2008年03月18日
見通しが甘かったのかな
泣いても笑っても今季は残り10試合を残すのみとなった訳ですが、振り返ってポジティブなシーズンだったとは言えないと思います。 もちろんクラブワールドカップは、特に僕らのような日本のファンには最高の思い出ですし、クラブも今シーズン1番の目標だったトロフィーを掲げて目標を達成しました。 しかし開幕前にUEFAスーパーカップとクラブワールドカップを獲得する代わりに、CLは初戦で敗退しリーグ戦も4位に入るか微妙になるという状況を提示されても、誰もSiとは言わないでしょうね。 特に最近叫ばれているのは補強の必要性です。頑なだったフロントも最近では来季に向けた新戦力を迎えることを明言しました。 今回はなぜ今季のミランは低迷することになってしまったのか、補強戦略を中心に思い出してみたいとおもいます。 昨シーズン最高の出来事は言うまでもなくチャンピオンズリーグの制覇ですね。 対セルティック戦で本格的に使われ始めたクリスマスツリーが完全に定着し、最も信頼されるフォーメーションを確立しました。CL優勝というこれ以上ないほどの結果を手にしたのだから当然です。 昨年の夏の時点で新しいシーズンも4-3-2-1システムは充分使えると判断がなされ、ミランはエメルソンを獲得しました。シーズンの途中から重用されたアンブロジーニの控えが不在で代えのきかない選手でしたから、この補強も賢明です。CL優勝チームに足りなかった部分をピンポイントで補強し磐石のように思えます。 そしてリーグ戦後半の成績です。 昨シーズン、年明けからのミランはセリエAで首位を独走したインテルに匹敵するほどの勝ち点を手に入れました。 大きな要因は2つあり、1つはウインターブレーク中でのマルタ合宿です。予備予選に出場したこともありコンディションに問題を抱えていたミランでしたが、この期間に怪我人が回復し、合宿中は厳しいトレーニングを行うことでシーズン最後半にピーキングを合わせ結果的に見事成功しました。 そして2つ目はなんといってもロナウドの加入ですね。持ち前の決定力でチームを牽引し、フィジカルが上がっているチームのブースター的な役割を見事に果たしてくれました。セリエAの戦いに専念していましたが、CL優勝の影の立役者です。 リーグ戦を猛追するという形で非常にポジティブな印象で終え、CLも制覇。論理的には戦力はそのままでも充分通用するということになります。 フロントも現状維持で良いという結論に達し、パトの獲得を決める一方実質的な夏の新戦力はエメルソンだけという極端な姿勢を貫きました。 これにはアンチェロッティの性格も多分に影響していると思います。どうやら選手に「君は必要ない。」と言えないのです。これはミランに来てからではなく監督のキャリアをスタートさせてから一貫しているようです。 フロントも夏の時点でジラルディーノ・カラーゼ・グルキュフと面談をし、信頼を強調しました。 結果を出したチームに期待するのは正しいことです。何も問題はありません。 しかし忘れられた課題があります。箇条書きにすると、 ・ロナウドはフル稼働が可能か? 答えはNoです。これはフロントも監督もロナウド自身も重々承知していたでしょう。昨シーズンセリエAでポイントを稼いだのはロナウドのお陰です。そのロナウドを使えなくなることは不安材料ですが、クリスマスツリーにも確固たる信頼を置いていたので、併用すればよいと考えたのだと思います。 さらにジラルディーノはチームの得点王でしたし、インザーギは大舞台で決定力が錆付いていないことを証明しました。ボリエッロとオリベイラを放出したのも3人のFWにそれだけ信用があったからでしょう。冬にはパトも起用できます。 しかし、 ・リーグでは強豪に勝っていない この部分は忘れ去られました。インテルには2敗。ローマには1分け1敗。フィオレンティーナには2分け。さらにパレルモにも負け越しましたし、今季よりもチーム力が劣っていたウディネーゼとなんとか五分の星といった程度です。格下相手から確実に勝ち点3を奪ってきたからこそのCL出場権獲得でした。また、 ・リーグの競争の激化 もそれほど考慮されていなかったように思います。