2008年04月20日

【Review】FC東京 vs 川崎フロンターレ(4月19日(土)@味の素スタジアム 16:00~)

岡田正義主審の笛が鳴ると、城福監督は両の拳を握り締め、上半身を仰け反らせて天に向かって勝利の雄叫びを上げた。
61分に投入した大竹がゲームを動かし、チームを勝利に導いた。
自身の選手交代術への満足感。
自身の過去との惜別。
チームのリベンジ。
そして自身が目指したサッカーが具現化した70分のゴール。
様々な感情が爆発した雄叫びか、さてはどれか一つか。
いづれにしても、100%ではないにしても、快心の勝利であったことには違いがないはずだ。

■川崎の瞬間最大風速■

自身の肉眼で、半年振りで見た川崎は良くなかった。
テレビ観戦などでもなんとなく物足りなさを感じるものではあったが、「ここまでか」と思わざるを得なかった。
あらゆる局面で人の動きが少ないと感じずにはいられなかった。
ジュニーニョ、鄭大世にボールが入った場面、DFでのビルドアップの場面、中盤でボールを奪った場面。
いずれにしても、動き出しはトップの2人だけであり、ボールのそば、またはサイドでの動き出しが遅かった。
1本1本のロングボールの精度や、遅攻の中でのサイドの使い方は見るべきものがあったが、動いたボールへの動きの質は、昨シーズンと比較にならないように思われた。
そんな中でも、19分の鄭大世のゴールは見事と言わざるを得ないものだった。
一瞬の隙を決定機に変えてしまう最大瞬間風速は、東京ゴール裏を意気消沈させるだけの物を持っているのに変わりはない。
ただし、FC東京を崩しきっての決定機は皆無だった。
縦に早くジュニーニョのスピードを使うか、セットプレーの2種類でしか、得点のにおいがしなかったように思う。
「もう少し、あと少し」
フロンターレにはあと1ピース、もしくは2ピースが足りないように感じる。
2トップにボールが入った時に近くでプレーできる選手が少なくとも後1人いれば、状況は大きく変わったであろう。
(フッキがいれば、ということではない。個人的にはフロンターレにフッキは不要だという持論なので・・・)

■無意味な安心感■

2-2という、「多摩川クラシコ」らしい打ち合いとなった前半終了後、タバコを吸いながら、昨シーズンと違う無意味な安心感があった。
「勝てるだろうな。」
確信は前半の45分でしかない。
後半にフロンターレが戦術を変えてきて、見事にそれが嵌れば昨シーズンの二の舞もあり得るにも関わらず、明確に
「1-2で前半が終わってたとしても、負けることはないだろう。」
との確信があった。
その要素は
1)DFが過度にバタつかず、攻められてもパスを繋げていること
2)フロンターレの中盤でのプレッシャーがあまり厳しくないこと
3)フロンターレが縦に早い攻撃を仕掛けてくることが多いこと
4)前節ヴェルディ戦と似たような戦い方になっていること
の4つであった。
試合前のコメントで城福監督は、
「メンバーについては、東京決戦と同様になったが、もともと考えていたわけではない」(FC東京携帯サイトより一部抜粋)
とコメントしているが、メンバーと展開が前節同様であったことにプラスして、1)~3)の要素が追加されたことがこの確信に繋がっていた。
昨シーズンまで見られることのなかったパスワークが、局面だけを抜き出しがちなサッカーの見方を変えてくれたと言っても過言ではない。
90分間をトータルで考えた時に、昨日のFC東京は勝つべくして勝ったと言っても良いだろう。

■あまりにも強烈な18歳■

63分の大竹の投入は、あまりにも強烈なインパクトを生んだ。
中盤で自身がボールを叩いてペナルティー付近へ。
相手選手とボールを奪い合った後に、独特のステップから日本代表候補川島の頭上を越えるループシュートを決めた。
物静かなサポーターが多いメインSA指定席にも関わらず、蹴った瞬間に大声で叫んでしまった。
後方座席に座った中年男性の視線が一瞬冷ややかに突き刺さったが、そんなことはどうでも良かった。
全身が鳥肌で覆われていくのが分かった。
芸術的なゴール。
このゴールを目の前で見れただけでも、SA指定席1年分の価値があったと言ってもいいだろう。
大竹自身のパス・アンド・ゴーの意識の高さと技術の高さが生んだゴールであった。
18歳を中心とした恐るべきパフォーマンスはここだけでは終わらない。
その7分後には、カボレがキープしたボールを、8本のパスで繋げ、9本目を大竹が絶妙なスルーパス。
後方から上がった今野の追加点へと繋げた。
シーズン当初から城福監督が言い続けてきた
・アタッキングサードでのアイディア
・パスを繋いで相手を崩す
この2つが、大竹投入から8分間の間で具現化された。

