2008年08月14日
何がいけなかったのか・・・
サッカー男子日本代表の北京五輪が本当に終わりました。 前日の女子の気持ちのこもったプレーを見た後だったので、男子にも期待していたのですが・・・
今日は3戦を通じて感じた事を書きたいと思います。
はじめにお断りしておくと、私はOA枠の不採用に関しては、純粋に北京世代の選手の力を見たかった事もあるので、必ずしも否定的ではありません。 アテネ五輪では高原と小野を入れたがためにバランスを崩しましたし。 私が最も気になったのは、3戦を通じて採用されていた4-2-3-1のシステムが機能していなかったことです。 1トップを務めた森本貴幸、李忠成、豊田陽平の3選手は頑張ってはいましたが、ボールが足元になかなか収まらず、狙いであるはずの後方の3選手との絡みがあまり見られませんでした。 そもそも豊田以外の2人は相手を背負ってのプレーが不得手であるように見えました。 豊田も後方からのボールには競り勝てましたが、横からのボールに対しては厳しい様子。 森本や李は2トップであれば、もう少しできたように思います。 個人的には1トップにした時点で、一度だけ2トップでは生きない平山相太を試して欲しかった気もします(あくまでタイプ的に合うと思うだけで、当時のコンディションは考慮しておりません)。 中盤の攻撃的なポジションの本田圭佑、香川真司、谷口博之、岡崎慎司らは、1トップの選手が動いて空けたスペースを突いたり、競り落としたボールを拾って波状攻撃を仕掛けるなどの役割を期待されていたと思います。 敢えて担当するサイドと逆の利き足の選手を配したのも、中にカットインして攻撃に絡むためでしょう。 しかし1トップとの距離が離れすぎていて、分厚い攻めは見られずに終わってしまいました。 先述の1トップのキープ力の無さが中盤の上がりを妨げたのか、中盤のサポートが薄かったために孤立して1トップが機能しなかったのかは分かりませんが、どちらも機能していなかったのは間違いありません。 さらに中盤の深い位置でポゼッションサッカーの要と期待されていた梶山陽平も大きく期待を裏切りました。 プレッシャーの少ない場面では質の高いパスを見せてはいましたが、運動量が少なく、前線への走り込みも皆無で、一番期待されていたはずの中盤でボールを落ち着かせることもできていませんでした。 今回の梶山の出来を見ると、反町康治監督がOA枠で遠藤保仁を呼びたかったのも分かる気がします。 ちなみに、よく批判の声が聞かれる谷口のトップ下起用ですが、個人的には賛成です。 私はトップ下の選手には、パスの出し手としての能力と同じくらいパスの受け手としての能力が必要だと思っています。 浦和レッズがスクランブル的に闘莉王をトップ下に配することがありますが、個人的には現在の日本で最もトップ下にふさわしいのは闘莉王のような気がしています。 私の中のトップ下の理想像は、ジネディーヌ・ジダン、カカー、フランチェスコ・トッティ、ミヒャエル・バラックら。 彼らのように強靭なフィジカルとテクニックの持ち主こそが、トップ下にふさわしいと思うのです。 もちろん谷口や闘莉王にそこまでの能力はありませんが、日本でよく聞かれるトップ下=ファンタジスタみたいな誤った図式を脱している点では賛意を表したいと思います。 システム以上に大きな不満は、反町監督の交代の遅さです。 それを象徴したのが最後のオランダ戦のように思えます。 あの試合は、結果など気にせずに純粋にチャレンジするべき試合でした。 にも拘らず膠着状態の試合で全く手を打たなかったのは納得できません。 挙句の果てにカードを切ったのが、オランダが先制(73分)し守備固めの交代(75分)も行った後の80分とはどういうことか。 最後の李の投入に至っては86分ですよ! 結局チームとして、最後まで重心を前に傾けることができませんでした。 点が必要な場面における、「前へ、前へ」の推進力の不足はフル代表にも共通していますが、若さゆえのガムシャラさをみせて欲しかったと思います。 悪い点ばかりを書いてしまいましたが、個人レベルではいくつか収穫もありました。 まずGKの西川周作のキック(特にパント)の精度の高さ。 南米には本当にキックの良いGK(オスカル・コルドバやロベルト・アボンダンシエリなど)がいますが、日本人でこれほどキックの良いGKがいることに驚きました。 是非とも川口&楢崎の両選手の争いに風穴を開けてもらいたいものです。 次にボランチの層の厚さ。 フル代表にも鈴木啓太、今野泰幸など守備力が売りの選手たちがいますが、今大会の本田拓也、細貝萌の両選手もよく頑張っていたと思います。 特に細貝はサイドもできるので、少し前の服部年宏のように貴重なユーティリティプレイヤーになってくれるかもしれませんね。 