2008年02月28日
交錯する2人;「ドジャース、ブルックリンに還る」
2004年、11月。確か夕刻だったと思う。
1970年代後半に、ロッテ・オリオンズが県営宮城球場を準本拠地として以来、約30年振りに地元にプロ野球チームが還ってきた。
大阪近鉄バッファローズの球団売却問題に端を発したことで実現した、東北楽天ゴールデンイーグルスの誕生だった。
街は大いに盛り上がりをみせ、サッカーに次ぐ、おらが村をフランチャイズとするプロスポーツチームの追加に喜びを爆発させた。
私も、プロ野球球団復活に興奮した。心情的には最初に手を挙げたライブドアに片寄りかけたこともあったが、この時は親会社のことなどどうでも良かった。
そう、私は単なる野球が好きな男になっていたのだった。
地元にプロ野球チームが還ってくる。その事実だけで幸せだった。
この時一瞬頭を過ぎったことがあった。それは、一体どういうチームになるのだろうか?と。
男の子なら誰しも一度は夢見ることがある。最強になることと、プロスポーツチームのオーナーになることだと、私は思っている。
かつては地元市民の憧れの的だったメジャーリーグのベースボールチームが、チームの御家事情で本拠地を移転。地元から火が消えた瞬間でもあった。
チームはチームとして存在を続け、移転先の人々に希望と感動を与えたこともあっただろう。だが、オリジナルとして存在したチームを愛し止まなかった市民にとっては、急にkeep outの黄色いテープで締め出された感が強く残り、それが憎悪になった。しかし、憎むべき相手が誰なのか、何なのか、わからなかった。
小説、「ドジャース、ブルックリンに還る」は、そんなブルックリン生まれの2人の少年を中心に展開していく物語である。
中心人物は2人。野球の才能に溢れながら冷静に状況判断が出来る少年スクワットと、ビジネスの才能に恵まれ、時にキ○ガイという外ないほどに実行力のある少年ボビーだ。
この二人の共通点は、共にブルックリン・ドジャースにかけては外の誰にも負けないくらいの情熱を持って応援していたことだった。
裕福とはいえない家庭で育ったスクワットは、類稀な野球センスを持って野球の道へ。
ブルックリン区長を父に持つボビーは私立の学校へ進学し、ビジネスの世界へ。
二人が違う道に進んだことは自然な成り行きだった。しかし、ボビーはスクワットに、「いつか一緒に仕事をやることがある。それも大きなビジネスをね」と頻繁に言っていた。
互いに連絡を取り合い続けていた二人の人生が交わったのは、それから数年後のことだった。
ドジャースのマイナーチームに入団していたスクワットはチーム記録を次から次へと打ち破る快挙を見せ、L.Aからコールアップされることは確実と見られていた矢先、ボビーに会いに行った先で不慮の事故に遭い、野球が出来ない身体になってしまう。
選手としての道を諦め、当たり前の生活に戻ったスクワットに、ある日ボビーから連絡が入る。
電話のボビーは声を荒げ、ドジャースが外資企業に買収されるというニュースに憤慨していた。この時ボビーは、全米1位の収益を誇るバス会社を経営しており、富も名声も得ている人物になっていた。
ボビーは一言「我々が仕事をする時がきた」と。
かくして二人はドジャース買収に奔走することになる。
ブルックリンで宝石関係の仕事に就いていたスクワットだったが、ボビーに強引にこのビジネスに引き入れられてしまう。
外資企業とのやり取り、MLBコミッショナーへのロビー活動、地元ロスからの歓喜、罵声を浴びながらもボビーがオーナーのロサンゼルス・ドジャースは誕生する。
だが、成績不振に伴う収益ダウン、コスト増額など、他のビジネスとは全くことなるプロスポーツチーム運営に嫌気が差したボビーは、チームの売却を示唆する。スクワットがこれを何とか制止し、物語は運命が定めた方向へと進んでいく。
「ブルックリンに還ろう」。
誰もが思いもしなかったアイディアを提案したスクワットは、その気が無かったボビーを強引な手法でリードする。
物語はここから劇的に進み出し、物語はブルックリン・ドジャースの本拠地だった、エベッツ・フィールドの再建、ダメチームと呼ばれたチームに救世主が現れる場面でクライマックスを迎える。
小説とは思えないほどノンフィクション的で、しかしフィクション要素も溢れ、野球小僧だった男性でも、野球に興味の無い女性が読んでも感情的になれる物語だと、個人的には思っている。
折りしも、今年はドジャースがL.Aに本拠地を移転させてから50年目を迎える記念の年。何気なく”ドジャース”とAmazonで検索してヒットした文庫本をここで紹介するとは思いもしていなかった。
数十年後、もしまだプロ野球が存在し、楽天が本拠地を移転することになったら、ボビーとスクワットのような人間が出てくるのだろうか?、と、私の好奇は既にそちら側に向いてしまっている。
間違いなく言えることは、私がボビーでもスクワットでもない、ということだけだ。
posted by Takayuki Kanno |12:13 |
MLB |
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交錯する2人;「ドジャース、ブルックリンに還る」
ごぶさたしてます。AFL2008年のシーズン開幕しました。今年はリーグ結成150周年、1節からいい試合だらけです。またこちらのブログ「メルボルン発!トーキングスポーツ」にも遊びにきてください。
posted by yuko | 2008-03-23 15:01


