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特別企画(1)――智弁和歌山・甲子園名勝負 ~5選~

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 一回戦で興南と対戦する智弁和歌山は、言わずと知れた全国屈指の強豪校だ。

 我が沖縄県勢も、過去4回の対戦で1勝3敗と負け越している。近年、県勢が少しずつ力を付け全国上位を伺おうとした時、いつも立ちふさがってきた難敵という印象も強い。

 過去の甲子園大会における戦績は、春夏合わせて通算56勝、6度の甲子園大会決勝進出、3度の優勝を誇る。その輝かしい実績もさることながら、球史に刻まれる数々の名勝負を繰り広げてきた。まさに記録にも記憶にも残る、高校野球界において稀有な存在と言える。

 そこで今回は、これまで智弁和歌山が演じてきた名勝負の中から5試合を精選し、ランキング形式で発表することとする。ランキングには、多分に筆者の“思い入れ”が反映されてしまっている点は、あらかじめご了承下さい。

第5位  智弁和歌山11-7PL学園(大阪) < 00年夏・三回戦 >

 スコア以上に、智弁和歌山が圧倒した試合だった。PL学園も反撃し、一時は9-7と2点差に詰め寄ったが、最後は力尽きた。

 三回表、二死から池辺啓二、山野純平が2ランアーチを一イニングで2本放ったのを皮切りに、山野がもう一発、九回には後藤仁もレフトスタンドへ叩き込む。

 当時の選手権大会新記録となる、一試合4本のホームラン。同時に忘れ難いのが、各打者の発する打球音だ。まるで、スイングに負け硬球が破裂してしまいそうな……(この大会の別の試合だが)実行アナウンサーの「ボールが悲鳴を上げている」というフレーズが印象深い。凄まじいパワーを見せ付けた。

 この頃、まだ野球名門校と言えば、PL学園というイメージが強かった。そのPLを文字通り力でねじ伏せたことで、智弁和歌山が全国の覇権を奪い取った印象がある。事実、この大会で智弁は二度目の選手権優勝を果たし、名実ともに全国屈指の強豪校の仲間入りを果たすこととなった。

第4位  智弁和歌山 19-6 日本文理(新潟)  < 97年夏・二回戦 >

 高塚信幸――古くからの智弁和歌山ファンであれば、忘れられない名前だろう。96年の選抜大会で、2年生ながら主戦投手として活躍。140キロを超える快速球を武器に、チームを決勝進出へと導く。

 だが、この大会での連投が元となり、肩を故障。翌年の選手権大会、初戦となったこの試合で久々に甲子園のマウンドへ立つ。だが、快速球で鳴らした前年の姿は見る影もなく、5失点と打ち込まれた。

 しかし……「高塚をもう一度甲子園のマウンドへ」の合言葉で結束したナインは、そこから猛反撃を開始。0-5で迎えた二回裏、一挙6点を奪い逆転に成功すると、その後も猛打が炸裂。終わってみれば19得点の圧勝で、初の夏優勝への足掛かりを得る。

 単なる強力打線という言葉では片付けられない、まるで何かが乗り移ったかのような猛攻だった。今度こそ高塚を、優勝投手にしたい……智弁和歌山ナインの、まさに“魂”を感じた試合である。

 後の決勝戦、優勝インタビューにおける中谷仁キャプテンの「あいつはやっぱり僕らのエースで、日本一のピッチャーです」という言葉も、また泣かせる。

第3位  智弁和歌山 13×-12 帝京(東東京)  < 06年夏・準々決勝 >

 メディアで最も取り上げられる智弁和歌山の試合は、おそらくこの一戦だろう。  13-12というスコアを見ただけでも窺い知れる、すさまじい打撃戦。前述のPL学園戦における一試合4発の記録を自ら塗り替える、5本のアーチ。相手の帝京も2本のホームランを放ち、計7本というのも未だ破られていない。

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記事カテゴリ:
過去の名勝負・高校野球編
タグ:
名勝負
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智弁和歌山
高校野球
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