Football Memorandum

Review FC東京 vs サンフレッチェ広島 (2012/3/31)

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試合終了後、待ち合わせたサポーター仲間の顔を見て、僕は思わず口走ってしまった。
「なーんか負けたって感じがしない試合だったなぁ。かと言って、勝てたって試合でもなかったけど。」
恐らく、雨中のこの試合を観たサポーターの大半がそう感じたのではないだろうか。
何だか知らんが負けた。

でも冷静になって考えてみると、なんだか負けたの背後には、広島のしっかりとした戦術が存在する事を感じずにはいられなかった。



■数年越しでも変わらぬ課題

僕がサポーター仲間に向けて口にした感想はもう一つあった。
「なんだか城福東京時代から変わらず、ああいう引いてきた相手には打ち手がないね。」
相手チームにゴール前でブロックを作られると急に打ち手がなくなってしまい、中盤やDFラインでボールを回しているうちに時間がすぎてしまう。
これは昨シーズンを過ごしたJ2はもとより、かつてナビスコカップを制した城福東京時代から変わっていない課題点だと思う。
縦にボールをいれても、収まるべき所にプレッシャーを掛けられて、一度下げてやり直し。
縦がダメならヨコから、とサイドに開いてチャンスを探るもやはり中を固められて打つ手なし。
相手の間隙をつくような動きもなく、あくまでも縦パスありきのサッカーでは、9人で城壁を築く広島相手には分が悪すぎた。

対する広島は、カウンターのお手本のような形で東京のゴールネットを揺らした。
右サイドのミキッチが東京陣内半ばからアーリークロス。
これをDFとGKの間、非常に難しい位置に通され、強かにチャンスを狙い続けてきた佐藤寿人に決められてしまったのである。
DFラインを高く設定し、ボールを回す東京のスタイルと異なるゴールシーンだったが、僕はこのゴールにこそ引いた相手にも対応するヒントが隠されているように思った。
縦もサイドもダメならば、中距離からボールを入れるという選択肢も含めていいのではないだろうか。
いくら相手が引いてブロックを作っている、といっても、FC東京がボールを持ったらペナルティエリアまでリトリートして守れ!なんてチームは無いはずだ(そう信じたい)。
縦パスを警戒されているのだから、この日の広島の得点シーンのように、サイドからDFラインの裏を通すようなクロスを入れ、そこに2列目から選手が飛び出して行きワンタッチで合わせてゴールする、というのも一つの引いた相手を攻略するパターンだと思うのだが、味の素スタジアムでそういったシーンに出会うことはなかなかに少ないように思う。

■感じられてしまった長谷川アーリアジャスールの存在感

どうにも耳につくチャントも手伝ってすっかりサポーター内での人気を確立した長谷川アーリアジャスールはこの試合には出場停止となっていた。
代わってボランチを務めたのは田邉草民だった。
ボール扱いに定評のある田邉だが、僕個人としては、この起用はアーリアが見せる
「シンプルにボールを散らして、3列目からペナルティ内へ飛び出す」
という動きだったのではないかと思っていた。
周囲との連携もあるが、残念ながらそういう動きはかなり不足していたように思う。
ダブルボランチを務める高橋との距離感を気にしたのだろうが、リスクを負って前に出て行くには、高橋よりも田邉の方が得意とする動きだと思う。
その思い切りが感じられず、「ただなんとなく無難に」と見えてしまった。
守備から攻撃へのスイッチ役という意味では、長谷川が持つ働きはゼロックスカップからJ1第3節まで大きかったと思う。
決定機を外してしまったが、神戸戦の前半に見せたGKとの1対1のシーンも、ここはと見たらリスクを負って前に飛び出した結果である。
DFラインに5人を並べられている状態では、その統率されたラインをいかに混乱させるのか、が非常に重要なファクターになる。
2列目に位置する羽生がその役割を課されることが多いが、実はそこにステルスのように3列目から飛び出して来る大型ボランチの存在があることが、ここまでの試合で相手DFに少なからず脅威を与えていたのではないだろうか。
左サイドバック、ボランチと新たな役目を与えられている田邉ではあるが、自分の役目に徹することにプラスして、少しの勇気を持って飛び出して行く意識を持ってくれれば、彼の持つ技術がもっと活きるのではないかと感じた。

