野球いじり

セイバーメトリクス・リポート2が出たよ

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はじめに

 今日はエイプリルフールですが,これから書くのは嘘ではないのでご安心を。

 さて,以前にも紹介させてもらいましたが,3月25日に「プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート2」が発売になりました。

 個人的にはセイバーメトリクス・リポート1の時代から書店で見かけたことが無く,どこで売ってるのだろうとは思っているのですが,運よく見つけられた方は,ラッキーか都会にお住まいなのでしょう。

 昨年もコーナーを設けたのですが,今回もセイバーメトリクス・リポート2の中で私が書いた内容に関する質問などあれば,この場を借りて回答して行きたいと考えています。せっかく便利な時代になったので,アフターサービスの一環と思っていただければと思います。

 このまま終わるのももったいないので,以降は前回の紹介記事で内容を説明できなかった2つを説明しておきたいと思います。


「BABIPを掘り下げる」について

 BABIP(Batting Average on Balls In Play)は,本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合をいいますが,この値には運の影響が反映されているといわれています。

 このBABIPをより高い精度で捉えることができないだろうか?というのがテーマとなっています。そこで注目したのが,ゴロ・フライ・ライナーという打球の質の違いです。

 以下の図1に示しますが,これらの打球の質によってヒットになりやすさは変わってきます。

図1
 あたりまえではありますが,見てのようにライナーの案打率はずば抜けて高くなっています。BABIPはこうした打球の違いを無視して,安打になったかどうかを数値化しているのですが,安打率が異なるのであれば考慮して分析すべきではないかと考えました。  そこで,ゴロ・フライ・ライナーごとにそれぞれ安打率を計算してみました。 そして,データ分析の過程で「この人は」と感じた,中日の大島選手については少し踏み込んだデータ分析と予想をしています。 「フライの飛距離と本塁打~HR/FB~」  ここでのテーマはHR/FBのデータになりますが,これは打者が打ったフライ(FB)に占める本塁打(HR)の割合を計算したものです。  このデータの特徴として,前年の値が高いと翌年は低下するという性質があります。前年に本塁打をたくさん打った打者は警戒されるわけで,単に研究されたことによって成績が低下した可能性もありますが,果たしてそれだけだろうか?といことを考えてみました。以下,ややこしいので図解入りで解説してみます。  このHR/HRの性質ですが,先ほど紹介したBABIPの性質に似ています。ということは,HR/FBの変化にはBABIPと同じように運が影響しているのではないかとかんがえて,ひとつの仮説を立ててみました。  打者の打ったフライは,その飛距離によって普通は内野フライ・外野フライ・本塁打に分類可能です。以下の図2-1のようなイメージです。
図2-1
 このような,「フライの中には,運によって本塁打になったり,フライになったりする打球があるのではないか?」というのが今回考えた仮説です。そういったフライがどういうものかと考えるに,以下の図2-2に示すようなゾーンのフライがそれに該当するのではないかと思います。
図2-2
 赤の矢印で示したような打球,これはフェンスを越えるかどうかギリギリの打球をさしているのですが,こうした打球は,風やボールの飛んだ方向(角度)などのわずかな違いによって本塁打になるかどうかが左右されてしまいます。  ここに飛んだ打球が「ギリギリで本塁打になるか」,「その手前で落ちるか」が,運によって左右されているのではないかというのが今回の仮説です。図にすると以下の図2-3のような感じです。
図2-3
 この「ギリギリで本塁打になるか」,「その手前で落ちるか」という打球のバランスが,本塁打に偏った選手は翌年本塁打が減少するのではないかということです。  今回のデータは,本塁打の飛距離までは測定していないので,フェンス手前もしくは直撃の打球の数を見ていくことでこの分析しました。フェンス手前のゾーンへの打球が少ない打者は,その分本塁打に偏った可能性が考えられ,翌年は本塁打が減少するのではないかという観点からデータを分析しています。 おわりに  というわけで,なにやら良くわからないことをやっていると思われた方も多いでしょうが,できればお気軽に質問など頂ければと思います。




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コメント返信

島田さんへ

 こちらこそ、読んでくれてる人がいることがわかりほっとしています。

 これは個人的な見解ですが、BABIPは要因というよりは結果に当たるものだと思います。
 打球の強さなり、飛んだコースという要因が、打率なりBABIPという結果に影響すると考えるべきだと思います。

