2007年10月30日

日本シリーズ取材日記 ヒルマン監督、ちょっと冷たくはないかい?!

 日本ハムのヒルマン監督が、今や多くの人から尊敬と賞賛を受ける存在であることは間違いない。
 ただ、一点だけ、気に食わないことがある。それは、日本人メディアに対する対応だ。一言で言うと、『冷たい』のだ。ヒルマン監督は、外国人記者と直接話すときは、それこそジョークを交えながら気さくに対応する。だが、これが日本人記者であると、ちょっとそっけなくなる。もちろん、言語の壁があって通訳を通さないといけないという差異はあるものの、それにしてもあまりに冷たい印象を受けるのだ。
 毎試合前、あるいは試合後、インタビューを受けるヒルマン監督だが、たいていは日本人記者の質問に対しての受け答えは無表情で行う。しかも、その声は恐ろしく小さい。さも、不機嫌であるかのように。
 日本人記者の質問のほとんどが曖昧で、くだらないということもあるのかもしれない。日本の記者は、ときに私生活にまで及ぶ質問をしがちだからだ。
 たとえば、日本シリーズ初戦前の会見で、ある日本人記者が『今朝は奥さんとどのような会話を交わしたのか?』という質問をしたのだが、これはアメリカではまずありえない質問だ。ヒルマン監督は、『妻とどんな会話をしたか? 妻との会話は会見で話すようなことではない』と、その質問をにべもなく却下した。
 たしかに、こちらの質問内容にも問題があるのかもしれない。だが、だからといって、それに対して冷たい対応をしていいものだろうか?
 プレイオフを含めると約150試合、采配を振るうわけだから、大変なのはわかる。しかし、だからといってメディアにこういう対応はいかがなものかと思わないでもない。
 『北海道の皆さんは世界で一番です』。
 笑顔でそう高らかに言う姿とは対照的に、テレビカメラのないときのヒルマン監督は非常に静かだ。静かというよりも、不機嫌にすら見えてしまう。
 その姿は、僕にとってはちょっと残念である。いや、愛想を振りまいて、オベんちゃらを言ってほしい、というわけではない。ただ、ファンに対してと同様に、メディアに対してもきちんと対応してほしいわけである。
 日本のメディアも改めるところはある。前述のような試合とは関係のない質問はやはり変だし、あとは外国人選手や監督に質問する際、その人よりも通訳の顔を見て質問を投げかけるのも良くない。言葉は通じてなくても、質問はやはりその選手や監督にするものであるから。

posted by southernmiss |01:59 | トラックバック(1)
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2007年10月29日

日本シリーズ取材日記 カンザスシティからも記者来たる

中日対日ハム、再度決戦! みどころは?! 


 今年も札幌へぶっ飛んできた。日本シリーズを見るためである。昨年に続くファイターズ対中日の対戦は新鮮味に欠けるという意見もある。確かにそうかもしれないが、ただ、玄人には受けるマッチアップではないかと思う。
 去年とは違った見所はいくつかある。攻撃力の圧倒的に弱い日ハムがどうやって連覇を成し遂げるか。1954年以来日本一から遠ざかっている中日が、落合監督の下いかに戦うか、など。
 その中で、ファイターズ側からの見所をひとつ挙げるならば、今季限りで勇退し、来季からはメジャーリーグのロイヤルズで指揮を執るヒルマン監督の動向だ。当然といえば当然だが、ヒルマンは日本ハムを指揮する間は(特に日本シリーズ中は)ロイヤルズのことは語ろうとはしない。しかし当人が語らずとも、ファンや我々メディアは彼が来年どうやってメジャーのチームの采配を取るのかという部分に、少なからず興味を持っているのである。

