2008年06月10日
アズーリの敗因は?
勝負を決する要因はいつだって些細なことで、あと一歩足が出なかったとか仲間と呼吸が一つずれたりしようものなら全てが台無しとなってしまいます。それが運としかいいようのないものだったり審判のいたずらだったとしても同じこと。 結局はサッカーというスポーツはゴールにボールをねじこんだ者の勝ちなのです。 しかし偶然の積み重ねであろうと、勝利という結果を得るチームと敗北を受け入れざるを得ないチームにはそれぞれ理由が存在するのもまたサッカーの常。 なぜ世界王者としてEUROに臨んだイタリア代表は、初戦を0-3というまれにみるスコアで落としてしまったのでしょう。 個人的に最大の要因はドナドーニ監督の先発起用メンバーにあったように思います。 もちろん選手は将棋の駒ではないので、メンバー表だけを見て語ることはできません。それでも少ない準備期間の中でチームを作り上げなくてはならない代表監督の仕事の特徴は、その選手起用の裁量の大きさであることは間違いないでしょう。 では何が間違いであったのか。大きな2点を挙げるとすれば、 1、ディフェンスラインの構成 2、中盤の構成 ということになると思います。 まず1の点です。 オランダ戦の守備陣は右からパヌッチ、バルザーリ、マテラッツィ、ザンブロッタ。スタメンの内の10人は予選でも起用の多かった、ドナドーニの信頼の厚い選手達が選ばれています。 唯一の例外はパヌッチ。 しかしこれは間違いではありません。サイド攻撃を武器とするオランダを想定して、守備面で信頼の置ける人材をサイドバックに起用するのは理にかなっています。 問題はセンターの2人です。 カンナバーロの不在を痛感することになりました。 バルザーリとマテラッツィは予選でも起用時間の多い選手でしたが、一方で今シーズンはクラブでは目だった活躍ができず、評価を大きく落とした選手でした。しかもマテラッツィのコンディションは不安視されていた。なのになぜ無理をして使ったのでしょう? パヌッチもキエッリーニもドナドーニ政権下でセンターバックはすでに試されていますし、冒険というわけではありません。事実カンナバーロの負傷離脱後は、キエッリーニをセンターで起用する練習を積んできたはずです。 さらに急遽召集された選手ですが、フィオレンティーナのガンベリーニはシーズン中最も安定したパフォーマンスを見せていました。 駒は豊富にありながら、コンディションよりも選手への信頼を重視する保守的な選択がなされたのはなぜか。僕個人は、ドナドーニの監督としての経験不足がそうさせたのだとだと思います。 監督自身がEUROという大舞台のプレッシャーの選手に与える影響を推し量れずに、百戦錬磨の選手達の経験に命運を託すことにしたのではないでしょうか。 続いて2の点。ここが最大の原因のように思えます。 以前のエントリーにも書いたのでやや重複しますが、なぜドナドーニはデ・ロッシを使わないのか。ピルロと共存が不可能だということは、決してありません。二人は違うタイプの選手です。 ドナドーニは結局ガットゥーゾ、ピルロ、アンブロジーニを選択しました。ミランの3人ということで、選手同士の連携や経験を重視した結果でしょう。 しかしこれではボールの出所がピルロに限定されてしまいます。オランダも当然のごとく、ピルロを徹底的にチェックしていました。 4-2-3-1の布陣は、ピルロ潰しを狙うチームの常套手段。ミランが優勝した06-07のチャンピオンズリーグでも準決勝のマンチェスターユナイテッド、決勝のリヴァプールともに通常のシステムを変更してまで1トップを選択しています。 それでもミランが勝てたのはなぜかというと、カカがいたからに他なりません。ミランのストロングポイントはセンターラインの強さ、具体的にはネスタ-ピルロ-カカの三本柱です。一方アズーリの方は、カンナバーロ-ピルロ-トニということになります。 オランダ戦のイタリア代表は実質その内の二本が不在でした。これでは苦戦は免れません。 4-3-3はサイドをケア出来る反面、バイタルエリアの使い方が重要になってきます。しかし今朝のイタリアはどうでしょう。特に前半はサイドにボールを預けるも呼吸が合わずという展開が多かったように思います。 ガットゥーゾとアンブロジーニはファイターですから、カカやトッティのようにはいきません。2人がボールを持っても相手は怖くないのです。実際ガットゥーゾはかなり自由にボールを持てていました。