 打球速度については理論的には測定が可能ですが、NPBでそれがいつ実現するのかと考えると、球場に測定器具を設置しなければならないので、NPBの了解が必要なことと、なりより設備投資に先立つものが必要となるので、実現するのは大分先になるかもしれませんね。

 ところで、MLBで投手のBABIPを分析したものなのですが、BABIPとPlate Disciplineデータの関係を検証したものがあります。リンクを紹介しておきますので、興味があればどうぞ

 Justin Verlander's Declining BABIP

 http://www.beyondtheboxscore.com/2012/6/7/3062136/justin-verlanders-declining-babip

セイバーメトリクス・リポート2が出たよ

ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。

ところで、打率を上げる要因は、実は次の三つしかないのでないかと思っています。

1 三振を減らすこと。
2 本塁打を増やすこと。
3 BABIPを上げること。

そして、毎年安定して高打率をマークする選手が一部に存在することから、高BABIPを維持する能力を備えた選手がやはり存在するのでないかと、ずっと気になっていました。
いただいたご回答によると、どうやら打球速度にヒントがありそうなので、今後の測定システムの向上と分析の深化を待ちたいと思います。

本当にありがとうございました。

コメント返信

島田さんへ

コメントありがとうございます。
今回はDELTAより2012年のデータを提供してもらったので、できることの範囲が広がりました。以下質問に回答します。


 1つめですが、MLBだとFANGAPHSにまとまったデータがありますが、NPBだとちょっとわかりません。いつもお世話になっている「プロ野球ヌルデータ置き場」様だと2006年以降はありますが、他はどうでしょうか。ただ、計算するのはそれほど難しい値ではないので、集めようと思えば集めることはできると思います。

 しかし、個人的にはBABIの性質をこれ以上分析するよりは、今回提案したようなより精度の高い評価方法を模索すべきではないかと思います。運と実力を完全に分離して測定することは不可能なので、BABIPは運か実力かということを追求しても仕方の無いところがあると思います。


 2つ目と3つ目はまとめて、

 MLBのデータ分析の結果ですが、内野安打率とBABIPの相関係数は0.178で、関連は無いといって良いと思います。
 
 また、ライナーについては、確かに安打率が高くBABIPを高めるためには有利なのですが、年度間相関が低く複数年に渡って安定してライナーを量産することは難しくなっています。したがって、長期間での安定した高BABIPには結びつき難いと思います。

 となると、ゴロやフライといった打球の速さという要素が重要になると私も思います。残念ながら今回のデータでは要因に加えて分析するほどの精度ではなかったので、検証できませんでしたが、将来的には分析したいとは思っています。

セイバーメトリクス・リポート2が出たよ

今回の「リポート2」は本当に素晴らしい内容だと思いました。特に、選手個人のWARとUZRの値が掲載されていたのは、嬉しい限りです(僭越ながら、前年度のリポート1は食い足りない感があったのですが、今回は大満足です。本当に素晴らしいリポートを、ありがとうございました。)。


さて、質問受付中とあったので、BABIPについて三点質問させて下さい。


一点目ですが、NPBにおけるBABIPのデータは、過去どのくらいまで記録されているのでしょうか?
本書中では、2年連続高BABIPをマークしている選手として、長野選手と糸井選手が紹介されていました。もっとも、2年だとサンプルとして短期間に過ぎ、高BABIPが実力によるものか運によるものかが判然としません。一方、5年や10年という長期にわたって高BABIPをマークし続ける選手がいれば、運でなく実力と評価しても良いような気がします。
そこで、仮にBABIPのデータが蓄積されているのであれば、もう少し長期間に渡るBABIP推移を分析することが有用と思うのですが、いかがでしょうか?


二点目ですが、仮に安定して高BABIPをマークしている選手がいるとすれば、その要因としてどのようなものが考えられるのでしょうか?
例えば、ライナーやフライナーだと安打率は高くなると思うので、ライナー率(あるいはフライナー率)の高さ故に、安定して高BABIPをマークする選手は想定できるのでしょうか?
あるいは、俊足故の内野安打の多さが安定した高BABIPをもたらすこと(この場合、ゴロ安打率が高くなりましょうか?)はあり得るのでしょうか?


三点目ですが、UZRの測定に際し打球速度もある程度計測されているようですが、打球速度とBABIPの関連性に関する分析はなされているのでしょうか?
常識的には、打球速度が速いとBABIPも高くなると思うので、打球速度の高さ故に高BABIPを安定してマークする選手がいることも不思議でないと思うのですが、いかがでしょうか?


以上、勝手ながら質問をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

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