2006年12月28日

女子ホッケー界のアイドルに注目

 ドーハ・アジア大会に取材に行って、今ではすっかり一人ホッケー班となったWです。そんな私のイチオシは、ホッケー女子日本代表の千葉香織選手です。

 ホッケー女子日本代表は、五輪予選を兼ねた重要なアジア大会を前に、スポンサーのマクドナルド社との契約が10月末で打ち切られることが決定。チームは資金難の危機に立たされました。この危機を乗り越えるには、自分たちがグランドで結果を出すしかないと臨んだアジア大会では、見事に銀メダルを獲得し、2008年北京五輪の出場権を獲得しました。

 その銀メダルの原動力になったのが、12得点を挙げて大会得点王に輝いたエースFWの千葉選手です。特筆すべきはそのゴールのほとんどが、フィールドゴールであること。ホッケーはペナルティーコーナーというセットプレーからの得点の割合がかなり高いスポーツ。にもかかわらず、千葉選手は流れの中から決めるフィールドゴールが11点と、ほかの選手を大きく引き離しています。
 試合以外ではおとなしい印象の千葉選手ですが、試合中にゴールを狙う鋭い視線は、エースと呼ぶにふさわしいものでした。そうした高い集中力が、一瞬のゴールチャンスを逃さずに、得点を量産できた要因ではないでしょうか。

 それでも千葉選手は、強豪の中国、韓国相手に得点できなかったことをしきりに反省していました。強豪国ばかりが集まる五輪では、楽に勝てる相手はいません。そういった相手にも得点を決め、チームを勝利に導けるエースになる。それが今後の彼女の目標のようです。

 幸い、女子代表チームは、帰国後にコカコーラ社とスポンサー契約を結ぶことが決定しました。北京五輪に向け、資金面の心配がなくなり、ようやく強化に集中できる環境がそろった女子代表チーム。北京五輪では、さらなる活躍が期待できそうです。

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2006年12月20日

来年に向けての“イチオシ”は、池田久美子

 すでにスポーツナビ・アワードが発表されてから5日が経ちましたが、担当者からは「今年のイチオシを」とのリクエストが……。今日はアワード投票で得票が少なかったボクシングの亀田興毅選手が完勝しましたね。投票がまだ有効なら一気の上位浮上もできそうな見事な勝利でした。それはさておき、すでに大賞が決まった後ですので、今回は“2007年に向けて”のイチオシとして、陸上・女子走り幅跳びの池田久美子選手を紹介したいと思います。

 陸上界では、来年の夏に大阪で開催される世界選手権(いわゆる「世界陸上」)がビッグイベントとなります。この大会に向けての注目選手として挙げたいのが、池田選手です。これまでの五輪や世界選手権で活躍を見せてきた室伏広治選手(男子ハンマー投げ)や末続慎吾選手(男子200m)らに比べると、まだ世界大会での実績がないために知名度ではまだ及ばないでしょう。しかし、今年の躍進は見事でした。

 4月に女子100mハードルで自己新記録をマーク(日本歴代2位)、続いて5月の静岡国際では、女子走り幅跳びで6m75の日本新記録。国際グランプリ大阪でも6m86の大ジャンプを披露して、日本記録をさらに更新。締めくくりは、アジア大会での金メダル獲得(6m81の海外日本最高記録)と文句のつけようがない活躍でした。アジア大会では、幅跳びの前に観客へ手拍子を求めましたが、名も知らない日本人選手への興味は薄く、手拍子はまばら。彼女自身「まだまだ知られていないんだなと思いました」と話し、金メダル獲得後には名前と顔を覚えてもらいたいとの思いで、競技場を約1周もする長いウイニングランを行いました。
 しかし、大阪での世界選手権では彼女の名前が一気に有名になる可能性も無きにしも非ず。ちなみに、彼女は末続選手と同い年。小学校の全国大会で男子の末続選手に記録で勝り、末続選手を驚かせたというエピソードの持ち主でもあります。来夏を迎える前に、ぜひ一度チェックしてみて下さい。


<参考記事>
世界への助走――飛び抜けた力を見せた池田(折山淑美)
世界陸上への手ごたえと課題(折山淑美)