■広島の狡猾さ

システムの違いはあれど、昨年までのペトロヴィッチ政権を経験した広島からすれば、ポポヴィッチ東京がやりたいことは手に取るようようにわかってしまったのではないだろうか。
ましてや指揮官がペトロヴィッチ政権を支えていた森保氏なら尚更だ。
自分たちがやりたいことを出来なかったことを相手にもしてやろう、そういう意気込みだったのではないだろうか。
そういう意味では、 この日の戦い方は広島選手の本意ではなかったのかもしれない。
それでも、相手にボールを保持させて、しっかりとブロックで受け止めるという戦い方で見事に押し切ったのは、広島の選手に新たな勇気を植え付けることになっただろう。
「あんなドン引きの試合運びで勝たれて悔しい」
という声はそこかしこで聞こえたが、相手を受け止めて一瞬の隙を見逃さずに勝つ、というのはなかなかやれる芸当ではない。
FC東京がサポーターの立場からすれば、狡猾というあまりポジティブでない言葉を使わせてもらっているが、正直見事なまでに練りに練られた戦術がで、FC東京は見事にその術中に嵌まってしまった印象だ。
それを凌駕するためにも、これからの1試合1試合で積み重ねをして行ってもらえたらと思う。
ポジティブに考えれば、ゼロックスを含む7試合のうち、リーグ戦3試合はどうも内容的に納得できるものではなかった。
それでも勝ち続けてきて、ここで一旦息が入ったというのは、まだまだチームの成長余地がある証であると思う。
他チームに勝ち方のヒントを与えてしまった感があるが、それを押し退ける動きがきっと川崎戦以降で見えて来るのではないかと思う。        

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この記事へのコメントコメント一覧

Review FC東京 vs サンフレッチェ広島 (2012/3/31)

前線に寿人、李(たまにムジリ)を使っていたため、
連動性が損なわれ守備時はそれ以外の選手が
ゴール前にブロック作る、いわゆるカウンターサッカーを
してましたからね、酷いときは6バックとか。
今回はアウェーだし、相手がラインの高いF東京だし、
天候も悪いしって事で、不本意だけど勝つために去年の
サッカーをやってみるかって感じでしょう。
うちはミシャの五年間ディフェンス練習ほとんどしてないので
ことディフェンスに関しては選手自体の適応能力が高く、
ポゼッションからどん引きまで相手に併せた戦術を言われなくても
実践できるのが強みだと思います。

Review FC東京 vs サンフレッチェ広島 (2012/3/31)

>パープル熊さま

コメントありがとうございます。
見事な勝利だったと思います。個人的には敵ながら天晴れ、という感じで脱帽でした。
ドン引き、というのは私自身が思ったということではありません。言葉足らずで申し訳ないです。
個人的には、引いて守るのもありだと思ってます。
なので、文中にも書かせて頂いた通り、ポゼッションする東京を受け止めて、一撃必殺で戦うことはなかなか出来る芸当ではないですね。
勝つ為の手段をしっかりと徹底した点は、一フットボーラーとして、指導者としても大変参考になった試合でした。

ちなみに、平山を入れた意図としては、個人的には分かりにくかったので、もっと早く入れてもそんなに怖くなかったと思いますよ。
ベンチの意図、選手の意図が掴み辛かったです。

Review FC東京 vs サンフレッチェ広島 (2012/3/31)

広島サポです
まあうちはドン引きでもいい戦術ですからね・・・
西川君とDFラインみんなフィード能力が高いわけですから使わない手はなかったのと天気も悪いそしてなにより
FC東京の高いラインのコンパクトにした見事な中盤でのプレスを知っていたので、うちとしてそこでやりあうとボロボロに負ける可能性が高いわけです
ポイチ監督は戦術上ロングボールで寿人 大崎 ミキッチで裏を狙いまくり高いラインを下げたかったんだと思います ラインを下げさせ中盤の距離を長くしてプレスをゆるくする!そういったことを狙う柔軟な戦術だったと僕はポイチ監督に拍手!
ミシャサッカーではシャドウの位置に縦のボールが入らないと始まらないのでそこは潰すとゆう弱点もしってましたからね・・・
ドン引きサッカーといわてますがどうでしょう?いくらポゼッションしてもシュートやチャンスがなければ意味がないと思うのですが・・・手段と目的が逆なのでは?
あと平山をもっと早くいれられたらもっと怖かったです

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