2006年11月19日

踊らされて ~松坂騒動~

 ここまでくると、スポーツというよりも、むしろワイドショーと呼ぶべきではないだろうか。

 14日、東京・品川で行われたプロ野球コンベンションに出向いたが、そこでは今シーズンの両リーグのMVPと新人王が発表され、その後ワールドベースボールクラシック(WBC)の日本代表の祝勝会も開かれた。

 しかし、そんな華やかな場においても、郡を抜いてわれわれ報道陣の耳目を引いたのが西武ライオンズから歩スティングシステムで大リーグへ移籍する松坂大輔の去就だった。僕も含めた報道陣のほとんどが、この日は松坂、または西武球団が彼との交渉権を入札した球団について言及する可能性があるということで、注目していたのだ。MVPはセ・リーグが中日ドラゴンズの福留孝介、パ・リーグが小笠原道大だったのだが、リーグ最優秀選手賞というまさに最高の名誉を手にした選手らも、松坂の話題の前には正直かすんでしまっていた。

 ところが、その松坂の行き先は、この日は結局明らかにされなかった。代わりに西武の太田オーナー代表が、翌日、つまり15日の午前10時に西武の球団本社で発表すると述べるにとどまった。理由は、米国との同時発表を行うためである。

 MVPや新人王を発表する晴れの舞台に来ておいて、無駄足を踏んだといっては失礼なのは承知している。しかし、松坂のことに関しては、なぜここまで発表が遅れなければならなかったのか、疑問である。もちろん選手の移籍は簡単に済むものではないし、まして松坂との交渉権入札には莫大なお金がかかっていたから、時間がかかるのもわかる。しかし、ならばいつ発表すると前もって言っておくくらいのことはせめてしてもらえないかと思うのだ。14日は松坂の移籍先発表があると信じて多くの報道陣が詰め掛けたのだ。それなのに発表はなしときた。なんだか、われわれは踊らされているのではないだろうか、そんな風にも思えたくらいだ。

 結局、15日の午前10時、ボストン・レッドソックスが松坂の交渉権を入札したと発表された。それを受けて松坂は、同日の午後、あわただしく成田空港からロサンゼルスへ飛んだ。彼の去就を追ってきた報道陣の多くは、当然ながらそれらも追った。14日は西武球団本社と品川、15日は再び球団本社、そして成田空港、という具合である。ただどの球団が交渉権を獲得したかを知るだけで、ここまで大騒ぎになるというのは、正直行きすぎではないかと思う。
 
 ついでに言えば、レッドソックスの入札額、約5111万ドル(約60億円)というのも、尋常ではない。松坂の契約金額が60億円というならまだしも、松坂との交渉権を得るためだけに、レッドソックスはそんな膨大な金額を提示したのだ。常軌を逸しているといわざるを得ないし、世の中にはもっとお金をかけるべきところがあるだろうに、などとすら思ってしまう。

 これから松坂側とレッドソックスは本格的に契約交渉に入っていくが、これがまた何十億円単位のものになることは間違いない。そうなると、レッドソックスは松坂獲得のために100億近く、あるいはそれ以上のカネを費やすことになる。いったい本当にそれだけの価値があるのか、疑問だといわざるを得ない。もちろん、松坂は良い投手ではあるし、レッドソックスもその金額に見合う価値があると踏んだから実際に行動にでたのだろうが……。

posted by southernmiss |18:01 | トラックバック(0)
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2006年11月08日

客が入ればいいんじゃ! ――bjリーグ2年目、開幕――

札幌へ日本シリーズの取材に行ってから、ずっと体調を崩している。もうかれこれ2週間だ。まともに仕事もできない状態が続いていて、正直、困っている。
 
それでも、11月4日に行われたbjリーグの開幕カードのひとつ、東京アパッチ対大阪エヴェッサには這いつくばって足を運んだ。会場の有明コロシアムを埋めた観客の数は、実に9、170人。昨季のプレイオフの7、600人を大きく上回る新記録だった。この中には招待券で訪れた人も相当数いるから、純粋なbjリーグのファンがどれだけいたかはわからないが、今シーズンがスタートからまだ2年目で、認知度とファンの拡大を目指すリーグにとっては、それはあまり大きな問題ではないのだろう。なんにせよ、アリーナが客で埋まるのを見るのは選手やチーム、リーグ関係者でなくとも気持ちのいいものだ。

bjリーグに関しては、日本でプロバスケリーグなんて成功しない、とか、レベルが低い、などと、いまだ否定的な見方をする人が多い。しかし、どんな新興リーグも最初は同じような批判にさらされてきた。面白いのが、そういう批判をしたり顔でする人たちは、そのリーグが成果工し始めるとコロっと手のひらを返して批判の舌鋒を緩めることだ。

