2006年08月07日
格闘大国リトアニアの強さ
先日行われた総合格闘技HERO'S、メインイベントの桜庭和志vsケスティス・スミノヴァス戦で起こってしまった誤審。意識を失っても闘い続けるのがファイターの性であり、悪い癖だとしても、前のめりに倒れた段階で試合を止めるべきだったであろう。審判団の育成、試合を止める事への意識の統一を図ってもらいたい。
しかし、桜庭の対戦相手であったスミノヴァス、そしてミドル級のレミギウスといい、HERO'Sには活きの良いリトアニアファイターが多い。彼らの特徴は、ワンチャンスに畳み掛けてくる瞬発性と、体格差を物ともしない打撃力にある。
つい最近、「手の日本人、足の西欧人」という本を読んだ。手を重視する日本人、足を重視する西欧人の民族性を様々な観点から紐解いていく本で、非常に興味深かった。
勝手ながら、リトアニアの民族性を考察してみたいと思う。
スポーツと民族
著者の大築立志さんによれば、日本人は農耕民族、西欧人は遊牧民族という事が大きな論点になっている。重心を低くして作業する農耕民族は柔道、レスリング等の競技に秀で、食料を追い求めて移動を繰り返す遊牧民族はボクシング、サッカー等のフットワークが鍵になる競技に秀でているという考えを提唱してらっしゃる。言われれば、ほう、と感心してしまう内容であるが、例えばロシアのようにボクシングもレスリングも柔道もサンボも強い大国を論ずる場合、どういう理由付けがなされるのだろうかと、ちょっと屁理屈にも取られかねない説が、筆者の中に自然と湧き出た。
話はリトアニアに戻るが、リトアニアはかつて、ロシア帝国の一部であった。1918年にロシアから独立を宣言し、今ではEU加盟国にもなった。この国の主用産業は農業と林業。前述した打撃を得意とする遊牧型民族ではないが、ここにリトアニア選手の打撃の特徴が顕れているように思える。
農耕民族型ストライカー
スミノヴァスもレミギウスも、筆者がみたところ、あまりフットワークの上手い選手ではない。足を使って回り込んで、距離を測って的確に打つなどという器用な戦法よりも、目の前の敵をとにかくぶん殴って蹴る、という豪快な印象の方が、上記の2人からは感じることができた。少しボクシングに詳しい方ならばわかるだろうが、ボクシングにおいて重要なのはパンチを打つ土台である下半身。どっしりとした土台があれば、多少体制が崩れようが強いパンチを打つことが出来る。農作業をしたことがある人ならばお分かりかと思うが、下半身を中心に負荷がかかる。ここからリトアニア人格闘家の打撃力が強いということが伺える。
次に挙げられるスミノヴァス、レミギウスの特筆点は、打撃の速さにある。昨年のHERO'Sミドル級トーナメント1回戦。レミギウスvs村浜武洋の一戦。試合を決めたのは電光石火の左ストレートだった。そしてスミノヴァスにおいては、桜庭の意識を刈り取った左フック。綺麗なコンビネーションではなかったが、一発一発の速さ、的確さには舌を巻いた。ここで出てくる次なる点は、主要産業の一つである林業だ。今は機械で全てをこなしていることと思うが、昔は斧で1本1本、大木を切り倒していた時代もあっただろう。斧を振り上げることで自然と強くなる、打撃の要、広背筋。そして可能な限り少ない回数で樹を切り倒す為に養われたであろう倒木ポイントを見る目。これは、人間を倒すポイントを自然に嗅ぎわける嗅覚を育むことに繋がっているのではないだろうか。
これも楽しみ方
主要産業、民族性から見えるスポーツの特性。理論としては、まだまだ矛盾も、熟考しなければならない点ばかりの段階ではあるが、格闘技もこうした観点から見てみると、また違った楽しみ方が出来ると思う。今後も、こうした無謀?な理論づけを展開していきたい。
これもスポーツの楽しみ方、である。
posted by Takayuki Kanno |10:20 |
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