2007年02月27日
テストの中に光あり~FC東京vs東京ヴェルディ1969~
1時間前に到着したのでは、この日の味の素スタジアムは遅すぎた。 練習試合というカテゴリーに属する「東京ダービー」は、開幕を待ちきれない18,000人という来場者を迎えての試合となった。 昨シーズンの最少入場者数17,033を超えるこの数は、サポーターの期待の表れとしか言いようがない。 しかしながら、ヴェルディが万全のメンバーを揃えてきたのに対して、FC東京は、戦力の見極め感が強い面子であった。 FC東京サポーター目線のみで、昨日の練習試合を振り返る。
■封印された魅惑のダブルボランチ 今季のFC東京において、最も期待されるのは今野と福西のダブルボランチである。 日本屈指のボールダッシュ能力を誇る今野と、クレバーな守備と前線に飛び出しての得点能力が光る福西のコンビは、浦和の阿部・鈴木啓太にも勝る組み合わせである。 このコンビがどのように中盤で機能するのか、これを楽しみに来場したサポーターが多かったのではないだろうか。 しかしながら、「今野はちょっと風邪で休ませました」の原監督の言葉にも会ったとおり、このコンビを見ることは出来なかった。 Jリーグファン垂涎、とも言えるダブルボランチは、「今野の風邪」という苦笑いと共に封印されてしまった。 ■封印から新戦力 J屈指のダブルボランチが見られなかったことで、FC東京は新たな戦力の台頭を目撃することとなった。 背番号30の森村 昂太である。 U-18からの昇格組であり、U-20日本代表にも名前を連ねる。 遠目に見てもまだまだ細い体に、期待を寄せるのは酷な気がしていた。 しかしながら、試合が始まると、練習試合ということもあってか、最初から飛ばしまくる。 相手ボールに対してドンドンとプレスをかけ、アピールを開始する。 6分にチーム1本目となるミドルシュートを放つと、13分にはワンチョペとワンツーでチャンスメーク。 28分にはスペースへ走りこんだワンチョペに浮き球のスルーパス。 福西と元チームメートの名波が見せる対決に目を奪われがちになった前半の中で、最も光っていた存在であった。 後半はフィジカルの差と、ヴェルディ守備陣の球際の強さから消えてしまったが、前半に見せたテンポの違いと独特のパスは、梶山とも違う「何か」を感じさせてくれるものであった。 ■もう一つの新戦力 その森村と同様に、この試合で宝石さながらの輝きを見せたのが吉本 一謙であった。 各年代代表のポテンシャルを持つ八田、新外国人エヴァウドを押しのけて、この注目の一戦のスターティングメンバーに名を連ねた。 筆者の目からすると、まだまだ1対1の場面で不用意に後ろに下りすぎる帰来があるものの、それ以外の点では徳永との連携からボールを奪う場面を見せたり、ヘディングで競り勝ったりと、ディエゴ、フッキ、平本という相手攻撃陣に臆することなくチャレンジをしていた。 J1でも通用するであろうこの攻撃陣を前に、最後のところで粘る守備を見せたのは、負傷欠場の茂庭でさえうかうかしていられない、と言っても過言ではないだろう。 また、年上の選手に臆することなく、どんどん大きな声でチームを盛り上げようとする姿勢も、近年のユース昇格組の選手と違う点である。 キャプテンシーを持ち、自らもそれを認識して、即実践をしようとするその姿は、少なくともこの練習試合という場を有意義に活用していたと言える。 森村と共に非常に大きな収穫であったと言える。 ■実績と期待と現実と 福西は十分なまでに己の力を見せ付けた。 磐田時代から言われてきた通り、「走らない」選手である。 しかしながら、ただ走らないのではなくて、ボールが来ると予想される地点に必ずいるのである。 すなはち、このプレーというのは、いかに福西がゲームを読む術に長けているかが分かる。 他の選手よりも図抜けたフィジカルも垣間見せ、大いに東京サポーターを沸かせた。 期待と実績に違わぬ選手である。 一方でワンチョペは、各種報道で懸念されてきた通り、まだまだフィットの途上である。 フィニッシュという観点では、残念ながら期待を大きく裏切った。 が、筆者的にはルーカスの来日時に似た期待感を漂わせている。 ルーカス本人も認める通り、彼も当初は日本のサッカーに馴染めずに苦心していた。 が、ワンタッチの技術、前を向いた時の怖さ、というのは十分に持ち合わせていた。 この日のワンチョペも、ワンタッチでシンプルに楔のボールを裁く場面が見られ、周囲を活かして、そこから打開をするというプレーを心がけていたように思う。 ワールドクラスの選手とは言え、長い目で見なければならないのは問題なのかも知れない。 しかし、逆を言えばそういう選手がぱっと来て、ぽっと点を取れるリーグではなくなったとも言えるのかもしれない。 そうは言っても、名古屋のヨンセンのように・・・。 エヴァウドは、後半28分からの僅か17分のプレーに留まった。 まだまだ周囲、特にコンビを組む徳永との連携に不安を残しているように見受けられるが、長身の割りに足も速く、日本のサッカーに慣れれば十分に機能するであろう。 むしろワンチョペよりも、エヴァウドの方がフィットするのは早そうだ。 来日初ゴールは相手GKのミスというミソが付いたが、それでもゴール前でのFKなど見せ場を作り、ポテンシャルの高さを感じさせた。 ■それぞれの戦い 開幕まで1週間を切ったチーム内では、前述の選手以外にも、各選手がそれぞれの戦いを見せていた。 栗沢は左右にボールを散らそうと意識し、何度か良いサイドチェンジを見せた。 福西に代わった浅利は、不退転の決意で望む今シーズンを現すかのように、持ち味であるインターセプト、寄せの速さを繰り返し行っていた。 大怪我から復帰した金沢も、相変わらずな安定した守備を見せていた。 チーム全体がそれぞれの戦いに勝った上で、ピッチに立とうという気持ちが見えた練習試合であった。 試合が進むに連れて大きくなったサポーターの声は、それを感じ取ったに違いない。 試合内容自体は凡戦だったかもしれないが、FC東京というチームそしてサポーターにおいては、収穫の多い練習試合であった。
posted by stanger |01:19 |
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