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日本vsギリシャ Review 〜終わっちゃいねーよ〜

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ボールポゼッション:74.9 : 25.1 パス成功率:90% : 65% パス成功数:495 : 115 シュート数:18 : 9

スタッツを見出すときりがない。 これだけ大きな差を付けながらも勝つ事が出来なかった。 ギリシャが11人であろうが、10人であろうが、試合に勝つか引き分けるか負けるか、という事柄には決定的な違いがある。 それは得点を決められるか、であるし、そこに行き着く迄のプロセスがある。 残念ながら日本にはその「勝ちに向けたプロセス」を見出す事は出来なかった。

次なるコロンビア戦での絶対的勝利を信じながら、この日のパフォーマンスをいつも通り振り返ってみたい。



◆ザッケローニ采配◆

引分に終わってしまった結果は仕方がないとして、僕が納得出来なかったのは、交代枠を1つ残して90分+4分を終了してしまったことだ。 次がコロンビア戦であり、前の試合で敗北したコートジボアールは負けていることが分っていたのだから、この試合は何を押しても勝ちに行かなくてはならなかった。 その意味では、人数的に有利となった46分で長谷部 →遠藤に代えた点、後半全くプレーに関与出来ていなかった大迫を57分に香川に代えた事は、攻撃に出るというメッセージを伝える意味では速い打ち手だった。 60分を過ぎると10人で完全に引いて守るギリシャも疲労の色が濃くなり、足が止まり始めた。 右サイドから内田がペナルティエリアに侵入しても、付いて行くことすら出来なくなっていた。 そもそもスピードという観点では日本に劣ると見られていたギリシャDF陣からすれば、ここで最も嫌なのはDFラインを切り裂くようなフリーランニングや、ドリブルを仕掛けてくる選手であったはずだ。 疲弊しかけたギリシャを更に疲弊させるには、スピードを有するフレッシュな戦力を投入することではなかったか。 僕が指しているのは、柿谷か齋藤学である。 特に日本でも「カモメッシ」等と評され、スピードとドリブルが持ち前の齋藤は、Twitter上でも待望論が大きかった。 ましてや、パワープレーに効果を発揮しそうな豊田を追いやっての選出である。 ここで使わなければその連れて来た意味合い、「自分達のサッカー」「やり切る」という事をどう表現するのだろうか。 それを放棄して、80分辺りから吉田を最前線に上げるパワープレー。 残念ながらザッケローニはこの4年間求めてきたもの、このW杯で実現しようとしたことを自ら放棄してしまった。

では誰と代えればよかったのか。 僕は山口→齋藤と代えて4-1-4-1で良かったのではないかと思っている。 たらればは意味を持たないが、このザッケローニの采配に残念だと感じた人は多かったはずだ。

◆本田=代表というジレンマ◆

僕は戦犯を捜すつもりは毛頭ない。 この試合においては、攻撃的な工夫が全く足りなかった。 特に左サイド長友からのクロスは、フローティングと言われる緩やかな浮き球のクロスばかりで、GKとDFの間に強くねじ込むようなドリルドクロスと言われるものは皆無だった。 一方の内田がペナルティエリアまで入り込んで、いわゆる「抉る」動きを取ってマイナスのボールを出したり、クラウンダーのボールでチャンスを作ろうと工夫したのとは大きな差がある。 ただ、この左右の違いには決定的な違いがある。 それが、コートジボアール戦でも少し言及した本田である。 本田はコートジボアール戦でも明らかなように、調子が悪くとも一瞬で得点を始めとする違いを作り出す事が出来る。 そのため、この日本代表においては彼を外すこと=チャンスの目を自ら減らすことになってしまう。 しかし、前の試合然り、この試合も然り、 本田の判断が遅く、また素人目に観ても「そこではないよ!」というパスが多かった。 特に終盤になんとしてもゴール前にボールを運びたいシーンで、本田にボールが入った時に懸命にサイドを上がる長友にボールを出さなかったり、または相手の守備が揃ってからパスを出したりというシーンが散見された。 この点については、前ACミラン監督のセードルフも言及している。

“本田のプレーには少しガッカリした。彼は常に中央でいい位置取りをするが、パスの選択肢を間違えていた。フリーの選手にパスをせず、カットされる場面が目立った。彼は常に相手ゴールから離れた場所でプレーしていたし、日本の攻撃時にも前線にいなかった” http://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20140620/202824.html

