野球いじり

中日ドラゴンズ 岩瀬仁紀選手の登録抹消から衰えと酷使を考える

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はじめに

 中日ドラゴンズの岩瀬仁紀選手(以下岩瀬選手)が登録を抹消されました。自分から申し出たそうですが,最近の結果を考えると致し方のないことかと思います。

 岩瀬選手の実績は今更どうこういうレベルのものでもありませんが,どんな選手だっていつか第一線を退く時は来ます。その時がついに岩瀬選手にも近づきつつあるのではないかと思われた方も少なくはないのではないでしょうか。

 まぁ私がそう思っているだけなのかも知れないのですが,一応確認だけはしておこうとまとめたデータを見てみてください。以下の図1-1は2006年以降の岩瀬選手の月別の登板回数(2012年は7月まで)のデータです。

図1-1
 このデータを見て「あれ?」と思ったのが,2012年の3・4月と5月の登板試合数の多さです。  しかし,このデータでは月別の試合数が年度によって違いますので,中日ドラゴンズの試合数に対して岩瀬選手が登板した割合のデータを以下の図1-2に示します。
図1-2
 こちらのデータでもやはり3・4月と5月の登板試合数は多くなっていることがわかります。したがって,2012年序盤の岩瀬選手は近年には無いハイペースで登板していたことになります。  もしかしたらここ最近の不調もこの序盤のハイペースが原因なのではないか?というのが今回のテーマです。というわけで,今回は岩瀬選手の投球スケジュールを確認しつつ,2012年のパフォーマンスの変化を眺めてみようと思います。 分析データ  分析に使用したデータは,2006年から2012年7月までの岩瀬選手の登板記録です。データは「プロ野球ヌルデータ置き場」様を参照しています。 月別登板数一覧  まずは,先ほど図にした月別の登板数の一覧データを以下の表1に示します。
表1


↑これをスライドさせると表の右側が見えます

 こちらでは,3月と4月の試合のデータも分けています。データを見ると,月別の登板数で2006年以降最も多いのは2012年の4月であることがわかります。まさかこんなにベテランになってまでシーズン開始早々こんなに登板するとは……と岩瀬選手が思ったかはわかりませんが,この時期の登板が岩瀬選手にどのように影響したかは見ておく必要があると思います。


登板スケジュールを整理する

 さて,このシーズン序盤の登板をどうやって評価していこうということで,まずは登板スケジュールを整理してみようと思います。スケジュール整理の例としてデータを表2に示します。