この国のスポーツは企業が中心で行われてきたので、ほとんどの場合大都市にチームが置かれてきた。しかし、93年にJリーグができてから地方都市に次々とチームができ、地元の人々の心をつかんできた。「地域密着」という言葉自体もそれに伴って浸透していった。

プロ野球でさえ、近年は福岡ソフトバンクホークスや去年の日本シリーズ王者・千葉ロッテマリーンズ、そして今年の王者・北海道日本ハムファイターズなどが見事に地元のファンを獲得し、成功を収めてきた。そう、企業スポーツの象徴であったプロ野球でさえそうなのだから、この国のスポーツもようやく地域密着型のスポーツチームが主流になっているといえるだろう。

話をbjリーグに戻すと、開幕戦こそ1万人近い観客を動員したアパッチだが、今シーズンはいかにファンをアリーナに呼び込めるかで必死になっている。東京都という日本でダントツの人口を持つ場所にフランチャイズを置きながら、昨シーズン、有明の試合では平均2、000人を切る観客数しか記録できなかった。新潟や大阪、仙台などの地方都市では熱狂的なブースターが毎試合アリーナを埋めていたのにである。

おそらく、東京には楽しむべきイベントや事柄が豊富にありすぎるからだろう。また、東京に住んでいるといっても元は地方から出てきた人も多い。その意味では、東京のチームに対する執着が強くないこともあるのではないだろうか。いずれにしても、アパッチの集客への努力はシーズンを通して行われていくだろう。

posted by southernmiss |14:59 | トラックバック(0)
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2006年11月03日

ファイターズ人気、北海道で爆発

 北海道日本ハムファイターズが頂点に立った。なんとも嬉しい話である。 
 個人的には、僕は高校卒業まで札幌で育ったので、長年待った、というよりも、夢 にまで見た「おらがまちのプロ野球球団」が日本シリーズで優勝したのである。北海道ではファイターズよりも先に、駒大苫小牧が甲子園で優勝していたが、ファイターズもあとに続いたことで、同地の野球人気はますます高まっている。 
 元来、北海道は巨人ファンが大勢であったのだが、それも単に全国中継の巨人戦くらいしかプロ野球を見られなかった、というのと、年に一度、夏に札幌の円山球場というところで地方巡業として3連戦を行っていたから、というだけの理由でしかなかった。 
 だがもうそんな状態は過去のもの。今は道民に、札幌市民にとって、ひとつのチームを応援するもっと強い理由ができた。それがファイターズなのだ。 
 僕の母や妹も、ファイターズに夢中である。2人はもともと熱心なプロ野球ファンというわけではなかった。だが、ファイターズが札幌へ来て以来、ことあるごとに「ファイターズがああだ、ファイターズがこうだ」と話してくるわけだ。しかし気持ちは十分わかる。それだけ北海道という地には、アミューズメントというものが少なかった。しかも、人々がひとつになって熱狂するものなど、到底考えられもしなかったことなのだ。 
 だから、個人的な感情を抜きにしても、ファイターズの優勝はプロ野球にとって良かった。ファンが支えているチームだからだ。去年優勝した千葉ロッテもそうだし、福岡ソフトバンクも同様だ。地元に熱狂的なファンがいる。チームはまだ弱いが、東北楽天も、ファン獲得という意味では順調に見える。引退したばかりの新庄が、ファイターズの入団会見で「これからはパ・リーグです」と言ったのは、冗談や目立とうとしてのことではなく、本当に将来を見越しての発言だったのかもしれない。 
 札幌での3連戦の前日、僕は札幌ドームや札幌駅へ、ファンの反応を感じようと赴いた。そのなかで、札幌駅で出会った中年の男性の言葉が心に残った。彼は「昔は北海道はジャイアンツファンばかりだったけど、いまはもうジャイアンツなんて過去の存在だね」と言い放った。
 そう、ジャイアンツは過去の遺物なのである。そして今、北海道の、札幌の人々の心をわしづかみにしているのはファイターズだけなのだ。

posted by southernmiss |19:39 | トラックバック(1)
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