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2006年12月14日

村主章枝と荒川静香をイチオシ

 マイナー競技筆頭だったフィギュアスケートも、アンミキ(安藤美姫)真央ちゃん(浅田真央)の活躍で、大ブレークしました。年末の大みそかに視聴率争奪戦を繰り広げるテレビ局も今年は、フジテレビがフィギュアスケートの放映を決定するなど、ブームは広がるばかりです。
 ということで編集部Bのイチオシには、GPファイナル連覇を目指す真央ちゃん! としたいところですが、これまでのスケートブームまで日本スケート界をけん引してきた村主章枝荒川静香を挙げたいと思います。

 私は伊藤みどりさんの影響もあって、小さいころからフィギュアスケートを見ることが好きでしたが、テレビ放映はないし、メディアの扱いも小さい。伊藤みどりさんがテレビ番組で「自分の取材依頼が来ると、『あぁ、ネタがないんだな』と思うんですよ」とコメントしていたとおり、フィギュアスケートとはマニアの世界という印象がありました。
 でも、私はフィギュアスケートが大好きでした。アスリートであり芸術家でもあるような選手の雰囲気にとても惹かれていたからです。

 長野五輪では荒川が、ソルトレークシティ五輪では村主がそれぞれ代表枠一人の座を射止めて出場しましたが、メダルには届きませんでした。
 その後、真央ちゃんが3連続3回転ジャンプを成功させたり、アンミキが4回転を跳んだりと、その高度な技術に、私は日本の黄金時代の到来を予想していましたが、トリノ五輪までは荒川、村主に活躍してほしいなと心から思っていました。

 なぜなら、荒川は今年で25歳、村主は26歳。まさに大人の女性です。長年の反復練習によって成功率を高められたジャンプに、表現力が備わってまさに氷上のアスリート&芸術家に見えました。新聞紙面では「4回転を跳ぶと、○点もらえて優勝できる」など、ジャンプと点数のことばかりクローズアップされていましたが、フィギュアスケートは芸術面も大切。2人の演技を見ていると、本来のフィギュアとはこうよ!」と訴えているように思えました。

 今でこそ、フィギュアスケートは華やかな世界ですが、長年フィギュア界を背負ってきた2人にとって、今までの道のりは険しい時のほうが多かったはず。アンミキ、真央ちゃんらのニューフェースに話題では押され気味でしたが、ここ一番ではしっかり結果を出し、ともに五輪に出場。荒川は金メダルを獲得し、村主は3月の世界選手権で準優勝を飾ることができました。

 フィギュアスケート界の屋台骨を長年にわたって支え、私たちに最高のパフォーマンスを披露してくれた、2人を「お疲れ様」という気持ちを込めてイチオシに選びます。

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posted by 編集部B |22:58 | その他スポーツ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2006年12月12日

“NBA界の奥寺!?”田臥をイチオシ!

 ケータイ担当のSです。

 小学校からバスケットボールを始め、最近またバスケットボールに熱を上げだした私のイチオシは、現在、ベイカーズフィールド・ジャム(NBADL)で活躍中の田臥勇太選手です。

 ご存知、田臥選手は高校バスケットボール界の王者・能代工業高校で史上初の「9冠」を達成し、現役高校生での日本代表入りを果たしました。
 2004年にはNBAのフェニックス・サンズと契約し、日本生まれの日本国籍を持つ日本人としては、史上初めてNBAレギュラーシーズンゲームのコートに立つという快挙を成し遂げました。

 サンズから解雇通告を受けた後は、チャレンジを続けるものの、NBAの壁は分厚く今シーズンもNBADL(でもすごいんですが)でプレー中。そして、さまざまな理由から日本開催の世界バスケットボール選手権には不参加となりましたが、それでも、彼はバスケットボールの本場アメリカで戦っています。NBAという世界最高峰の舞台であのしびれるパスを一日も早く見たいものです。



(世界選手権でも、田臥選手のしびれるようなあのパス。それを見たかったし、世界の人々にも見てほしかったというのが私の本音ですが……)



 それから……、サッカーのドイツ国内リーグ、ブンデスリーガにチャレンジし、プロフットボーラーとして最初に活躍した奥寺康彦氏と、NBAの日本人パイオニアとしての田臥選手がダブって見えるのは私だけでしょうか?
 とはいえ、奥寺氏は同リーグで9年間プレー。通算235試合に出場するなどトップリーグに定着しています。
 “NBA界の奥寺”と言っても過言ではない!! 胸を張ってそう言える様、田臥選手の更なる飛躍を期待し、私のイチオシとさせていただきます!

