Football Memorandum

天皇杯2回戦 FC東京vs横河武蔵野FC(味の素スタジアム)

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雪崩を打つように最前列まで駆け下りる横河武蔵野FCのサポーター。その姿を見ながら、僕は溜め息とも付かぬ息をふーっと吐き出した。
所謂「格下」相手に負けたことへの怒りを感じる事も無かった。
負ければいつもの事だが、Twitter上では選手個々に対する批判が渦を巻くように流れ続けた。
それをつぶさに見ては、「そういう言い方はいかがなものか」と厭味を呟くはずなのに、そういう気も起きない。
吐き出した息と共に、僕の怒りや厭味は全部味の素スタジアムに捨てて来た、というのが正確な表現なのかもしれない。
ただ思ったのは、我慢比べに負けた、それだけだった。




■負けないサッカーを徹底した横河■

飛田給から味の素スタジアムに向かう歩道橋を上がったところで、いつもは見ない風景を見た。
横河サポーターが後援会のチケットを受け取り、皆が握手をし、笑顔で会話していた。
一応個人的に縁がある横河だから、その人々の姿を見ながら「いいな〜」と思ったことは認めておかないとならない。
日程が合えば夢の島や武蔵野陸上に足を運んで見ている横河がどんな戦い方をしてくるのか、それが楽しみでもあった。

試合が始まれば、案の定FC東京がボールを支配した。
横河は5-4-1、時には6-3-1に陣形を整えて、とにかく負けないサッカーをしていた。
攻撃は、というと、ワントップに小林陽介が残り、ボールを奪ったら小林目がけてボールを回して行く。
ただ、残念なことに、小林一人では、森重、加賀、椋原、丸山の東京DF陣を交わすことは出来なかった。
それでも何度も同じやり方で東京陣内へ突っ込むことをやめない。
愚直なまでに同じ事を続けながらも、時折小林のサポートに加藤正樹が入り東京ゴール前までボールを運ぶシーンも見られた。
「とにかく全員で守るんだな。」と思いながら、どこで攻撃のスイッチを入れるのかが見え難かった。
確かに格上であるFC東京相手だから失点しないことは重要であるが、攻撃をしなければ勝つことは出来ない。
自分ならリスクを承知で富岡大吾か加藤正樹を前に残すな、そんなことを思いながら見ていた。
負けないサッカーだったかもしれないが、勝つためのサッカーではなかったと思う。
結果的には、作戦にブレがなかった横河の術中に嵌まったFC東京が自陣でFKを与え、それがそのままゴールに吸い込まれて敗戦となった。
選手を替えながらも徹底して戦術を変えなかった依田監督の「忍耐力」が勝った試合だった。
忰山を入れても、関野を入れても、やる事は変わってなかったのだから。

■我慢くらべに負けた東京■

対するFC東京は、横河の敷く5-4-1の布陣をなんとか突破すべく、ボールを繋いで横河の選手を動かし続ける。

しかし決定機を演出するまでにはなかなかいかない。
ボールを動かせば動かすほど、目の前に黄色い壁が出来上がる。
選手にとってはそんな感覚だったかもしれない。
前半で得点をすることが出来なかったため、後半はヴチチェヴィッチを下げ、梶山を投入して状況打開を図る。
僕はこの時点で勝負の天秤が大きく横河に振れた気がした。
梶山を送り込んだことでピッチ上にいる10人の選手にも「点を取りにいかないと行けない」という強烈なメッセージが伝わったはずだ。
一方で横河の依田監督からすれば、「イライラしてるな」と気取られただろうし、横河イレブンからすれば「さて、本気になってきたか?やってやろうじゃないの」と更にやる気を出したように思う。
そして56分には矢継ぎ早にルーカスを投入。
この時点で僕は正直90分で勝つことはないだろうという気がしていた。よもや負けるとは思わなかったが。
僕らサポーターも然りだが、得点を取れない焦りがスタジアムに充満した。
同時に「いつか取れるだろう」という空気もあった。
両極端な空気が選手を包むと、前半とは打って変わって個人で打開しようとしてボールを奪われるシーンが続出する。サイドで、中央で。
ベンチワークも含めて、「苦戦している」ということを完全に相手に気取られてしまった。
にらめっこに代表される我慢比べは少しでも苛立った方が負けるのは世の常だ。
横河の「負けないサッカー」に苛立ったFC東京が自分達のやりたいように出来なかった事は自明の理なのだろう。
振り返るとそう思う。

■ペナルティエリア内の枚数不足■

敢えて録画を見直さずに記憶で記載をしているが、FC東京が攻撃時に、ペナルティに入っている選手の少なさが今日も気になった。
丸山、椋原が懸命にアップダウンをしてなんとかサイドからチャンスを演出しようとするも、結果ペナルティに入っているのは2~3枚だった。
特に後半は、サイドで手詰まった際にはウィングがそのフォローに入らざるを得ない。
本来はウィングが入って行くべきペナルティのスペースに入って行く選手がいないから、結局ゴール前での迫力にかけていた。
これは連敗中のFC東京によく見られていた傾向だ。
開幕直後の好調時は、サイドにボールが入った時には、逆サイドのウィング、センターフォワード、トップ下の3選手にプラスしてボランチ(今日で言えば長谷川か米本)が入ってきたため、ゴール前での威圧感が大きかった。
しかし、今日は渡邉、ルーカスのどちらかに梶山と2枚しか入っていないシーンが散見された。
今日のようにがっちり引かれた時は、3列目から飛び出してこれることが勝敗を分けるケースは多い。
残念ながらそういうシーンが見られるのが少なかった。
ポゼッションが出来ている場合に、3列目の選手がリスクを取って飛び出す、そういうサッカーを見せて欲しいと思う。

今日の結果に関して言えば、誰が悪いとかいうことは無かったと思う。
交代選手も含めて、皆平均的にやったと思う。
ただ、その平均から突出することもなく、ただ我慢比べを出来なかったこと、それが敗因だろう。
我慢比べを徹底した横河の戦術というか、気力勝ちだった。

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