2006年10月30日
私的ボランチの仕事
近年のフットボールにおいて必ずと言って良いほどに聞かれるキーワードが「ボランチ」である。 このキーワードに関しては、各メディアにおいてあらゆる議論、説が繰り返しなされているが、実のところ「ボランチとはこれだ!」という定義はなされていないのではないかと思う。 俗世的にはボランチとは「守備的MF」のことを指す。 が、欧州を含めて見てみると、少なからずこの定義が正しいとは言い切れない。 そこで、筆者が思うボランチ像について述べてみたい。 これは自分自身が「お前今日ボランチ」と言われて中盤に入るときに「こういうプレーをしたい」という意思も含まれることを断っておきたい。
「中盤の底」の定義 サッカーにおいていかなるフォーメーションにおいても「中盤の底」は存在し得る。 その「中盤の底=ボランチ」というのが筆者のイメージである。 中盤の底が担う役割は非常に多い。 ○守備 相手の攻撃をDFラインの手前で潰す ○セカンドボールへの対応 DFラインが跳ね返したボールを拾って、相手の2次攻撃、3次攻撃を潰す ○攻守の切替 セカンドボールへの対応に関係するが、セカンドボールを拾って攻撃の基点となる ○チーム全体のリズムを作る ボランチの選択は左右前方、もしくは一旦下げる、といったように高い戦術眼を求められる ○リスクの担い手 リスクを犯してポジションを上げるか、その場に留まって来るべき守備に備えるか、の決断をスピーディーに行わなければならない ざっと思い当たる点を考えればこのようになる。 すなはち、今日日本で多用される「ボランチ=守備的MF」という概念は筆者にとっては疑問符がつく。 舵を切る 戦術の5項目を例に取ると、(聞き飽きた感があるが)ポルトガル語でいう「ボランチ=ハンドル、舵」が適当ではなかろうか。 舵ということは、ボランチの選択肢が間違っていれば、チームの攻撃は進むべき方向、すなはちゴールへ向かっていかないということになる。 これは決して大げさな話ではないだろう。 前近代的なサッカーにおいては、足の速いFWまたは攻撃的MFと、ロングボールを蹴れるDFがいれば、攻撃は成り立った。 いまだにイングランド・プレミアリーグで垣間見ることが出来るが、このスタイルにおいては中盤の底は単なる「潰し屋」であれば成り立ってしまう。 が、現代サッカーにおいては、DFラインからFWまでのラインが極めてコンパクトになっており、高い位置でのプレスやオフサイドトラップと言った戦術が頻繁に取られる。 そのために前近代的フットボールでは、攻撃における効果は極めて薄いものとなってきている。 そこで必要とされるのは、中盤でパスを回しながら相手ゴールに近づいていくサッカースタイルである。 すなはち、パスサッカーの重要性が問われるのである。 パスサッカーを志向していくためには、必ずボランチにおいて効果的なパスを出せることが重要になってくる。 パスサッカーが生んだボランチの必然性 元来ポジション的にボランチは不要である、と言っても言い過ぎではない。 所謂セントラルMFという人が2人(3人でもいいが)いれば、相手の攻撃に対する守備としては十分機能する。 が、戦術した通り、相手のコンパクトな陣形を切り崩していくためには、独力で相手を崩せるドリブラー、多彩なアイディアで相手陣形を崩す1.5列目タイプ、スピードに秀でたFW、ハイボールに強いFWなど、多様なキャラクターが必要となってくる。 そのそれぞれをパスで繋ぎ切り崩すためには、、DFと攻撃をつなぐためのボランチが「潤滑油」として絶対的に必要となる。 なぜなら、ボランチは極めてフリーに近い状態で前を向いてボールを持てるポジションであるため、正確にボールを蹴る機会が他のポジションに比べて多いからである。 前を向けば局面によっては最大で6人(3-5-2を想定)、いやもっと多くの選手を視野に捉えることができるのである。 自陣中央でボールを受けてドリブルで打開できるような奇跡の力の持ち主なら、そこからパスを出す必要性はないが、極めて実力が伯仲した試合においては、そのようなチャレンジは暴挙にしかなり得ない。 