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2006年12月09日

18年ぶりの快挙を成し遂げた「ラグビー界きっての名将」をイチオシ!

 イベント担当のNです。私のイチオシは元早稲田大学ラグビー部監督、現サントリーラグビー部監督の清宮克幸氏です。

 もう1年近く前になりますが、早稲田大学ラグビー部は大学選手権を連覇しただけでなく、今年2月の日本選手権2回戦で、トップリーグ(社会人)の強豪、トヨタ自動車に28-24で、シーズン前から公言していたとおり、勝ってしまいました。

 近年のラグビー界では、有力な外国人選手の加入が目立つトップリーグと学生のレベルは年々広がっており、「学生と社会人の試合は意味がない」とも言われた中での勝利。そして、大学生チームが社会人トップレベルのチームに勝つのは、なんと18年ぶりの歴史的快挙でした。

 個人的には、なんとなく予感はありました。「もしかしたら、やってくれるんじゃないか」と。だから、その歴史的な瞬間をこの目で見るために、チケットを早めに予約して席を確保していました。しかし、残念ながら、オリンピックの業務と重なり、会場で観戦することはかなわず。。。その日ニュースで結果を知り、「やっぱり! でも本当に勝ったの?」と半信半疑でテレビ録画をチェックしたのをよく覚えています(会場に行けなかったことを悔やんでも悔やみきれなかったのは後に先にもこの1試合だけです)。

 余談はさておき、個人的に、清宮さんの指導者としてすごいと思うところは「情熱」「理論」のバランスがとてもいいところです。普段は緻密で明快な分析で「なぜ」を繰り返し部員たちを納得させながら、いさ勝負になると理屈抜きの“熱さ”を押し出す。強運の持ち主でもありますが、運を手繰り寄せる戦略(知性)とリーダーシップを間違いなく持っていると思います。

 早稲田の監督を後任に譲り、今年から待望のトップリーグで采配を振るっていますが、今期のサントリーはトップリーグで好成績を収めており、早くもチーム再建に結果を残しています。試合を見ても、やっぱり「情」と「理」のバランスがよくとれたチームなんですよね。こんな指導者、なかなかいないですよ。

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2006年12月06日

男子新体操の普及に貢献した日本一青森大をイチオシ

野球担当のS・Sです。ことしの功労賞を野球界から選ぼうと思っていたのですが、先に挙げられてしまっていたので別の視点から切り込みたいと思います。こー見えて(…と言っても読者の皆さんには見えないですが)、学生時代は新体操をやっていました。そのため、“見せるスポーツ”“点をつけるスポーツ”に関しては人一倍興味と感心があります。

そこで、全日本で優勝を飾った青森大男子新体操部団体をわたくしのイチオシに推薦したいと思います。

男子新体操って何やるの?ってびっくりする読者もいるかもしれませんが、リボンやフープを回したり、ボールを体のラインに沿って転がしたり……なんてことは絶対ないです。間違っても、女子新体操の男子バージョンととらえないでください。新体操という華やかなイメージとは名ばかりで、男らしさを全面に出す競技なのです。もちろん、芸術性も競います。特に団体演技は見応え十分。器械体操の床演技を6人で行うような感じなので、迫力満点です。

“見せるスポーツ”というと、テレビの影響もあって男子シンクロの方がクローズアップされますが、パワーと力強さでは男子新体操の比には到底及びません。ことしの全日本には米国、マレーシア、ロシアなど海外チームも参加しました。国際化の輪が広がりつつあります。

全日本4連覇という快挙を成し遂げた青森大男子新体操団体の存在で、マイナースポーツ男子新体操がどんどん認知されるようになりました。根っからの新体操大好き人間のわたくしにとっては、何ともうれしい限りです。この勢いで、青森大男子新体操団体には世界へ先陣を切る活躍を見せてほしいものです。

■男子新体操の演技とは? http://sportsnavi.yahoo.co.jp/other/photo/200511/im00025511.html

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2006年11月24日

イチオシはこの人だ!?

