2006年10月30日

早くもベストバウト決定です。丸藤正道 vs KENTA

丸藤正道とKENTAは、先日引退した日本ハムファイターズの新庄剛志選手ではないが、”持ってる”と思われる稀な存在だ。赤い糸、宿命のライバル、ドル箱(古いけど)カード、平成の名勝負数え歌、、、etc。
あまりにもプロレスの魅力が詰まりすぎていて、如何様にも表現できる。それが返って、書くことで値打ちが下がってしまうのではないかと思われるくらいに。
今筆者は、そんな恐怖感に包まれている。対象となる題材におののいてしまっているからだ。

だが書かずにはいられない。いられなかった試合だった。

GHCヘビー級選手権試合、[王者]丸藤正道 vs [挑戦者]KENTAは、今年のベストバウトだ。


もう階級なんて必要ない

プロレスにはジュニアヘビー、そしてヘビーといった階級が存在する。非常に曖昧な分け方ではあるのだが、100キロを基準として、ジュニアかヘビーかと区分けする。
一般的にプロレスといえば、このヘビーの試合を指す。猪木・馬場からの流れ、長州・藤波、橋本・蝶野・武藤、三沢・川田・小橋・田上・秋山。プロレスの歴史には欠かすことの出来ない人物達だが、彼らはヘビーの選手である。単純に身体の大きな人をヘビー、小さな人をジュニアと考えてもらえばいい。大きな人間に小さな人間が挑む。これもプロレスの醍醐味の一つなのだが、この序列、近頃ではなくなりつつある。

前述した丸藤、KENTAの両名はジュニアの選手である。体格も身長180センチ以下で、体重も100キロに近いが、120,130キロを越えるようなスーパーヘビー級の選手ではない。プロレスの技は、大体が体重を乗せて仕掛けるものが多い為、この体重差というものが、長丁場になればなるほどに響いてくる。KENTA、丸藤は同団体のジュニアヘビー級の王者であったし、二人で組んで、ジュニアヘビータッグ王座を1年にも渡って保持していた程、ファンからも「ジュニア」の選手としてまず認知されていた。

今回、更に異例だったことは、ヘビー級王座をかけてジュニア2選手によるヘビー級タイトルマッチが組まれたことだった。ヘビーがメインという規制概念を覆したのだ。いや、実際は”ヘビー”のタイトルマッチではあった。ただ、試合をしたのがジュニアの選手だった。

闘う2名はジュニア。試合内容はスーパーヘビーを越えたものになった。ジュニアの魅力の一つとしては、華麗な動き、素早い試合運びという類いのものが挙げられることが多いのだが、この試合は速くて、巧くて、凄くて、そして重いモノだった。体重云々では測り知れない試合に対する覚悟と使命感が、観る側にも伝わったことだろう。
簡単に丸藤、KENTAがやったことを記してみる。

トップロープを踏み台にしての場外の鉄柵(客席とリング下を隔てている柵)越えラ・ケブラーダ(空中で1回転してのボディアタック)、エプロンサイド(リングの縁)から場外に向かっての断崖ファルコンアロー(相手を持ち上げ、頭から落とす技)、リングへ向かう花道から場外へ向けての投げっ放しジャーマンスープレックス等々。全てが致命傷になり兼ねない危険な応酬の数々である。これは、もちろん、相手の技量を信じて、そして覚悟を受け止めなければ繰り出す側も、喰らってしまう側も死に至ってしまうほどの大技中の大技である。
KENTAも丸藤も、自分たちの試合の意味がどれだけプロレス史に残るのかということを熟知している。試合内容如何でジュニアの選手ではやはりダメだ。いや、身体の大きさでプロレスする時代じゃないんだ。この賛否両論を生み出す試合であってはならなかった。ジュニアとかヘビーでは括れないモノが、丸藤・KENTAにとっての命題なのだ。

プロレスラーにとっても嫌な存在なプロレスラー達

実際、二人の試合は回を重ねるごとに評価が上がっていく。プロレスの強みと凄みが観客にも他のレスラーにも伝わる。今のプロレス界を見て、KENTA・丸藤を越える試合を作れるプロレスラーは、おそらくいない。カリスマはいても、二人を越えるアーティストはいない。そう断言しても良いほどの試合だった。
奇しくも、2004年度の年間ベストバウトに選らばれた同タイトルマッチ、小橋健太 vs 秋山準の試合と同タイムで終えた丸藤、KENTAのシングルマッチ。もう何度目かなんて覚えていないが、この2人の試合はプロレスの宝になるだろう。プロレスをあまり観ない人にも、格闘技志向の強い人にも是非覚えていていただきたい。

KENTA、丸藤正道というプロフェッショナルレスラーのことを。

新たな歴史に立ち会えたような心地良さが、試合を通して伝わってきた。丸藤・KENTAの信念、覚悟、使命感に感服した。

プロレスはやっぱり素晴らしい!!

posted by Takayuki Kanno |09:17 | プロレス | コメント(0) | トラックバック(0)
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