ここにもっと相手のマークが集中する状況になれば、両翼のディ・ナターレとカモラネージがさらに生きるでしょう。 アンブロジーニの攻撃パターンはボールを奪ってから味方に預け、ゴール前に上がる形。ガットゥーゾはミドルシュートを持っていない訳ではないですが、シーズンに1回入るか入らないかというものです。 油断は出来ませんが、オランダにとってそれほど脅威ではなかったに違いありません。ではバイタルエリアを使うのが、デ・ロッシやピルロだったらどうでしょう。途端に難しくなるはずです。パスが来るかミドルシュートが来るか読めません。 ピルロとトニのラインはイタリア代表の最大の武器。このラインを使うにはいかにピルロに自由にボールを持たせるのかが、チームの鍵となります。 3ボランチ間でのポジションチェンジを頻繁に行うことも対策の1つ(今朝はこれも少なかった)。そして安定するボールホルダーを1人加えるのも手です。 それはデ・ロッシに他なりません。 デ・ロッシは今季ローマでは黒子に徹し、守備でローマを支え続けました。機を見た攻撃参加も鋭いものがあります。なぜドナドーニは10番のデ・ロッシを軸にしないのか。甚だ疑問です。 今朝のイタリア代表は普段より攻撃的だとテレビでは言っていましたが、そうは思えません。予選の時は引き分けでも良しとしたサンシーロでのフランス戦を除き、さらに積極的でした。ウクライナやスコットランドよりもオランダが強いからだと言えばそれまでですが、もっとやれたはずです。 ドナドーニ監督にはサイドバックで守備を重視したチョイスをするなら、中盤はあと1つ攻撃を意識してほしかった。 アズーリがこの厳しい予選を突破するには、出来れば次のルーマニア戦とフランス戦で勝ち点6が欲しい所。 その他のオプションをこれから機能させることが出来るのなら別ですが、できればカッサーノはあくまでもスーパーサブとして使うにとどめ、デ・ロッシとピルロを共存させた4-3-3を見てみたいです。
posted by 三四郎 |11:10 |
代表 |
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この記事に対するコメント一覧
アズーリの敗因は?
ブッフォンの語る通り、スタメンを含め試合へのアプローチを誤ったという事なんでしょう。そういう意味では現地でも指摘されてるようにドナドーニでは役不足というか。。。少なくとも前任のリッピのアズーリであれば、まずありえないような結果だったのかもしれません。いずれにしろオランダのパフォーマンスが好調であったのも事実ですが。
posted by jojo | 2008-06-10 12:06
アズーリの敗因は?
全くの同感です。
スタメンを見た時点でこうなる予感はしていました。
ミラニスタはみんな嫌な予感がした事でしょう。。
それでも何度かゴールチャンスがあっただけにこの結果は残念です。
ドナドーニはデ・ロッシと確執があるんですかねぇ。
posted by ILL | 2008-06-10 12:30
アズーリの敗因は?
直前にケガのカンナバーロ、残ってみなと戦う気持ちは大事ですが、こうなると裏目。
彼の「不在の存在感」が増すばかりです。
ここはカンフル剤として、彼を帰して、今いる人間で戦わなくてはいけないのだと気持ちを入れ替えるべき。
マテラッツィの不調も続いてますね。
posted by mippo | 2008-06-10 12:37
アズーリの敗因は?
同感です。
スタメンの中盤を見た時、完全にドナドーニは頭使うのをやめたんだなと思いました。
あんたの存在ないやんって。
選手まかせというか…現状よりもブランド力か…
こんな戦い方を望むならそれこそピッポを選んどけよって。
カッサーノの投入も理解出来ませんでした。
完全に渋滞でしたよ。
次戦のルーマニアでデ・ロッシが選ばれなかったらドナドーニに監督としての未来は難しいかなっと。
posted by セト | 2008-06-10 13:09
アズーリの敗因は?
攻撃的レギュラーを数人欠いても、持ち得る限りの違いを見出せるプレイヤーを置こうとするオランダに対し、結局は相手に対するリアクションを選ぶ弱気なメンタリティ。
力のある選手いるのにね・・。
ガッツマンだらけじゃ点取れんわ。
posted by 具だくさん | 2008-06-10 13:35
アズーリの敗因は?
