2006年09月06日
K-1 Max世界王者対抗戦レポ-その2
黒服にサングラスの須藤軍団に囲まれての入場は、観客を楽しませてくれた。入場100%、試合100%。これが須藤元気のプロとしてのポリシー。いつものようにリズミカルな音楽に合わせてダンス。右手をぐるぐると回すポーズで観客を煽り、自らを奮い立たせる。毎回思うことだが、楽しい動きで魅せてくれる一方、顔つきは真剣そのもので、リングに鋭い視線を向けている。須藤元気がただのエンターテイナーでなく、列記としたファイターであることを示している。
進化の過程かトリックスター?
1R開始早々、腰を落とし、かがみこむような姿勢で、じりじりと進んでいく変則的な須藤元気。対するイアン・シャファーは一瞬呆れたように両手を広げるが、気持ちを引き締め須藤と対峙する。ファーストコンタクトはローキックの打ち合い。サイドに構える須藤は時折サイドキックを出し、シャファーとの距離をさぐるような格好を見せる。お互いに軽く牽制しあい、ペースを取り合うこと約1分。先に動いたのはシャファー。思い切って踏み込み、鈍い音を放つパンチを須藤に浴びせる。音だけでハードパンチャーとわかる程の一撃。左右のストレート・フックからボディで終わるコンビネーションに、須藤はバックハンドブローを合わせるのが精一杯。
この攻防の後に初めて思ったことだが、何か”らしくない”須藤元気が目に入った。常に二重、三重の罠を張って相手を自分の域に取り込むトリックスターなのだが、何か様子がおかしい。構えも、須藤にしては珍しく正面で向き合うオーソドックススタイルになっている。打ち合うことが今回のテーマと、試合前に語っていたことを実践していたのだろうか?とすれば、観ている筆者は、そのトリックにはまっていたことにはなるが、目の前のシャファーはお構いなしに突進してくる。有効打は無かったものの、弱冠シャファーの圧力が勝っていた感が残ったまま1R終了。
2R、須藤のトリックが何なのかまだ筆者は掴めない。そこうしている内に、またもやシャファーはじりじりとプレスをかけてくる。須藤は後ろ回し蹴りを放つものの、シャファーには見透かされる。これが仇となる。どちらの間合いとも言えない距離に入った瞬間、シャファーが突然のバックスピンキック!!これが須藤の顎を的確に捉え、ダウンを喫する。カウント7まで十分に休み、立ち上がるものの足元がおぼつかない様子。再開後、仕留めにかかるシャファーのパンチラッシュを浴び、逃げ回る須藤。追い討ちをかける寸前でレフェリーが試合を止めた。
結局、トリックスターのトリックは不発に終わった。というか、今回はトリックを用意していたのかどうか、それすらもわからない内容だった。試合後、オーソドックスのスタイルを覚え始めたとも語っていたが、返ってそれが付け焼刃になってしまったのかもしれない。反対に、最近のK-1ではあまり見られていなかったバックスピンキックをクリーンヒットさせたシャファー。2R早々の須藤のサイドキックで間合いを掴んでいる感じが、試合を見返すと確かに感じられた。
リング外の筆者は、最後まで何かあるんじゃないかと考えさせられたが、リングの中のシャファーはそんなまやかしを外し、見事にKO勝利を収めた。敗れた須藤だが、今後もオリジナルの変則スタイルを崩すことはないだろう。習得中というオーソドックススタイルを手にした時、新たな須藤ワールドがK-1のリングで見れるのかもしれない。そしてまた総合でも須藤元気の姿を見たい。今は、思索と、怪我の治療に専念してもらいたい。
※文中敬称略
posted by Takayuki Kanno |09:28 |
K-1 |
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