 スポーツナビ編集部・五輪担当のOです。
 メジャー競技からマイナーと呼ばれる競技まで、いろいろ担当させてもらっています。“いろいろ”な競技に触れられるのがこの担当の楽しさですが、その分イチオシを一人に絞るのって難しい……。
 なので、3組挙げちゃいます。


■阪神タイガース(プロ野球)
日本一の日ハム、セ・リーグ優勝の中日にももちろん拍手ですが、首位の中日に最大9ゲームを離されながらも、猛追を見せて、ペナントレース終盤を盛り上げてくれました。

■岡崎朋美(トリノ五輪、スピードスケート)
今年で35歳。選手団長も務めたベテランは、トリノ五輪スピードスケート女子500m4位入賞を果たしました。3位にわずか0.05秒差だっただけに、惜しい、悔しい4位です。それでも、「限界という言葉は使わない」と、頑張り続ける彼女。メダルに手が届かなくたって、十分イチオシ選手です。
(※五輪出場時は34歳)

■宮里藍(女子ゴルフ)
今年から本格参戦した米女子ツアーでは、優勝争いに何度も絡みました。結局、残念ながら初優勝はお預け。涙を流して悔しがった試合もありました。それでも、ファンをワクワクさせてくれた宮里選手をイチオシ選手に挙げたいです!


あーーーー!

 ほかにも、トリノ五輪スケルトン競技に出場し、不本意な成績に涙を流した越和宏選手、同五輪のフリースタイルスキーモーグルで3Dを決め、5位入賞した上村愛子選手、世界のバスケットを見る機会を作ってくれた「世界バスケ」、1月のテニス全豪オープンで大活躍し、準優勝を果たしたマルコス・バグダティス…………。

 うーん、やっぱり、一人に絞るのは難しい……。

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2006年11月22日

“皇帝”最後のオーバーテークを演出したドライバーをイチオシ!

 スポーツナビ編集部・MLB担当のIです。私の“今年のイチオシ”は、担当しているMLBや野球全般からではなく、“裏・担当”(?)のモータースポーツ、F1から選ぼうと思います(野球関係を選ぶ人は多いと思うので)。

 今季のF1といえば、“皇帝”ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)の引退、“史上最年少王者”フェルナンド・アロンソ(ルノー)のドライバーズタイトル連覇、また“オールジャパンチーム”という夢を実現させた鈴木亜久里代表率いるスーパーアグリF1チームの参戦など大きなニュースがいくつもありました。が、あえてそれらに背を向け、私が“今年のイチオシ”ドライバーとして挙げるのは、キミ・ライコネン(マクラーレン)です。

 10月22日(現地時間)に行われた今季の最終戦、ブラジルGP。レース序盤、タイヤバーストに見舞われて最後尾に後退したシューマッハは、そこから鬼神のごとき追い上げを見せ、レース終盤にはポイント圏内に再浮上します。残り10周を切り、シューマッハの目の前に立ちはだかったのはライコネン。そして迎えた69周目の第1コーナー、ライコネンのインに入ったシューマッハは、縁石を舐めるような芸術的なコーナリングを見せ、ホイールが接触するかしないかギリギリのせめぎ合いを制して、4位に浮上したのです。

 現役最後のレース、しかも残り3周というタイミングで芸術的なオーバーテーク(追い抜き)を見せたシューマッハの技術、精神力に、もはや言葉は必要ないでしょう。でも、私がそれと同じくらい心動かされたのは、この場面でのライコネンの技術と姿勢。簡単に道を譲るのでなく、かといって汚いブロックで進路をふさぎ接触するようなこともなく、クリーンな攻防の末、きれいに抜かれていきました。久々に見ていて鳥肌の立つようなオーバーテークでした。

 F1に限らずモータースポーツのオーバーテークにおいては、「抜く技術」はもちろん「抜かれる技術」も求められ、そこには信頼関係が不可欠だと言います。シューマッハとライコネンのホイール・トゥ・ホイールの争いは、互いの技量を認めたからこそ為せる最高峰の技(実際シューマッハはイタリアGP決勝後の引退表明会見の中で、名前こそ挙げませんでしたが、ライコネンの実力を認める発言をしています)。多くのF1ファンの記憶に刻まれたこのシーンの主演男優賞はシューマッハ、助演男優賞はライコネン、といったところでしょうか。

