2009年03月11日
JFL(日本フットボールリーグ)のFC町田ゼルビアのスポンサー戦略が記事で紹介されています。
「弱みを強みに」 町田ゼルビアの巧みなスポンサー戦略
このスポンサー集めには柔軟な発想の転換があったようです。
まず、ホームタウンの町田市はベッドタウンで、大口のスポンサー企業がなかなか見つからない事情があります。
しかし、都市部に比べて「弱み」といえる状況を「強み」に変えた戦略があります。
ベッドタウンのクラブゆえに注目する業態も確実に存在する。それが鉄道(小田急)であり、学校(玉川学園)であり、ケーブルテレビ(ジェイコム)であった。
そのメリットは、スポンサー各社が明瞭に語っています。
「われわれは沿線の生活に密着した事業。町田駅は小田急線で新宿に次ぐ乗降客数を誇り、しかも小田急デパートもある。景気悪化の厳しさもあるが、そういう時期だからこそゼルビアを応援することで、小田急にも愛着を持っていただけると認識している」(小田急)
「玉川学園という名称は、学校のみならず、小田急の駅名、そして町の名前にもなっている。今年で創立80年になるが、地域とともに育ってきた背景もあり、今回のスポンサーの話も地域との連携活動の一環と考えている」(玉川学園)
「もともと町田とその周辺には、多くのお客様がいる。そして、お客様の見たいものを提供するのは、ケーブルテレビという地域メディアの役割のひとつ。今は業界も厳しいが(ゼルビアを応援することは)差別化にもつながる」(ジェイコム)
※青文字は記事から引用
どこに強みが隠れているか分からない、その最たるものですね。
その結果、大手との契約に成功しています。
「弱み」を「強み」に転換する発想はできそうでできないことですが、記者の-Tetsuichi Utsunomiya-さんも書いているとおり、スポンサーが見つからず苦境に立つクラブにとって、参考になる事例ではないでしょうか。
この記事を書いた-Tetsuichi Utsunomiya-さんは、『股旅フットボール』という本を出版していています。
地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影を追いかけた著書で、ここで紹介したFC町田ゼルビアも収められています。
Jリーグの地域事情がよくわかり、勉強になります。
オススメです。
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2009年03月06日
今春からアメリカに生活拠点を移した陸上の為末大選手が、自身のブログで、不況による実業団の撤退について書いています。
実業団撤退を考える
以下、一部抜粋しながら、ボクも考えてみたいと思います。
株式会社は株主から投じられたお金を、人や物やシステムや、様々なものに置き換え、それが最大の利益を生むために運営するという使命を負っています。稼げなければ会社ではありません、ボランティアです。
《略》
実業団システムは企業が支えているものです。何度も言いますが、企業は利益を最大化する事を最も大きな使命として持っています。『損失は出しますが、人は助けています』。市場はそういう企業が生き残れるようなルールにはなっていません。
不況の波を受け、株式会社は派遣、そして正社員まで削減の対象としています。
それほどまでにコストカットに迫られる企業が、株主に「スポーツを残す」意義を説明することは難しく、廃部や休部を決定するしかないということでしょう。
まず、この仕組みを理解する必要がありますね。
続いて、この現実のなかで「では、どうすればいいのか?」ということになりますが、為末選手は次のように書いています。
ここ最近、外資系の企業が意識している、どれだけ世の中に企業が愛されているかという指標があります。世の中に愛されるほどブランド化した企業は、強くそして長く続くと言われています。
スポーツに与えられた使命はまさにここにあると思うのです。企業に対して還元するのは、世の中に、そして社内の人々に希望をもたらす事です。
上記の部分と重なる記事が、毎日新聞大阪版(2008年10月25日)にあります。
「野球部の役割は、社内の求心力を高めるだけでは済まされない。結果を出し、会社のブランドイメージに寄与しなくては」。野球部副部長の弓田鋭彦(49)は、部の存在の意義をこう説明する。
この野球部は、今年レッドソックスに入団した田沢純一投手が所属した新日本石油ENEOSです。
野球部は、少年野球の支援や障害者野球のサポートを行っているそうです。
「野球を通して健康的なイメージが広まり、ENEOSに親近感を持ってもらえれば」と、取締役常務執行役員で野球部長の山縣由起夫(59)は語っています。
