2006年12月04日
リングを降りたMr.パーフェクト
見方は二通りあった。往年と現状。
K-1 GPファイナル、アーネスト・ホーストの試合のことである。
ホーストは前言通り、GPで引退した。決勝戦にはコマを進めることは出来なかったもの、準々決勝戦で勝利を納め、通算98勝でそのキャリアを締め括った。
K-1創世記から見続けている筆者には、その一つ一つの動きがかつての名勝負が思い出させた。ゆったりとしたステップワークから着実に同じ箇所を打つローキック、ヨハン・ボス直伝のコンビネーション、ハイキック、右ブローのフェイントを織り交ぜた左ボディ。挙げるだけでもレイ・セフォー戦(セフォーK-1デビュー戦)、佐竹雅昭戦、マイク・ベルナルド戦の光景が呼び起こされた。ハリッド“ディ・ファウスト”の圧力なのか、言いたくはないが年齢からくる衰えなのかよろけるシーンもあったが、往年のアーネスト・ホーストであった。
翻ってもう一人の筆者。メディアへの露出が盛んだった頃、関根勤さんもモノマネしている”I am 4 times champion”という頃のホーストだけを知っている世代、ファンにとっては、GPファイナルのアーネスト・ホーストの姿は、動きの悪いロートルにしか見えなかったのではないか。ハリッド戦ではこれからのK-1を引っ張る世代の勢いを、シュルト戦では未来の4タイムスもしくは5タイムスチャンプへのバトンタッチが見て取れた。一つの時代の終わりが告げられた。これが現状のアーネスト・ホーストの実力だったのだ。
いかなる名選手にも、もっと言えば誰にでも過渡期があり、ピークを越えると衰退の一途を辿るしかなくなる。人生とは儚くも現(うつつ)に支配される。往年という言葉は、過ぎ去った過去のことを指すようだが、過ぎ去ったと言えるだけのキャリア、そしてファンの印象に残る激闘があってこそ使える表現である。人の心に残る人というのも、また稀。結果が伴っているのは更に稀。4タイムスチャンピオンの幕切れは、リングの上で、しかもファイターのまま終わった。引退セレモニーの為だけにリングに上がるやり方よりも良かったのではないだろうか。通算100勝の有終の美を飾れなかったことは本人が一番悔やんでいるのかもしればいが、98度の闘いの為に磨耗した心と肉体はボロボロのはずだ。
お疲れさまでした、と、まずはK-1を広め、支え、そして象徴となったミスターパーフェクトを労いたい。
本当にご苦労様でした。
posted by Takayuki Kanno |08:52 |
K-1 |
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