 奇遇にも、「抜かれた」ライコネンは来季フェラーリに移籍し、「抜いた」シューマッハが空けたシートを引き継ぐことになりました。決勝レース中のアクシデントやマシントラブルなど不運に見舞われることが多く、F1というドラマの“助演”に甘んじていたライコネンですが、“皇帝”から跳ね馬の手綱を引き継いだ来季、“主演”を張ることができるか。今年の“私のイチオシ”は、07年シーズンへの期待も込み、ということにしたいと思います。

■ドライバープロフィール - キミ・ライッコネン(Yahoo!スポーツ)
http://sports.yahoo.co.jp/f1/2006/teams/mcl/3.html
■スポーツナビ・モータースポーツ
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/motor/index.html

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2006年11月20日

トリノ五輪からのイチオシ

 スポーツナビ編集部のIです。私の“今年のイチオシ”は、現地取材したトリノ五輪から。日本に唯一のメダルをもたらした荒川静香さんは多くの方が選ぶと思いますが、かの大会で私が最も印象に残っている選手は、アルペンスキー男子回転の皆川賢太郎さんです。

 1本目を滑り終えて、トップまで0秒07差の3位。日本のアルペンスキー界は50年前の銀メダル以降、入賞もない冬の時代が続いていました。2本目が始まるまでの間、「歴史が変わるかもしれない」という期待感が日本人の間に充満。白い息を吐きながら、スタッフも、応援団も、記者もみな興奮を隠せないでいました。

 時に霧が立ち込める、夜の雪山に映えるだいだい色のライト。その中を、バックルが外れながらも駆け抜けた皆川選手。“記録”として残っているものは、メダルまで0秒03差の4位、そして日本人選手として50年ぶりの入賞。「メダル」こそ取れなかったけれど、あの時のゾクっとした武者震い、心と体に刻まれた“記憶”は今も色あせることがありません。

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2006年10月27日

ウィルチェアーラグビーを知っていますか?

 現在、東京で公開されているマーダーボールという映画は、ウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)で世界の頂点を目指す男たちを追いかけたドキュメンタリーです。

 かつては「殺人ボール」と呼ばれていたというだけあって、格闘技のような激しいタックルが認められているのが、ウィルチェアーラグビーの特徴。車いすはそれぞれの選手に合わせてカスタマイズされており、まるで戦車のような車いすがぶつかり合うたびに、「ガシャン!」とものすごい音が響き渡ります。

 ラグビーといっても1チーム4人で構成され、使用するのはバスケットボールのコートとバレーボールのボール。ラグビーで禁止されているスローフォワード(前方へのパス)もOKです。ボールを持った選手がゴールラインを通過すると1点が入るのですが、どちらかというと、バスケットボールに近いような気もします。ラグビーのような激しさから、この名前が付いたのでしょうか。

 私はこの作品を見て、すっかり競技としてのウィルチェアーラグビーに魅せられてしまいました。四肢まひの障害があることなど気にならないほど、というより、ハンディがあるからこそ、彼らはその部分を補うべくほかの部分が研ぎ澄まされているのです。闘争心むき出しの選手たちのプレーの迫力には、ただただ圧倒されました。

 物語は主にウィルチェアーラグビーの米国代表の選手たちを軸に、宿敵のカナダ代表を率いる元米国代表のスター、さらには彼らの家族や恋人たちの姿を追っていきます。ドキュメンタリーとは思えないほど、キャラクターの立った個性的な人ばかりが登場するのですが、もちろん、最初から彼らが現在のような強さを身に着けていたわけではありません。車いす生活を余儀なくされ、自分で靴のヒモを結ぶことさえできない現実と向き合うまでには、それなりの時間が必要だったはずです。

 この作品では、何カ月か前にオートバイ事故で下半身不随になった青年が登場するのですが、彼が初めてウィルチェアーラグビーの存在を知り、戦闘車のような競技用の車いすに乗ってみた瞬間の、生き生きとした表情は忘れることができません。障害のあるなしにかかわらず、人はいかに希望を必要としているか……。人間の強さと弱さ、ひたむきさとかっこよさ、そして笑いが画面に溢れています。

 ウィルチェアーラグビーは2000年のシドニー・パラリンピックから正式種目になっており、04年のアテネ大会には日本代表も参加しています。08年の北京では、現地にプレーを見に行こうかと考えている今日このごろです。

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posted by スポーツナビ編集部 |19:13 | その他スポーツ | コメント(0) | トラックバック(0)
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