Memories of the game

興南ナインよ、“チャレンジャー精神”を思い出せ! ――屈辱の大逆転負けから再起するために

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 思わぬ形で6点リードを得てしまったことが、実は大きな誤算だったとは思う。

 初回、智弁和歌山の1~3番の打席を見て、「十分抑えられる」と感じた。確かに振りは鋭かったが、どちらかと言うと長打狙いのスイングで、コーナーを突いたり変化球を混ぜたりしてタイミングさえ狂わせることは、そう難しいことではないだろうと。

 ところが、智弁は6点ビハインドを負ったことで、各打者が軽打に切り替えてきた。コンパクトに降り抜き、際どいコースはカットする。そして中に入ってきた球を逆らわず打ち返す――ただでさえ力のある打者に、コンパクトなスイングを徹底されてしまっては、よほどハイレベルな投手でないと抑えるのは難しい。

 序盤の大量リードをひっくり返され、結果は6-9。さほどショックでもなかったのは、スコア以上に圧倒された印象があるからだ。

 けれど、あえて言わせていただきたい――“勝てる試合”だったと。興南ナインが、特にバッテリーが、きちんと「やるべき事」さえできていれば。

 沖縄県大会ではコントロール抜群だった宮城が、序盤から球がばらつきキャッチャーの構えたコースへ投げられなかった。

 まず、インコースへ投げ込めなかったことが痛かった。これではどうしても、配球が外一辺倒になる。そして「外にしかこない」と分かれば、真っすぐか変化球かどちらかに絞れば良い。狙い球と違っていても、コースが分かっていればカットも難しくはない。

 さらに不味かったことは、球が上ずっていたことだ。和歌山県大会で、智弁がホームランを放った映像を見てみると、いずれも高めの球をフルスイングしたものだった。ということは、智弁打線を抑えるためには「高めの甘い球を放らないこと」が最低条件となる。

 つまり、「徹底して低めを突く」ことと「内外角へ投げ分ける」こと。この二つを実行できない限り、勝ち目はない。私の見立てとは違うにしても、相手打線を封じるために、配球で何らかの工夫をする必要があった。

 キャッチャーの構えた所へ投げるのに四苦八苦しているようでは、そもそも話にならなかったのだ。

 宮城が本来の投球ができなかった原因としては、いくつか考えられる。

 甲子園球場のマウンドの感触が、しっくりこなかったのか。また、智弁和歌山というチームの想像以上の迫力に、委縮してしまった可能性もある。あるいは甲子園独特の雰囲気と満員の観衆を前に、自分を見失ってしまったのではないか。どれか一つではなく、いずれの要因もあったかもしれない。

 ただ、投手陣の不調も含め、あえて敗因を一つに絞るとしたら。それは、チームとして“チャレンジャー精神”が足りなかったことだろうと思う。

 個人能力で負けるのは、仕方がない。そもそも今年の興南は、県内でもぎりぎりシードを取れたレベルだった。過去の実績を抜きにすれば、“強豪”というほど戦力が揃っているわけではなかった。

 だがそれにしても……やれることが、他にもっとあったのではないか。別に見栄えの良いプレーでなくてもいい。もっと“自分達にできること”はなかったのか。

 例えば――投手は、結果として四死球を与えてもホームランを打たれても構わないから、インコースをしつこく突いていく。あるいは、真っすぐは見せ球に変化球を続ける。打者は、たとえヒットは打てなくても、ファールで粘り球数を放らせる。

 泥臭いプレーも厭わず、できることは何でもやってみる。ここまでして、なお力及ばず敗れたというなら納得できるだろう。潔く「相手が強かった」と認めて。

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記事カテゴリ:
沖縄の高校野球
タグ:
智弁和歌山
興南
高校野球
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