最後に左右のSB。 フル代表歴のある内田篤人、安田理大は攻撃に関してはある程度通用したのは収穫でしたが、守備の拙さとワールドユースの際にも見えた判断の悪さが散見されたのは残念でした。 左右のSBを務めた長友佑都は、派手な特徴は無いものの総合力では前述の2人より上。 日本代表は加地亮の代表引退後、攻守にバランスのとれたSBが不在ですが、若い世代のSBが台頭してきたのは頼もしい限り。 LBに三都主アレサンドロ以外の選択肢がなかった頃に比べれば、レベルはともかく大きな進歩ですね。 個人的には三顧の礼をもって加地に復帰してもらい、右の加地を軸に編成して欲しいのですが・・・。 以上、北京五輪の感想でした。 最後に、今回の敗退に関して犬飼基昭・日本サッカー協会会長は、 「3試合をすべて1点差で負けて本当に悔しい。裏を返せば、日本が世界の強豪と戦って悔しいというレベルまできたということ。格段に進歩はしている。」 などと仰っていますが、93年のJリーグ開幕から始まり、黄金世代が築いた右肩上がりの成長は完全に止まってしまいました。 会長の言葉通り、日本サッカーは進歩はしているのかもしれませんが、明らかに世界との差は広がっています。 果たして今のままの強化の仕方で良いのかどうかを、指導者の育成も含めて、再考が必要な時期にあるような気がします。
posted by tama |17:37 |
北京オリンピック |
コメント(9) |
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何がいけなかったのか・・・
長友いいですか?
運動量とガッツは認めますが、攻撃で機能していたか疑問です。フェイントもないので、簡単に1対1になると完全に手詰まり。切り替えしをするのですが、そのタイミングで上げても、全く可能性を感じませんし、そもそも相手に読まれていました。ドリブル、又は遠めからでも正確なクロスを上げれないようではいずれ壁にあたると思います。
posted by あいうえお | 2008-08-14 18:51
何がいけなかったのか・・・
確かに1トップだと香川や本田圭など攻撃的な選手が高い位置でプレーできずにいてセカンドボールもあまり拾えなかった感じはしますね。個人的に柏木を見てみたかったなと思います。
posted by 将軍 | 2008-08-14 18:57
何がいけなかったのか・・・
何処も悪くはありません 米はともかくとしても ナイジェリア、オランダとやって試合になった、しかも最少点差負け、というのは驚くべき好結果、だと私は思います
posted by BRAZIL02 | 2008-08-14 19:25
何がいけなかったのか・・・
長友が内田・安田より上?
長友の良いところは充分認めますが、
何をもって上なんでしょう?
1対1の強さ、運動量は充分ですが、
サイドバックの守備と言うより、ボランチの守備
を見てるみたいでしたが。
攻撃に関しても、あがるタイミングも効果的ではなかった気がしますし、クロスの精度も低いですしね(クロス自体殆ど上げていない)。
寧ろボランチの方が、生きるんじゃないかと思いますね。
posted by koi | 2008-08-14 19:36
何がいけなかったのか・・・
犬飼基昭・日本サッカー協会会長のコメントが一番トンチンカンでしたね。この会長には期待しているのですが。
posted by うが | 2008-08-14 21:20
何がいけなかったのか・・・
>左右のSBを務めた長友佑都は、派手な特徴は無いものの総合力では前述の2人より上。
もう総合力とかバランスとかはいらない。
スペシャルがほしい。
総合力とバランスばかりいうから、均一的なしょうもないサッカーになってしまう。
そのことが今回のオリンピックで浮き彫りに。
家長、金崎がいれば。。。
posted by が | 2008-08-14 21:24
何がいけなかったのか・・・
確かに長友はいいと思います。でも、3人の誰が一番で誰が2番かは個人or監督の趣味の領域ですね。
総合力も大事、スペシャルも大事。
それをどこでどう使うか、監督の問題ですね。
気持ちいいサッカーをしてくれる日本になってください。
posted by まつ | 2008-08-14 22:21
何がいけなかったのか・・・
管理人さんに共感する部分が大きいのですが,4-2-3-1の「2」に遠藤ではあのグループでは消極的すぎるというのがわたしの「何がいけなかったのか・・・」です。
4-1-4-1のアンカーに全権委任のOA阿部がいたら・・・。
