Football Memorandum

東京国際ユース(U14)サッカー大会

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閉会式前にナオト・インティライミが歌う横で優勝の歓喜に浸る選手。
そしてそれを讃えるかのように一緒になってはしゃぐ他チームの選手達。
彼らを見ていると、何か祭りが終わってしまったような気がした。

5月2日〜5月5日までの4日間、若き13都市の代表チームが鎬を削り合った東京国際ユース(U-14)サッカー大会。
最終日の今日5日は、駒沢凛ピック公園の陸上競技場メインスタンドがほぼ満員になるほどの観客を集めた。
ボカ・ジュニアーズとサントスという、南米屈指の名門チームが有する下部組織の戦いは、4−0と拍子抜けしてしまう程の結果でボカが優勝した。
僕は初日から観戦をさせてもらったのだが、またあどけなさの残る選手達が見せるピッチ内外の表情や、一つ一つのプレーから、この世代が持つポテンシャルと、そしてまた自分が携わる日本の育成年代において足りない物を感じる事が出来た、非常に有意義な機会だった。



■技術では世界レベル■

本大会には、FC東京深川、東京ヴェルディ、中体連選抜、東京トレセン選抜、岩手県選抜、宮城戦選抜、福島県選抜、茨城県選抜と、日本から8チームが参加をした。
この4日間で全ての日本チームの試合を観ることが出来たが、おしなべて言えるのは、日本の選手達は本当に技術的に高い、ということだ。
試合の結果は海外勢に譲ったとしても、トラップやパスの精度といった一つ一つのプレーから、ラインの上げ下げや周囲を使うといった戦術的な点まで、日本のチームはどこも非常に統率が取れていた。
たまたま居合わせたニューサウスウェルズ選抜とカイロ選抜の関係者に話を聞くと、どちらも声を揃えて
「日本のチームは早いし、技術が高い。それに規律が取れている。」
と示し合わせたように答えが返ってきた。
これは代表レベルでも言われる事だが、育成年代においてもこの点は海外勢からも評価される点なのだな、と実感をした。
蛇足ではあるが、この春にロンドンに渡り、現地のチームでコーチング体験する機会を得たが、その時も一つ一つのプレーの丁寧さは日本の方が格段に上だと感じたことは、第三者として国際試合を観ることでも感じとる事が出来た。

もう少しその違いを認識したいと思い、FC東京深川との試合後、具体的にどのような点が日本の特徴的なところか、と先ほどのニューサウスウェルズの関係者に聞いていみると、近くに居た選手を取っ捕まえて話をさせてくれた。
その選手は
「ボールを止めた後に、ドリブルなのかパスなのか分らない。スピードがあるし、プレーが丁寧なので足下にボールが入るとどっちのプレーをしてくるのか、頭で考えてしまっているうちに抜かれることが多かった。」
別の選手は
「身体が小さくて早い。良く動くしパスも上手い。」
と0-2で敗れた相手を褒めちぎっていた。
恐らくこの長所を伸ばしていくことは、今後も日本サッカーにおいて必要な要素なのであろう。
本来は強豪であるボカやサントスの選手やスタッフに同じような質問を投げられると良かったのだが、残念ながらスペイン語もポルトガル語も解さないため出来なかった。
が、恐らく彼らも同様のことは口にするのではないだろうか。
事実、多少手を抜かれた感はあったが、ボカと1次予選で同組だった岩手も東京都トレセンも、パスで相手を翻弄したシーンは共にあったのだから。

■1対1の弱さ■

一方で日本のチーム/選手が弱いな、と感じた点は1対1、個としての弱さだ。
もの凄く分かり易い例で言うと、先日のワールドカップ予選で日本がカタールに負けた試合で、カタール選手に日本DF陣がちぎられて失点をしたシーンを思い出してもらえると分かり易い。
骨格や筋肉量の違いはあるが、海外勢のスピードに対して、日本人選手が付いて行けないシーンは数多くみられた。
また、スピード勝負でなくても、1対1で相手に対峙した時に飛び込めないのは元より、間合いの詰め方すら中途半端に感じることも少なくなかった。
代表クラスでもフィジカル面で海外勢と差を感じる事は少なくないが、海外勢から評価される日本人のクイックネスをきちんと活用出来れば、適した間合いを取った守備が出来るはずだ。
ただ、それらの事は育成年代の指導者が皆分っているのだが、残念な事に今回のような国際試合を体験することが日本の選手達には圧倒的に不足してしまっていることも原因の一つだろう。
外国人特有の手足の長さに対して、どのように間合いを持って守るべきなのか。
なんとかしてこの経験を積む事が、総体的に日本サッカー、特に守備戦術の向上に役立つのではないかと改めて感じた4日間だった。

ちなみに、その距離感が最も絶妙だと個人的に思ったのはチェルタノヴォ選抜だった。
ドリブルのタッチ、パスを出すタイミング、非常にコレクティブで高い技術に裏打ちされたサッカーをしていた。
フォワードの選手がDFラインの裏に飛び出すタイミング、そこを目がけてロングボールを選択するのか、サイドを選択するのか、一つ一つのプレーの質が最も高かったように感じた。
残念ながら、ロシア語も分らないので、その本質を探ることも出来なかった・・・。

■精神論は嫌いだけど闘志■

決勝の舞台を嫁の隣で見ていた時に、彼女が感嘆の声をあげた。
「中学生のくせにいっちょまえにファールもらおうとするなんて!」
サントスの選手がキーパーと交錯したように見せて倒れた瞬間だったが、もうどこからどう見てももらいに行ったプレーだった。
その後ボカの選手とサントスの選手が削り合ったり、つかみ合うシーンが多々あった。
ソウル選抜の選手達は、絶対に負けない、という気持ちを表に出して守り、攻撃する時も全力だった。
暴力はいけない、というのは当然なのだが、このぐらい「勝ちに行く」という姿勢が日本の選手には圧倒的に不足している。
そのような話を一緒に観ていた指導者仲間などにすると、皆が皆
「背負ってる物が違うでしょ。あっちは生活かかってるし。」
とどこか他人事に語る。
確かにそれは正論なのだけれど、だったらいつまでたっても国際大会で日本が上位に行く事はないだろう。
指導の現場でやっている我々が暴力を肯定するような言説をとってはならないが、相手が誰であろうと、勝ちたいという気持ちをしっかり出すこと、精神的に負けてはいないことを表現することは重要なことであることも、この大会を通して感じたことだ。

選手個々が勝ちたい、という気持ちをしっかりと表現しながらプレーを出来るような環境をどう作って行くのか。
アルゼンチンやブラジルの選手と同じように、相手にボールを蹴りつけるとかそういうやり方ではなく、日本のサッカーとしてそれらを表す姿勢を作り上げること。
言葉だけではなく、ある種松岡修造的な過剰なまでの熱さで我々指導者が伝える必要があるのかもしれない、と反省をしたような、気付いたような4日間だった。

とにかく、選手も多くの経験を出来た大会だったと思うが、外から観ている人間にしても、この大会が持つ意義は大きい。
来年以降もより一層高いレベルの試合を見せてもらえるように、現場からも支援をしていきたい。

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