■陰の功労者達■

大竹の活躍がフォーカスされるのは当たり前だろう。
8分という短い時間で強烈な印象を残した。
が大竹のみならず、他の選手も高いパフォーマンスを見せていた。
赤嶺はカボレと入れ替わり立ち代りでポストを正確にこなし、前線からの守備もこなした。
栗澤も中盤でハードワークをこなして、フロンターレにサイドからの基点を作らせないように長友と共闘した。
梶山は気持ちの見えるプレーでピッチを駆け回り、守備と攻撃の繋ぎ役を正確にこなした。
そして浅利。
Jリーグでも稀有になった33歳の社員契約選手は、中盤のスペースを消し続けた。
そしてチャンスとみるや川崎DFの間を狙ったスルーパスも供給しようと試みた。
昨シーズンまでも守備専従として重宝したが、今季はその役割にプラスして、攻撃的能力を開花させ始めた。
この33歳、今季になって明らかに進化しており、これからも楽しみに思わせる。
最後にカボレ。
この選手が垣間見せるスピードと嗅覚は素晴らしいものがあるが、彼の見せる献身的な活動もまた素晴らしい。
43分の赤嶺のゴールシーン。
DF2人を腕を使って見事に押さえつけ、赤嶺がシュートを打つスペース確保をしている。
今野のゴールに至る前の敵陣中央でのボールキープ。
見えないところで強靭な体を使って味方にプレーをさせる術を心得ている。
得点も3点と少しずつ積み上げているが、それ以外の活動もこれまでにない形で見せつけ、城福監督が目指すサッカーの欠かせないピースとなっている。

■手放しで褒める裏で■

ここまでは手放しでFC東京の出来を褒め続けてきたが、やはりセットプレーからの失点は対策を考える必要がある。
1失点目も、鄭大世に入ったボールに対して競っていく選手がいなかった。
佐原が直前にイエローカードをもらっていることを差し引いても、他の選手がしっかりと寄せておかなければならなかった。
2失点目についても、マーキングのズレ、ボールへの寄せがあまりにも曖昧になってしまった。
後半にもCKから山岸にフリーでヘディングされるなど、短所が散見される。
この点を修正することで、失点の多さが解消されるはずである。
昨年に比すれば勝点は既に倍の14であるが、失点は10から12と増加している。
質の良いサッカーが出来るようになっているのだから、それを助長させるためにも、守備、特にセットプレーの部分は早めに整備するべきだろう。

posted by stanger |14:16 | FC東京 | コメント(2) | トラックバック(0)
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【Review】FC東京 vs 川崎フロンターレ(4月19日(土)@味の素スタジアム 16:00~)

 かなり試合をよく見ていらっしゃいますね。試合を見に来ていたらしいアマラオ氏も満足する内容だったのではないでしょうか?

 ここぞの1点が取れるって大きいですね!去年と違い、点を取られてもバタつきませんし、良い時間で得点を取れる。川崎戦はまさにそうだったと思います。

 守備のミスが目立ち、失点が多く不安な要素がありますが攻撃でそれをカバーできる強みは良いですね。今年は近年の上位いじめみたいにみすぼらしいことをせず、上位に喰い込んで欲しいですね。怪我人が多くてもこのプレーの質が維持できるなら、期待したいです!!

posted by ダン | 2008-04-20 18:03

コメントありがとうございます

>ダンさま

いつもいつもありがとうございます。
>ここぞの1点が取れるって大きいですね!去年と違い、点を取られてもバタつきませんし、

仰るとおりですね。
Fマリノス戦では得点後の意気消沈度合いがひどかったですが、あそこからの立ち直りが素晴らしかった。
城福監督がかける言葉や、選手への見せ方が絶妙なのかもしれません。
また、選手一人一人も自分たちのサッカーに自信を持って楽しんでいるように見えます。
これから苦しい時もくると思いますが、自信を失わず戦って欲しいですね。

後は石川、エメルソン、羽生、近藤と怪我人が帰ってきての、更なる成熟を期待しましょう。

posted by stanger@管理人 | 2008-04-20 20:49

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