野球いじり

高校野球における「得点」

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はじめに

 先日コメントで,高校野球における送りバントに関する提案をいただきました。ずいぶん久しぶりですが,いただいた提案を参考に分析してみようと思ったのですが,持っているデータが2010年までだったので,新たにこの春の選抜のデータまで加えてみました。

 データも増やしてさて分析だと思ったのですが,せっかくデータを増やしたので,分析の前に高校野球の基本的なデータを確認したくなりました。申し訳ないのですが,送りバントの分析は少し後回しにして,今回は高校野球における試合ごとの得点状況を確認しておきたいと思います。

 プロ野球においては,2011年の統一球によって得点が減少したため,過去のシーズンにわたる得点傾向を目にする機会がここのところ多かったのですが,さすがに高校野球のデータはあまり見かけることがありませんので,よい機会だから整理しておこうと思います。


分析データ

 分析に使用したデータは,2001年から2010年までは「高校野球(asahi.com)」のデータを,2011年以降は「スポニチ Sponichi Annex」のデータを参照し,全国高校野球選手権大会と選抜高校野球大会,つまり春と夏の甲子園での,引き分け以外の試合1077試合,全2154チームのデータを分析しました。


大会別に見た得点状況

 まずは大会別に見た得点状況のデータを以下の表1に示します。これは各大会ごとに統計値を計算したものになります。

表1
 このデータより,平均得点の推移をグラフ化したものを以下の図1-1に示します。
図1-1
 一見すると春と夏の大会では平均得点に差があるようにも見えますが,以下の図1-2に示すように,平均値±標準偏差まで含めてみるとそれほど得点には差がないことが確認できます。
図1-2
 以上のデータより,2001年以降,多少の変動はありますが,基本的には1試合平均4~5点の間をキープしていることがわかります。 得点差の分布  次に,得点差の分布をみてみたいと思います。これは勝ったチームの得点から負けたチームの得点を引いた値で計算しました。何点差をつけて勝ったかという指標となります。試合の内容を知るうえで重要な情報となります。このデータについては,下から最小値,25%(下位25%),50%(中央値),75%(上位25%),最大値を求めました。データを以下の表2に示します。
表2
 図1では平均値のデータを見ましたが,あまり変化の無いデータだったので,得点差では箱ひげ図で見ていきたいと思います。以下の図2-0に箱ひげ図の見方を示します。
図2-0
 これは2002年の春の大会の全試合の得点差の分布を示したものになります。図中の各ポイントに表2に示したデータが表されています。箱ひげ図のメリットはこのように多くの情報を盛り込めるところにあります。  ポイントとなるのは,図中の□の範囲でこれが50%から±25%分のデータの範囲を示すことになります。データの半分がこの□の中に納まるということです。  □の中の“―”部分,50%値のラインは平均値相当と判断してもらっても大丈夫です。このラインの位置が高いか低いかで,全体的な得点差の大きさが確認できます。  そして,□の上下の長さはデータのばらつきの大きさになります。□が縦に長いほど試合ごとの得点差のばらつきが大きいことを示します。以上の特徴を踏まえて,まずは春の大会の得点差のデータを以下の図2-1に,夏の大会のデータを図2-2に示します。
図2-1
図2-2
 このデータはこんなものかと思って見てもらえればと思います。1つ特徴としては,図2-1の春の大会では2000年代後半(2007~2009あたり)は得点差が小さかったのですが,2010年以降は得点差が大きくなっていることがわかります。これは2000年代後半は,得点の拮抗した試合が多かったのに対し,2010年以降は大差で決まる試合が増えてきていることを示しています。 大会の進行と得点状況  以上のデータより2001年以降の得点状況を確認しましたが,今回はこれに加えて,大会の進行と得点状況の関係も見ておきたいと思います。大会が1回戦,2回戦と進むことで,得点の入りやすさや,得点差がどのようになるかを確認したいと思います。  まずは得点を比較したデータを以下の表3-1に示します。
表3-1
 このデータをグラフ化したものを,春の大会のデータを図3-1に,夏の大会のデータを図3-2に示します。
図3-1
図3-2
 データを見ると,準々決勝,準決勝,決勝と進むことで得点が高くなっていくことがわかります。大会の進行とともに得点が入りやすいという傾向を示したデータです。  次に,得点差を比較したデータを以下の表3-2に示します。
表3-2
このデータをグラフ化したものを,春の大会のデータを図4-1に,夏の大会のデータを図4-2に示します。
図4-1
図4-2
 データを見ると,図4-1の春の大会では,準々決勝,準決勝,決勝と進むことで得点差が大きくなっていることがわかります。これは,大会が進むほど得点差がついた試合になりやすいことを示しています。一方,この傾向は図4-2の夏の大火では確認できませんでした。  春も夏も大会の終盤は得点が入りやすくなりますが,春の大会では得点差のついた結果となりやすく,夏はそれほどでもないということがわかりました。  なぜこのような結果になったのでしょうか?いくつか可能性が考えられますが,現時点ではよくわからないのが正直なところです。ただ,準々決勝以降のデータはそれほどサンプルが多くないということには気をつけておいてください。一応その問題を確認しつつ,どうして春と夏でこのような違いが生じるのか考えてはいただけないでしょうか。




おわりに

 以上,高校野球の得点状況をまとめておきました。このデータを知っていることで試合に勝てるようになるわけではないと思います。ただ,基本的な相場がどの程度にあるのかを知っておくことは,試合を見るためにも,チーム作りをしていくためにも必要な情報かと思います。

 次回は,三振・四死球・失策のデータを見ていきたいと思います。送りバントはその次の予定です。今しばらくお待ちください。


引用データ

・高校野球(asahi.com)
・スポニチ Sponichi Annex


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 来る4月5日に「セイバーメトリクス・リポート3 」が発売になります。

 プロ野球のデータを分析した本なのですが,これに少し参加しています。興味のある方はご覧になっていただけると嬉しいです。

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高校野球における「得点」

春も夏も大会の終盤は得点が入りやすくなる
・終盤になるにつれて過密スケジュールになり、投手の疲労が蓄積されるからではないでしょうか。

春の大会では得点差のついた結果となりやすくなる
・春にあって夏にないものというと、21世紀枠の影響と考えるのが自然だと思います。


バントの考察期待しています。

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