Memories of the game

沖縄県大会、準決勝・決勝の展望

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【第一試合】興南-糸満

 準々決勝における糸満の沖尚撃破は、今大会のサプライズの一つだった。強打者揃いの相手に投手戦へと持ち込み、1-2とリードを許しても崩れることなく、足を絡めて2点を奪い取った。個人能力で上回るチームと対する際の、まさにお手本のような戦いぶりである。

 ただ、準決勝で対戦する興南は、沖尚とは特徴が違う。

 今年の沖尚は、やや攻撃に偏ったチームだった。そのためか、ロースコアの展開に持ち込まれると、意外に脆さを露呈してしまった(秋季大会三回戦はコザに2-3、春季九州大会は秀学館に1-3といずれも敗れている)。

 一方の興南は、ロースコアの展開に強い。逆に言えば、4点以上を奪われると彼らのペースではなくなる(秋季沖縄県大会決勝で美来工科に1-4、秋季九州大会一回戦で大分商業に2-7、春季沖縄県大会の準決勝で沖尚に3-5、三位決定戦で美来工科に10-17で敗戦)。

 準決勝、興南の先発は川満大翔が予想される。今大会の読谷戦、春季大会の沖尚戦を見る限り、彼は時折球が高めに浮く傾向がある。その二試合では、高めの球を狙われ連打を浴びる場面があった。  糸満も、同様にして畳みかけたい。できれば一イニングで2,3点一気に奪えれば、試合を優位に進めることができる。

 ただ興南は、今大会から1年生左腕・宮城大弥が頭角を現しつつある。また春季大会では不調だった上原麗男も、準々決勝の宮古戦では好投した。短いイニングとなれば、川満も初回から全力投球してくるかもしれない。これを高い集中力で攻略できるかが、勝敗のカギを握る。

 投手陣以上に警戒すべきは、興南の打線だろう。  今大会、大量点こそ奪えていないが、甘く見てはいけない。読谷戦(3-2)、逆転を許した直後の同点打、八回裏の決勝スクイズ。宮古戦(3-0)、好投手・長嶺の出鼻をくじく序盤の集中打。“ここぞ”という場面では確実に得点を奪ってきている。

 もっとも往年に比べると、やはり破壊力には欠ける。糸満としては、序盤から2~3点のリードを奪い、逃げ切るという展開が理想的だろう。逆に、興南の投手陣が2点以内に抑えられれば、彼らに分があると見る。

【第二試合】美来工科-八重山農林

 八重山農林の快進撃は、今大会における最大のサプライズといって良いだろう。とりわけ、八重山(一昨年の秋季県大会優勝校)、浦添商業(夏の甲子園大会四度出場)という実績あるチームを破ったことは、その活躍が決してフロックではないことを証明している。

 ただ、準決勝はさすがに苦戦を強いられるだろう。

 それだけ美来工科のチームとしての完成度は、勝ち残った4チームの中でも際立っている。ここまでの四試合、いずれも3~10点を奪って快勝しており、安定した戦いぶりだ。

 特に打線は、間違いなく全国レベルだと思う。具志川商業戦(8-3)を観戦したが、各打者がセンターから逆方向へ鋭い打球を弾き返していた。これは単にパワーだけでなく、確かなバッティング技術が備わっている証である。

 投手陣は、主戦・山内慧が安定した投球を続けている。登板した試合では、すべて1失点以内に抑えている。準々決勝の宜野座戦(3-1)では、九回裏に1死二・三塁と一打同点のピンチを招いたが、後続を連続三振に仕留めた。苦しい場面でも、崩れないタフさを見せられたことは、今後の戦いに向けても大きい。

 八重山農林に勝機があるとしたら、2点差以内で終盤を迎え、山内の疲労に付け込むことができた場合だろう。宜野座戦も、終盤得点圏に走者を背負う場面があった。ここであと一本出れば――そういう状況を作ることができるかどうか。

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記事カテゴリ:
沖縄の高校野球
タグ:
沖縄県大会
八重山農林
糸満
美来工科
興南

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