Memories of the game

一本のクリーンヒットよりも…… ~ 沖縄尚学、まさかの準々決勝敗退 ~

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 夏の甲子園大会を目指す沖縄県大会・準々決勝で、大波乱があった。第1シード・沖縄尚学が、準々決勝で敗れたのだ。

 相手は糸満。強豪とはいえ、今大会はノーシード。秋季大会は三回戦、春季大会は初戦で敗退。決して前評判の高いチームではなかった。

 下馬評では、圧倒的に沖尚が有利。ところが、2-1で迎えた八回表。スクイズとホームスチールで2点を奪われ逆転を許した。八・九回の反撃も散発に終わり、春の優勝校が四強にさえ勝ち残ることができなかった。

 沖尚の敗因は、何だったのか。私は、強打と呼ばれるチームの“落とし穴”に嵌ったせいではないかと考える。

 春の県大会・準決勝で、沖尚はライバル私立校・興南を5-3で下した。ただその試合から、すでに弱点が見えていた。

 外角の際どいボール、特に変化球への対応である。

 沖尚の各打者は、「甘い球を確実に捉える」力はかなり高い。興南戦でも、相手投手が制球を乱した終盤に集中打を浴びせ、3点ビハインドをひっくり返して見せた。

 だが――もし相手が、リリーフ投手を用意していたら。あるいは終盤になっても制球を乱さない、ハイレベルな投手が相手だったら。

 特に、甲子園大会で上位を狙うような好投手は、外角いっぱいのコースに、変化球でストライクを取ることができる。

 甘く入った球を狙って出塁し、得点圏へ走者を進めるまでは行けるだろうが、ピンチを迎えると相手バッテリーも慎重な配球になる。好投手であれば、ピンチの場面でまず失投することはないだろう。そうなると、ますますヒットの確率は低くなる。

 とはいえ……際どいコースに投げ込まれた精度の高い変化球を捉えることは、よほどの好打者でもない限り難しい。ただ、捉えられなくとも、対応する方法はある。

 ファールに逃げるのである。

 ファールは何球打っても良い。そうして球数が多くなれば、バッテリーは他の球種に切り替える。また、その打席では打ち取られたとしても、相手投手のスタミナを奪い、終盤の攻略につなげることもできる。

 沖尚の試合を見ていると、各打者が際どいボールをカットする、ファールに逃げる場面が、他の強豪校と比べ極端に少ないように感じられる。現チームに限らず、これは歴代のチームに共通する。

 なまじ好打者を擁するため、一打席で仕留める自信があるのかもしれない。ただ相手投手のレベルや試合の状況によっては、無理にヒットを狙わず、球数を放らせるという打席もあって良いと思う。

 今のままでは、勿体ない。もう少し粘っこい攻撃ができるようになれば、夏の甲子園大会でも上位を狙えるのに……と、いつも歯がゆく思っている。

 これで沖尚は、三年連続で県予選敗退となった。彼らにしてみれば、力を出し切れなかったという思いだろう。

 新チームの練習は、是非「外角の変化球をファールにする」練習を取り入れて欲しい。繰り返すが、必ずしもきれいに捉える必要はない。

 一本のクリーンヒットよりも、粘って粘って四球という方が、投手に与えるダメージは大きい。沖尚に限らず、強打と称されながら肝心の試合で点が取れないチームは、状況に応じてバッティングの形を変えるということも、一つの手ではないかと思う。



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記事カテゴリ:
沖縄の高校野球
タグ:
高校野球
糸満
沖縄尚学

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