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中日ドラゴンズ 浅尾拓也選手の成績分析 ‐彼は酷使されているのか?‐

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はじめに

 前回の分析では,中日の浅尾拓也選手(以下,浅尾選手)について,

 「ここ何年か投げすぎじゃない?」

 ということで,2006年から2011年までに各シーズンで10試合以上救援登板した投手,のべ749名の1シーズンでの登板試合数を見ながら,浅尾選手の登板試合数を見てみました。その結果,この3年ほどでは最も多くの試合に登板した投手といえるほどの試合に登板していました。

 さらに,浅尾選手はここ3年間毎年70試合相当に登板していますが,2006年から2011年までの6年間で彼に相当するペースで投げている投手はいないこともわかりました。1シーズンあたりの最多登板数の記録は阪神の久保田選手の90ですが,久保田選手であっても3年連続70試合登板しているわけではありません。

 こうしたデータを見ると,今年も昨年くらいのペースを期待するのは少々リスクがあるように思えます。とはいえ,登板した試合数だけを見ただけでは良くわからないところもありますので,今回は浅尾選手の成績をもう少し詳しく見て行きたいと思います。


分析データ

 分析に使用したのは,2006年から2011年までに各シーズンで10試合以上救援登板した投手,のべ749名(浅尾選手含む)のデータです。データは,「プロ野球ヌルデータ置き場」様を参照しています。


月別登板試合数

 まずは,浅尾選手の登板した試合数を月別にまとめて見ました。2009年の序盤は先発で投げていたので,そのことを考慮して先発と救援で登板した場合で分けています。こんなものかと参考にしていただければと思います。データを表1に示します。

表1


↑これをスライドさせると表の右側が見えます


各種成績のデータ

 それでは,浅尾選手の各種データを見て行きたいと思います。今回用意したのは,防御率,WHIP,被打率,奪三振率,与四球率,被本塁打率です。データを表2に示します。

表2
 このうち,奪三振率,与四球率,被本塁打率のデータを図1-1~図1-3に示します。 図中の細い線で表したデータが表2に示してあるデータです。太い線は,前後の月のデータを合わせて計算したものです。リリーフ投手の場合,先発投手と比較してどうしても投球回数が少なくなります。そのため,1度の失敗や成功が大きく評価されてしまいます。この問題を解決するために,前後の月のデータを合わせることでデータを均しています。
図1-1
図1-2
図1-3
   さて,これらの奪三振率,与四球率,被本塁打率の数値がどのくらい優れているかを評価するために,浅尾選手の成績を偏差値化しました。偏差値を出すにあたって,2006年から2011年までに各シーズンで10試合以上救援登板した投手,のべ749名(浅尾選手含む)の奪三振率,与四球率,被本塁打率の平均値と標準偏差を求めました。データを表3に示します。
表3
このデータを使って以下の計算式によって偏差値を求めました。  奪三振率 = 50 + {(浅尾選手の奪三振率-平均)/標準偏差} × 10  与四球率 = 50 - {(浅尾選手の与四球率-平均)/標準偏差} × 10  被本塁打率 = 50 - {(浅尾選手の被本塁打率-平均)/標準偏差} × 10 奪三振が多いほど偏差値が高く優れていることを示します。一方,与四球と被本塁打は少ないほど偏差値が高く優れていることを示します。データを偏差値化したものを表4に示します。これは前後の月の成績を合わせてデータを均したものを偏差値化したものです。
表4
 このデータをグラフ化したものを図2に示します。
図2
 基本的に浅尾選手の場合シーズンの中ごろが最も成績が良く,序盤と終盤はパフォーマンスが低下することがわかります。  2011年のデータを見ると,奪三振率と被本塁打率は高水準を維持していたのに対し,与四球率はシーズンが進むに連れて低下していきます。これは2009年以降,毎年見られる減少ですので,シーズンが進むことによるパフォーマンスの低下が疲労によるものであれば,浅尾選手の場合,疲労の影響が制球面に表れやすいのかもしれません。 巨人の山口鉄也選手・日本ハムの武田久選手のデータと比較する  今回は浅尾選手のデータを見るだけでなく,他の選手のデータと比較もして見たいと思います。表5には前回示した年間70試合以上登板した経験のある選手のリストを示します。
表5
 このリストの中から浅尾選手の登板試合数に近い,巨人の山口鉄也選手(以下,山口選手)と日本ハムの武田久選手を独断と偏見でピックアップしました。彼らの場合,70試合近い登板が3年連続してあることと,4年目のデータもあるので浅尾選手のこれからを考える上で参考になるかと思います。勿論投手に個人差はありますが,山口選手などは年齢も近いことですし,並べてみる価値はあるかもしれません。  それでは,この3人の投手の月別登板試合数を表6に示します。
表6
 今回は,先発と救援を足した試合数を表記しています。このデータをグラフ化したものを図3に示します。各データの塊が1シーズン分のデータを示しています。
図3
 大雑把にみれば,大体同じくらいのペースで登板しているのが確認できると思います。  それでは,山口選手と武田久選手の奪三振率,与四球率,被本塁打率のデータを表7に示します。データは前後の月のデータを合わせて均したものを偏差値にしています。
表7
 この3人の投手の奪三振率,与四球率,被本塁打率のデータを図4-1~図4-3に示します。
図4-1
図4-2
図4-3
 武田久選手の場合は,元々三振を多くとるような投手ではありませんが,山口選手と浅尾選手は結構似たタイプの投手であることがわかると思います。4年目のデータを見ると,武田久選手には大きな変化は見られませんが,山口選手の4年目は,4月23日に左胸の張りで登録抹消されており,序盤はこれまでのようなパフォーマンスを残すことができませんでした。  2人のデータしか見ていないので確かなことはいえませんが,浅尾選手と同じようなペースで3年投げた投手の4年目は,一方はこれまでとそんなに変わらないパフォーマンスを残し,もう一方はパフォーマンスを落としました。  今の段階でいえるのは,シーズン70試合ペースで3年投げた後の4年目のリスクはグレーといったところでしょう。おそらく,投手の資質や体のケアによって左右されるところが大きいかと思います。  この件に関しては,もっとデータを集めてリスクを具体的に評価できるようにならなければなりませんが,今の段階ではここが限界です。とはいえ,グレーだから大丈夫と楽観的になるのだけは避けていただきたいところです。  中日首脳陣につきましては,今期の浅尾選手については注意深くパフォーマンスを見守るとともに,定期的な医師の診断によるチェックも必要なのではないでしょうか。こうしたコストも,浅尾選手が故障してしまうことによる損失と比べれば安いものだと思います。




おわりに

 以上,浅尾選手のパフォーマンスをまとめてみました。昨季のMVPという華々しい成績の陰に隠れがちですが,与四球率が終盤低下しているなど疲労の兆候のようなデータも見られました。

 オープン戦の成績を見る限り,現段階で危険はなさそうなのですが(ただし,サンプル数が少ないので見えていないだけかもしれません),くれぐれも注意を怠らないようにして欲しいですね。

 さて,開幕を控え1軍登録メンバーが発表されていましたが,中日は昨年と比較して投手の数を減らしていましたね。打線が十分機能して,それなりの得点力を見込めるのであれば,リリーフの負担を軽減できると思います。しかし,得点不足のまま終盤までもつれるような試合が多くなれば,浅尾選手の出番は必然的に多くなると思います。大丈夫かなぁ……。

 次回は浅尾選手の登板間隔をまとめてみようと思います。比較として岩瀬選手あたりをセットでやろうと思います。

 では,今日はこのあたりで失礼します。


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