もはや「勝利を目指してスポーツをするだけでいい」という状況ではありません。
企業がスポーツチームを維持する場合、チームは付加価値を提供して、ブランドイメージに貢献することが求められているのだと思います。
この姿勢が、不況が到来しようとも、切り捨てられないチーム作りにつながり、株主の理解を得るためにも必要なのでしょう。
■□■
為末選手が言及する企業スポーツ(実業団)だけでなく、運営形態には地域スポーツ(クラブ)があります。
1社で支える企業スポーツに対して、地域スポーツは複数のスポンサー収入と、入場料やファンクラブ会費(ファン)で成り立っています。
企業スポーツを支えるのは1社ですから、業績に影響されやすく、地域スポーツは業績の影響を企業スポーツほど受けません。
リスクを分散しているといってもいいでしょう。
当ブログに登場する滋賀レイクスターズがこの形態です。
ボクの理想はこの地域スポーツですが、Jリーグ浦和レッズのようなファンとの関係を築く(結果としてスポンサー収入につながる)には、相当な経営努力が必要で、また時間もかかります。
つまり、即効力のある夢のような方法はなく、新日本石油野球部の野球教室や、滋賀レイクスターズのレイクスキャラバンのように、企業スポーツも地域スポーツも、「地域」をキーワードに地道にやっていくしかないのでしょう。
■□■
為末選手は実業団(陸上)について、文章をこう締め括っています。
スポーツはこの世に無ければならないものだと信じています。しかし現に、スポーツ選手よりももっと多くの人が、解雇されている今、なぜスポーツだけは違うのかという理由を明確にできない以上、企業はこれからも実業団から撤退し続けるでしょう。
私がプロになってから、自分に常に問いかけている事です。『企業は金を払っている。私は何を還元できるのか』
果たして実業団は企業に取って必要のないものか、それとも日本社会、経済にとって必要なものなのか。陸上に関わる人、一人一人の行動によってその評価は決まります。
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2009年01月22日
中田英寿氏に関するニュースがスポーツナビに掲載されていました。
中田英寿氏が財団設立「サッカーを通じて地方を活性化したい」
こちらはAFP BB NEWS↓
具体的な取り組みとしては、元プロサッカー選手がメンバー(登録制)となる「TAKE ACTION FC」を結成し、地方自治体や企業に派遣します。
この費用は無償で、サッカー教室やイベントの開催を通じて地方活性化を図ります。
気になる元プロサッカー選手の報酬ですが、協賛企業により賄われ、引退した選手のセカンドライフ創出も狙いとしてあるようです。
さらに、フットボールマッチなどで得た入場料は、アジア・アフリカの厳しい環境に身を置く子どもたちにサッカーボールを送る支援活動に活用されます。
間接的ではありながら、試合観戦が、世界の子どもたちを対象にしたチャリティーに参加するきっかけになるということです。
そして観戦することで、「人々のチャリティーへの考え方の変化につながれば」という意図もあるそうです。
ざっと紹介すると、以上のようになります。
少々言葉足らずの面があるかもしれないので、詳しくはTAKE ACTION foundationのサイトで確認してみてください。
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記事の中で中田氏は、「誰にとってもプラスになる活動を僕たちが企画して、多くの人に参加して楽しんでもらいたい」と発言しています。
上記の通り、この取り組みで損する人(組織)はいません。
知名度抜群の中田英寿氏が代表理事となっている上に、しっかりと練られたプランですから、活動は継続可能でしょうし、そうなってほしいですね。
また、スター選手の引退後の道は、指導者かタレントといったところが考えられますが、おそらく中田氏のような動きは初めてでしょう。
つまり、野茂英雄氏が大リーグの道を切り拓いたことで、現役プロ野球選手の進路がひとつ増えたように、「TAKE ACTION foundation」の事業が継続されれば、引退したスター選手の新たな選択肢になるかもしれません。
中田氏には、そうした面を期待してもいいのではないでしょうか。
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2009年01月18日
スポーツナビに掲載された時事通信の「勝利至上主義につながる?=活躍目立つ外国人留学生-高校バスケット」が、スポーツナビ+の複数のブログで取り上げられています。
