2006年09月20日

ランカシャースタイル復興か!?--無我ワールドプロレスリング

人よりも目立つ為の一番の近道。それは、全く正反対のことをする、ということではないだろうか。

8月に旗揚げ興行を行った無我ワールドプロレスリング。イギリスを発祥とする、関節・絞め技中心のランカシャースタイルレスリングを前面に押し出したプロレスは、現代のショーエンターテーメント的なプロレスとは一線を画す。文字通り、”プロ”のレスリングを観客に披露する。今の大技中心のプロレスばかりを見ているファンには、真新しい、というか、時代遅れの感があるスタイルではあるが、かつてのプロレスは皆少なからずこうであった。


甦るキャッチ・アズ・キャッチ・キャン

腰を低く保つ姿勢から互いの手を取り合う、ロックアップと呼ばれる攻防から始まり、相手をテイクダウン。もしくは首を取って前方に投げてからフェースロック、スリーパーホールドなど、非常に動きの少ない、けれどじっくりと味わうことの出来るレスリングを展開する。観客は固唾を呑んでリング上からの問いかけに答え、一つ一つの細かな技に拍手を送る。カメラのシャッター音がよく聞こえるのも、こうしたスタイルならではのもの。

自らの思想を具現化することは非常にタフなことである。特にメインストリームである物事と対極に位置する物であればあるほどに。無我という古き良きクラシックなプロレスは、まさしくそれであり、観る人を選ぶ。ハッキリ言って、万人が楽しめる代物ではない。だが、今でこそプロレスを押しやって確固たる地位を築いた格闘技だって、昔は対極にあったのだ。プロレスの中でも、格闘技スタイルを前面に出したUWFという団体もあった。日本の格闘技の原点はUWFにあるということは、桜庭和志、田村潔志といった人気選手を見れば明らか。

今、敢えてキャッチ・アズ・キャッチ・キャン(ランカシャースタイルの別名)を唱えた無我ワールドプロレスリングは、低迷続けるプロレスを世に残す為の一つの大きな手段であることは間違いない。
奇をてらうデスマッチや、華麗な空中攻撃、更にはエンターテーメントプロレスもプロレスという宇宙には入っているものの、プロならば、しっかりとした技術を見せることこそ匠というもの、という無我の思想を強く感じる。戦後から続いている日本プロレス史。後世に伝える為、プロレスのまた違った競技性をアピールする為にも、無我の活動は、そのスタイルとは逆に、もっと目立って良いはずだ。

時計回りでは一番遠いところでも、反対に回れば一番の近道になる。彼らの取った方法は、理にかなっている。

posted by Takayuki Kanno |09:15 | プロレス | コメント(0) | トラックバック(0)
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