カンザスシティからヒルマンを追って


 そう思うのは何も日本人だけではない。この日本シリーズのために、わざわざロイヤルズの本拠地・カンザスシティの新聞社『カンザスシティ・スター』紙の有名な野球記者であるジョー・ポズナンスキー氏が訪れているのだ。
 僕はジョー氏と話しをしたが、初めての日本、初めての日本野球ということで、随分と質問をされた。日本の野球とメジャーリーグの間の差異や、今オフFAとなってメジャーへ行く可能性のある選手、等々。カンザスシティとは14時間もの時差があるから、時差ボケは相当にあるはずだが、それでもジョー氏は初日から精力的に取材を続けていた。
 ただ、残念ながら、日本シリーズには数多くの取材陣が押し掛けているということで、初戦と第2戦の行われた札幌ドームでは、ジョー氏には記者席があてがわれておらず、仕方なく観客席で試合を見ることになったことだ。
 大丈夫。ジョーは笑顔でそう言ったが、初めての日本野球の観戦をスタンドでたった一人でするのはさぞ心細かったに違いない。
 とはいいつつ、ファイターズの3番打者・稲葉が毎回打席に立つだびにファンが起こす“稲葉ジャンプ”の際、ジョー氏はいったいどういう反応をしていたのだろう、と記者席では同僚とニヤニヤと笑っていたわけである。あの稲葉ジャンプ、札幌ドームで観戦したことのある人でなければわからないだろうが、本当にドームが揺れるのだ。特に第1戦の稲葉の第1打席の揺れは、いつも以上の大きなものだったように感じられた。
 しかし、周りの人が稲葉の打席となり、クイーンの『I was born to love you』が流れると同時に立ち上がり、飛び跳ね始めるそのまっただ中におかれたジョー氏の姿、表情を想像すると笑わずにはおけなかった。

ジョー氏を通して感じる、アメリカ人の日本野球への関心度

 それはさておき、ジョー氏の今回の日本の滞在日記というかコラム”Joe in Japan”は、なかなかに興味深い。我々日本人はいまやテレビのチャンネルを回せばメジャーの試合や情報にありつけるが、反対にアメリカ人が日本の野球を見るということはほとんど無理に近い。
 現実的に言うと、日本の野球に関心のあるアメリカ人の野球ファンなどあまりいないのだが、皆無というわけでもない。先駆者という意味ではバレンタイン(現・千葉ロッテ監督)のほうが先に日本シリーズ王者となっているが、ヒルマンはペナントレースで二連覇を果たし、今年の日本シリーズで勝てば2年連続日本一ということになるから、ステータスはぐっと上がる。必然的に日本の野球への関心も少しは上昇することになるのだ。まあ、ほんの少しではあるだろうけども。
 だが、実際、ジョー氏のコラムに対するカンザスシティの読者の反応を見てみると、たとえば「こっちで日本シリーズを見られないのは残念だ』とか、『ジョー、来季ヒルマンは日本から誰か強力な助っ人を連れてこられないのか?』などという質問もあった。
 もちろんジョー氏自身は日本野球に詳しいわけではないのだが、代わってヒルマンに、もし可能ならダルビッシュをロイヤルズに連れて行きたいか、という質問をぶつけた。するとヒルマンは『連れて行きたい。ただ彼はアメリカでプレイすることには興味がないみたいだけど。もし数年後彼がFAにでもなって、アメリカでプレイしたいということになれば、彼を巡って壮絶な争いが起こるだろう』とコメントした。これを見ると、来年ヒルマンがどういう指揮を執るかというところへの興味と同時に、ダルビッシュがメジャーで投げたらどういう活躍をするかという、やや気の早い期待も湧いてくるのである。
 ある意味で、ジョー氏のコラム以上に、それに対する読者の反応のほうが面白いとも言える。上記のようなまともな日本野球への質問から、『ジョー、もうスープカレーは食べたかい?』とか、『ビル・マーレーの気分は味わえたかい?(映画『ロスト・イン・トランスレーション』の中のマーレーの気持ちを体験できたかということ)』、はては『日本の野球をそんなに大きく取り上げる必要はない。日本のプロ野球なんてメジャーへの人材供給所なんだから』などという、我々に取っては屈辱的なものまであるのだ(読者の書くことにいちいち腹を立ててもしょうがないとは思うのだが、やはり腹が立つ。なめやがって、と)。
 詳しくは、実際に『カンザスシティ・スター』紙のホームページを見てもらいたい。それほど難しい英語は使ってないので、わかりやすいと思う。
 

posted by southernmiss |03:13 | トラックバック(0)
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2007年10月02日

ホッカイドー・ノ・ミナサン・ワ・セカイデ・イチバンデス!