表2
 こんな感じでカレンダーに年度ごとに登板した日付にはチェックを入れたデータを以下の図2に示します。
図2
 年度ごとに色を変えています。一番上が2012年です。◆の間隔を見てどれくらいの密度で登板していたかをこの図からなんとなく感じてもらえれば幸いです。  この図では連投した試合では◆と◆の間を線で結んでいるのですが,図の横幅が狭すぎて確認できなくなってしまいました。そこで,連投のデータを以下の表3に示します。
表3
 登板試合数が増えれば当然連投する機会も増えますが,3~5月にかけて連投が一番多いのが2012年というのは,チーム事情ということもあるのでしょうが,選手のコンディショニングにとってどれくらいの負担となったのでしょうか。 奪三振率と与四球率の変化  それでは,このような登板スケジュールに対し,パフォーマンスはどのように変化していたのかというデータを見てみたいと思います。今回見るデータは,奪三振率と与四球率です。野手の守備力の影響を受けにくいとされるデータを選んだのですが,被本塁打率については,統一球の導入があって2011年以前とは事情が異なるので分析からは省きました。  まずは,奪三振率について,登板した試合でのパフォーマンスの1試合単位の推移を以下の図3-1に示します。
図3-1
 リリーフ投手は1試合での登板が少ないので,ちょっとした成績の変化が非常に大きく評価されてしまいます。そこで,このデータは前後2試合のデータを合わせた5試合分の成績を求めています。  データが多すぎてごちゃごちゃしていますが,2012年のデータよりも奪三振率が低くなることは少ないことと,2012年の中でも変動があることが確認できました。  続いて,同様に与四球率を計算したデータを図3-2に示します。
図3-2
 こちらは,2012年の5月末の時点の与四球率が悪くなっていることが確認できました。やはりハイペースの影響が出たのでしょうか? 2012年の登板スケジュールとパフォーマンス  2006年以降のデータではちょっと多すぎたので,2012年のデータだけをもう少し詳しく見たいと思います。  まずは,奪三振率についてデータを以下の図4-1に示します。
図4-1
 図では◆と◆の間が実戦の場合は連投を,破線の場合は登板間隔が空いていることを示しています。  データを見るに,4月末から5月のはじめに奪三振率はピークとなり,後は段津三振率は低下しています。記事の最後に参考資料として,登板した日付のデータを示しておきましたが,4月末から5月のはじめにの時期は,4月28日から5月1日までの4連投と,1日空けて5月3日と4日の2連投があります。  プロ野球の投手が週休1日で働くというのはちょっと異常ですね。全体的なハイペースに加え,この4月28日から5月4日(中1日)の大連投が岩瀬選手にとってダメージになったことは十分に考えられます。  それでは,与四球率はどうでしょうか。データを図4-2に示します。
図4-2
 こちらも4月末からの大連投の時は与四球率は低く抑えられていますが,5月の後半には与四球率が悪化しているのがわかると思います。 まとめ  以上のデータをまとめると,  ・岩瀬選手は2012年の開幕から5月末まではこれまでにないハイペースで登板していた。  ・4月末からの大連投をピークに,以降はパフォーマンスは低下傾向にあった。  といえると思います。とはいえ,参考資料を見ると,5月後半から6月はセーブがついており,結果は残していたといえます。しかしながら,結局パフォーマンス自体は向上せず,結局はオールスターでの登板回避に始まり,今回の登録抹消につながったのではないかと考えられます。  さて,このような結果をうけて今回の登録抹消の原因が単純な衰えであるといえるでしょうか?  「Yes!」と自信を持って答えることができる人は少ないのではないかと思います。  もちろん,いくらかの肉体的な衰えもあったと思います。もっと若い選手であれば,このスケジュールでも乗り切れたのかもしれません。しかし,岩瀬選手がベテランの部類に入ることは周知の事実です。そんなベテラン投手にこれまでにないハイペースで登板させるというのは,首脳陣のマネジメントにも問題があったといえるのではないでしょうか。  浅尾選手の離脱等,チームの台所事情が苦しかったことも考慮しなくてはなりませんが,それで岩瀬選手まで離脱させてしまっては元も子もありません。  また,リリーフ投手の適正登板回数に現時点では正解がないことも付け加えてなければなりません。ただ,正解は無くともいかにして投手を守らなければならないかを考えなければならないわけで,ベテラン投手にこれまでにないハイペースで登板させることが果たして投手を守ったことになるのかは疑問です。  いっそのこと定期健診をすればいいのにと割と本気で思っています。定期健診だって無料ではありませんが,何億円も年俸を払っている投手を何人も離脱させるよりはずっとコストが低いはずです。  最後に,参考資料として2012年の7月31日までの登板した日付と結果のデータを示しておきます。
参考資料




おわりに

 以上,岩瀬選手のデータを見てみました。どうも調子が出ないのはチームの起用方針にも問題が有ったといえるデータだったと思います。

 優秀な投手を多く抱える中日には,何とか投手を大切に起用して欲しいです。

 メディアを使って高木監督と権藤コーチで愚痴を言い合っている場合ではないと思うのですが……。

 まぁあれがマスコミの注意を引き付けて,選手にプレッシャーがかからないようにメディア操作をしているのであれば,実に老獪な首脳陣といえますが,どうでしょうか?

