2006年07月01日

対角線コンビネーション

昨日行われたK-1 WORLD MAX 2006 世界一決定トーナメントは、谷川プロデューサーの指摘どおり、今年のK-1の中でも、試合内容、観客の興奮度共にベストの興行に終わった。全ての試合で全選手が相手を倒してのけようという必死さが伝わり、毎年毎年進化し続ける高度な技術の応酬に釘付けになってしまった。
2002年から始まったこの大会。毎年優勝者が変わるという激戦区の階級ではあったが、今大会では1年ぶりにムエタイのブアカーオが王者に見事返り咲いた。1日3試合を戦い抜かねばならない1 dayトーナメントの場合、体力をいかに消耗させず、怪我の無い状態で勝ち上がっていけるかが大事なポイントになってくる。もちろん組み合わせという運が見方する場合もあるので、絶対的な優勝候補というのは皆無と言っても良いだろう。その中で、ブアカーオは史上初の2度目のチャンピオンの座についた。昨年と比べて明らかだったフィジカルの強さ、パンチの技術の進化、そしてディフェンディング王者とはいえ、そのリング上での風格は他を寄せ付けないものがあった。日本代表の魔裟斗は、準決勝最終ラウンド終了間際のスリップダウンのような形ではあったが、ダウンを取られての判定負け。最終ジャッジを見る限り、ダウンに関係なく2ラウンドもアンディ・サワーに1ポイント差を与えていたジャッジがいた点からも、負けは負けである。
しかし、このMAXにおいても、K-1ヘビー級にしてもそうだが、パンチの技術がいかに重要かが、試合を観る限り顕著に現われている。今大会では準優勝に終わったものの、サワーのパンチ・キックのコンビネーションは非常に有効だった。これはオランダ人キックボクサーに多い典型的なパターンではあるのだが、“対角線”コンビネーションというテクニックがある。

簡単なんだけど・・・
簡単に説明すると、上下の打ち分けの技術なのだが、例えば右利きファイターの場合、ジャブ(左手)を打ってからの右ローキックが一番簡単な対角線コンビネーションだ。相手の身体を、右半身・左半身に分け、顔とつま先の頂点同士を結んだ長方形として考えて、左上の頂点を攻撃(ジャブ)してから右下の頂点(右ローキック)に攻撃を加えることで対角線が出来上がる。要は右のパンチを打ったら左の蹴り。123)のコンビネーションの後であっても、最後に必す右のキックを織り交ぜることが対角線コンビネーションの基本だ。そんなの理屈がわかれば簡単に防げるんじゃないの?と思う方もいるかもしれないので、更に説明させて頂こう。

熱いやかんを触って起こる反射と一緒
確かに基本理論は非常に単純なものであることは前述したとおり。ただ、話は常にリングの中で起こっている。前に出てくる相手、しかも上下に攻撃を散らされれば集中力も鈍ってくし、反応だって鈍る。次の攻撃を予測出来たところで、反射が間に合わなくなってしまうのだ。これは野球での、強打者を抑えるピッチングにも共通点がある。選球眼の良い強打者に対して、出来るだけ長打を浴びる確立が高いコースには、ピッチャー心理としては投げたくないもの。しかし最初から外角いっぱいのところを投げたところで、ボールになったりファールで粘られてストライクを取りに行ったところを打たれてしまうケースがよくある。この時に有効になるボールは、内角の厳しいところへのボール。一球でも見せるだけで、大抵のバッターの感覚にはある変化が訪れる。これまでは何とも思っていなかった外角のストライクコースへの対応がコンマ何秒間か遅れるようになってしまうのである。何故か?答えは簡単で、意識が必要以上に内角に向けられてしまうからである。本来なら簡単に打てる、もしくはファールに出来る外角球であっても、身体が躊躇[ためら]ってしまってはどうしようもない。
これと同様の効果が対角線コンビネーションにはある。必要以上なディフェンス意識を相手に植え付ける。ここにパンチが来たから次はキックがここに来るという予測を、相手の身体が勝手に判断してしまうことになる。そうなった時点で反応が少しであっても鈍くなり、何発も続くコンビネーションに対応出来なくなり、パンチやキックをもらってしまうのである。

知っておくとK-1が更に楽しくなる
単純ではあるが全てのコンビネーションテクニックの基本となっていることであるので、K-1初心者の方は今後これを踏まえて観戦していただけると、また違った楽しみ方が出来るだろうと思う。

posted by Takayuki Kanno |09:17 | コメント(0) | トラックバック(0)
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