そこにはコメントの書き込みもあり、関心を集めています。
そこで、勝利至上主義と留学生の2点について、ぼくも考えてみたいと思います。
【勝利至上主義】
まず、[勝利至上主義]についてですが、ぼくは反対です。
その理由を説明するために、[勝利主義]と[勝利至上主義]に区別します。
◇勝利主義
試合をする限り、勝利を目指すのは自然なことです。
これを[勝利主義]とします。
[勝利主義]は「勝ちたい」「優勝したい」といった、純粋な気持ちに基づくと考え、指導者と生徒が共有しているとします。
これだと、たとえ指導者の課す練習が過酷であっても、生徒が「勝つため」にそれを受け入れているので、問題はありません。
ただ、生徒の気持ちが強すぎて、限界を超えてなお練習を続けようとしたときなどは、指導者がストップをかけることが当然求めらます。
そこを制止せず無視してしまえば、次項の[勝利至上主義]にシフトしてしまいます。
つまり、[勝利主義]は、指導者と生徒の意思、目的が合致して、勝利を目指すわけです。
◇勝利至上主義
ところが、これが[勝利至上主義]になると、何としてでも勝つということが目的となります。
[勝利至上主義]において、指導者と生徒の力関係は、指導者にあるはずです。
その関係により、生徒は意思に反した過酷な練習を課され、負担を負ってしまいます。
また、[勝利至上主義]を助長する側面として、学校の知名度アップ(生徒の確保)という経営の理論があることも考えられます。
そのために、「勝利の期待」が指導者に集まり、生徒を必要以上に鍛えてしまうことにつながります。
こうした状況では、生徒の意思は反映されず、主体性は表出しません。
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ここまで長々と述べてきましたが、過酷な練習=[勝利至上主義]ではありません。
そこに指導者と生徒の合意があるかどうかです。
合意がなく、生徒が負担を感じてしまえば、[勝利至上主義]です。
[勝利主義]は賛成できますが、[勝利至上主義]は賛成できません。
【留学生】
次に留学生ですが、目的は大きく2つに分かれると思います。
①チーム強化のため(高校で完結する視点)
②世界基準を持ち込むため(高校を飛び越えた視点)
まず、ここで提示しておきたいことは、高校野球にも留学生(日本プロ野球に入団する留学生もいます)はいますが、問題として取り上げられたことは、おそらくないでしょう。
それはなぜでしょうか。
技術レベルに優る日本人の高校生のなかでは、留学生がそれほど目立たないからだと考えられます。
多くの人が理解されているように、バスケットが問題になってしまうのは、それだけ助っ人色が強くなってしまっているからです。
その流れに沿う①は、上記した「勝利至上主義」のにおいがしてしまいます。
仮に優勝したとして、「留学生のおかげ」と言われたとき、そのチームの生徒はどういった気持ちになるのか、と考えてしまいます。
ということで、②を支持することになりますが、こちらは世界を見すえた日本のレベルアップを目的とし、記事に出ていた洛南高校の監督の発言も同じようなことを述べています。
ただ、こうした問題を、一高校の方針とするのではなく、協会が明確な方針(留学生の位置づけ)を打ち出すことが肝心だと思います。
※記事中にある通り、現状、留学生の制限ルールがあります
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2009年01月08日
逆風の中で:第1部・F1界に激震/5 スーパーアグリの撤退
1月7日付の毎日新聞にF1に関する記事が掲載されています。
この記事は連載の一部で、その中に初めて知る事実がありました。
以下に引用します。
撤退でシートを失った佐藤は現在「就職活動中」。中堅チーム、トロロッソのテストを受け、結論を待っているところだ。テスト走行では好タイムを出し、評価も高かったが、チーム入りには約10億円の個人スポンサーの持ち込みを条件に挙げられた。膨大な報酬を得て走るのは一部のトップ級だけで、ほとんどのドライバーはシートを「買っている」のが現実。実力がありながら資金が無かったために、表舞台から消えていったドライバーは、過去に数え切れない。
モータースポーツに詳しくないので、詳しい方には当然の事実なのかもしれませんが、
まさかマシンを速く走らせても、シートの獲得がドライバーの資金力に左右されるとは、驚きました。
F1はテストを重ねた上での獲得だと思うのですが(間違いの場合、指摘してください)、
例えば、入団テストを通じてプロ野球チームへの入団を目指す選手がいたとすると、