であるから、ボランチはサイドを変えたり、ポスト役に楔のパスを送ったり、とパスサッカーの基点にならざるを得なくなる。 すなはち、パスサッカーを志向するためには、ボランチ(中盤の底)のパス能力が秀でていなくてはならない。 ドイス・ボランチの有効性 とここまで述べてくると、「ボランチ=中盤の底=高いパス能力」という図式が成り立ちそうだが、先に述べた通り、ボランチの役割の一番手は守備である。 「高いパス能力」という点に焦点を当てればミランのピルロのような選手が最高のボランチと言える。 が、「守備」ということにかけてはピルロが最高の部類かというと、そうとは言い切れない。 ミランサポーターの方ならご存知の通り、ピルロが中盤の底で最高のパスを繰り出せる、つまり「レジスタ」として機能するのは、ガットゥーゾのような汚れ役が存在するからである。 4-2-3-1またはボックス型の4-4-2を採用するミランにおいて、ピルロの影には必ずガットゥーゾが見えるのである。 列挙すれば枚挙に暇がないので、ここでは避けるが、ミランに関わらず、その他のチームで見てもこの方式は以外と当てはまりやすい。 ここまで述べてきた結論として、役割分担が明確、かつ守備と攻撃のそれぞれのスペシャリストを並べたドイス・ボランチが最も機能するというのが筆者の意見である。 無論、ドイス・ボランチというのは単なる言葉の問題であるので、必ずしもボランチを2枚横並びにする必要はないということも述べておきたい。 守備者と攻撃者は出来るだけ近くにいて、パス交換し易いのが理想である。 そのためにラインはコンパクトになっていることを考えると、タイプの違うドイス・ボランチを採用するチームが多いことも理に適った話であると言えよう で、誰が最高なのさ? ここまで偉そうに言っておきながら、「ドイス・ボランチ」という戦術が最高だ、というのはあまりにも無責任というか、芸がないので、最近一押しのボランチを・・・。 筆者的にはステファン・アッピアーに最近はまっている。 恵まれた体での守備、原子力で動いているかのようなスタミナ、パス能力も高い上にキープ力、戦術眼の高さも惚れ惚れする。 世界最高の守備的MFと呼ばれるマケレレ(チェルシー)にも負けぬ、いやそれ以上の逸材であると思う。 パルマ時代から良い選手であると思ってはいたが、筆者の中で最高位となったのは2006年のドイツ・ワールドカップであった。 ファビオ・カペッロ政権のユベントスでは不遇を囲ったが、マヌエレ・ブラージよりも攻撃的センスを持った選手である。 ドイツ・ワールドカップではその能力を十分に示し、ガーナ代表の攻守を取り次いだ。 特に近年の得点力向上は目を見張るものがある。 27歳というプレーヤーとして円熟機を迎えたところでのフェネルバフチェへの移籍は、個人的には残念なものがあるが、今後もその才能を見せ付けて欲しい。
posted by stanger |17:13 |
ポジション考察 |
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Re:私的ボランチの仕事
興味深く見させて頂きました。「ピルロ&狂犬」でしょうね。考えうるベストに近い形は。センエツながら言わせて頂くと、「凄いボランチ」の凄さを確認するのは「同じピッチ内に居る」事だと思います(笑)まぁ無理なんすが、J経験者なんかとサッカーするとレベルの違いがわかりやす。TVやスタジアム観戦だと見れる範囲の限界と、どうしたって「ボールウオッチャー」になるけど、ピッチ内でオフザボールの時のバランスのとり方、相手ボール保持者とターゲット方向への顔の出し方etc・・・「あ、これが近代サッカーのボランチなんだなぁ」と感心しやすよ。これにアッピア・マケレレの様なフィジカルがあればチームとして最高でしょう。ちなみにプレーさせていただいた1人は、やはり1時代をボランチとして築いた「トニーニョセレーゾ」さん!!視野の広さヤバイっすよww
posted by 上段青天 | 2006-10-31 08:56
Re:私的ボランチの仕事
> 上段青天さま
コメント有難うございます。
セレーゾと同じピッチとはうらやましい限りです。
確かにJ経験者や元プロと一緒にプレーすることで、サッカーの見方にも大きく影響しますね。
