野球いじり

クライマックスシリーズと3位の立ち位置

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はじめに

 早いもので,2013年のシーズンももう終わりが近づいていますね。ちょこちょこと分析していたのですが,あまり面白いものができなかったので随分と間が空いてしまいましたが,久しぶりに更新します。

 この時期になるとたまに目にするニュースに,3位チームの成績がいまひとつなことに対して,そんな成績でクライマックスシリーズに出場するのにふさわしいのか?というものがあります。特に3位チームの勝率が5割を超えていない場合は,そういう声が大きいように思います。

 気持ちはわからなくも無いですが,ルールの範囲内で起こりうることに目くじらをたててもしょうがないので,これもプレーオフの醍醐味と楽しんだほうが良いのではないかと思います。

 ところで,そもそも3位のチームって普通はどのくらいの成績になるの?というのが,今回のテーマになります。

 漠然と5割を目安にしても良いとは思いますが,あまり言及されることの無い平均的な3位チームの成績を理解しておくのも悪くないと思います。


分析データ

 分析データは,1958年から2012年までのNPBのデータより,セリーグとパリーグの年間成績を対象としました。データは,NPB公式サイトより引用しています。


3位チームの勝率・ゲーム差

 まずは,年代ごとに3位チームの勝率の平均データをリーグ別に以下の表1-1にまとめてみました。

表1-1
 平均±SDというのは,平均値から標準偏差を足したものと,引いたものです。この値の範囲内が,一応平均的な3位チームの成績といえます。このデータをグラフ化したものを以下の図1-1に示します。
図1-1
 概ね横ばいであることが確認できると思います。このデータから,10年単位で見れば,NPBの3位チームの勝率には大きな変化が無いことがわかります。また,平均-SDの値が丁度5割くらいなので,5割に到達していない3位チームの勝率が低いというのは的を射た表現であるともいえます。  次に,3位チームの首位からのゲーム差を同様にまとめたデータを以下の表1-2に示します。
表1-2
 1973年から1982年まではパリーグでは前・後期制をとっていたので,この間のゲーム差を計算することができません。そのため1970~1979年までのデータは空欄にしています。また,1980~1989年のデータは,1983~1989年までのデータで分析しています。  このデータをグラフ化したものを以下の図1-2に示します。
図1-2
 こちらも概ね横ばいなので,3位チームの首位とのゲーム差に大きな変化は無いと見てよいデータだと思います。ただし,セリーグの場合,1980~1989年と比較して,1990年以降は標準偏差が大きくなっています。これは,1990年以降は3位チームの首位とのゲーム差は,年によってバラつきが大きいことを示しています。  以上のデータは,10年単位でデータをまとめたものなので,1年単位でまとめたデータを以下の図2-1と図2-2に示します。
図2-1
図2-2
 年ごとの誤差が大きくて読み取るのが難しいデータですが,それでも勝率は.500から.550の範囲に収まっていることがわかります。ゲーム差は5.0から20.0の範囲といったところでしょうか。  この勝率のデータより,年間の勝率が.500未満のチームと,勝率.550以上のチームがどれだけあったかを数えてみました。データを以下の表2に示します。
表2
 勝率が.500未満のチームが,特にセリーグの1990年以降に増えていることがわかります。大体3~4年に一度,勝率が.500未満の3位のチームが出てくる計算です。この頻度が多いか少ないかを判断するのは人の主観によりますが,私としては少ないとはいえない頻度だと思います。逆にパリーグだと,勝率が.500未満の3位のチームはあまり出てきません。  現時点での2013年の広島の勝率も5割を下回ってはいますが,近年の傾向から見れば,さほど珍しい現象ではないといえるのではないでしょうか。 ただし,3位のチームが5割勝てないリーグの構造が健全かどうかは別の話ですが……。




おわりに

 おそらく,3位チームに注目が集まるようになったのは,クライマックスシリーズが導入された後だと思うので,3位チームがどんな成績になるのかあまりイメージが無いかと思ってまとめて見ました。勝率5割云々というのもあながち間違った基準ではありませんが,近年のセリーグでは勝率5割未満のチームも少なくないので,その辺は考慮しておいたほうが良いと思います。

 このデータが参考になれば幸いです。


 あと,近況報告ですが,11月に出る「セイバーメトリクス・マガジン2」に寄稿する予定です。現在原稿を書いているところなのですが,こちらもよろしくお願いします。

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コメント返信

麦さんへ

 返信遅れて申し訳ありません。

 プロ野球の構造を改革しながら、現行のCSのシステムを変えていくというアイデアには私も賛成です。

 そうした長期的な視点に立った上での、CS廃止論であれば良いのですが、
 CSに反対している人は、反対しているだけで対案があまり見えてこなかったので今回のような書き方となってしまいました。

 麦さんのような方と意見交換できて良かったです。

 勢力均衡といってしまうと、夢物語のように聞こえるかもしれませんが、
 パリーグでは、近年勝率5割未満のチームがほとんど出ていないので、セリーグはこれをひとつ現実的な目標と考えるべきでしょうね。、

クライマックスシリーズと3位の立ち位置

ちょっと当方の舌っ足らずだったのか、微妙に誤解があるようです。


>これはやったほうが良いことだとは思いますが、CSをやめなくてもできることですよね。


 私にとっての最良の案はCS自体を止めちまえってことですが、それはあくまで極論で、まず無理だろうってことはわかっています。
 サラリーキャップ制およびドラフト改革はそれを踏まえてのことで、CSを続けることを前提に、戦力均衡化によって、3位が勝率5割を切るような極端なゲーム差がつく可能性を減らせるだろう、ということです。
 データで示していただいたように、3位が5割以下という事態がそんなに珍しくないようでは、確かに「5割以下はCS足切り」という新ルールには抵抗が大きいでしょうが、戦力均衡化で「めったにない事態」になれば、ルール化も不可能ではなくなると思うし、ルール化されなくても個人的にはいくらか諦めがつきます。


まあ今の野球界がそういう方向に動いてくれるとは全く期待していませんけど。


もう一点別の話で、5割以下を足切りにすると消化試合が増える可能性についてですが、これは「5割以上の3位」を目指して必死に戦うわけですから、よほど極端な借金を背負っていない限り、この可能性は薄いと思います。


コメント返信

麦さんへ

>サラリーキャップ制やドラフトの完全ウェーバー化による戦力均衡で、極端なゲーム差がつく可能性を減らす

 これはやったほうが良いことだとは思いますが、CSをやめなくてもできることですよね。
 CSをやめることでもたらされる利益が、現行のシステム以上のものになって初めて具体的な改革案となると思います。

 

>セパともに2チームずつ増やして地区制を導入すれば

 日米の人口を比を考えれば、セパで16球団というのはできないな話ではないと思います。
 理想的なプレーオフの形式を考えれば、私も賛成です。

 しかし、現実的に考えると仰るとおり大変ですね。
 いきなり4チーム増やすと、それこそリーグの質は維持できるのかという問題になってきます。

クライマックスシリーズと3位の立ち位置

私にとっての「良いアイデア」は、CS自体をなくすことですけどね。
まあ興行面を一切無視するわけにもいきませんので、サラリーキャップ制やドラフトの完全ウェーバー化による戦力均衡で、極端なゲーム差がつく可能性を減らすことくらいでしょうか。
実現性がより薄くなりますが、セパともに2チームずつ増やして地区制を導入すれば、今よりはマシなCSになるでしょう。
何にもできないんであれば、日本シリーズもCSに組み込んで、優勝チームは「CSチャンピオン」と呼ぶことにして、「日本一」という呼称をやめてほしいです。

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