右サイドに高く張り出し、山口、遠藤、吉田からボールを受けられた内田に比して、その分バランスを取るタスクも担っていただろうから遅くスタートを切らざるを得ない長友に取っては、トップスピードで前に出たところでパスが出ないと攻撃面でたたらを踏むことになってしまう。 そこを効果的に右サイドでパスを受けた本田の判断が一瞬遅れることによって、ギリシャDFも日本への対応がし易くなるという結果に結びついてしまった。 そしてそのパスを出した本田も懸命に長友をサポートしに行くが、 長友もスピードダウンしてしまっているのでノッキングを起こしてしまい、もう一度やり直しになってしまっていた。

調子が悪くとも外すにはリスクが高い本田と言う「王様」を、調子が悪いながら活かすにはどうすべきなのか。 数的優位とギリシャの疲弊感を突いて、左右が同じバランスで攻撃を構成するためにも、本田の負担を減らし長友にサポートを付けて上げる意味でも、4-1-4-1もしくは3-2-3-2の形にして攻めに比重を置いてみてもよかったのではないか。 この点はザッケローニの采配と相俟って、選手個々が孤立している長友をサポートして左からも攻める手を検討出来なかったことにも起因するだろう。 いずれにせよ、右が良かっただけに、左も同様に抉って速いクロスを入れられるように工夫をして欲しかった。

◆意地ではない、想像もつかない何かを見せてくれ!◆

Twitter上で誰かが浅田真央のソチ五輪の演技を引き合いに出していた。 さめざめとそのTLを見ると、極めて奇麗事のように思えてしまうのだが、サッカーが好きな身としては、結果はともかくとしても、コロンビア戦は胸のすくような、僕らがこの2試合からは想像出来ないような戦いを見せて欲しいと心から思う。 先述したサイドからの攻撃の工夫、個人での打開、そして2002年に稲本が見せたようなボランチがFWをも追い越してゴールに顔を出すプレー。 2006年のドイツと同じパターンだ、とか悲観的な話はぶち破るべき意見でしかない。 ザッケローニという監督が何をしたかったのか、そして2010年から引き継いできたバトンを2018年に渡すのか。 最近のチャンピオンズリーグでも顕著だった事がスペインが敗退した事を筆頭にして決定的になっているのが今大会だ。 ポゼッションして相手を崩すというサッカーに終焉が訪れ、より高い位置でプレッシャーを掛け、アジリティで勝負し、短時間でゴールに迫るというサッカーの時代に突入した。 日本がこのサッカーを出来ないわけがない。 豊富なスタミナとスピード、そして技術力。 それらを結集させればこの2試合を払拭するサッカーが出来るはずだ。 退屈だ、最悪だ、負け負け。 そんな言葉をぶち破り、観る者の心を揺さぶる試合が観たい。 予選リーグ3戦目。 選手も諦めていないだろうし、僕らも諦めない。それを結実する日は4日後にやってくる。

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日本vsギリシャ Review 〜終わっちゃいねーよ〜

fukanzuさま

コメント有り難うございました!
うん。システムだけじゃないですね。
システムを変えるということは戦術が変わらないと意味がないと思ってます。
その上で仰る通り日本が取れる戦術は胸から下だと自分も思ってます。
深く抉り、スピーディーにゴール前に入ってく。
スペインだなんだって、キレイな物を置い過ぎた昨今の日本サッカーの最たる例だとも思ってます。
メキシコ、チリ、コスタリカと良い例が多い大会ですので、新たな方向性を確定させるのには良い大会になるかもです。
とはいえ、じゃあこの4年なんなの?ってのは残っちゃうけど。

宜しければまたお立ち寄りください。

日本vsギリシャ Review 〜終わっちゃいねーよ〜

はじめまして。こんばんは。

一瞬システムを変えると何かが機能するように見えるけれども、システムじゃないよ。自分もシステムいじりたくなるけどね。(笑)
戦術だよ。中央を攻略するのを捨てなくても良いけれども、重要なのは、サイドを深く攻めること。
さらにゴールライン上を内に入っていくのがないからダメなんだよ。
なでしこもU17のスウェーデン戦も一緒だよ。
そして、胸から下のボールで勝負だよ。

フィジカル、スピードで劣っても、個の力で突破出来なくてもライン際からなら、いくらでもチャンスは作れるよね。シュートが下手でもね。
日本のサッカーはそうあるべき。
そこが解ってないし、不徹底なの。
パスサッカーは手段に過ぎず、パサーに過度な期待なんてしないほうが良いと思う。

生意気こいてごめんちゃい。

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