 ホッカイドー・ノ・ミナサン・ワ・セカイデ・イチバンデス。
 9月26日、札幌にて、北海道日本ハムファイターズのレギュラーシーズン本拠地最終戦、対東北楽天ゴールデンイーグルスを取材してきたが、9回裏に代打・坪井智哉の劇的なサヨナラヒットで勝利したあと、ヒルマン監督は興奮気味に、日本語でそう言った。

hammies1


 何をもって「セカイイチ」というかにもよるが、札幌ドームのファンは本当に世界一ではないかと思わせるところがある。熱く、しかし明るく、さわやかで、そして温かい。応援を見ていると、本当にファイターズを愛しているのが伝わってくる。
 もちろん、昨年日本一に輝いたから、応援するのも当然といえば当然だ。だが今年はMVPの小笠原道大や新庄剛志、岡島秀樹といった主力選手が抜け、シーズン前の解説者の予想は軒並み低かったにもかかわらず、今季もパ・リーグを制した。ダルビッシュや稲葉などはそうした低い予想を覆さんと頑張ってきたと、9月29日の優勝後に語ったが、選手たちと同様にファンもプライドを傷つけられたのだ。だから、今季のこの快挙はある意味で昨年以上に嬉しかったに違いない。
 と、かく言う筆者も札幌で育ったどさん子でファイターズを応援しているから、やはり嬉しい。取材席ではメガホンを叩いての応援などできないが、正直言うとファイターズの選手がヒットを打ったり、得点をしたりすれば自然とビクっと身体が動いてしまう。取材者たるもの公平で、客観的でなければならないと思うようにはしているが、それでも、抑えるのはなかなか難しい。
 筆者も含めて、北海道の人たちにとって、ちょっと前まで同地にプロ野球の球団ができるということなど考えられもしなかった。プロ野球とは、内地(北海道では本州のことをこう呼ぶ)で行う、テレビで見るもの、という意識があった。それが、04年にファイターズが移転してきて、しかも昨年は44年ぶりの日本一に輝くという快挙を打ち立てたのだ。ヒルマン監督の「シンジラレナ~イ」というセリフは我々ファンも口にしたいほどのセリフなのだ。

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 試合の前、早くから球場に駆けつけたファンに話を聞いて回っていた。そのなかには、この日先発ダルビッシュのユニフォームに身を包み、仕事を早退してやってきた大学教員の方がいれば、金子誠と鶴岡のユニフォームを来た29歳の女性2人もいた。皆さん快く話をしてくれたが、どの人も言っていたのが、「ファイターズが来て生活が変わった」ということだ。ファイターズが来て、応援するべきチームがきて、生活にハリが出たということだろう。
 この日集まったファンは42,222人。札幌ドームで記録する最高の数字だ。実際には、立ち見のファンも数多くいたから、それ以上の観客がいたことだろう。どの人も熱く、声を枯らさんばかりに選手を応援していたが、それよりも、柔らかでエネルギッシュな笑顔が一番印象的だった。

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 ヒルマン監督には試合後に話を聞いたが、監督は笑顔を浮かべ、首を2、3度振りながら、ファンのサポートには本当に感謝していると言った。それは、よくあるリップサービスとは違う、本当に心の底から出てきた言葉に聞こえた。
 余談だが、ヒルマンは今季終了をもって勇退する。しかし、何年かしたら、この「セカイイチ」のファンが忘れられず、必ず戻ってくるような気がする。






posted by southernmiss |04:10 | トラックバック(0)
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