なんかチーム一丸となってトニに合わせようという気持ちが裏目に出てた気がする。あんましミドル打とうとする選手とかいなかった。というか打てる選手がいなかった。
途中から入ったデルピエロはよかったけど・・・
posted by tukudani | 2008-06-10 13:59
アズーリの敗因は?
何にせよ、あと2試合しか見られなくなるような結果だけは悲しい。ルーマニア、フランスに勝ってくれることを祈るばかりです。あー眠いっ。そして悔しい。
posted by gatsu | 2008-06-10 16:21
アズーリの敗因は?
4年前の敗退がフェードバックしてきました。。。
こんにちは!
今日は短めにしておきます。
個人的にはトニってすごいんですか?ってイメージです。
何しろ2年前の時でさえやっとこさっとこ決めてたじゃないですか。。。今朝の試合を見ていてもゴールのイメージが全く見えなかったのは私だけでしょうか?もっと言ってしまえば今更ながら4-3-3じゃなくてはダメでしょうか?4-4-2でいいのでは。。。ピルロがくたびれてカンピオナートなんて事に><
イタリア=ウーノゼロが定着イメージですが、確実に「ウーノ」を決めてくるタレントが居たよーな。。。
posted by がっつーお | 2008-06-10 17:35
アズーリの敗因は?
あの~質問してもいいですか?
ピルロっていつもあんな下がり目ですか?
セリエAをみる機会がないのでミランの時どーなのか詳しくわからなくて。
posted by うどん | 2008-06-10 19:02
アズーリの敗因は?
お久しぶりです。
アズーリの敗因はやはりミラントリオを並べたこととディフェンスラインにあるでしょう。
あの布陣ではピルロの機能不全=イタリアの攻撃崩壊を意味しますよね。
なのでアンブロジーニではなく、デ・ロッシあるいはアクィラーニを起用すべきでした。
ディフェンスラインは右ザンブロッタの左グロッソでCB二枚はキエッリーニとパヌッチにすべきでしたね。
あとディ・ナターレでなくデル・ピエロがよかったと思う。
まぁ結果論なのでなんとでも言えるんですが…。
とにかく、残り二戦を頑張ってもらいましょう。
話変わってミランについてですが、アントニーニが復帰してマルツォラッティがエンポリに完全移籍したようです。
アントニーニの復帰は嬉しいけど、マルツォラッティの完全移籍には?です。
あれだけディフェンスラインの再構築が叫ばれているのになぜなんですかね?
マルディーニの現役続行&ザンブロッタ、アントニーニの加入で来年もいけると考えたんですかね!?
posted by 健司 | 2008-06-10 22:14
アズーリの敗因は?
>がっつーおさん
アズーリはリッピ時代から、もうほとんど1-0で勝つサッカーはしてませんよ。WCで優勝できたのも強固な守備に加え、点の取れるチームであったからです。ドナドーニ体制下のEURO予選でもホーム、アウェーに関わらず基本的にアグレッシブなサッカーでしたし。トーニに関してはセリエ&ブンデスの得点王ですし代表でも活躍していますが、今回のオランダ戦では決定的な場面を逃すシーンもありました。ただ全体的に周りのサポートもなく、終始孤立していたのも確かです。いずれにしてもスタメンをはじめ、選手交代他の効果的な采配が一切見られないドナドーニの責任は重いかと・・・。
posted by jojo | 2008-06-11 01:49
アズーリの敗因は?
まさに中盤に問題ありに一票です。
鋭い意見だと思いました。
オランダは中盤でのボール奪取がとても多かったし、ピルロへの寄せが露骨に凄かった。
最終ラインは大変だったと思います。
特にザンブロッタ。
ルーマニア戦、ガチですね!
死ぬ気で応援します!
posted by くるくるトニ | 2008-06-11 10:33
アズーリの敗因は?
試合 内容を分析する知識は、ありませんので・・・・・
ミランファンとして一言、「ピッポを、連れていかないからだよぉ!」
監督さんは、「経験不足?」そして、選手は、「タレント不足?」
posted by mirasuke | 2008-06-11 23:44
アズーリの敗因は?
カンナさんの不在は大きいが、その他(特に中盤)のタレントを使いこなせてない監督さんの経験不足。ピッポがいても中盤があれでは機能しにくいし。
posted by ↑ | 2008-06-12 08:23
アズーリの敗因は?
