野球いじり

日本シリーズを分析する -短期決戦の兵法 Part5-1-

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第5回 前編:法則の適用性の検討1

 これは日本シリーズを分析していくことで,短期決戦を制するための戦術を模索していくことを目的とした企画です。以下のような予定で勧めており,今回は5回目の前編です。いつもいつも分割してしまって申し訳ありません。いろいろやってみたいことが後から出てくるのです……。

 今日初めて見ていただいた方の中でお時間のある方は,これまでの記事を見ていただければと思います

第1回:企画趣旨
第2回:基本的なデータの集計
第3回:分析手法の解説
第4-1回 前編:分析(仮説の検証1)
第4-2回 中編:分析(仮説の検証2)
第4-3-1回 後編1:分析(補足的分析 その1)
第4-3-2回 後編2:分析(補足的分析 その2)

第5-1回 前編:分析(法則の適用性の検討1) ← Today!

第5-2回 後編:分析(法則の適用性の検討2)
第6回:まとめ


はじめに

 今日は第5回の分析になります。

 今日はこれまでとは少し趣向を変えて,日本シリーズを制したチームを分析していきたいと思います。この分析結果と第4回までの各試合に有効な戦術とを比較することが目的になります。


どのようにして日本シリーズを制したか?

 図1に日本シリーズを制したチームの勝利した試合結果を分類しました。図2には日本シリーズを制したチームの敗北した試合の結果を分類しています。

図1
図2
   分類の基準についてはPart2で検討したものを使用しています。 試合結果の分類基準を以下に示します(詳しくはPart2をご覧ください)。  投手戦:両チームとも3点以下  平均的結果:一方が4点以上6点以下,もう一方が3点以下  打撃戦:両チームとも4点以上6点以下  大量得点:一方が7点以上,もう一方が6点以下  大打撃戦:両チームとも7点以上  図1より,投手戦,平均的結果,大量得点の割合はほぼ同じですが,投手戦と平均的結果では相手を3得点以内に抑えているという点では共通しています。したがって,優勝チームは半数以上の試合で相手を3点以内に抑えて勝利しているといえます。  一方,図2では,投手戦と平均的結果の占める割合が,全体の6割強を占めています。これは勝利した試合と大体同じくらいですが,中身が違うのは投手戦での負けが少ないということです。  まとめると,優勝チームは勝つときは相手を3点以内に抑えて勝利して,負けるときは3点以内に抑えられているということです。ただし負け試合では投手戦の割合が少ないですから,優勝チームは投手戦には強い,つまり,ロースコアの接戦に強いという特徴を持っているといえます。 優勝の過程にトレンドはあるか?  今度は優勝チームの勝ち方と負け方を,各年度で見ていきたいと思います。図3には,1950年から2009年までの日本シリーズ優勝チームの勝ち試合(4勝分)の分類を示しています。図4には,負け試合の分類を示しています。図4でデータのないところは4勝0敗で決着がついた年です。
図3


↑これをスライドさせると図の右側が見れます

図4


 図3より,1970年以前は大量得点の試合は少ないですが,以降は多少の変動はあるもののあまり変化しておらず,投手戦と平均的結果が大きな割合を占めています。

 図4より,1990年以降は大量得点で負ける試合が増えてきています。それ以前は平均的結果が多いです。

 まとめると,近年は優勝チームは大量得点で負ける機会が増えつつあるが,勝ち方としては相手を3点以内に抑える勝ち方が大半を占めていると見て良いと思います。


各種データの比較

 それでは今度は,各種データを優勝チームと敗北したチームで比較してみたいと思います。

 表1と表2には,各データ(内野安打,1H,2H,3H,本塁打,四死球,犠打,犠飛,盗塁,盗塁刺,三振,併殺,エラー,内野ゴロ,残塁)について,優勝チームと敗北したチームの1試合あたりの平均値を載せています。

表1


表2


 ※データについている枠は,統計検定(t検定)の結果を示しています。

  ・枠のついていないデータは,チーム間に差がないことを示します。
  ・オレンジの枠は,チーム間で差があったことを示しています。
  ・黄色の枠は,差はあったのですがオレンジ枠ほど信頼性の高くない

 これらの結果を,見やすくするためにグラフ化してみました。表1のデータを図5に,表2のデータを図6に示します。

図5


図6
 表1 & 図5の結果より,大体優勝チームの方が多いという結果になりました。これは結果論というもので,勝っているのだから当然と見ることもできます。一方で,犠打や盗塁は自らの意思で行う戦術ですので,優勝チームはこれらの戦術に積極的であることはわかりました。  表2 & 図6の結果より,盗塁刺,三振,併殺,エラーでは,優勝チームと敗北したチームの間に差はないのですが,内野ゴロと残塁は優勝チームの方が多いことがわかりました。 まとめ  さて,ここまでの分析より,日本シリーズの優勝チームは   ・相手を3点以下に抑えての勝利が多い   ・負けるときは,3点以下に抑えられることが多い   ・ロースコアの接戦には強い   ・犠打・盗塁は積極的に行う   ・内野ゴロと残塁が多い  という特徴があることがわかりました。




おわりに

 ここまでお付き合いいただき,ありがとうございます。

 第5回の前半でした。後半は,もう少し掘り下げた分析を紹介したいと思います。まだ分析中なのですが,個々の試合に有効な戦術がわかっても,シリーズを制する方法はなかなか見いだせないでいるのが現状です。いろいろな分析を試しているので,どうなるかはわかりませんが,まとまり次第報告できたらと思います。

 続きはまた明日,というわけにはいかないかもしれませんが,できるだけ努力します。詳しいことは右の方にtwitterがありまして,そこで連絡したいと思います。ご存じない方もあるかもしれませんが,地味に1日1言ペースで進捗状況を報告していたのです。

 ご意見,疑問,質問などありましたら気軽にコメントください

 では,今日はこのあたりで失礼します。


追伸'

  プロ野球2010年を振り替えるという企画で皆さんからのアイデアを募集しております。
 お時間のある方はこちらも読んでいただいて,ご協力をいただけたらと思います。

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タグ:
プロ野球
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