言うまでもなくユベントスの復帰とフィオレンティーナのマイナスポイントが無い点です。現状この2チームが目の上のタンコブとなっているのは、まさにこの点への警戒が薄かったことの表れではないでしょうか。既存メンバーへの過度の信頼の弊害と言えるでしょう。 それでも計画通りにことが進めばこれほど苦しむこともなかったはずです。さらに追い討ちをかけたのは誤算があったからです。 ロナウドの負傷。最初から最後までこのことに頭を悩ませました。結局数試合の出場に止まった分けですが、ロナウドの出場試合の勝率はかなり高いですから、存在の有り無しはミランにとって大きかったですね。最初の負傷は開幕前でした。練習中の何気ないボールキックでしたが、それをきっかけに年内は1試合にしか出られませんでした。当初の診断では軽症だとのことだったのでシーズン開幕前にも関わらず、ロナウドの穴埋めの補強には動くことも無く復帰を待つこととなったわけです。 そしてこれは誤算と言うべきではないかも知れませんが、相手チームがミラン対策を徹底してきたことも苦しい戦いに拍車をかけました。 サンシーロでは徹底して守備に徹する。単純ですが効果は絶大。年内はホームで勝つことが出来ないという異常事態が長く続いてしまいましたね。 サイドからクロスを上げても中で競ることの出来る選手が不在のミランはパワー不足を露呈しました。昨シーズンは嘘の様にシュートがポストに当たり勝てない試合が多かったですが、今季は引いた相手を崩せないというのがテーマでだったように思います。少なくとも12月まではほとんどの人がそういう認識だったと思いますし、僕もブログで何度か書きました。勝てない原因はFWだというふうに問題は収斂されていきました。 結局その論理だと低迷の要因はFWでしたから、冬移籍も動く必要はないことになります。ロナウドの復帰がようやく見込め、パトが出場するからです。 実際年明け最初のナポリ戦でチームは最高のパフォーマンスを見せ、ミランの変貌を印象付けました。昨シーズンのマルタ合宿後のように、後半は生まれ変わった姿で一気に勝ち点を稼ぐ。そんな青写真を描かせる状況にあったと思います。僕もかなり期待しましたよ…!! しかし過密日程という大きな障害に打ち破られてしまうことに。クラブワールドカップの影響で延期されたレッジーナ戦とリボルノ戦、そして暴動で延期となったアタランタ戦。たった3試合ですがされど3試合だったようです。アーセナルに敗れるまでずーっと週2試合が続いていましたから(代表戦含む)、まともな練習が出来なかったと言われています。 しかし試合が延期されることは去年の時点で分かっていました。対策は打てたように思うんですけどね。 結局ロナウドは大きな怪我をしてしまうリボルノ戦の前までも小さな負傷を繰り返しあまり試合に出られず、逆にカカやセードルフなどの主力は休む暇なく連戦をこなしたことで、早い内にガス欠を起こしコンディションを大きく落としてしまいました。週2試合を続けていたのですから当然といえば当然の成り行きです。勝ち点を積み上げられず、さらに無理をしなくてはならなくなるという負のスパイラルが現在起こっています。 主力選手を起用し続けたことで歪みが生じて怪我人が続出したのですから、最大の問題は控えの層の薄さにあったと、今になって思います(それでも重量級のFWは獲得してほしいですが)。 誰かが出ないと勝てなくなる、というのでは困りますね。是非来季はターンオーバーに耐えうるスカッドを形成してほしいものです。それには現有戦力への過度の信頼も勇気をもって捨てなくてはならないかも知れません。契約は満了させるというクラブのポリシーを曲げることになるかも知れません。それが出来ないとしても今季結果が出てないのですから、人数を増やすなりの対策は必要でしょう。 補強戦略の失敗をひも解く上で焦点が当てられるべきは、年齢ではなく見通しの甘さにあったように思えます。 今シーズンの結末は不透明ですが、願わくばCL出場権を無事獲得し強いミランが新たに生まれることを!
posted by 三四郎 |10:02 |
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