2007年05月07日

神様お願い One More Round

12ラウンド36分+インターバル12分=48分間が短く感じた。もっと長ければ良いのに、あと3分、あと3分、と、まるで子供のようにおねだりしたかった。

WBC世界スーパーウェルター級選手権試合。史上初6階級制覇の現王者オスカー・デラホーヤと4階級制覇のフロイド・メイウェザーの一戦が実現した。ウェルター、あるいはミドル級でよく聞かれるPound for Pound(同階級で敵無しのボクサーを意味することが多い造語)を決める試合。

個人的にこうしたドリームマッチが実現するたびに思うことがある。それは、リング上で相対する二人のボクサーであれ、K-1ファイターであれども、並び立つ二人が見れることだけでもう満足してしまう。ボクシング聖地ネバダ州ラスベガスに降り立った両雄が対峙するだけで心踊った。

まばゆいフラッシュが焚かれる中、待ちわびた観客の歓喜の雄叫びが飛び交う中、両選手入場。
先に入場したのは挑戦者メイウェザー。メキシコの血が流れるデラホーヤを挑発するメキシコカラーのコスチュームを身に纏い、気合の乗った、だが幾分か硬さが見受けられる表情であった。傍らには歌手の50centがマイク片手にメイウェザーの入場曲である本人の曲を、その場で歌いながら共にリングイン。
王者デラホーヤは王者カラーの赤で統一されたコスチュームで、受けて立つチャンピオンとして、アメリカボクシング界のスーパースターとして堂々のリングイン。

この光景だけで個人的には満足だが、物書きとしてはここで終わるわけにはいかない。
今世紀中には、もうおそらく現れないであろう偉大な王者と、ボクシング一家に生まれ天性のスピードスター、無敗で4階級制覇の偉業を果たした二人の対決を伝えたい。

1R。
メイウェザーが速い左を当てていく。デラホーヤはそのスピードを確かめるようにガードを固めて相手の出方を伺う。

2Rから試合は徐々にデラホーヤのペースになる。開始時とは打って変わり前へ前へと圧力をかけていく王者に対し、挑戦者はいつものような軽やかなステップを見せない。素早い飛び込みからの左フックとボディブローを放つものの、体格で勝るデラホーヤに力負けして前に出ることも、回り込んでかく乱することも出来ない。

3,4R。
強烈なボディブローを織り交ぜたコンビネーションを頻繁にメイウェザーに叩き込んでいく王者。やはりメイウェザーは普段の彼とは違い、正面に構えて打ち合う。バックステップでかわそうとするが、すぐ後ろにロープを背負う展開が続く。

5R。
流れが変わり、挑戦者ペースになる予感。
中盤、先ほどまでと同様にロープを背負うメイウェザーだったが、ショートレンジから右のフックをカウンターで決める。一瞬ぐらつくデラホーヤだったが、そこから持ち直して打ち合い再開。
王者側もちと展開を変えだす。ダメージがあったからなのか、無理に追い詰めることはしなくなった。だが劣勢にならぬように試合をコントロールする。流石のチャンプである。

6R以降、メイウェザー本来のパンチのキレが戻りだす。ステップワークを使い、左腕をL字型にしたデトロイトスタイルで速いジャブからのワンツーを当てていく。デラホーヤが時折オーソドックスに構えた時こそ、追い込まれる展開があったが、明らかにポイントを取るボクシングに方向転換したメイウェザー。

それからの7,8,9、10,11,12Rはおそらく両者共に取りつ取られるのラウンドに思えた。must systemであるために必ず優劣を付けなければならないジャッジは不憫だ。
前述したように短すぎた12R。ブレイクがかかる前に両者共に手を出し合い、片手で相手を押さえつけるようにしてボディに何発も叩きこんだデラホーヤと、離れ際に顔面にパンチを叩き込んだメイウェザー。スピード対パワーとか、6階級制覇対4階級制覇とか、そんな肩書きは必要ではない。もじ通りPound for Poundを決める試合に相応しい試合であったことは間違いのない事実であった。

判定は割れ、新チャンピオン誕生の結果となった。どちらが贔屓でもないので、純粋に世界一の技術の高さと精神の強さを堪能することができた。
両者共に引退を示唆した試合後のインタビュー。満足感なのか、達成感なのか、共に違う人生を歩んでいくであろう両ボクサーの顔からは不満などは感じられなかった。特に敗者のデラホーヤからは。

完全決着とまではいかないものの、結果は出た。
昔の週刊プロレスの見出しにあった「完全決着の無い試合に未来はない」のキャッチコピーをふと思い出した。
アメリカのボクシング史上に残る王者2人のいないボクシング界に未来はあるのか。それを語るにはまだ早いのだろう。

とにかく、48分の時間が削られていくのを惜しいと感じるような、特別な試合だった。

posted by Takayuki Kanno |09:44 | ボクシング | コメント(2) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/splustakayuki/tb_ping/76
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:神様お願い One More Round

2pacはだいぶ前に亡くなりました。
入場の時いたのは50CENTですよ。

posted by 余計なお世話 | 2007-05-07 16:09

Re:神様お願い One More Round

たまに間違える人がいますが、
12回戦のインターバルは合計11分ですよ。
フルラウンド戦ったら試合時間は計47分です。

posted by 蝮 | 2007-05-08 07:10

コメントする