2006年10月16日
シリーズ「用の美」
ドロップキックは美しい。
プロレスでは古典的技であるこのドロップキックは、今では繋ぎ技として用いられることが多いが、これはとんでもない技である。相手をロープに振り、追いかけて放つもの。ロープワークで戻ってくる相手を迎え撃つもの。ヒットの瞬間に自分も一回転して放つもの。トップロープから撃つもの。トップロープを踏み台にして更に高い位置から降下するもの。
一つの技でこれほどまでにバリエーションがあるということが素晴らしい。考えてもみよ。大男が同じ位の背丈、或いはそれ以上の高さを誇る屈強なプロレスラーの顎から顔にまで飛ぶのだ。瞬発力だけでは語れないメカニズムがそこには存在する。
アンチ重力。
物が下に引き付けられる力に抗い、身体をリングと並行にして、コンマ何秒かであってもその姿勢を維持する筋肉群。伸びやかで、重厚的で、美しいフォームこそが、プロレスラーのドロップキックである。飛んで蹴る、というシンプルなコンセプトは、まさしく不要な物を切り捨て、機能性を追及した末の「用の美」であろう。
現代プロレスではフィニッシュホールドとはなり辛い技だが、プロレスからは一生消えることのないクラシックで、最もプロレスチックな存在であることは変わらない。
だから、ドロップキックは美しいのだ。
<続く>
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posted by Takayuki Kanno |08:20 |
用の美 |
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