>jojoさん
やはり試合は相手あってのことですからね。オランダは好調でした。しかし30年間負けていなかったオランダに破れてしまったということは、このアズーリは何らかの失態を犯したということでしょうね。
>ILLさん
普段のミランでも議論の分かれる構成を、この大舞台で…という感じですね。
ザンブロッタ、トニ、グロッソ、どれもかなり惜しかったです。
監督とデ・ロッシの確執はないと思いますよ。
posted by 三四郎 | 2008-06-13 14:58
アズーリの敗因は?
>mippoさん
「不在の存在感」なるほど。
カンナバーロが帰るべきかは分かりませんが、選手を気持ちを新たにしないとさらに厳しい戦いが続くことになりますね。
マテラッツィが怪我をしたことで、ドナドーニは思い切った采配が振るいやすくなるでしょう。
>セトさん
カッサーノを右サイドで使ったのは予想外でした。個人的にはあの場面ではガットゥーゾを外すと思っていたので。
ドナドーニは批判に耐えながらせっかくいいチームを作っていたのに、本番で状況に応じた戦いができませんでしたね。
posted by 三四郎 | 2008-06-13 15:04
アズーリの敗因は?
>具だくさん さん
成功させるという気概よりも、失敗できないというプレッシャーが勝ってしまったと思います。
層の厚さは大会屈指なはずですから、立て直しに期待します。
>tukudaniさん
確かにトニ狙いの部分が多かったと思います。
デル・ピエロは見せ場を作りましたね!次も活躍してほしいです。
posted by 三四郎 | 2008-06-13 15:09
アズーリの敗因は?
>gatsuさん
あと2試合は寂しい…。とにかくまずはルーマニアに必ず勝ってもらいましょう!もっと見たいです。
>がっつーおさん
こんにちは!
トニは予選の活躍からみても、今はエースだと思います。それだけにキーパーとの1対1で外してしまったのはガッカリでした。真の大舞台で実力を発揮できるかはこれからにかかっていますね。
4-4-2待望論はイタリア国内からも出ているようですが、個人的には危険だと思ってます。カッサーノのトップ下はフランス戦で散々だったので…
posted by 三四郎 | 2008-06-13 15:15
アズーリの敗因は?
>うどんさん
基本的にあの位置ですが、頻繁にポジションを変えて、前に出る機会はずっと多いです。
ただしセリエAでミランと戦うチームはオランダよりも引いた位置にいるので、その関係もあるかも知れません。
>健司さん
お久しぶりです!
オフェンスは完全に機能不全に陥っていました。アクイラーニもベンチで腐らせておくのは勿体ないですね。
ディ・ナターレは予選も直前の親善試合も活躍していたので外すのは難しかったと思いますが、結果的にはデル・ピエロがよかったと言えますね。
アントニーニはセルジーニョの代わりらしいですね!楽しみです。
マルゾラッティのことは知りませんでした。今確認してきましたが、公式発表が出ていますね。非常に残念です…。
posted by 三四郎 | 2008-06-13 15:31
アズーリの敗因は?
> jojoさん
二つに分かれてしまってスイマセン!
全般的にjojoさんの意見に賛成です。今のイタリアは自ら主導権を握ろうとするサッカーをしていると思います。守備が強い=守備的ではありませんからね。
きっとがっつーおさんは、イタリアには伝統的にどんな戦術下においても決めてくれる絶対的なストライカーがいたのでは?ということを仰しゃっているのだと思います。
トニについてはオランダ戦のできはベストではありませんでしたが、jojoさんの仰しゃるとおり孤立する場面が多過ぎました。
チームの修正次第では爆発も有り得ると思います。監督の采配が鍵ですね。
>くるくるトニさん
マークしていたのはファンデルファールトでしたかね?ファンバステンも「ピルロを苦しめていたと思う」と言っていましたね。
ザンブロッタは攻守のバランスをとるのに非常に大変だったと思います。でもよい出来で、ミランの選手になってくれて嬉しいです。
ルーマニアにはとにかく必勝ですね!
posted by 三四郎 | 2008-06-13 15:43
アズーリの敗因は?
> mirasukeさん
>↑さん
インザーギは呼ばれてもなんら不思議ではなかったですよね。
ただ、やはりオランダ戦はストライカーの問題ではなかったと思います。トニは決定機を一度外してしまいましたが、まあ有り得ることでしょう。
みなさんたくさんのコメントありがとうございました!
posted by 三四郎 | 2008-06-13 15:46


