Football Memorandum

FC東京vs川崎フロンターレ(2012.9.22 味の素スタジアム)

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負けて喜ぶバカはいない。
ましてやシーズン終盤の降格争い、優勝争いが具体的に語られる時期でもある。
僕は、喜んではないけど、でも負けても清々しいというか、希望を持ってスタジアムを出たことは事実だ。

だからといって、この日のFC東京の有り様を全て褒める訳にも行かない。
前節清水戦が「いつも見ている前半ダメダメ、後半盛り返す」ならば、この日は「前半とんでもなく良い、後半は?」という、FC東京にしては、あまりお目にかかることの無い試合だったように思う。



■疑問符がついたフロンターレ■

僕はいつでも相手チームの良いところを感じたいと思っている。
「リスペクト」とか言うと聞こえが良いけれども、やはり「良い試合だった」と感じる意味でも、対戦相手の良かった点を自分なりに抽出することで、試合全体を冷静に振り返りたいという思いがある。
しかしながら、この日のフロンターレにおいては、チーム全体での連動という点よりも、中村、楠神、ジェシといった個々の瞬間的なパフォーマンス以外に良い点を抽出しきれないという状況にある。

フロンターレサポーターの友人が、
「パスサッカーというけれども、遅攻に偏ってしまっていて、(前に)行けば良いところで行かない」
と言っていたけれども、それ以前に守備の部分で全く迫力を感じなかった。

僕の持つ川崎のイメージというのは、FC東京が昨シーズンはJ2であったこともあるため、どうもあのハイプレスで高い位置でボールを奪って、スピーディーに相手ゴールを陥れる、という印象が強く残り過ぎているのだろう。
思い返せば、僕は相馬体制も風間体制の試合もまともに見ていないのだから、そもそもこの1試合でフロンターレに疑問符をつけるのは失礼なことなのかもしれない、と思ったりもする。

ただ、楠神の得点シーンは非常に上手いボールの受け方をして、それまでパスを繋いでいたところを一気にドリブルを見せて切れ込んで行ったのは非常に良い判断だったと思う。
気の抜けやすい後半の立ち上がりに、良い流れを作るにはあのプレーの選択しかなかった。
森重も完全に騙されて安易に滑ってしまったし、丸山のカバーリングも遅く、権田の判断も悪かった。
その間隙をついて、パスで来ると思い込んでいたFC東京守備陣の裏をかくように勝負をしたあのプレーは、実は今のFC東京に不足しているプレーだと思った。
易々と森重を交わしてゴールを決めた楠神の背中は、はっきりと目に焼き付いている。

■今季1番の出来〜前半■

前半終了を告げるホイッスルが鳴った時に僕が思ったのは
「これは今季最高の出来じゃないか」
ということと
「あそこまで行っているのに得点出来ないというのは、どうも横河戦と同じ臭いが・・・」
という2つだった。
試合が終わってしまえば、どちらも正解だったわけだが、何故僕が今季最高と思ったかと言うと、幾つかの連動した素晴らしいプレーが見れたからだ。
(ゴールに結びつかなくては、本来素晴らしいとは言えないのだけど)

一つは16分のシーン。
中盤からの楔のパスがルーカスに入る。
ルーカスはジェシを引き連れてペナルティ外でボールを受ける。
その空いたスペースに梶山が侵入してボールを受けて決定機を作った。
32分に徳永がサイドを上がった際には、中には5枚選手が居た。
こぼれ球に対しても、高橋、米本が良く拾ってはミドルシュートを狙ったりと、とにかく攻撃の選択肢が多く見られた。

プレッシャーの甘いフロンターレの守備もあったが、あの厚みを持ってプレーが出来れば、フロンターレもプレッシャーを掛けにくい。
ましてや、FC東京の攻撃がワンタッチ、ツータッチでシンプルに繋ぎ人も動く展開であれば、尚のこと手も足も出なくなり、フロンターレは防戦一方になってしまう。
ポポヴィッチ監督も試合後の会見で言っているが、これこそがまさに「試合を支配する」ということの具現化だった。
中盤でシンプルにスピーディーに繋ぎ、相手を引っ張り出したところを使う。
開幕前のゼロックススーパーカップや、ACLのブリスベン戦で見せた、理想とするサッカーの姿を見た前半だった。