 それでは今日はこのあたりで失礼します。


データ引用&参照サイト

 ・プロ野球ヌルデータ置き場

 いつもお世話になっています

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中日ドラゴンズ
岩瀬仁紀.

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コメント返信

O304 さんへ

コメントありがとうございます

>今年の中日は前半調子が良かったというより前半から
>ラストスパートのような戦い方をしていたと思います。

 そうですよね。新しいチームカラーを出したかったのか、
 それとも余裕が無かっただけなのかもしれませんが、
 どういう意図でチームマネジメントをしていたのかは、
 シーズンが終わったところで高木監督に語って欲しいと思います。

 ただ、いきなり全力で走り出したしわ寄せがだんだん出てきている点については、
 きちんと追求されるべきだと思います。


>個人的な意見ですが、岩瀬投手は最後の一人でセーブでも
>全然Okだと思いますしそれだけ大切に使うべき投手だと思います。
>最後に岩瀬投手がいるかいないかでも投手全体に与える安心感が全く違うと思います。 

 そうですね。
 わたしとしては、現金な感覚で申し訳ないですが、
 何億も年俸を払っている選手を1軍で働けなくすることが、
 どれだけマイナスコストなのかをチームがもっと意識するべきだと思います。

コメント返信

やすゆき君 へ

コメントありがとうございます。

 チーム事情の解説ありがとうございます。よくわかりました。
 私もそんなところだろうと思います。

 ただ、一番問題なのは、岩瀬選手はそういったチーム事情によって犠牲にしても良い投手では無いということだと思います。

 これまでの実績、投手の格という意味でもありますし、
 あれほどの年俸を払っている選手を簡単に離脱させてはいけないという現金な理由もあります。

 現場にこういったコストパフォーマンスの意識は無いのかもしれませんが、
 そこは球団として管理したほうが、選手自身にとっても、球団にとっても良いことのほうが多いと思います。

コメント返信

tt さんへ

コメントありがとうございます。

 レギュラークラス、特にベテランの選手は、ある程度シーズンを通して活躍することを求められますから、
 開幕早々にコンディションのピークを持ってくることは無いと思います。

 これが一軍当落線上の若手選手だったら、結果が求められるので開幕がピークでも良いとは思います。

 例年の登板数を見ても夏場以降のほうが登板頻度は多いわけですが、
 まさかとは思いますが、首脳陣が今年から起用方針を変えた可能性も考えられます。
 ないとは思いますが……。

 紹介していただいたnpbtrackerさんのサイトは凄いですね。
 こんなサイトがあるとは知りませんでした。

 球速と言うのは調子のバロメーターとしては便利そうです。
 できれば球速の標準偏差まであるともっと良いですね。

中日ドラゴンズ 岩瀬仁紀選手の登録抹消から衰えと酷使を考える

いままで印象では登板過多とは思っていたのですが
このようにデータとしていただくと本当にわかりやすいです。
また昨年までは連投の中には最後の一人という1回1/3も
あったと思いますが、今年は9回などの頭からで必ず1回分は
投げていると思うので、昨年までとは投球数もかなり違うと
思われます。
なので今回の岩瀬投手の登録抹消は間違いなく衰えではなく
酷使と思います。
今年の中日は前半調子が良かったというより前半から
ラストスパートのような戦い方をしていたと思います。
野手の早期起用、後半の守備固め、7回以降の継投など・・・
前半はもう少し色々試す時期と思います。
岩田にしろ山内、中田、雄大など後半まで好投していても7回で
交代など良くありました、前半戦なら行ける所まで行って完投
もしくは8回までとか投げさすべきだったと思います。
そうすれば岩瀬どころか浅尾も登録抹消は無かったかも?
個人的な意見ですが、岩瀬投手は最後の一人でセーブでも
全然Okだと思いますしそれだけ大切に使うべき投手だと思います。
最後に岩瀬投手がいるかいないかでも投手全体に与える安心感
が全く違うと思います。

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