Football Memorandum

大分トリニータ vs FC東京(J1第1節 大分銀行ドーム)

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3月1日の開幕戦前夜を迎えても、毎年のような高揚感というか、サッカー馬鹿の大晦日の気分はなかった。
仕事の事が頭を過り、次々とTo Doリストが積み上がる。
「女よりも、仕事よりも、東京」
というチャントはもはや全否定以外の何ものでもなく、開幕で盛り上がるTwitterも落として深夜仕事に没頭していたし、当日もそそくさと仕事をこなしたり、書類作成におわれていた。
でもキックオフの19時が近づくと、何か落ち着かない。
19時になってテレビをつけると、完全に心は大銀ドームに居る気分だったし、この日の試合は開幕にふさわしい、両チーム気持ちのこもった好ゲームだった。



■"昇格組"という言葉はもう要らない■

同日の昼に小雪舞う仙台で行われた仙台vs甲府、湘南vs横浜FMも同様に、もはや「昇格組の」という枕詞は必要ないのかもしれない。
「昇格組」の3チーム全てが自分達の持ち味を出しながら、前年J1チームに挑んでいた。
これはきっと広島や柏といった、昇格初年度でセンセーショナルな試合を見せた上に、結果を出したチームが続いているからというのもあるのかもしれない。
J1仕様の試合をする、ということは自分達が積み上げてきたサッカーを否定することにもなり、昨年1年間からの積み上げを捨てることになる。
大分もJ2で積み上げたメンタリティをキックオフから存分に発揮していた。
東京がDFラインまでボールを下げれば猛然と森島、西がボールを追う。
高い位置でボールを奪い、素早く繋いでゴールに迫る。
プレイオフでも見せた堅守速攻スタイルは、守攻の切り替えが早く見応えがあった。
中でもDFラインが弾き返したボールを東京OBでもある宮沢が左足で正確にフィードする姿は、東京サポーターとして嬉しい姿だった。
特に前半に多く観られた、2列目を省略してでも前を走らせるボールは、東京DFにとっても前を向いたFWとの"ヨーイドン"の競争となり、繰り返されると早晩にスタミナを奪われる可能性が多々あり、非常に脅威に感じながら見ていた。
このスタイルをJ2昇格組の唯一の戦い方として考えることは簡単だが、田坂監督と共にチームが積み上げたスタイルだ。
遮二無二ボールとゴールを求める姿は、スペインサッカーが善とされる昨今において気持ちの良いサッカーだった。
大分には是非共、この前に出る姿勢を崩さずに継続していって欲しい。

■米本のチャレンジ■

米本が本調子になってきたな。そう感じた試合だった。
高橋とのダブルボランチは何方かと言えば守備的な2人を揃えているが、いわゆる釣瓶の動きで、二人がバランスを見ながら役割分担していた。
バイタルが空けば猟犬のように米本がボールを奪いに現れる。
例えボールが取れずとも、しっかりとディレイをしてボールを下げさせて味方の戻りを待つ時間を作る。
この米本の献身的な動きは、正に彼が1年目見せたパフォーマンスを彷彿とさせるものだった。
更に米本が良かったのは、前半なかなかボールが繋げなかったところで、何度かロングボールをDFの裏に入れようとしていた点だと思う。
渡邉・ルーカス・東がクルクルとポジションを変えてマークをずらす動きをする後ろから長谷川が上がってくる、この状況をスリーバックで抑えようとする大分DFを、前後左右に揺さぶるように米本がロングボールを蹴る。
このロングボールが大分のサイドを下げさせて、ボランチ宮沢の左右にスペースを作るのには役立っていた。
昨シーズンまでは、ボランチやDFラインからこのようなパスが出る事は少なかった。
相手を上手く左右、前後に広げるためにも、この手のパスを「見せ球」として使えるようになることが必要だと感じていたが、ボールを奪取する役割の米本がこの点の差配を上手くしてくれると、東京が持つ2列目の力を更に大きく使えると思った。

■去年までとは違う攻撃陣■

東が入ったことで、先にも述べた前線3人(渡邉・ルーカス・東)がポジションを代えながら、更にはシンプルにパス交換をしながら攻め込むシーンに何度も沸き立った。
昨年まで梶山が務めていたことで、左右ウィングのポジション入れ替わりはあったが、例えば石川直がトップ下のような位置取りからペナルティに入るシーンは殆どなかった。
極めて個人的に言えば、梶山が居る事で良くも悪くも真ん中でボールが収まる=滞留しがちだったFC東京の攻撃に、東は流動性を与えたと言える試合だった。
この試合ではトップも含めた複数の選手が中に外に顔を出しながら、少ないボールタッチでゴールに迫って行く姿勢があったために、非常にスピーディーかつダイナミックな攻撃が出来ていた。
ギリシャでチーム共々苦しんでいる梶山は、夏には戻ってくる可能性が高いのではないか、と想像しているが、この日のような攻撃が研ぎすまされて行けば、東京の至宝梶山でさえポジションが保証されることはないだろう。
かつて原元監督(現日本サッカー協会)が「ノッキングする」という理由で大黒柱とも言えたケリーを放出して、苦しみつつも新たな時代を迎えたのと同様に、FC東京は次なるステージに入ったのでは、と感じた試合だった。

■次にどれだけやれるだろう?■

大分はスリーバック+アンカーのシステムで臨んで来た。
そのアンカーの左右のスペースを起点に上手く攻めていた東京だったが、果たして4バックの相手に臨んだ時にどうなるか。
4-2-3-1でサイドのスペースも上手く消してくるサッカーをするチーム、または3-4-2-1のチームに対して、この日のようなシンプルなタッチで流動的なサッカーが出来るかどうか、という懸念は残った試合だった。
李が何度かゴール前に迫ったさすがのポジショニング(2度の決定機は決めて欲しかった!)、石川直のDFを振り切るスピードと、交代カードにも大きな夢を見させるシーンも観れたものの、果たしてこの日の攻撃が相手変わっても変わらぬクォリティで繰り出せるのか。

なんの関係もない単なるファンのサッカー馬鹿がいちいちくどくどともの言うシーズンがまた始まった。

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