2006年10月24日

美は難度に劣るのか

新採点方式による初の世界体操選手権が終了。
日本は金メダルなしに終わり、新採点方式への対応が課題として残りました。

課題として挙げられたのが「価値点」のアップ。
簡単に言えば、より難度の高い演技が必要とされるということです。
じゃぁ日本体操に特長的なの美しさは必要ないのでしょうか。

そもそも、価値点とは。
いわゆる新採点方式でのAスコアにおける技の難度に関する得点のことですね。
メディアの説明では、Aスコア=価値点として説明していますが
「技グループ点」や「組み合わせ点」なるものもあってすべてではありません。
ただ、Aスコアは技の難度に関係する得点なので、
演技の美しさやダイナミックさに関係する得点でないことは確かです。

では、美しさはどう評価されるのか。
それがBスコアによって評価され、注意したいのが減点制であること。
Bスコアでは、もともと10点満点が持ち点とされ
演技中のミスや出来栄えの悪さがあるごとに減点されます。
新採点方式では、この減点幅が従来よりも大きくなったとされ
より美しい演技が勝敗を分けることになると予想されていました。
しかし、勝ったのは難度を重視した中国。

世界選手権を通して、だいたいの様相が浮き彫りになったといえます。
体操競技は、団体・個人総合・種目別と3つに分かれますが、
これらに新採点方式が与える影響は、団体<個人総合<種目別とも言える感じです。
合計得点が多くなるほど、影響は小さくなると考えていいかと。
それでも、団体も個人総合も金メダルは中国ですけどね。(汗)

種目別決勝では、より詳細に各選手の得点の内訳が見られて分かりやすかったです。
そのなかで、男子平行棒を取り上げてみます。
冨田選手が完璧の演技をして尚、楊選手に勝てなかった種目です。

まずは、それぞれの価値点を含むAスコア。
冨田選手は6.2のAスコアで、楊選手は6.6のAスコア。
つまり、100%の演技を両選手がしたとして
冨田選手は16.2、楊選手は16.6でこの時点で0.4の差があります。

では、演技が終わったあとのBスコアはどうだったか。
ちなみにBスコアは6人の審判が採点して、
最高と最低の得点を除いた4つの得点の平均で算出されます。
このBスコアが、冨田選手が9.650で楊選手が9.475。

合計得点で、冨田選手が15.950で楊選手が16.075。
その差が0.125で楊選手が金メダルでした。

ここで問題だと思ったのは、Bスコアに差が出ないこと。
どの種目別での様子を見ても、Bスコアの得点ってそんなに変わらないんですよね。
失敗(落下や着地での尻餅は論外ですが)が見られる選手はだいたい9.2~9.4。
完璧だと思われる選手はだいたい9.6~9.75。
つまり、それなりに演技をこなしさえすれば大きな減点にはならないのです。
どれだけ美しい演技をしても、バラつきのある選手に0.3ぐらいの差しか生まれない。
結果、やっぱりAスコアで高い難度の技をした方が有利なんです。
しかも、審判にによって0.1~0.5ぐらいの開きがあっての平均点。
冨田選手の得点が出た後の解説の小西さんが、
「どこでこんなに減点されたのか分からない」という言葉が象徴的でした。

残念なことに、新採点方式では美が難度に劣る結果です。
冨田選手の平行棒の美しさに、会場からはため息が漏れました。
しかしそれが得点として結果に出ることはありません。
0.2の減点覚悟で、0.4高い演技をすることが新採点方式の戦い方。
もちろん勝つために日本はその流れを追随せずにはいられません。
それでも、いつまでも美しい日本体操であってほしいものです。




posted by しん太 |17:57 | 体操 | コメント(0) | トラックバック(0)
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