SBは中盤の構成,とくにサイドハーフの指向によって変化するものだとおもいます。が,フィジカル面でCBに圧倒的な支配力が期待できない国民性を鑑みて,ディープまで入らないとチャンスがつくれない突貫型より守備意識7割でフィード(アーリークロス)の精度をもつ選手が代表のあるべき姿かなあ,と。
posted by 222 | 2008-08-15 00:16
コメントありがとうございます。
皆さん、コメントをして頂き、ありがとうございます。
■あいうえお さん
あいうえおさんと将軍さんがコメントしてくださった後の19時過ぎに、間違ってコピペしてしまったエントリーを差し替えており、SBに関する箇所も変わっています。
コメントされた時の文章はオランダ戦直後に書いたもので、現在のものは全3戦をもう一度見て書いたものです(特に米国戦を重点的に)。
異なるエントリーに対してのコメントに返答するのはアンフェアですが、長友を内田、安田よりも評価している主旨は変わりませんので、ご容赦ください。
あいうえおさんの仰るとおり、長友のLB時のクロスの際に見られた持ち替えは駒野もよくやりますが、いただけませんね。ドリブル突破その点では安田の方が良いです。クロスのバリエーションでは内田が一番だと思います。
上がりのタイミングに関しては、初戦は内田の存在もあり難しそうでしたが、オランダ戦は悪くなかったと思います。
ただし、私がSBに必要な要素の優先順位の一番はディフェンスができることです。
その点では長友が3人の中で一番です。駒野よりも上だと思います(ただし米国戦ではいくつかいただけないプレーがありました)。
内田と安田の2人は攻撃の意識が強いのは悪いことではありませんが、守備の局面では集中を切らしてマークを外してしまうシーンが散見されました。
そう考えると、オランダ戦の森重のSB起用は個人的にアリだと思います。
現在の日本のサイドバックは中に絞った際の守備に難があるので、クリスチャン・ザッカルドやヴェドラン・コルルカみたいにCBタイプの選手のSB起用を考えてもいいかもしれませんね。
■将軍 さん
昨季の段階では柏木が梶山を越えた感がありましたからね。
個人的にも柏木のプレースピードは気に入っていただけに、故障が残念です。
■BRAZIL02 さん
ナイジェリア戦はともかく、米国、オランダ戦は相手があの体たらくでしたからね。
この相手にこの内容?と思わずにいられません。
相手に負ける気はしない、しかし日本が勝つ気もしない空しい試合でした。
これが限界だとは思いたくないのですが・・・。
■koi さん
攻撃は安田、内田の方が上ですが、大事なのはやはり守備です。
守備で集中を切らせる選手はやはり問題です。
攻撃に関しては独力で勝負するタイプではないので、まわりが上手く使ってあげる必要がありましたが、今回の代表は中盤の構成力に難がありましたから。
■うが さん
協会のトップが弱気な発言をするわけにはいかなかったが故の発言だと思いたいです。
小野剛・日本サッカー協会技術委員長らが今大会を受けて明確な指針を出してくれることを願います。
小野氏は、五輪は最終目標ではなくフル代表に行く過程である、という旨の発言をされていますので、北京世代の奮起を期待したいですね。
■が さん
スペシャルな選手は必要だと思いますが、中途半端な能力の偏りは危険です。
特に守備者であれば、総合力が絶対に求められると思います。
それを満たした上での、プラスアルファであれば大歓迎です。
> 家長、金崎がいれば。。。
家長は私も期待してた選手だけに、移籍直後の故障は本当に残念!
水野や中村北斗も北京で見たかったです。
■まつ さん
仰るとおり、選手の評価は戦術や求めている選手像で変わってきます。
私は基本的にDFは守備力重視なので、攻撃的と呼ばれる選手の評価は相対的に厳しくなってしまいますね。
> 気持ちいいサッカーをしてくれる日本になってください。
結果は関係なく、応援しているサポーターが拍手を送れる試合をしてほしいですね。
■222 さん
遠藤が入れば中盤の構成力は確実にあがりますが、推進力は上がらなかったでしょうね。
個人的には川崎でも谷口とチームメイトの中村憲剛を入れてほしかった気がします。
> 4-1-4-1のアンカーに全権委任のOA阿部がいたら・・・。
今回の日本代表はサイドに局面を打開できる選手が不在だったので、4-1-4-1は難しかったかもしれませんね。
軸にした本田圭佑を使うポジションもなくなりますし。
> 守備意識7割でフィード(アーリークロス)の精度をもつ選手が代表のあるべき姿かなあ,と。
守備意識7割はともかく、6割ぐらいは必要だと思います。
ピンポイントのクロスを上げられる選手は理想ですが、思いつきません。
posted by tama | 2008-08-15 17:37