私は高校時代に現在Jリーグで活躍する選手と対戦する機会が何度かありましたが、やはり彼らは当時よりオフザボールでのポジショニング等でレベルが違ってました。
ボランチではないですが、元FC東京の浅野哲也さんとサッカーしたときも、全くもって違いましたね、ポジショニング、周りの使い方、存在感が・・・。
今後とも貴重なご意見頂ければと思います。宜しくお願いします。
posted by stanger@管理人 | 2006-10-31 09:19
Re:私的ボランチの仕事
凄く勉強になりました
posted by 運固 | 2007-01-07 21:42
Re:私的ボランチの仕事
僕は高校2年生(新高3)でサッカー部に所属しています。
先日、顧問の先生から「お前、ボランチやってみたらどうだ?」と僕におっしゃいました。
僕はボランチというポジションをやったことがなく、今日練習試合でボランチデビューをしました。
が、今までFWだった僕はFWから見た理想なボランチを心がけてプレーしてみたら、怒られました。
今日、このページを見つけられて本当にラッキーです。
明日も練習試合があるので、このページに書いてあることを実践してみます。
posted by ニトラックス | 2007-03-29 20:56
Re:私的ボランチの仕事
僕は今度中2になる男子です。ポジションはボランチをやってます。今日読んでいい勉強になりました。できらばまたボランチの事を乗せてください。
posted by daiti | 2007-04-05 10:25
Re:私的ボランチの仕事
こんばんは。私は今高3でサッカー部に入っています。
最近ずっとボランチをやっていて、みんなで話し合うとなにかとボランチがこうだああだと言うのでボランチの大変さを実感しています。
ここを見てとても為になりました。ありがとうございました。
posted by まあ | 2007-05-07 19:27
Re:私的ボランチの仕事
正直、戸惑い続けました。
まず、運固さん、ニトラックスさん、daitiさん、まあさん、コメント有難うございました。
何を戸惑ったかと言うと、指導者としての経験を持ち合わせているからこそ、こんな文章が本当に育成年代にある人に「何か」を与えたのか、ということです。
今までコメントに返信させて頂かなかったのは、このネットにある、「煽り」という類のものではないかという疑念だったからです。
ただ、検索エンジンなりでこの拙文を見て頂き、感じるものがあったのならば、それはそれで書き手としては非常に嬉しいことであります。
恐らくこのコメントを見てはいらっしゃらないでしょうが、また近いうちに、自分の経験を伝えられる物を書くことが出来ればいいな、と思います。
こちらが色々と勉強になりました。
コメントありがとうございます。
posted by stanger | 2007-05-15 23:58
私的ボランチの仕事
僕も中2でボランチをやっています!!学校では、4-4-2でダイヤモンドです。ワンボランチなんでたいへんです。ボールタッチが下手でうまくいきません。 ボランチとしてやっておく練習があったら教えてください。
posted by mf | 2008-03-11 00:22
私的ボランチの仕事
すみません。ボランチとは?
posted by nakanisi | 2008-03-11 00:26
私的ボランチの仕事
自分で考えろ!!!
posted by 大村 | 2008-03-11 00:28
私的ボランチの仕事
そんな事を書く掲示板ではありません。言動に注意してください。
posted by 中西 | 2008-03-11 00:29
私的ボランチの仕事
放置してたらまだ存在してたのね、このBlog。
気づいただけでもよかった。
今年からちゃんと書きます。
許して管理者。
とりあえずはFC東京vsヴィッセル神戸のReviewか。
てか、なんで1年半近く経ったこの記事のコメント欄が荒れるのか・・・。
お好きにどーぞ・・・。
posted by stanger | 2008-03-11 00:48