■悪いところが再発〜後半■

先に述べた楠神のゴール。
実のところ、この手の失点はもうここ10年近く不変の悪いところだ。
後半のこれから、というところをフワフワと試合に入ってしまい、早々に失点する。
そこでピッチ上の雰囲気が「やばいなぁ」となってしまう。
下を向いてしまい、センターサークルに向かう選手の足取りも、なんだか重く見えるのだ。
サポーターは前半の選手を信じているし、まだ44分+α残っているから、選手を元気づけようと声を出すが、本当にその声が届いているのか、と思う程に暗澹たる空気がピッチを覆ってしまっていた。
なんとか立て直そうとするが、前半のような小気味の良いパスワークは鳴りを潜めてしまい、いつもの悪い時のように、足下足下へのパスが多くなる。
足下なのでフロンターレも対応がしやすくなり、ボールを持ち直して「よいしょ」となっているところを、後ろからつつかれるようにボールを奪われてしまう。
そして逆襲を喰らい反則を犯してFK。見事にそこから追加点を奪われる。

連戦の疲れ、夏場の疲れがある、と言ってしまえばそこまでだが、僅か15分前に出来ていたことが怪死直後の1失点で出来なくなってしまう、というのは、このチームが歴史的に持つ弱点としか言いようが無い。
これはこれで何らかのメンタリティ文化が存在するのではないかと訝ってしまう。
この悪しき文化を払拭し、一時期の「ハラトーキョー」が如き、「失点したけど、なんとか面白いことになっちゃうんじゃないの?」という流れを醸成出来ないものだろうか。

■選手交代への疑問符■

2点を先制したフロンターレはやることが明確になり、楽に試合を運べた。
なんとかまずは1点を、と苦しくなった東京は矢継ぎ早に交代選手をピッチに送った。
そこで大きな疑問符がついたのは、ヴチチェヴィッチが何故にトップ下なのか、という点だ。
清水戦においても、サイドで使って良さを発揮したにもかかわらずだ。
早々に足を攣ってしまった米本との交代と言う点から、梶山をボランチに下げてヴチチェヴィッチを梶山のポジションに、というのは分からないでも無いのだが、であれば先にエジミウソンを投入して、ルーカスをトップ下に、羽生とヴチチェヴィッチを交代してサイドを活性化、という方が良かったのではないかと思う。
サイドを押し込む展開は前後半同様だったのだから、そのサイドの強みはそのままに、いかに得点を取るのかという観点で考えると、僕はヴチチェヴィッチをスペースの少ないトップ下で使うというのは、全体のノッキングを引き起こしてしまうため賛成出来ない。

まだまだ怪我で選手を欠いた状態のため、交代戦術も含めて非常に難しいシチュエーションが続くが、少なくとももう少し、選手の特徴に応じた起用をしてもらいたい、そんなことを思ったりした。

ただ、そうは言えども、前半に見られたサッカーは、本当にもう一度シーズン前の期待感を呼び起こすものになった。
半年間続く産みの苦しみだが、好転の兆しが見える以上、まだまだこれからの反攻には期待をせざるを得ない。

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この記事へのコメントコメント一覧

FC東京vs川崎フロンターレ(2012.9.22 味の素スタジアム)

>ぶまんさま

コメント有り難うございます!
手探りで記載させて頂いた、非常に失礼なフロンターレ評について、補足も含めてご教示頂き、有り難うございます。

なるほど、最終ラインが急造である上に、守備が軽くなってしまうボランチ2枚というのがあの試合運びに繋がったのですね。

頂いたコメントを基に、今後のフロンターレの試合を観るように致します。

他サポーターの方からのコメントは、本当に有り難いことです。
またお暇がございましたら、お立ちよりください。

有り難うございました!

FC東京vs川崎フロンターレ(2012.9.22 味の素スタジアム)

はじめまして川崎サポです。

書かれていること改めてその通りだなと感じました。
川崎はプレスがハマるときとダメダメなときと両極端で、最終ラインにメンバーを欠いたこの試合でも、中村憲と風間希の軽い守備も合って東京にやりたい放題蹂躙されました。

運動量でもパスの意図でも川崎が完全に後手に回った前半だったのでGKの好守が無ければ前半で試合が決着したかもしれません。

後半は守備の修正と先制点が噛み合って、東京の拙攻を引き出したことで試合運びが明確になりましたね。

ウチの課題はなんといってもワントップとボランチで、ここが固まらないと不安定な試合が続くと思っています。

東京はメンバーが揃っているので、主さんの書かれていることが実施できるかどうかでしょう。

長々と失礼しました。

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