チームから高評価を得たとしても、選手にスポンサーがついていなければ、「入団はダメだよ」と言われているのと同じでしょう。
このように話を置き換えてみると、F1の特異性が見え、膨大な費用がF1各チームをひっ迫していることが分かります。
マスコミを通じて、さまざまな改革案が伝えられているとおり、この莫大なコストをどうするかが今問われているのですね。
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2008年12月19日
また、スポーツ界から暗いニュースが飛び込んできました。
まずは、
西武、今季限りで廃部へ=アイスホッケー
<財政的な理由から「来季はチームを保有しないことを社内で検討している」>と、所有するプリンスホテルが発表しています。
そして、
アメフット 社会人Xリーグのオンワードが今季限りで解散
スポンサーとして支援するオンワードホールディングスは、「経営環境が過去に例を見ないほど厳しい中で、経営基盤を強化することが急務になった」と、解散の理由を語っています。
かつて社会人野球やバレーボールが次々と廃部に追い込まれたように、今回も一気にその流れが到来してます。
これは企業を母体とすることの限界を露呈するものではないでしょうか。
アメフトのオンワードオークスはクラブチームしたが、実質はオンワード単独の支援で、複数のスポンサーが支えるという体制ではなかったようです。
母体企業の業績が悪化
→「選択と集中」
→解散・廃部、あるいは支援の停止
この構図である限り、真のスポーツの発展はありえません。
これ以上、このようなニュースが報じられないことを祈ります。
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2008年12月11日
読売新聞に「都内公立中の部活動、毎年200以上が休部や廃部」という記事が掲載されています。
記事によると、「顧問の教諭の異動など学校側の事情が理由で休部や廃部」しているとのことです。
「競技人口が少ないソフトボールや、練習中の事故が心配される柔道部は、指導者のなり手が少なく、週末の試合の引率などを負担に感じ、顧問を引き受けたがらない教諭が、若手を中心に増えていることも、一因とみられる」とのことでした。
この記事が反映しているのは都内だけですが、多くの中学生にとって「スポーツに取り組むところ=部活動」という現状を考えると、大きな問題でしょう。
最近は文部科学省のもと総合型地域スポーツクラブが創設され、その対象は「子供から高齢者、障害のある方、トップアスリートまで」となっています。もちろん中学生を含みます。
しかし、各スポーツクラブのホームページを覗いてみると、プログラムの参加者は小学生が多く、中学生は少ないように思います(あくまでもぼくの印象です)。
つまり、「中学生の活動(スポーツはもちろん、吹奏楽などの文化系も含む)=部活動」という構図が影響していることは明らかでしょう。それだけ、中学生は部活動の練習に時間を使っているということです。
だからこそ、今回のニュースは見逃せないものになっています。
欧州では地域のスポーツクラブで汗を流すことが生活の一部となっているとよく耳にしますが(地域との交流の場にもなっている)、日本の中学生にとっては、それが部活動であり、その基盤が揺らいでいるわけです。
まずはこの事態からの脱却を望みます。
ただ、中長期的に部活動と地域スポーツクラブの関係を考えると、スポーツクラブでスポーツを楽しんでいた小学生も、中学に進めば部活動に入り参加しなくなります。当然、いっしょに参加するであろう親の足も遠のいてしまうと想像できます。
文部科学省の総合型地域スポーツクラブのサイトには、こうあります。
≪クラブ設立の効果≫
・世代を超えた交流が生まれた
・地域住民のスポーツ参加機会が増えた
・地域住民間の交流が活性化した 等
この効果を期待して、部活動から欧州型の地域スポーツクラブに移行することを、ぼくは支持します。
けれども、日本のライフスタイルに馴染んだ部活動を解体するのは、そうやすやすとできるものではないでしょう。
今回は中学について書きましたが、当然部活動は高校にもあり、たとえば、地域スポーツクラブに移行すると、高校野球をはじめ大会運営などを見直さなければならず(学校宣伝もできなくなる)、反発が起こるのは間違いないでしょう。
こうした課題をふまえながら、今回のニュースをきっかけに、部活動と地域スポーツクラブの関係が議論されることを期待します。
文部科学省:総合型地域スポーツクラブ
posted by sportsemotion |17:30 |
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