし、勝つ負ける、優勝したしていないだけではなくて、ここからどうするか、が1番大事だと僕は思っています」


posted by summership |23:10 | コラム | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2010年01月01日

【2010AJ】Answer(1)大石慎之介(浜松大)

summership-136559.jpg
浜松大#1大石慎之介は、やはり笑顔だった。 大石が入学してから、浜松大は東海リーグを初優勝&4連覇、2007年には西日本選手権初優勝も飾った。そして今シーズンは東海予選を勝ち抜いて8年ぶりに天皇杯の舞台にやってきた。 しかし、結果は残念ながら1回戦敗退。しかも大石の最後はファウルアウトだった。 それでも、浜松大での4年間はどんなものだったか?という問いに対する答えは「プラスばかり」だった。「マイナスなことはなかったです。何よりバスケットができることへの感謝を覚えました」 ただ、やり残したことは、ある。


続きを読む...

posted by summership |12:00 | コラム | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2010年01月01日

2010年

2009年はなかなか更新できませんでしたが、足を運んでいただきありがとうございました。
2010年はさらに精力的に頑張って参りますので引き続きよろしくお願い致します。

summership-133620.jpg
Sports Naviにて、WC/AJの記事を書かせて頂いています(リンクをご参照ください)。 写真は、スタッフさんが差し入れてくださったもの。それぞれのカメラマン・ライターにあてて激励メッセージを書いてくださっていて、じーんとしました。 本日よりオールジャパンですね!


posted by summership |08:00 | お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加