2008年12月14日

【CWC Review】アルアハリ(EGP)vsパチューカ(MEX)  (12月13日@国立競技場 13:45~)

アデレードvsワイタケレの試合が消化不良に感じただけに、この試合に対する期待感は大きかった。
メキシコの雄パチューカがどんなサッカーを見せるのか。
アフリカ代表だが、アフリカらしいフィジカルではなく、技術とスピードに物を言わせるアルアハリが、どう迎え撃つのか。

期待に違わぬ好ゲームは、CWC史上初の延長戦に。
最後はパチューカが猛攻を仕掛けての4-2で勝利。
パチューカの良さが目立った試合だった。

■一撃必殺カウンター■

試合開始からパチューカは細かいパスを1タッチ、2タッチでまわしてポゼッションを高めていく。
一方のアルアハリは、早めのプレスでパス網を断絶することに集中。
奪ったボールをアブータリカ 、フラビオに早めに預けて速攻をかける。
堅守速攻型のサッカーでチャンスを待つこと28分。
相手のパスを奪ってアブータリカに繋げると、そのまま左サイドをドリブル。
下がりながら早いクロスに対応しようとしたDFに当たったボールはそのままゴールへ・・・。
思わぬ形で先制したアルアハリ。
一方のパチューカは高いDFラインの裏を再三狙われる形でピンチが続いていただけに、試合の中での修正が出来なかったか。
前半終了間際の45分にも、アルアハリにボールを奪われ、アブータリカ⇒バラカト⇒フラビオと繋ぎ2点目。
一撃必殺のカウンター攻撃でアルアハリが試合をコントロールした。

他方パチューカは、パスはつなげられるも、時に5バックになってゴール前を固めるアルアハリを攻めあぐねる。
良く走り、ボールも人も動くサッカーを体現するも、パスは全て足元ばかりで、スペースへの動き出しが少ない。
前半終了の笛と同時に、選手が集まりピッチ上で反省会さながらの光景。
一番まずいと思っている選手達が見せた光景に、後半の反撃を期待した。

■まさにMoving■

後半開始と同時に、パチューカはピント⇒ロハス、コレア⇒モンテスと2枚交代し、3-4-3の布陣。
一発勝負のトーナメントだけに、とにかく攻撃あるのみの采配を見せると、これが即結果に繋がった。
右サイドでFKを代わったばかりのモンテスが蹴ると、ボールは味方、相手の誰も触れずにゴールへ。
パチューカがいい時間帯に1点差に。
このゴールをきっかけに、パチューカは一気呵成に攻め懸ける。
交代で入ったモンテス、ロハスがスペースに飛び出し、3-5-2で守りに入るアルアハリのサイドを攻め立てる。
しかも、前半とは違い、足元ではなくスペースへのパスが多くなり、そこに選手が入っていく形が増えると、自然とドリブルで勝負を仕掛ける姿も多くなっていく。
前半のようにボールを奪えないアルアハリ。
少ないチャンスにアブータリカにボールを預けて攻撃転換を狙うも、後ろからの攻撃参加が遅く、独力での突破で活路を見出すことしか出来ない。
アブータリカ、フラビオの二人に対して、パチューカは1枚多い3枚のDFがラインを高く保ちながらしっかりと対応。
アルアハリの攻撃の芽は次から次へと摘み取られてしまっていた。
73分。
左サイドでヒメネスがマリオニとのワンツーで抜け出してドリブルを仕掛けると、アルアハリはたまらずファール。
ゴール前で得たFKをヒメネスが決めて遂に同点。
その後もボールと人を動かし続けるパチューカが試合を支配。
追加点こそならなかったが、これぞまさにMoving Football。

延長戦に入ってもパチューカの勢いは止まらない。
ボールを縦に、横に動かし続け、FW陣は相手DFラインの裏を狙い続ける。
延長前半の勝ち越しゴールなどは、DFの裏に抜け出した選手が2人いた時点で、パスが出た瞬間に大勢が決まっていたと言ってもいいだろう。

■修正能力の差■

好対照なベンチワークの差が出たように思う。
3-4-3でポゼッションを高めながら攻撃的なサッカーを狙い、常にベンチから出て声を出すパチューカのメサ監督。
3-5-2でしっかりと守って、高い能力を有する選手を起点に速攻を仕掛けようと、ベンチで戦況を見守るアルアハリ・ジョゼ監督。
自分達が狙ったサッカーが出来ていないと見るや、ハーフタイムでボランチのコレアを下げて、更に攻撃的なピースを投入し、サイドのスペースを更に有効活用したメサ監督の修正に加えて、ジョゼ監督は押され続けた後半も77分まで交代のカードを切ることはなかった。
後半開始47分のゴールで流れがパチューカに向いてしまったことで、アルアハリの選手達は焦燥したのではないかと思う。
その流れを断ち切るためにも、もう少し早めに手を打てば、なんとか凌げたかもしれない。

■良いお手本■

パチューカが非常に良いサッカーをしたのは事実だ。
良く日本サッカーはメキシコサッカーを手本にしろといわれるが、この試合のパチューカを観ていると、その言葉の信憑性が高まる。
体格で劣りながらも、正確なパスワークと惜しみない運動量で勝利を手繰り寄せたパチューカのサッカーは、日本がお手本にすべき要素が凝縮されていたように思う。
Movingという言葉を僕が応援するFC東京の城福監督も掲げているが、きっと城福監督やオシム前日本代表監督がやりたいサッカーというのは、今日のこのパチューカのようなサッカーなのだろうと感じずにはいられなかった。

相変わらず冴えない感じの観客の入りだったが、この試合を現地で観ることが出来た方は、本当に楽しかったのではないだろうか。
欧州サッカーに触れる機会ばかりが多い僕らだが、こういう中南米や南米のサッカーにも、もっともっと注目できる機会が出来ればいいと思う。
サッカーを観る目が成長したように思えた試合だった。

posted by stanger |02:19 | 観戦記 | コメント(0) | トラックバック(0)
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